Solid Edgeの使い方や特徴などを知りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。Solid EdgeはほかのCADソフトにはない特徴があり、設計効率を向上させられます。
また、使いやすさとコストパフォーマンスの高さが特徴のこのソフトは、2DCADからの移行も容易です。
本記事では、Solid Edgeの基本的な特徴から、ダウンロード・インストール方法、さらには基本的な操作方法まで解説します。
Solid Edgeとは
Solid Edgeは、機械設計者がイメージしたものをより具体的に実現できる3DCADソフトウェアです。1996年に登場し、現在はシーメンスPLMソフトウェア社が開発を続けています。
その特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さにあります。
最大の魅力は「シンクロナステクノロジー」という独自のモデリング手法でしょう。この独自の特徴によって、従来のCADの課題だった設計変更の煩わしさを解消しました。
具体的にはヒストリ型とノンヒストリ型の良いとこ取りをした、画期的な機能と言えます。
また、Solid Edgeは、2D感覚で3Dモデルを編集できるため、2DCADから3DCADへの移行を考えている企業にもおすすめです。さらに、他社のCADデータも自由に編集可能なので、設計現場の効率アップに直結します。
Solid Edgeの評判や導入効果については、以下の記事でご紹介しています。
Solid Edgeの基本マニュアル
ここでは、 Solid Edgeの価格や基本的な特徴などを解説していきます。
価格体系
Solid Edgeの価格は、ユーザーのニーズに合わせて柔軟に設定されています。
価格プラン | 月額 | 年額 |
Design and Drafting | 19,600円 | 235,200円 |
Foundation | 39,270円 | 471,240円 |
Classic | 47,320円 | 567,840円 |
Premium | 67,990円 | 815,880円 |
※いずれも税込
「Design and Drafting」は、2D図面作成と基本的な3Dモデリングに特化したエントリーモデルです。小規模な設計プロジェクトや2Dから3Dへの移行を考えている方におすすめです。
また、 「Foundation」は、3Dパーツモデリングと基本的なアセンブリ機能を提供します。中小規模の製品設計に適しており、コストパフォーマンスに優れています。
そして、「Classic」は、高度な3Dモデリング、大規模アセンブリ、板金設計などの機能を含みます。複雑な製品設計や多様な設計ニーズに対応できる万能モデルです。
「Premium」は 全機能を網羅し、シミュレーションや高度な解析機能も含まれます。大規模プロジェクトや高度な設計・解析が必要な場合に最適です。
これらは月間または年間サブスクリプションで利用できるようになっています。
以下の記事で、Solid Edgeの価格についてさらに詳しく紹介しています。
主な機能
Solid Edgeの主な機能は以下が挙げられます。
- シンクロナステクノロジー
- パラメトリック設計
- アセンブリ設計
- 板金設計
- レンダリング
「シンクロナステクノロジー」はSolid Edgeの最大の特徴と言えるでしょう。活用することで、直感的な操作で設計変更が可能になり、モデルの履歴に縛られることなく自由に編集できます。たとえば、穴の位置を変更したい場合、単純にドラッグするだけで移動でき、設計変更の時間が大幅に短縮されます。
「パラメトリック設計」では、寸法や関係性を保ちながらモデリングが可能です。具体的には、部品の長さを変更すると、関連する部分が自動的に調整されて、設計の一貫性が保たれ、ミスも減少します。
「アセンブリ設計」では、複雑な製品も効率的な組み立てが可能です。部品同士の干渉チェックや動作シミュレーションができたり大規模なアセンブリでも軽快に動作したりする点が特徴です。
「板金設計」は展開図作成や曲げシミュレーションが簡単にできます。板金特有の加工方法を考慮した設計が可能で、製造現場とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
「レンダリング」では、リアルな3Dイメージを素早く生成できるので、プレゼンテーションや製品カタログ用の画像作成に役立ちます。材質や光源の設定も直感的に行えるのが特徴です。
これらの主要な機能により、設計プロセスが大幅に効率化されるでしょう。なお、クラウド連携機能やVR/AR対応など、最新のテクノロジーにも対応しています。
他のCADとの違い
Solid Edgeは、他のCADソフトとは異なる特徴を持っています。
まずは直感的なインターフェースで初心者でも扱いやすいのが特徴です。たとえば、コマンドの配置が作業の流れに沿って最適化されており、迷うことなく操作できます。
また、ヘルプ機能も充実しているため、操作中にすぐに必要な情報にアクセスが可能です。
そして、ヒストリベースとダイレクトモデリングを自由に切り替えられます。これは他のCADソフトにはない大きな特徴であり、「設計の初期段階ではダイレクトモデリングで自由に形状を作り、詳細設計ではヒストリベースで精密に調整する」といった使い分けが可能です。
他にも、高機能でありながら比較的手頃な価格設定となっています。また、サブスクリプション制により、初期投資を抑えることも可能です。特に中小企業や個人ユーザーにとっては、高性能CADを導入する際には検討したいところです。
さらに、CADデータも簡単に編集ができます。具体的には、取引先から受け取ったCADデータをそのまま編集できるため、作業効率が大幅に向上するでしょう。
また、2DCADからの移行も容易で、既存の2Dデータを3D化する機能も備えています。
Solid Edgeのダウンロード・インストールマニュアル
ここからは、Solid Edgeのダウンロードからインストール完了までの流れを解説します。
1.システム要件の確認
まずは、お使いのPCがSolid Edgeの動作要件を満たしているか確認しましょう。
OS | Windows 10/11 Enterprise または Professional (64ビット) |
CPU | 64ビット(x64)プロセッサ |
メモリ | 32GB以上推奨 (最小16GB) |
ディスク容量 | 10GB以上の空き容量 |
グラフィックス | 1920×1080以上の解像度、True Color (32ビット)対応 |
これらの要件を満たしていることを確認したら、インストールの事前準備が終了です。
2.ダウンロード
次はダウンロードに移ります。はじめにSiemens公式サイトにアクセスし、Solid Edgeのダウンロードページを開きましょう。その後、アカウントでログインし、使用するバージョンとエディションを選択します。
最後にダウンロードボタンをクリックし、インストーラーをダウンロードします。なお、ダウンロードには時間がかかる場合があるので、安定したインターネット接続環境で行いましょう。
3.インストール
Solid Edgeのインストール手順は以下の通りです
- ダウンロードしたインストーラーを管理者権限で実行
- 使用許諾契約の確認・同意
- インストールタイプを選択(通常は「標準」を推奨)
- インストール先フォルダを指定
- インストールを開始
インストール中はPCの動作が遅くなる場合があるので、他の作業は控えめにしましょう。
4.ライセンスの設定
インストール完了後は、ライセンスの設定が必要です。ライセンスを設定する際は、Solid Edgeを起動し、「ライセンスユーティリティ」を開きます。
ライセンスファイルがある場合は「ライセンスファイルがある」を選択し、ファイルを指定してください。また、ネットワークライセンスの場合は「ライセンスサーバー名がある」を選択し、サーバー情報を入力します。ここまでの手順で、Solid Edgeのインストールとライセンス設定が完了します。
初回起動時に追加の設定が求められる場合がありますが、画面の指示に従って進めてください。
なお、インストールに問題が発生した場合は、公式サポートやコミュニティフォーラムを活用することをおすすめします。経験豊富なユーザーやサポートスタッフからアドバイスを得られるでしょう。
Solid Edgeの操作マニュアル
最後に基本的な操作方法を解説していきます。
インターフェースの見方や設定
Solid Edgeを起動すると、まず目に入るのがリボンインターフェースです。上部に配置されたタブから、必要な機能を素早く見つけられます。左側のクイックアクセスツールバーには、よく使う機能をカスタマイズして配置できるでしょう。
また、画面中央の大きな領域がグラフィックエリアです。ここで3Dモデルを作成・編集します。右クリックメニューを活用すると、作業効率が格段に上がるでしょう。
基本的な描画ツール
まずは2D図形の描画から始めましょう。「スケッチ」タブを選択し、線や円、長方形などの基本図形を描いてみてください。
マウスを使って点を指定するだけで、簡単に図形が描けます。
また、寸法を入力する際は、数値を直接入力することが可能です。たとえば、線を描いた後にキーボードで「100」と入力すれば、100mmの線が完成します。
3Dモデリングの方法
2D図形を基に3Dモデルを作成する「押し出し」機能は、最も基本的な3D化の手法です。スケッチした図形を選択し、「ホーム」タブの「押し出し」ボタンをクリックします。
そして、距離を指定すれば、立体モデルの完成です。また、「回転」機能を使えば、軸を中心に回転させた形状も簡単に作れます。花瓶やグラスなど、回転体を作成する際は使ってみてください。
パラメトリック設計の活用方法
パラメトリック設計では、寸法や関係性を後から変更できるので、設計変更が容易になるでしょう。たとえば、長方形の幅を変更すると、関連する部分が自動的に調整されます。
他にも変数を使えば、さらに柔軟な設計が可能になります。「変数テーブル」で変数を定義し、寸法に適用しましょう。
アセンブリの操作
複数のパーツを組み合わせてアセンブリを作成する際は、「配置」コマンドを使います。パーツ同士の関係を定義することで、正確な位置に配置が可能です。
また、「干渉チェック」機能を使えば、パーツ同士の干渉を自動的に検出できるため、設計ミスの早期発見に役立ちます。
図面作成のコツ
3Dモデルから2D図面を作成する際は、「図面」環境を使用します。モデルを選択し、投影図を配置するだけで、基本的な図面が完成します。さらに、「スマート寸法」機能を使えば、適切な位置に寸法線が自動配置されるので、図面を見やすく整理する手間が省けるでしょう。
Solid Edgeのマニュアルについてまとめ
Solid Edgeは、直感的な操作性と高機能を両立した3DCADソフトウェアです。独自のシンクロナステクノロジーにより、設計変更の煩わしさを解消し、効率的な3Dモデリングを実現できるでしょう。
また、柔軟な価格体系と充実した機能により、個人から大企業まで幅広いニーズに対応できます。
本記事で紹介した基本的な操作方法を参考に、実際に手を動かしながら学んでいきましょう。