facebook

【2024】SIMULIAとは?機能・価格・使い方・活用事例をわかりやすく解説

近年、多様化するニーズに対応するために、多くのメーカーでは複雑で高度な製品開発が求められています。

従来の設計では、手作業によるミスで市場へ投入する時間が遅れるケースも少なくはありません。解析に移行するまでの業務改善を根本的に行うためには、高精度の解析ソフトウェアが必要です。

そこで今回は、開発プロセスの改善を実現するSIMULIA(シムリア)の機能から導入するメリットについて解説します。

SIMULIA(シムリア)とは

SIMULIA

画像引用元:SIMULIA

SIMULIA(シムリア)は、元々アメリカのHKS社が開発したソフトウェアですが、現在はフランスのダッソーシステムズ社が開発・販売しています。

SIMULIAには、有限要素法による構造解析や流体解析、音響解析ができるシミュレーションツールがあります。自動車業界の製品開発においては、部品やユニット以外にも車両全体の解析が可能です。

環境条件に応じて騒音や空調の解析、リアルな走行シミュレーションを実現します。あらゆる分野の物理現象や形状を解析できるため、品質が担保された製品開発が期待できるでしょう。

SIMULIAの種類

SIMULIAには、以下のシミュレーションツールがあります。

  • Abaqus
  • fe-safe
  • Isight
  • Tosca

一つずつ解説していきましょう。

Abaqus(アバカス)

Abaqus(アバカス)は、自動車や航空の産業分野で広く使用されている有限要素法解析ソフトウェアです。Abaqusを使用するメリットは次のとおりです。

  • 初めての人でも有限要素解析でモデルの作成から結果表示ができる
  • CADとCAEの組立品を同期させて条件定義と一緒に更新ができる
  • 解析時間を短縮できる

Abaqusには、一般的な静解析やモデリング、非線形解析など製品開発に必要な機能が搭載されています。普段、解析機能を使用しない人でも複雑な有限要素解析で簡単にモデルの作成から結果表示を実行できます。

外部のCADシステムから中間ファイル形式でインポートを行うことで、CAEの組立品と解析条件を保持した状態で迅速に更新が可能です。膨大な演算処理に費やす時間を短縮できるため、数日かかるような解析を一晩で終わらせられます。

fe-safe

fe-safeは、金属材料の疲労解析を行うソフトウェアです。fe-safeを使用するメリットは次のとおりです。

  • 製品の耐久性を考慮した設計ができる
  • 開発コストの削減と時間の短縮を実現できる
  • 物理試験への依存を削減できる

fe-safeの接触疲労アルゴリズムを使用して接触部分を自動検出が実行されるため、耐久性を視野に入れた設計が可能です。

従来では、手動で疲労解析を行うケースが多いですが、破壊位置を見落とすデメリットがあるため、製品の故障による事故を起こしかねません。

fe-safeでは、ひずみ計算値にもとづいた疲労解析が可能であるため、物理試験を実施する回数を減少できます。同時に、開発コストと時間の削減に貢献するでしょう。

Isight

Isight(アイサイト)は、設計とシミュレーションモデルの統合により、解析プロセスを自動化できるソフトウェアです。Isightを使用するメリットは次のとおりです。

  • 時間の短縮と製品の改良が可能になる
  • シミュレーションの自動化により手作業によるエラーを削減できる
  • 最適な設計パラメータを特定できる

Isightでは、製品の性能やコストを統計的な手法を用いて指標を特定することで、解析にかかる時間を短縮できます。

従来では、手作業による物理実験や解析が主流でしたが、ミスが多く発生するデメリットがありました。

Isightのシミュレーションで解析を自動化にすることで、手戻りのない作業が可能です。設計に最適なパラメータを特定できるため、製品の改良にも役立ちます。

Tosca

Tosca(トスカ)は、有限要素解析と数値流体力学によるシミュレーションをもとに、高性能で業務プロセスの最適化を図るソフトウェアです。Toscaを使用するメリットは次のとおりです。

  • 短期間の開発サイクルで設計ができる
  • 要件を考慮したシミュレーションで設計の改善が可能になる
  • 性能を最大限に高めて重量を最小限に抑えた製品開発ができる

Toscaでは、仮想的なシミュレーションにより、短期間で設計変更が可能です。設計の段階でコンセプトを決められるため、物理的な試作を実施する必要がありません。

独自の技術により、高性能や高品質、環境効率を実現する設計アイデアを自動生成できます。また、軽量設計によるエネルギー消費の削減とコストダウンが期待できるでしょう。

SIMULIAの機能

SIMULIAには、次の機能が備えられています。

  • オートメーション機能
  • 電磁界解析機能
  • 流体力学解析機能
  • 可聴周波数シミュレーション機能
  • マルチボディ・シミュレーション機能
  • 構造解析機能
  • 複合領域機能

それぞれ詳しく解析します。

オートメーション機能

SIMULIAのオートメーション機能は、次のようなケースで使用します。

  • 製品開発に必要なノウハウを社内で標準化したいとき
  • 解析にかかる労力とエラーの削減で業務効率を向上させたいとき

オートメーション機能では、設計に必要なノウハウを社内で標準化できます。シミュレーションを主導に、開発から共有までのプロセスを組織全体で再利用が可能です。

シミュレーションの自動化により、従来の解析に必要な労力を大幅に削減することで、エラーの発生を防止します。オートメーション機能で技術者の経験に依存しない製品開発が期待できます。

電磁界解析機能

SIMULIAの電磁界解析機能は、次のようなケースで使用します。

  • 幅広い周波数域や電気的な大規模構造のシミュレーションを実行したいとき
  • 市場投入する際の時間とコストを削減させたいとき

電磁界解析機能を使用することで、構成部品やシステムの電磁界特性を検証できます。

たとえば、電波や信号の周波数域や大規模構造のシミュレーションが可能です。構成部品の統合や電磁性能の解析を設計プロセス全体に適用できます。製品を市場に投入するまでの時間とコストを削減できるので、開発スピードの向上に役立つでしょう。

流体力学解析機能

SIMULIAの流体力学解析機能は、次のようなケースで使用します。

  • 環境騒音や安全性を流体シミュレーションで解析したいとき
  • 正確な性能予測の処理から結果出力までの時間を短縮したいとき

流体力学解析機能を使用することで、自動車や航空機の環境騒音や安全性を検証できます。高精度の流体シミュレーションでは、性能の予測を迅速に処理ができるため、設計における課題解決に役立ちます。

実際の性能を正確に検証が可能なので、早期に設計の最適化を図りたいときに便利です。

可聴周波数シミュレーション機能

SIMULIAの可聴周波数シミュレーション機能は、次のようなケースで使用します。

  • 設計の段階で振動騒音を解析したいとき
  • 試作前に振動騒音対策をしたいとき

可聴周波数シミュレーション機能を使えば、1つのライセンスで高精度の振動騒音の解析が可能です。物理的な実験を行う前に製品の振動騒音を検証できるため、試作段階にかかるコストを低減できるメリットがあります。

近年、国の規制や顧客のニーズにより、振動騒音の低減が求められているため、SIMULIAの機能を活用することで課題解決に役立つでしょう。

マルチボディ・シミュレーション機能

SIMULIAのマルチボディ・シミュレーション機能は、次のようなケースで使用します。

  • 3Dモデルで運動や応力の予測と可視化したいとき
  • 開発後期の変更に必要なコストの発生を回避したいとき

マルチボディ・シミュレーション機能では、仮想的に3Dモデルを作成・解析を行うことで、運動や応力の予測と可視化が可能です。すべての工程で適用できるので、コンセプト設計から詳細設計まで対応しています。

開発後期になると、変更が生じた際にコストが発生するケースも少なくはありません。早期の段階で課題を発見することで、時間とコストの削減ができます。

構造解析機能

SIMULIAの構造解析機能は、次のようなケースで使用します。

  • 実際の荷重や温度条件のもとで構造解析を実施したいとき
  • コストとエラーの削除で設計サイクルの短縮を実現したいとき

構造解析機能では、設定した環境条件のもとで仮想的にシミュレーションが可能です。物理的な試験を実施する前に、解析結果から発見する課題を早期に解決できます。

試作の段階で解析を行うと、改良にかかる時間とコストが膨大になりがちです。SIMULIAの構造解析機能を使えば、早期にコストとエラーを削除できるので、設計サイクルの短縮を実現できます。

複合領域機能

SIMULIAの複合領域機能は、次のようなケースで使用します。

  • 流体や構造における相互作用を解析したいとき
  • 物理的な試験の失敗を回避したいとき

複合領域機能では、制御システムや流体などの複数領域のモデル化を行うことで、製品の性能を解析できます。複合領域の実験により、設計に費やす時間の短縮と物理的な試験の失敗を回避することが可能です。3Dモデルを用いて構造や流体の物理的相互作用を可視化できるため、課題の発見に役立つでしょう。

SIMULIAを導入するメリット

SIMULIAを導入するメリットは次のとおりです。

  • 物理的な実験をシミュレーションに置き換えられる
  • CADデータとの連携ができる
  • 情報の一元管理ができる

それぞれのメリットについて紹介します。

物理的な実験をシミュレーションに置き換えられる

SIMULIAの機能を活用することで、物理的に部品を組み立てずにシミュレーションで解析が完結します。

たとえば、医療機器の場合は、物理的な人体実験が不可能なので、シミュレーションが必要不可欠です。試作回数の低減につながるため、材料費や人件費の削減や市場投入までの時間短縮を実現できます。

CADデータとの連携ができる

SIMULIAでは、外部のCADシステムで設計されたデータと連携することで、解析が可能です。利用したCADデータは、解析結果とともに管理ができるので、再利用の際に役立ちます。設計変更する前に定義した条件を保持することで、再設定が不要になるため、担当者の工数を削減できます。

情報の一元管理ができる

SIMULIAは、製品ライフサイクル管理ができるPLMとの連携により、データの一元管理が可能です。ダッソーシステムズ社が提供する「3DEXPERIENCE」では、SIMULIAとの連携により、部門間の情報共有を容易にします。検証結果はデータとして管理できるので、ペーパーレス化に役立つでしょう。

SIMULIAの企業の導入事例

最後に、SIMULIAを導入している企業の事例を紹介しましょう。

Extreme Analyses Engineering社

Extreme Analyses Engineering社は、遊園地やアトラクション業界の製品開発を行っている企業です。同社でSIMULIAを導入した結果、以下の実績を出しています。

  • すべての情報共有を一元化にした
  • 業務プロセスの自動化により解析時間を短縮した

同社では、情報紛失のリスクを回避するために、SIMULIAを導入してデータを一元管理することに成功しています。

従来の設計では、作図したあとに紙図面を出力してから検証する方法が主流でした。時間のかかる工程を短縮することが課題でしたが、SIMULIAの機能を使うことで、業務プロセスの自動化により、解析時間の短縮を実現しています。

武蔵精密工業株式会社

武蔵精密工業株式会社は、自動車部品の開発を行っている企業です。同社でSIMULIAを導入した結果、以下の実績を出しています。

  • CADとCAEの連携による設計の最適化を実現した
  • 各工程で設計の新規変更を加えることが可能になった

同社では、従来のガソリン車から電気自動車が主流になることを念頭に準備を進める中で、複雑なシミュレーションと低コストで開発時間の短縮が求められていました。

SIMULIAの導入により、シミュレーションにもとづいた設計の最適化を実現しています。現在では、すべての工程から設計の新規変更が可能です。

株式会社竹内製作所

株式会社竹内製作所は、50年以上にわたり建機の製品開発を行っている企業です。同社でSIMULIAを導入した結果、以下の実績を出しています。

  • 市場へ投入するまでの時間を短縮した
  • 3Dモデルから2D図面の作成を自動化に成功した

同社では、2D図面から3Dモデルを作成したあとに解析を行っていましたが、時間がかかるため、業務プロセスの改善を求めていました。

SIMULIAの導入で、3Dモデルから2D図面の自動作成が可能になり、市場へ投入するまでの時間短縮に成功しています。フローの改善により、以前よりも業務効率が向上しているようです。

まとめ

SIMULIAの機能や導入するメリット、企業の導入事例について解説しました。実際にSIMULIAを導入した方が良い状況は次のとおりです。

  • 開発にかかる時間やコスト、ミスを削減したい場合
  • 業務プロセスを改善したい場合
  • 低コストで高精度な解析ができるシステムを導入したい場合

上記の課題を解決するならSIMULIAの導入がおすすめです。実際にSIMULIAを導入している企業では、製品を市場に投入するまでの時間短縮とコストの削減に成功した事例があります。

これからSIMULIAの導入を検討している場合は、自社の課題と使用用途を明確にしましょう。

SIMULIA
最新情報をチェックしよう!