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【2024】OneCNCとは?価格・評価・使い方・機能と活用事例をわかりやすく解説

近年の加工現場において、2次元加工から3次元加工に移行する動きが見られるようになりました。多くの企業では、業務改善や加工の幅を広げるために、CAMとCADの機能が統合されたOneCNCの導入が進められています。

しかし、システムの導入に踏み出せない企業が存在する中で、OneCNCの機能やメリットについて疑問を抱くことも少なくはありません。
そこで今回は、OneCNCの特徴から導入するメリット、企業の活用事例について解説します。

OneCNCとは?

OneCNCとは
引用元:OneCNC

OneCNCとは、オーストラリアのQARM社が開発したCAM・CAM統合型ソフトウェアです。
一つのプラットフォームでCADデータとNCプログラムの作成が可能です。

Windowsの開発環境で作成されているため、インターフェースや操作環境はすべてMicrosoftの仕様に対応しています。ソフトウェアは、本体価格のみで購入できるため、メンテナンス費用が不要です。

OneCNCを導入することで、低コストかつ便利な機能をまとめて使えるメリットがあります。

動作環境

実際にOneCNCを稼働させるためには、一定の動作環境が必要です。
OneCNCの推奨スペックは次のとおりですので、自社のPCと照らし合わせてみてください。

OS Windows 7/8/10(32bit/64bit)(64bit推奨)
CPU マルチコアプロセッサ(Intel Corei7相当推奨)
メモリ 8GB以上(4GB以上推奨)
HDD 5GB以上の空き容量 (20GB以上推奨)
グラフィックボード NVIDEA GeForce相当のDirectXグラフィックボード推奨
ディスプレイ解像度 垂直解像度900px以上(1080pxフルHD推奨)
その他 USBポート、CDROMドライブ、マウス(ホイールマウス推奨)、Connexion3Dデバイス対応

価格

OneCNCの機能には、次の5種類があります。

  • CAD
  • 多軸
  • 旋盤
  • プロファイル
  • ワイヤー

その中で、自社の課題解決に必要な機能を選択できます。
次の価格を参考に、開発元や国内の代理店に見積もりを依頼すると良いでしょう。

CAD製品 280,000円(税別)
多軸製品 280,000~1,400,000円(税別)
旋盤製品 380,000~800,000円(税別)
プロファイル製品 380,000~680,000円(税別)
ワイヤー製品 380,000~680,000円(税別)

OneCNCの特徴

OneCNCには、次の特徴があります。

  • 独自の演算技術によりツールパスを生成できる
  • 初心者でも使いやすく操作性が高い
  • 削り残しを色分けで表示できる
  • 加工途中の工具の動きを確認できる

それぞれ詳しく解説しましょう。

独自の演算技術によりツールパスを生成できる

OneCNCには、独自の特許技術である「SMT」を使用したツールパス作成機能があります。
複雑なサーフェスやソリッドに対して演算技術が使われるため、荒加工から仕上げまでのツールパスが滑らかに接合されます。

従来のCAMでは、サーフェスやソリッド以外のモデルから演算を行うため、細かく震えた仕上げになりがちです。OneCNCの演算技術を使えば、オリジナルの情報からパスが算出されるため、きれいな仕上げのツールパスを生成できます。

初心者でも使いやすく操作性が高い

OneCNCのインターフェースや操作環境は、Windowsを前提に開発されているため、普段から使い慣れているOSで操作が可能です。マウスの操作だけで、ほとんどの機能を使用できるメリットは大きいでしょう。

たとえば、3Dモデルの面をクリックするだけであらゆる視点に切り替えられます。
CAMとCADの統合型システムの扱いが初めての人でも見やすい画面で操作できるため、現場の担当者や顧客との打ち合わせに便利です。

削り残しを色分けで表示できる

OneCNCには、生成されたツールパスをもとに切削シミュレーションを実行した結果とモデルとのデータから削り残しを色分けで表示する検証機能が備えられています。モデルを加工する場合は、作業者の技術によって仕上がりが異なるため、削り残しにもバラつきが出てしまいます。

OneCNCでは、独自のサーフェスモデルを使用するため、演算技術で算出された正確な色分けが可能です。削り残しを明確にすることで、品質が担保された高精度の製品開発に役立つでしょう。

加工途中の工具の動きを確認できる

OneCNCには、加工途中の工具の動きを確認できる機能が標準装備されています。シミュレーションの実行中にマウスでモデルを回転させたり、拡大・縮小したりすることが可能です。

シミュレーションでは、設定した工具が材料を加工していく様子をリアルに描画できるため、予測を可視化できます。
実際の加工速度でシミュレーションが可能なので、加工結果にもとづいた描画を実現します。

加工プレビューを活用すれば、素材の代わりにツールパスの描画によるシミュレーションも可能です。

OneCNCの機能と使い方

OneCNCには、次の機能が備えられています。

  • 多軸加工機能
  • 旋盤加工機能
  • プロファイル加工機能
  • ワイヤー放電加工機能
  • ソリッドデザイン機能

それぞれの機能と使い方を紹介していきましょう。

多軸加工機能

多軸加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • 2次元加工や複雑な曲面加工に使いたい場合
  • 角のないツールパスで荒加工に使いたい場合

OneCNCの多軸加工機能は、2次元加工から複雑な曲面加工まで幅広く対応しています。
具体的には、標準機能として2D図面や3Dモデルのインポートや穴加工が搭載されています。

特に、荒加工では、角のないツールパスで高速加工や難削材の加工の選択が可能です。難削材の加工には熟練した技術が必要ですが、OneCNCを使えば、高品質の仕上がりが期待できます。

旋盤加工機能

旋盤加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • 旋削加工と切削加工を持つ複合加工をしたい場合
  • CADデータに対する旋削加工用のプログラムを作成したい場合

OneCNCの旋盤加工では、従来の旋削機能に加えて、切削加工を併せ持つ複合加工が可能です。
一定以上の技術が必要な加工にも対応しているため、技術者の人材不足の解消に貢献できます。

また、2D図面や3Dモデルをインポートすることで、旋盤加工用のプログラムを作成できます。
OneCNCを導入することで、加工状況の確認や干渉チェックまで可能なので、従来よりも加工の幅を広げられるでしょう。

プロファイル加工機能

プロファイル加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • シート切断加工に必要なプログラムを作成したい場合
  • 取り代の少ない材料の研磨におけるミスをなくしたい場合

OneCNCのプロファイル加工では、レーザーやウォータージェットによる加工に最適なプログラムの作成が可能です。
また、ミリ単位の取り代に対して確実に研磨ができるため、ミスのない作業を実現します。

従来では、熟練した技術者が目視で確認する工程なので、人的なミスが起こりがちです。OneCNCの機能を活用すれば、手戻りのない作業ができます。

ワイヤー放電加工機能

ワイヤー放電加工機能は、次のようなケースで使用します。

  • CADデータに対するワイヤー放電加工用のNCプログラムを作成したい場合
  • 複雑なテーパー角度設定が必要な加工ツールパスを作成したい場合

OneCNCのワイヤー放電加工では、2D図面や3Dモデルに対して加工に必要なNCプログラムを作成できます。基本的に緻密で複雑な形状のモデルの加工に適しています。

従来の2軸加工や4軸加工に加えて、テーパー加工用のツールパスの生成も可能です。
OneCNCでは、精度が要求される複雑な形状に対するワイヤー放電加工を得意としています。

ソリッドデザイン機能

ソリッドデザイン機能は、次のようなケースで使用します。

  • 2DCADや3DCADの機能を使いたい場合
  • CAD機能の導入を検討している場合

OneCNCのソリッドデザイン機能では、誰にでも使えるCADシステムで2D図面や3Dモデルを作成できます。作成した3Dモデルから2D図面として出力できるため、それぞれの関連性が保持されます。

また、CAD機能が標準搭載されているため、一般的に必要な作図から出力まで可能です。ソリッドデザイン機能は単体で販売されているため、CADの導入を検討している場合におすすめです。

OneCNCを導入するメリット

OneCNCを導入するメリットは、次のとおりです。

  • 自動的に作業指示書を作成できる
  • CADデータの取り込みが可能
  • 穴形状の自動認識による穴加工ができる
  • 3次元加工が可能
  • 最大10台のPCで同時使用ができる

それぞれ一つずつ解説します。

自動的に作業指示書を作成できる

OneCNCでは、文字のレイアウトや画像の挿入が可能なHTML形式の作業指示書を自動的に出力できます。従来、作業指示書の作成には、多くの時間を必要とするため、他の業務に手をつけられないケースも少なくはありません。

また、内容がわかりにくいものであれば、ミスや遅延を起こす要因にもなるので、業務効率が低下する可能性があります。OneCNCで出力した作業指示書があれば、工程ごとの加工時間や加工条件を把握できるため、納期までのスケジュールを立てやすくなるでしょう。

CADデータの取り込みが可能

OneCNCのすべての製品には、CAD機能が標準搭載されています。3DCADとして広く使われているSolidWorksとの連携が可能であるため、設計用として使用できます。

3Dワイヤーフレームや2D作図機能を活用すれば、部品のモデリングが可能です。基本的なサーフェス・ソリッドモデリング機能を使用できるため、複雑な曲面形状に対応しています。

また、ツールパス演算を行う際に、あらかじめ穴をふさいだり、面を延長したりするなどの修正に役立つでしょう。

穴形状の自動認識による穴加工ができる

OneCNCの多軸加工機能では、穴径や深さを自動認識するフィーチャー認識穴加工に対応しています。穴加工のコマンドを実行すると、画面に表示されている2D・3Dモデルから穴形状の自動認識が実行されます。

瞬時に穴の種類と直径ごとのグルーピングや穴加工のプログラミングも可能です。
過去に使用した穴加工のパターンを保存して再利用ができるため、センターや面取りに取り掛かるまでの工数を短縮できます。

3次元加工が可能

OneCNCでは、通常の2次元加工とは変わらないシンプルな操作で3次元加工が可能です。荒加工と高精度の仕上げ用のツールパスが備えられているため、複雑な形状の3次元加工に対応しています。

特に、独自の演算技術を使用したツールパス計算を実行することで、等高線仕上げやアンダーカット加工など難易度が高い作業が容易になります。また、シミュレーションを実行すれば、事前に加工後の状態を予測できるので、最適な加工条件を設定する際に便利です。

最大10台のPCで同時使用ができる

OneCNCのネットワークライセンスでは、同じモジュールに対して最大10台まで同時利用が可能です。単体で販売されている製品2台分の費用で導入できるため、従業員数が多い企業にとってはメリットが大きいでしょう。

設計と加工現場が異なる場合でも場所に縛られずに使えるため、関係者同士の迅速な連携が可能です。ライセンス管理用のPCが1台あれば、ローカルネットワークにある各PCからOneCNCの起動ができます。

OneCNCの企業の導入事例

最後に、実際にOneCNCを導入している企業の導入事例を紹介しましょう。

シナノ産業株式会社

シナノ産業株式会社は、プラスチック部品の切削加工に力を入れている企業です。
同社では、OneCNCを導入してから次のような実績を出しています。

  • 5軸加工が可能になり仕事の幅が広がった
  • 設計用のソフトを使い分ける必要がなくなった

OneCNCを導入してから5軸加工が可能になり、多数の見積もり依頼が入るようになったようです。また、3Dモデリングの作業もOneCNCだけで完結するため、一つのソフトウェアで複数の仕事ができると評価されています。

以前までは、2軸・2.5軸加工が中心だったため、時代の流れで取り残されてしまう危機感から導入に至りました。今後は、5軸加工を活用しないとできないような難しい仕事にも挑戦するようです。

株式会社タカイ製作所

株式会社タカイ製作所は、自動車の生産ラインで使用される部品やオートバイ用のワンオフパーツを製造している企業です。同社では、OneCNCを導入してから次のような実績を出しています。

  • 加工の幅が広がり多様なニーズに対応できるようになった
  • 3Dモデルで全体像を確認しながら加工定義が容易になった

OneCNCを導入する前までは、2次元加工のみを受注していたため、案件がほとんどない状況でした。しかし、OneCNCの3次元加工や複合加工を導入してから、今まで断っていた複雑な加工に対応できているようです。

また、加工の表側と裏側の把握ができない課題を抱えていましたが、3Dモデルを用いて常に全体像を把握できる点について評価されています。

大東電気株式会社

大東電気株式会社は、プラスチックやセラミックなどの電気絶縁材料の切削加工を行っている企業です。同社では、OneCNCを導入してから次のような実績を出しています。

  • 自社の工場内にあるすべてのPCに導入したことでCAM・CADの環境整備ができた
  • 手入力によるプログラムの作成を不要にした

OneCNCのネットワークライセンスを活用することで、誰もがOneCNCをいつでも起動できる状況に環境整備が行われました。OneCNCを導入するまでは、マシニングセンターを使用していましたが、作業が追いつかない状態だったようです。

手入力で行っていたプログラムの作成をOneCNCで自動化したことで、従業員の負担を軽減しています。また、低価格で充実した機能と操作性の良さについて評価されています。

他社のおすすめCAD・CAMソフト

OneCNC以外でおすすめのCAD・CAMソフトを紹介していきます。

Fusion 360

Fusion360 CAM

Fusion 360は3DCADがメインですが、CAMとCAEも利用することが可能です。
CAEが入っていることで、CAMの利用前にシミュレーションもできるので製品作成にはとても使いやすいソフトです。

CADとCAM・CAEを1ソフトで利用することができるので、コストパフォーマンスも非常によく企業での製品開発にとてもおすすめとなっています。
CAMを含んだライセンスは、下記で無料体験できるので一度使用してみてください。

Fusion 360のCAMライセンスはこちら

まとめ

OneCNCの特徴や機能、導入企業の事例を紹介しました。
OneCNCは、次のような状況の場合導入した方が良いでしょう。

  • あらゆる形状の加工ができる状態にしたい場合
  • 低コストで社内の環境整備をしたい場合
  • CAMとCADを同一のシステムで使いたい場合

OneCNCの機能を活用することで、2次元加工から3次元加工、5軸加工ができるようになります。
また、独自の演算技術を用いたツールパス計算により、高精度な仕上がりと作業時間の短縮が可能です。

実際にOneCNCを使用している企業は、受注できる仕事が増えたと評価しています。
これからOneCNCを導入する場合は、使用用途を明確にしてから検討しましょう。

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