IllustratorとのRhinocerosのどちらを導入すべきか迷っている方も多いでしょう。
また、2つの製品をうまく組み合わせられないか検討している人もいるはずです。
そこでこの記事では、RhinocerosとIllustratorの親和性や互換性についてわかりやすくまとめました。それぞれのソフトへの書き出し方法やインポートの方法も解説しているので、連携する参考にしてみてください。
Rhinocerosとは
Rhinocerosは、機能のカスタマイズや拡張機能の追加をすることで、自由に作図ができるCADソフトです。多業種で利用されている汎用性の高さが魅力であり、建設業界はもちろん、製造、機械、宝飾、金型など、多くのデザイナーがソフトウェアを活用しています。
また、NURBSによる複雑な曲面を生成可能であり、シンプルな3Dモデルはもちろん幾何学的で複雑な造形にも対応しているのが特徴です。作図コマンドがいくつも搭載されているほか、追加アドインも豊富であることから、頭のなかでイメージするものを忠実に形づくれます。
さらには別途Grasshopperというモデリングを支援するプラグインを導入することで、自動化に対応することも可能です。アルゴリズムを利用して独自の設定を用意することにより、手動ではつくることが難しい大量のデータ処理ができます。
より詳しくRhinocerosの概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
最新のRhinoceros8の特徴や利用できる機能について解説しています。
Illustratorとは
Illustratorとは、デザイナー向けのソフトウェアを多数提供しているAdobeのグラフィックソフトです。主にイラスト作成やデザインなどに利用されていますが、図面の作図といった機能も搭載されています。
また、Illustratorでは3Dモデリングにも対応しているのが特徴です。
直接3Dモデルを生成することはもちろん、2Dで用意したフォントや図形を3Dに書き起こすこともできます。
さらには寸法の表示などにも対応しているため、一部の機能はほとんどCADと同じように利用できるのが魅力です。さらにはサードパーティーのプラグインを導入することで、よりCADらしい機能を追加して、作図に対応することもできます。
詳しくIllustratorの概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
Illustratorの使い方や便利機能について紹介しています。
RhinocerosとIllustratorの用途の違い
RhinocerosとIllustratorは、一部類似の機能はあるものの、詳細な目的が異なるため代替品として利用することはできません。そのため、RhinocerosとIllustratorはそれぞれの特徴を活かしつつ、組み合わせて使うことが重要です。
そこでここでは、2製品の用途の違いを整理しました。
自身が求める用途として利用できるのかをチェックしてみてください。
Rhinocerosは設計業務向け
Rhinocerosを使った図面の作成は主に、設計検討を必要とする業務向けとして利用されています。
例えば、1つの製品をつくるまでに発生するデザイン調整を何度も繰り返したい場合や、細かな調整を加えた比較案を用意したい場合などは、Rhinocerosを使って作図したほうが効率的です。
また、RhinocerosにはIllustratorと違い、BIMに対応できるプラグインなども数多く用意されています。オブジェクトひとつひとつに属性情報をもたせられることはもちろん、メッシュやソリッド、サーフェスなど複数のモデル要素を使いながら複雑な図形を作成できます。
よって、設計業務のためにRhinocerosとIllustratorのどちらを導入すべきか迷っているのなら、Rhinocerosの導入がおすすめです。またIllustratorへ乗り換えず、併用する程度に抑えるようにしましょう。
Illustratorはデザイン向け
IllustratorはCADと類似の機能を使えますが、メインの機能は次のようなデザインです。
チラシやWebページのデザイン | ページサイズを設定して、フォントやオブジェクトを使ってデザインする |
イラスト制作 | 手書きのイラストやベクターデータを組み合わせながらキャラクターやイメージ図を作成する |
インフォグラフィック | 3D機能を活用しながら、シンプルでわかりやすい立体デザインを制作する |
ロゴ・名刺制作 | 形状を自由に調整できるベクターデータを活用して、複雑な形状のロゴマークや名刺を制作する |
例えば、ただ線といったオブジェクトを配置するだけではなく、そこに影やノイズ、変形を加えてデザインするのがIllustratorの強みです。一部CADとしての側面がありつつも、それはメインの機能ではありません。
CADとして使う場合、Illustrator本来の機能を活かせないため、デザイン制作という目的で導入することをおすすめします。また、設計検討のためにソフトウェアが必要なら前述したRhinocerosを選択するのがよいでしょう。
RhinocerosとIllustratorの連携方法
RhinocerosとIllustratorは、それぞれの長所を組み合わせることによって、効率よく図面の作成やデザインを進められます。参考として、2製品を連携して利用する具体的なシーンを整理しました。
- Rhinocerosだと設定が難しいパス変形をIllustratorで対応する
- Illustratorで操作するのが難しい3DグラフィックをRhinocerosで作成する
なかでも表現の変更に関して、2つの製品にそれぞれの得意分野があります。
例えばパス変形はIllustratorのほうが得意です。
押し出しの機能を使うことにより、背景のオブジェクトにフォントの投影ができます。
また3Dグラフィックの作成はRhinocerosのほうが得意です。
データをそのままIllustratorに移行できるため、手軽に3Dグラフィック用のデータを用意できます。
RhinocerosとIllustratorのデータの書き出し方
まずRhinocerosから、Illustratorの専用拡張子「ai」を書き出す方法は次の通りです。
- Rhinocerosで図面を生成する
- 「ファイル>選択オブジェクトをエクスポート」をクリックする
- 書き出したいオブジェクトを選択してEnterキーを押す
- 出力先の選択画面で拡張子aiを選択する
- モデルスケールの維持を選択する
一般的な出力項目のなかにIllustratorのai拡張子が用意されています。
簡単な手順で出力できるので、ぜひチャレンジしてみてください。
続いてIllustratorからRhinoceros用のデータを書き出す場合には、Illustratorの拡張子であるaiで出力する必要があります。参考として以下に、書き出しの手順を整理しました。
- Illustratorで図面を生成する
- 「ファイル>書き出し>書き出し形式」をクリックする
- 書き出したいアートボードを選択する
- ファイルの種類をaiに設定して書き出しボタンをクリックする
残念ながらRhinoceros専用に書き出すことはできませんが、RhinocerosではIllustratorのai拡張子を読み込めます。なお、CADとしての互換性を維持したい場合には、dwgやdxfで出力するのもよいでしょう。
RhinocerosとIllustratorのインポートの方法
前項とは逆に、Illustratorで出力したai拡張子やdwg拡張子をRhinocerosにインポートする方法は次の通りです。
- 「ファイル>インポート」をクリックする
- ファイルの種類をaiデータやdwgデータに設定する
- ファイルを選択したら開くボタンをクリックする
- インポートオプションで設定・精度・寸法表記などを選択したらOKをクリックする
Illustratorで出力した拡張子は、特に手を加えることなく簡単にインポートできます。
出力したデータの設定がそのまま保持されているため、細かな調整を省略できるのが魅力です。
次に、Rhinocerosから出力したai拡張子を、Illustratorにインポートする方法を整理しました。
- 「ファイル>開く」をクリックする
- Rhinocerosから出力されたaiデータをクリックする
特にインポートするときの設定はありません。
Rhinocerosで出力されたデータがそのまま読み込まれます。
RhinocerosとIllustratorので使い方をセミナーで学ぼう
RhinocerosやIllustrator、もしくはその両方の使い方を詳しく学びたい方は、セミナー講習に参加するのが効率的です。用途に合わせてそれぞれの使い方や基本操作を学べることはもちろん、他ソフトとの組み合わせ方法などをレクチャーしてもらえます。
会場講習やライブウェビナー、eラーニングなど豊富な受講・学習方法が提供されているので、気になるセミナーを探してみてはいかがでしょうか。
Illustratorについて学びたい方は、以下のセミナーがおすすめです。
RhinocerosとIllustratorについてまとめ
RhinocerosとIllustratorは、それぞれ似たような作図・デザインの機能が搭載されている一方で、メインとなるソフト利用の目的が異なります。そのため、2つの製品を代替品として差し替えることはできません。
ただし、組み合わせ方次第では設計やデザイン業務の効率化を実現できます。
2つの製品を使っている会社はもちろん、他社からデータ共有を受ける際の手間を減らしたい方は、ぜひ本記事で紹介した組み合わせや連携にチャレンジしてみてください。