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Raise3D Pro3はどんな3Dプリンター?特徴・使用感・価格

あらゆる製造の現場で使われるようになってきた3Dプリンター。これから導入を考えている方も多いのではないでしょうか。
今回はミドルクラスの3Dプリンターのなかにおいて、コストパフォーマンスに優れていると話題の「Raise3D Pro3シリーズ」について解説します。
Raise3D Pro3の特徴だけでなく、購入価格や導入にあたってのメリット・デメリットにも触れています。予算を検討しながら3Dプリンターを探している人は、ぜひ参考にしてください。

Raise3D Pro3シリーズの4つの大きな特徴

Raise3D Pro3シリーズにはどのような特徴があるのでしょうか。
以下において、Raise3D Pro3シリーズが持つ大きな特徴を4つにまとめました。それぞれ順番にみていきましょう。
  1. トップクラスの造形制度
  2. 目詰まりのトラブルに強い設計
  3. 製作時間が長くなっても安心の高い安定性
  4. 対応フィラメントが豊富

トップクラスの造形精度

3Dプリンターがモノを作る際には、まるで紙を重ねるように1層ずつ原材料を積んでいきます。その1層あたりの厚みのことを積層ピッチと呼びます。
積層ピッチの細かさは、製作物の精度に大きく関わる要素です。そのため、3Dプリンターのスペックを検討する際の重要な指標とされています。
Raise3D Pro3シリーズは、低コストでありながら、ハイエンド3Dプリンターと並ぶほどの造形精度を持っています。その最小積層ピッチはわずか0.01mmです。
Raise3D Pro3は、精度が高いため、複雑な造形であっても、正確に作り上げることが可能です。
例えば3Dプリンターで製作したパーツは、ねじ穴にねじが通らなかったり、パーツ位置がずれてしまい、組立て時に補正が必要になることは珍しくありません。しかし、Raise3D Pro3シリーズは精度が高いため、そのようなトラブルの率が大幅に下がります。
例えば、10mm金属棒をパーツに通す場合は、Raise3D Pro3では、10.10mmの穴を設定しおけば十分に通るそうです。

目詰まりのトラブルに強い設計

高精度であるほどに心配になるのが、過熱と冷却が原因のフィラメントの目詰まりです。Raise3D Pro3シリーズは熱によるトラブルの問題を解決するために、樹脂材料を溶かして押し出す「エクストルーダー」の設計を改善し、フィラメントの目詰まりを低減させました。
さらにエクストルーダーに使われるモーターのトルクを大幅に上昇させることで、ギアのスリップを防止し、安定的にフィラメントが押し出されるようになっています。

製作時間が長くなっても安心の高い安定性

3Dプリンターは製作時間が長くなるほどにトラブルの可能性が高くなります。
エラーによって途中で製作がストップすると、時間をかけて1から造形をやり直さなければなりません。それは大きなロスを生むことになります。
そのため、大型造形を目的にした3Dプリンターでは高い機械の安定性が求められています。
Raise3D Pro3シリーズは、造形テーブルをZ軸に6本配置し、X/Y軸の送り方式には十字ボールねじを採用。また、高精度な運動が得られるように、直動機構にはボールブッシュが用いられています。
これによって、プラットフォームにずれが生まれにくくなりました。そのため、Raise3D Pro3シリーズは、長時間に渡る製作であっても高い安定性が維持できます。

対応フィラメントが豊富

フィラメントとは3Dプリンターの製作のける原材料として使われるプラスチック素材のことです。
3Dプリンターによるモノ作りにおいては、適切なフィラメントを選びができるかどうかが、製作物の出来に大きな影響を与えます。
Raise3D Pro3シリーズは、日本OFPプログラムの認証を受けたフィラメントをサポート。認証を受けたものなら、純正フィラメント以外を使用した場合でも保証が受けられます。
自社フィラメントにだけに限らず、多くのサードパーティ製のフィラメントの利用が可能となるので、理想通りの製品が作りやすくなるでしょう。

使用感は良好? Raise3D Pro3の基本的な使い方!

Raise3D Pro3シリーズの操作のプラットフォームには独自開発のソフトウエア「ideaMaker」を用います。
Raise3D Pro3シリーズを使用するときには、最初に「ideaMaker」をインストールし、ソフトウエアを立上げてください。
次に「プリンター設定」から使用しているプリンターを選択し、使用するフィラメントを決定します。
これで操作のための準備は完了です。以下ではシングル造形における、簡単な使用方法を解説します。

基本的な印刷方法を解説

「ideaMaker」のツールバーにある「+」ボタンを選択。製作したい構造物の「stlデータ」をインポートします。
「stlデータ」とは、3DCADに用いるフォーマットの1つです。Raise3D Pro3シリーズをはじめ、3Dプリンターでは「stlデータ」がよく用いられています。
次に「スライスをはじめる」を選び、スライスのテンプレートを選択。「確定」を押すとスライスが実行されます。これによって対象とするオブジェクトをレイヤー化し、印刷ができる状態となるでしょう。
最後にスライスで得られたデータをRaise3D Pro3本体に送り、実際に印刷を開始します。
3Dプリンターとパソコンがネットワーク接続されている場合には「プリンターにアップロード」を選択してください。USBを通してデータを送るのであれば「エクスポート」を選択します。

使用感は? 日本語対応のタッチパネルで簡単操作

Raise3D Pro3シリーズでは、3Dプリントの進行状況の確認や、プリント過程における細かい操作はすべてタッチパネルから行えます。残り時間や進捗状況などが一目でわかるので、やきもきしながら製造を待つ必要がありません。
最初の設定さえしっかりとしておけば、あとは直感的な操作が可能です。そのため使用感は非常に良好だといえるでしょう。
また、ideaMaker、タッチパネルともに日本語対応なので、操作に困ることもありません。

Raise3D Pro3シリーズを使うメリットとデメリットは?

Raise3D Pro3シリーズを採用するにあたって、メリットとデメリットをそれぞれ2つずつ紹介します。

積層ピッチが小さいので構造物が精細で丈夫

積層ピッチの細かさはRaise3D Pro3シリーズの最大の魅力といえるでしょう。積層ピッチが小さいほどにレイヤーを薄く仕上げられるので、精細で丈夫な構造物が作りやすくなります。
3Dプリンターでは粗が目立ちやすく崩れてしまいやすいオーバーハングした部位であっても、Raise3D Pro3シリーズならきれいにプリントすることが可能です。

大型の構造物をつくる場合に失敗が少ない

3Dプリンターにおける大型の構造物の製造は失敗が付き物です。そのため、一般的には構造物を小さなパーツに分けて作り、それを組立てて完成させます。
ですが、Raise3D Pro3は長時間の安定稼働が特徴の3Dプリンターなので、一気に大型の構造物を作り上げられます。
また、エクストルーダーの構造上、熱によるトラブルがあまりおきません。大型構造物の製作であっても失敗する可能性は低いといえるでしょう。

仕上がりに積層痕が残る

積層ピッチが細かいRaise3D Pro3ですが、印刷方式がFDM方式なので、構造物表面の仕上がりに限界があります。光造形のように滑らかな仕上がりにはならず、積層痕が多少残ってしまいます。
そのため、精度を求める構造物を製作する場合には、仕上げに手作業による研磨が必要となるでしょう。
しかしながら、積層痕が気になるのは他の印刷方式と比べた場合のことです。FDM方式を採用するほかの3Dプリンターと比べて、積層痕の残り方が大きいわけではありません。

反りや収縮の可能性がある

印刷方式にFDM方式を採用しているため、構造物が冷える際に熱収縮で反りや歪みを起こす可能性があります。熱による収縮おこしやすいABSを使った場合や、反りが目立ちやすい大型構造物を作る場合には注意が必要です。
反りや歪みの対策には、熱の放出が緩やかに行われるようにするのが効果的です。「クールタイムを設ける」「製作時間を伸ばす」「反りに強いフィラメントを用いる」などの対策をとることで、熱収縮による影響が起きにくくなるでしょう。
特に材料を変えることは熱収縮の対策に高い効果が期待できます。Raise3D Pro3シリーズは対応するフィラメントが豊富なので、最適な材料が見つけやすいでしょう。

Raise3D Pro3シリーズの価格はいくら?

Raise3D Pro3シリーズには2種類のラインアップが存在しています。
それぞれの価格を以下で紹介します。

Raise3D Pro3の価格

引用:3Dプリンター専門ショップ「Fab mart(ファブマート)」

Raise3D Pro3は、従来品であるPro2の新バージョンです。Raise3Dプリンターの最高峰となるシリーズといえます。
造形方式は材料押出法(FDM)方式で、プリントヘッドには素早い造形を可能にする可動式デュアルヘッド採用。シングルヘッドでの利用も可能です。
プラットフォームの水平調整には自動キャリブレーションが用いられるので、造形のゆがみを防止できます。
最大造形サイズは300×300×300mm。Raise3D Pro3の価格は税込で1,097,800円です。

Raise3D Pro3 Plusの価格

引用:3Dプリンター専門ショップ「Fab mart(ファブマート)」

Raise3D Pro3 PlusはRaise3D Pro3のグレードアップ版。
大きな違いは、造形サイズの高さが約2倍にまで対応(300×300×605mm)できるようになったことです。
それゆえに本体サイズがRaise3D Pro3よりも大きくなっています。Raise3D Pro3 Plusの価格は税込で1,507,000円です。

ほかのミドルクラスの業務用3Dプリンターとの価格比較

一般的に業務用3Dプリンターの価格には大きな開きがあります。数10万円台で手に入るものから、数千万円を超えるものまで、その価格は多彩です。
そこで以下では、Raise3D Pro3と同様のランクにある、ミドルクラスの業務用3Dプリンターの価格を数点紹介します。
どの製品も人気が高いものばかりです。なお、価格はあくまで参考価格です。実際に3Dプリンターを導入する場合の費用と異なる場合があります。
名称 造形方式 最小積層ピッチ 最大造形サイズ(幅×奥行き×高さ) 価格(税抜)
Form 3L光造形方式 0.025mm 335×200×300mm 1,601,000円
PartPro300 xT フィラメント溶解製法(FFF) 0.05mm 295×300×300mm  1,029,000円
Phenom XXL 光造形方式(MSLA) 0.137mm 527×296×550mm 950,000円(税込)
Lisa Pro レーザー焼結方式(SLS) 0.075mm 110×150×250mm 3,190,000円
INDUSTRIAL X3 材料押出方式(FDM) 0.05mm 330×270×200mm 約300万円
今回紹介したものも含め、ほとんどのミドルクラス3Dプリンターは本体価格が100万円を超えています。
そのなかで、最小積層ピッチが0.01mmで、300×300×300mmまでの構造物が作れるRaise3D Pro3は、優れたコストパフォーマンスを有しているといえるでしょう。

Raise3D Pro3シリーズは高コストパフォーマンス

Raise3D Pro3シリーズは高コストパフォーマンスな3Dプリンターです。精度が高く丈夫な構造物が作れるほか、長時間利用に耐えられる高い安定性と、目詰まりに強い構造を持っています。
また、多くの種類のフィラメントが利用できるため、多彩な構造物の製造にもぴったりです。
これから3Dプリンターの導入を検討するなら、Raise3D Pro3シリーズも検討対象にいれることをおすすめします。

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