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【2024】Autodesk Moldflowとは?価格・機能・使い方・セミナー・導入事例

樹脂成形において、製品ごとに金型を設計して発注する手間がかかるため、完成するまでに時間がかかりがちです。試作と修正を繰り返すため、材料費や人件費で膨大なコストが必要になります。

Autodesk Moldflow(オートデスクモールドフロー)では、業務上で発生する無駄な作業やコストの削減ができることで、導入を検討する企業が増えています。そこで今回は、Autodesk Moldflowの解析機能から企業の導入事例まで詳しく解説します。

Autodesk Moldflowとは

Moldflow

画像引用元:Moldflow(Autodesk)

Autodesk Moldflow(オートデスクモールドフロー)とは、樹脂成形における不良現象の予測ができる解析ソフトウェアです。具体的には、樹脂成形の加工プロセスに必要な金型内部の圧力や樹脂の流れを予測します。

形状をCADで編集したいときに、Autodesk Fusion 360との連携が可能です。必要に応じて設計チームとの連携に活用すれば、納期遅れや手戻りのリスクを最小限に抑えられるでしょう。

価格

Autodesk Moldflowの価格は、自社の課題と使用目的によって仕様が異なります。具体的な価格の見積もりは、開発元のAutodesk社や国内の代理店に直接問い合わせましょう。

Autodesk Moldflowの種類

Autodesk Moldflowには、次の2種類があります。

  • Autodesk Moldflow Adviser
  • Autodesk Moldflow Insight

それぞれの特徴と機能について解説していきましょう。

Autodesk Moldflow Adviser

Autodesk Moldflow Adviserには、次の特徴があります。

  • メッシュの自動生成機能により複雑な作業が不要になる
  • 成形品と金型設計の最適化による品質を担保できる

Autodesk Moldflow Adviserでは、メッシュの生成や修正作業を必要とせずに、形状や計算負荷に応じて解析が可能です。

設計者は、解析結果をもとに寸法精度機能の仕様を踏まえて設計を行います。初期段階で品質に関わる問題解決が可能であるため、成形品と金型設計の品質担保に役立つでしょう。

Autodesk Moldflow Insight

Autodesk Moldflow Insightには、次の特徴があります。

  • 高度なシミュレーションによる納期遅れを回避できる
  • 特殊成形の評価にも対応できる

Autodesk Moldflow Insightのシミュレーションでは、成形条件が確定していない場合でも自動計算で解析ができるため、迅速に指針を立てられます。結果的に、成形に取り掛かる時間短縮によって納期遅れを回避します。

また、インサート成形や2色成形などの特殊成型に対応できるため、評価の幅を広げたい場合に使えるでしょう。

Autodesk Moldflowの解析機能

Autodesk Moldflowには、次の解析機能が搭載されています。

  • 充填・保圧解析機能
  • 金型冷却解析機能
  • 反り解析機能
  • コアシフト解析機能
  • コンフォーマル冷却解析機能
  • パラメトリックスタディ解析機能
  • 半導体封止成形解析機能

それぞれ詳しく紹介しましょう。

充填・保圧解析機能

充填・保圧解析機能は、次の場面で使用できます。

  • 金型の凹側の充填と保圧を確認したいとき
  • 成形品のパフォーマンスを予測したいとき

充填・保圧解析では、金型の凹側に対する充填と保圧の樹脂流動の確認が可能です。充填解析から保圧解析の順番に解析が始まり、数値的に結果が算出されます。充填・保圧解析を活用すれば、コアの影響を考慮した成形品のパフォーマンスの予測が容易になります。

金型冷却解析機能

金型冷却解析機能は、次の場面で使用できます。

  • 成形設計の最適化を図りたいとき
  • 複雑な形状の金型製作をしたいとき

金型冷却解析機能では、成形品と金型の温度解析を行う際に、冷却時間やサイクルタイムを最適化するために、平均温度分布を算出します。算出された結果は、金型温度の経時変化のシミュレーションに使用されます。また、複雑な形状に適したコンフォーマル冷却が可能なので、成形品の輪郭に沿った断面を持つ金型製作に貢献するでしょう。

反り解析機能

反り解析機能は、次の場面で使用できます。

  • 反りの原因を特定して迅速な解決を図りたいとき
  • 材料のコストを低減したいとき

反り解析では、迅速に反りの原因を特定して、反りの解決策となるゲート位置の変更や設計パラメータの変更を提示します。また、寸法精度が高い設計を実現するためには、高価な材料が必要になります。反り解析機能を活用すれば、収縮と反りの設計原則を使用して材料のコストを減らすことが可能です。

コアシフト解析機能

コアシフト解析機能は、次の場面で使用できます。

  • コアシフトを解消したいとき
  • コア変形を予測したいとき

正確性に欠けた機械加工で生じるコアシフトは、設計の修正やプロセスの条件を調整することで解消できます。また、成形プロセスで圧力を加えたときに発生するコア変形の予測をしたいときに便利です。金型の凹側が充填されるまで、一定の解析が繰り返されます。

コンフォーマル冷却解析機能

コンフォーマル冷却解析機能は、次の場面で使用できます。

  • サイクルタイムの短縮を実現したいとき
  • 金型温度の分布を予測したいとき

サイクルタイムの短縮を実現するためには、コアの熱だまりの解消が必要です。コンフォーマル冷却解析では、設計の段階で解析と検証が可能であるため、金型温度の均一化により熱だまりが解消されます。また、複雑な形状の冷却管を使用した際の金型温度の分布予測ができるので、結果的にサイクルタイムの短縮に役立つでしょう。

パラメトリックスタディ解析機能

パラメトリックスタディ解析機能は、次の場面で使用できます。

  • 複数の成形パラメータを解析したいとき
  • 成形品の品質に与える影響を確認したいとき

パラメトリックスタディ解析では、複数の成形パラメータの影響を評価するために、解析の最適化を図ります。各パラメータ値に対して、値の数に制限はありません。自由に組み合わせて解析したり、成形品の品質に与える影響を確認できたりするので、品質改善にも役立つでしょう。

半導体封止成形解析機能

半導体封止成形解析機能は、次の場面で使用できます。

  • 複雑な形状で発生する問題を解決したいとき
  • 封止におけるプロセスへの影響を予測したいとき

半導体封止成形解析では、成形されたシリコンや接続ワイヤーなどの複雑な形状で発生する問題を最適な成形条件で解決可能です。金型の充填もしくは硬化を解析することで、封止におけるプロセスへの影響を予測します。封止により、放熱の促進やチップの電気的な相互接続が可能になります。

Autodesk Moldflowを導入するメリット

Autodesk Moldflowを導入するメリットは、次のとおりです。

  • 解析担当者以外の人でも操作できる
  • 高度な解析で事前予測できる
  • 生産遅延を回避できる

一つずつ解説していきましょう。

解析担当者以外の人でも操作できる

Autodesk Moldflowは、解析担当者以外の人でも操作できるインターフェースと機能が特徴です。

基本的な設計の知識があれば操作が可能であるため、技術者不足の解消につながります。機能を活用すれば、複雑な形状の解析やサイクルタイムの短縮が可能です。

高度な解析で事前予測できる

Autodesk Moldflowの解析機能では、高度な解析機能を活用することで、初期段階において成形プロセスで発生する問題の洗い出しが可能です。たとえば、反りの原因や複雑な形状に対する問題解決を早期に見つけられます。

事前予測することで無駄な手戻りがなくなるため、結果的に作業時間やコストの削減に役立ちます。

生産遅延を回避できる

設計の段階にて高度な解析を繰り返すことで、成形品の不具合を大幅に減少できるため、生産遅延の回避が可能です。成形プロセスに入る前に、充填や保圧などの解析を行うと、優先課題を発見できます。

結果的に手戻りが少なくなるので、納期までのスケジュール調整に役立つでしょう。

Autodesk Moldflowの企業導入の事例

続いては、Autodesk Moldflowを導入している企業の活用事例を紹介しましょう。

小松開発工業株式会社

小松開発工業株式会社は、自動車産業を中心に設計から図面の分析を行っている企業です。

同社では、Autodesk Moldflowの導入により、不具合の発生を前工程までさかのぼり、発生理由の可視化に成功しています。樹脂成形に関するデータと独自の成形技術を駆使して、顧客に対して課題対策の提案まで実現しました。

サトーパーツ株式会社

サトーパーツ株式会社は、創業してから60年以上電気部品の開発を行っている企業です。

同社で金型を製作する際に、不良対策の修正を含めて1ヶ月ほど時間がかかっていました。Autodesk Moldflowを導入したことで、完成までの時間の半減に成功しています。同社が長年抱えていた課題は、導入をきっかけに解決したようです。

DME Milacron社

DME Milacron社は、70年以上樹脂成形業界と協業で金型ベースと金型部品の製造を行っている企業です。

同社では、Autodesk Moldflowを導入したことで、特殊なインサート成形に成功しています。また、金型の熱制御を実現しているため、ツールの出力の増加に伴い、部品の応力と全体的なコストの削減ができたようです。

Autodesk Moldflowのセミナー

Autodesk Moldflowの機能や使い方を学べるセミナーは、国内で定期的に開催されています。現在、開催されているセミナーの概要について紹介しましょう。これから導入を検討されている場合は、ぜひセミナーへの参加も視野に入れてみてください。

株式会社大塚商会

株式会社大塚商会では、Autodesk Moldflowの種類に分けて受講コースが設けられています。

すでにAutodesk Moldflowを使用している人、もしくは初級技術者が対象です。樹脂流動解析を行うために必要な知識や充填のプロセスを解析する方法を学べます。

ご自身のレベルに合わせてコースを選べるので、習得したい内容を確認してから検討しましょう。

富士通株式会社

富士通株式会社では、オンライン形式でセミナーを開催しています。セミナーは、事前予約制でMicrosoft Teamsにて行われます。参加費は無料であるため、費用を気にせずに都合の良い日時に合わせて参加が可能です。実際の業務に必要な充填や保圧、反り解析を一連で体験できます。

Autodesk Moldflowの体験版をインストールすることが参加条件です。不明点があれば、講師へ質問ができるため、現地のセミナーに参加できない場合におすすめです。

まとめ

Autodesk Moldflowの概要から解析機能と導入事例まで解説しました。Autodesk Moldflowは、次のような状況で導入するのがおすすめです。

  • 不具合を早期発見したい場合
  • 特殊技術が必要な成形がしたい場合
  • サイクルタイムの短縮を実現したい場合

上記の課題解決には、Autodesk Moldflowの解析機能を活用すると、迅速に対応ができます。実際にAutodesk Moldflowを使用している企業では、作業時間やコストの削減、納期遅れの改善に成功しています。

今後、Autodesk Moldflowの導入を検討している場合は、自社の課題と解析機能を照らし合わせてから決めると良いでしょう。

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