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Markforged x7とは?仕様・価格・導入事例

3Dプリンターにはさまざまな種類がありますが、工業用で使われるものとしてMarkforged X7を挙げることができます。
ここでは、Markforged X7とはどのようなプリンターなのかに加え、仕様や価格を説明します。
また、Markforged X7の導入事例もご紹介します。

Markforged X7とは?

Markforged X7は、連続した炭素繊維強化部品をたった数時間で作ることができる3Dプリンターです。
製作した部品は、機械加工されたアルミニウムと同等の強度を持ちます。そのため、炭素繊維であっても難燃性・耐薬品性を持ち、エネルギー吸収性が高いパーツを作り出すことができます。
これらを可能にしているのは高度なハードウェア、最先端のセンサーや技術、ソフトウェアであり、ユーザーの満足度を高めるのに大いに役立っています。

Markforged X7の仕様と価格

ここで、Markforged X7の仕様の詳細と価格をご紹介します。

Markforged X7の基本的な仕様

  • 外形サイズ幅: 584mm×奥行き: 483mm×高さ: 914mm
  • 重量重量: 48kg
  • 造形サイズ幅: 330 mm×奥行き: 270 mm×高さ: 200 mm
  • 造形方式FFF方式(熱溶解積層方式)
  • 電源100-240VAC、150W(ピーク時 2A)
  • 印刷プロセス継続的な繊維強化(CFR)
  • Z軸の分解性能50~250 μm(デフォルトは100μm)
  • 対応可能な材料Onyx・Onyx FR・Onyx ESD・Kevlar®・Nylon White・炭素繊維・ガラス繊維・HSHTガラス繊維
  • ソフトウェアクラウドEiger
なお、3Dプリンターの精度を左右する要素の一つが、Z方向の積層ピッチで、仕様書には「Z軸」として載せられています。積層ピッチが細かければ細かいほど、表面が滑らかになるため、精度の高い造形が可能になります。
そのほかに、DPIやmmで表記されるX-Y方向の解像度の数値が大きいものが精度の高い3Dプリンターとされます。
3Dプリンターは積層の課程で熱が加わるため、造形物が冷える段階で反り返りが起こる場合があります。上記のZ軸やX-Y解像度よりも影響が大きくなる可能性があることに注意が必要です。

Markforged X7は2種の材料を組み合わせて造形可能

Markforged X7では、2種類の繊維材料を組み合わせての造形が可能です。炭素繊維・ガラス繊維・Kevlar・高耐熱ガラス繊維などの繊維材料を、Onyx・OnyxFR・OnyxESD・Nylon Whiteなどの樹脂材料で表面を覆うことで、造形物の強度を上げることができます。

Markforged X7にはソフトウェア「Eiger」が搭載

3Dプリンターの使いやすさをアップさせる要素として、ソフトウェアが挙げられます。
Markforged X7では「Eiger」が搭載されており、図面のインポートや条件設定、データ処理・高強度の造形に必要に操作が簡単に行なえるようになっています。
また、入力条件に合わせて繊維の密度や配置が自動的に決定されるため、ヒューマンエラーを防ぐのにも役立ちます。
Eigerソフトウェアは、サポートを実施している販売店もあるので、購入を予定している方は相談することをおすすめします。

独自仕様のレーザー計測機能

Markforged X7の独自仕様のうち、特筆すべきものとして、レーザー計測機能等があります。
Markforged X7にはレーザー計測機能が搭載されており、造形中に検査が行えるため、高品質の造形物を作るのに役立ちます。また、レーザースキャン機能もあり、難しかった高さ調整が簡単に行なえるようになりました。

Markforged X7の価格

Markforged X7は、69,900ドル~とされますが、地域や販売店などにより価格が異なります。
Markforged社の公式サイトで見積もりを依頼し確認できるでしょう。なお、日本円で価格が確認できたケースは、ヤフーショッピングで掲載されていた税込み15,652,175円です。

Markforged X7の導入事例

では、Markforged X7はどのように企業で活用されているのでしょうか。
ここでは、Markforged X7の導入事例を3例取り上げ、実現できたことや今後の活用の見込みを記載します。
下記の導入事例を見ると、特定の分野や業界にとどまらず、Markforged X7が活用されていることがわかるでしょう。

試験用治具や原寸大模型の作成

Markforged X7の導入により、試験用治具や実物と同じ大きさに作る原寸大模型(モックアップ)作成の時間短縮とコスト削減を実現した事例を紹介します。

大手自動車メーカーや関連会社からエンジン・モーターの試験を受託したり、車両の改造・試作車の開発を請け負う株式会社アブネルは、Markforged X7の導入により、制作時間削減やコストカットを実現しました。
これまでは、外注による対応で3日ないしは4日かかっていた検査用治具の作成が、Markforged X7を使うことで約半日と数分の一になった計算です。このことにより、大幅なコストダウンも期待できます。
Markforged X7使用のノウハウをためた同社では、今後社外から造形イメージを受け取り、自社で設計を行ってから3Dプリンターにて造形する受託ビジネスの展開も考えているようです。また、エンジン部品を樹脂製パーツに置き換えることも検討しています。
新車開発に不可欠なエンジニアリング会社としての地位を確立している株式会社アブネルは、チャレンジの幅を広げています。

Markforged X7を活用して金属部品を樹脂素材に置き換え

レース車両の軽量化を目指してMarkforged X7を導入し、金属部品を樹脂素材に置き換えることで軽量化・時短・コストカットを実現した事例を紹介します。
スパンレーシングテクノロジーは、レーシングカーなどの競技車両の製作・加工全般を得意とする会社で2017年に創業しました。
レースに関連した装備品の耐火炎性性能を定めた「FIA規格」のボディやサブフレームなどの製作や、溶接を利用した精密加工全般を得意分野ですが、さらなるビジネスとして挑戦したのが3Dプリンターによる樹脂製部品製作の請負です。
そして、新規ビジネスを始めるにあたって導入したのが、Markforged X7になります。
数ある3DプリンターからMarkforged X7を選び、導入に踏み切った一つの要素が、レース用燃料に触れても安全性が担保できるOnyxの耐久性です。また、高い造形精度を維持可能なレーザー測定機能も、機器選定で重視されました。
Markforged X7を導入したメリットの一つが、従来であれば金属での加工が必要なパーツをOnyxに置き換え、軽量化とコストカットが同時に実現できたことです。
金属パーツの製造には職人としての熟練度が求められますが、Onyx性パーツはその必要がないため、短期間かつ安定的に部品が製造できるようになりました。

ドローンのアタッチメント装置の開発

ドローンのアタッチメント装置の開発にMarkforged X7を導入し、コスト半減とリードタイムの大幅短縮を実現した事例を紹介します。
創業から70年となる株式会社ニックスは、老舗のプラスチックメーカーとして、工業用射出成型部品の量産を得意としています。近年は、ドローンのアタッチメント装置を作るうえでMarkforged X7を導入し、高い効果を得ています。
導入効果の大きな一つが、切削加工に要するコストを半分以下に削減できたことです。また、約2ヵ月かかる切削加工による製造リードタイムを、1週間前後に短縮することに成功しました。
従来の製造では、すべての部品を図面化しており、かかる期間は1週間以上でした。それを3DCADデータからダイレクトに造形することで図面の作成自体をカットできるようになりました。
このことは、試作品の製造やレビューにも役立ち、問題解決までの時間短縮にもつながったようです。
また、製品は樹脂素材であるOnyxに変更して重量が3割削減され、繊細な動きが要求されるドローンの開発を後押しする結果になりました。

Markforged X7で高強度な製品を造形

Markforged X7は、金属製品を繊維・樹脂素材で作成するなど、新しいアイデアの実現に役立つ3Dプリンターです。カーボンファイバーをはじめとした繊維材料を使用して造形物の強度を高めることができるので、治具などの強度が必要な製品の造形が可能となります。
そして、扱いやすいソフトウェアや技術が詰まった仕様となっているため、これまで実現不可能と思えた製品の登場に一役買っています。
工業用にしては価格がそれほど高くなく、さまざまな業界での導入事例が見受けられます。

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