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【2025】簡易防音室の作り方・選び方とは?安く効果的に防音するコツを紹介

隣室への音漏れを防止したいという方におすすめなのが、簡易防音室です。
しかし「効果はどの程度あるのか」「賃貸でも使えるのか」「自作すると安くできるのか」といった点にお悩みの方も多いでしょう。

そこでこの記事では、簡易防音室を設置するメリット・デメリットや選び方・作り方についてわかりやすくまとめました。簡易防音室を設置すべき人の特徴もまとめているので、ぜひチェックしてみてください。

簡易防音室とは?

簡易防音室のイメージ
出典:ヤマハ「定型タイプの防音室」

簡易防音室とは、自宅や賃貸住宅内で安く設置できる移動可能な防音空間のことです。

音をシャットアウトする完全防音室とは異なり、軽量で設置や撤去が容易でありつつも、一定の遮音・吸音効果を期待できます。まずは簡易防音室の概要から見ていきましょう。

期待できる防音効果や仕組み

簡易防音室は、以下に示す2つの素材を組み合わせることで、室内外へ音漏れしにくくできる仕組みです。

  • 遮音材
  • 吸音材

まず、遮音材は音を通しにくい材質で外部への伝播を抑える効果、次に吸音材は室内で反響する音を減衰させる効果があります。

「楽器練習の音」「カラオケ」「ゲーム実況」などの音漏れを軽減できるため、壁の薄い賃貸や防音対策が不十分な木造住宅などでも、大きな音を出しやすくなるのが魅力です。ただし、完全に音を遮断することは難しいため、簡易防音室のなかの音量調整も重要です。

完全防音室との違い

簡易防音室は、高価な費用をかけて設置する完全防音室と次のような違いをもっています。

簡易防音室 完全防音室
費用相場 5万〜50万円程度
※自作でさらに安くなる場合も
100万〜500万円程度
施工方法 組み立て式・置くだけ 専門施工・建築構造に組み立ててもらう
移設・撤去 可能(賃貸でも可) 不可(移動できない)
防音性能 一定の遮音・吸音効果
(約10〜30dB減衰)
高性能
(約30〜50dB減衰可)
設置期間 1日以内で設置可 数週間〜数ヶ月
重量・サイズ 軽量・省スペースも可 重量大・スペース確保が必要
賃貸対応 対応可能 基本的に不可
防音効果の目安 ・隣室への音漏れ軽減
・夜間の演奏は音量調整推奨
・音漏れを大幅に抑制
・深夜演奏も可能

完全防音室は、建築段階で遮音構造を取り入れるため、防音性能が高いですが、高額で移設不可です。

一方で簡易防音室は、後付けで設置でき、安価かつ移動にも対応しています(種類による)。
なお、遮音性能は完全防音室に比べて劣るものの、音量調整や使用目的によっては十分活用できます。

簡易防音室を設置するのがおすすめな人

楽器を演奏する人

簡易防音室は、次のように周囲への音漏れを抑えたい方に最適です。

  • 自宅で楽器(ギター、管楽器、ドラム電子パッドなど)を練習する人
  • カラオケやボーカルトレーニングをしたい人
  • ゲーム実況・配信を行う人
  • 賃貸で生活音・声のボリュームに気をつけたい人
  • 在宅ワークでオンライン会議時の声漏れが気になる人

たとえば賃貸物件の場合、趣味でギターの練習をするなど、大きな音が鳴る状態が日常化すると騒音トラブルに発展するかもしれません。

対して、簡易防音室は「騒音トラブル回避と快適な趣味・仕事環境の両立」を実現できるのが魅力です。トラブルを未然に防止できるため、音が鳴る趣味・生活だという方におすすめします。

簡易防音室を設置するメリット・デメリット

簡易防音室を設置する前に知っておきたいのが、導入するメリットとデメリットです。

設置してから「思ったより効果が弱かった」「もっと早く導入すればよかった」と後悔しないためにも、以下のポイントを理解したうえで設置を検討していきましょう。

メリット(価格が安い・移動可能・賃貸対応)

簡易防音室はコストパフォーマンスが高く、気軽に設置できるのがメリットです。

まず、完全防音室は施工費を含めて100万円以上かかります。
対して、簡易防音室は5万〜50万円程度で設置できるため、予算に限界がある人でも比較的設置ハードルを下げやすいと言えます。

また、組み立て式のため移動・撤去が容易で、賃貸物件でも使える点も魅力です。

自作すれば、さらに費用を抑えられるほか、自分好みにカスタマイズもできるので、室内の騒音対策を始めたい方は、簡易防音室を設置するスペースを確保してみてはいかがでしょうか。

自作を検討している方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【2025】DIY用におすすめの無料CADソフト!各機能や選び方も解説

デメリット(完全防音は困難・重量や設置スペースの制約)

簡易防音室は、完全防音室のように「完全な防音はできない」のがデメリットです。

たとえば、簡易防音室には遮音材・吸音材を使うため、一定の防音効果は得られますが、完全防音室のように壁・床・天井すべてを遮音構造にできるわけではありません。また、防音性能を高めるとパネルの厚みが増し、重量が重くなる点に注意が必要です。

とはいえ、音楽や会話程度の音量であれば、簡易防音室でも問題なく効果を発揮します。
費用を抑えながら導入できるため、はじめての防音対策としておすすめです。

簡易防音室の失敗しない選び方

設置スペースを検討する

簡易防音室は手軽に製品を購入して導入をスタートできますが、選び方を誤ると「思ったほど防音効果が出なかった」「部屋に入らなかった」と失敗するかもしれません。

ここでは失敗しない簡易防音室の選び方を解説します。

  • 吸音材・遮音材の性能と組み合わせを考える
  • 簡易防音室のサイズを検討する

吸音材・遮音材の性能と組み合わせを考える

簡易防音室の効果は「遮音(音漏れ防止)」と「吸音(反響防止)」の両方で決まります。
以下に性能の基準をまとめました。

基準(目安) 適応シーン
遮音材
(遮音性能)
-10dB〜-50dB程度
(-30dB程度で楽器練習に対応)
・音漏れ防止
・楽器演奏(-30dB以上推奨)
・夜間利用時
吸音材
(吸音率)
NRC値0.6〜1.0程度
(1.0に近いほど広帯域に対応)
・室内反響抑制
・ボーカル練習
・テレワークの声反響対策

たとえば、楽器演奏やカラオケ利用時は遮音材だけでなく吸音材の設置も重要です。
特に低音は漏れやすいため、遮音性能が高い製品を選びましょう。

簡易防音室のサイズを検討する

簡易防音室を設置する際は、使用目的に合うサイズを選ぶことが重要です。
以下に、測っておきたい場所を整理しました。

  • 設置スペースのサイズ
  • 玄関~設置スペースまでの最小幅・高さ
  • 賃貸物件のエレベーターや階段、廊下

もし簡易防音室の内面積が狭すぎると、楽器演奏や作業に支障が出ます。
逆に広すぎると、設置スペースが足りなくなるかもしれません。

また、賃貸の場合はエレベーターや廊下スペースなど、搬入経路と設置可能スペースを事前にチェックすることが重要です。加えて、将来的に引っ越しや移設の可能性があるなら、重量とサイズのバランスにも注意してください。

自作で安く簡易防音室を作る方法

「簡易防音室を試したいが市販品は高い」と感じる方は、自作で安く簡易防音室を作る「DIY」がおすすめです。

適切な材料選びと作り方のポイントを押さえれば、5万円以下でも一定の防音効果を得ることが可能です。ここでは失敗しない材料選び、製作ステップ、注意点をわかりやすく解説します。

自作に必要な材料一覧

簡易防音室を自作する際には、次の基本材料を準備しましょう。

材料 材料例 主な用途・役割
遮音材 石膏ボード、コンパネ、防音シート 音漏れ防止(壁・天井・床の遮音層)
吸音材 グラスウール、ウレタンスポンジ 室内の反響抑制、録音音質向上
骨組み 2×4木材、L字金具 壁・天井・床の枠組み構造
防音ドア 木製ドア+パッキン 出入口の遮音、隙間からの音漏れ防止
床材 ジョイントマット、防振ゴム 床からの振動・音の伝搬抑制
密閉用資材 隙間テープ、コーキング材 隙間の気密性向上、遮音性能アップ

特に遮音性能を上げたい場合は、厚み12mm以上の石膏ボードと防音シートの組み合わせが有効です。それぞれホームセンターやECサイトなどで準備できるため、お近くの店舗で準備してみてはいかがでしょうか。

また材料の準備に合わせて実施したいのが、DIYする簡易防音室の図面をつくることです。
すぐに図面を書きたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【2025】DIYでCADを活用しよう!おすすめの無料ソフトも紹介

簡易防音室の製作手順

以下に、簡易防音室の製作手順をまとめました。

ステップ 作業内容 注意点
1.図面や材料を準備する 材料購入、設計図の作成、部屋サイズ・搬入経路・天井高の計測 ・設置後の動線確保を検討する
・重量耐荷重を確認する(特に賃貸)
2.骨組みを作成する 2×4木材で壁・天井・床枠をL字金具で固定 ・ゆがみ防止のために水平器を使用する
・仮組み後に本締めをする
3.遮音材を取り付ける 石膏ボード・防音シートを骨組みに張る ・防音シートは隙間なく貼る
・ビス位置に注意する
4.吸音材を設置する 内側にグラスウール・ウレタンスポンジを貼付 ・NRC0.6以上を目安にする
・両面テープ+タッカーを使用する
5.床の防振対策をする ジョイントマット・防振ゴムを床面に敷く ・振動伝達を軽減するために床全面に敷く
6.ドアを取り付ける 木製ドア+パッキンで出入口を設置 ・パッキンで隙間を密閉する
・蝶番の強度を確認する
7.隙間の気密化をする 隙間テープ・コーキング材で隙間を塞ぐ ・ドア周囲やパネル接合部の微細な隙間をふさぐ
8.音漏れを確認する 小音量→中音量→大音量で漏れを確認 ・問題箇所は追加で隙間埋め、吸音材補強する

特に、注意点はよく見過ごされるポイントです。
仕上がりで防音の性能が変化するため、しっかりとチェックしておきましょう。

おすすめの簡易防音室一覧(製品を購入したい人向け)

販売されている防音室一覧イメージ
出典:島村楽器オンラインストア公式サイト

製品を購入してすぐに簡易防音室を利用したい人向けに、おすすめの製品を一覧化しました。

製品名
(メーカー)
価格帯
(税込)
遮音性能 サイズ目安
(mm)
ユーザー組立型簡易防音室
(ヤマハ)
379,500円 -31dB W918×D970×H2,040
防音ブース(シングル)
(リス株式会社)
264,000円 -17dB W1,585×D1,075×H1,530
おてがるーむ
(防音専門ピアリビン)
209,000円 -27dB W815×D1,110×H1,880

性能が高いものほど高額になるため、条件に合うものを探してみてください。

簡易防音室についてよくある質問

簡易防音室はどの程度音漏れを防げる?
簡易防音室の遮音性能は、製品や自作内容により異なりますが、一般的には-10dB〜-30dB程度の音漏れ軽減が目安です。声やアコースティック楽器なら十分対応可能ですが、ドラム・管楽器など大音量の楽器の場合は夜間の完全防音は難しく、音量調整が必要です。
簡易防音室は自作と購入だとどちらが安く済む?
自作の場合、材料費のみで3万〜10万円程度に抑えられる場合が多く、予算を抑えたい方におすすめです。ただし防音性能や安全性、移設のしやすさは市販品が優れています。費用だけでなく用途・性能・作業工数で判断しましょう。
簡易防音室を賃貸で使っても大丈夫?
簡易防音室は、賃貸でも使用可能な製品が多く、引越し時に分解して持ち運べる点が魅力です。ただし、重量やサイズによっては床の耐荷重、搬入経路の確認が必要です。また、完全に音を遮断できるわけではないため、夜間は音量調整が必要です。

簡易防音室についてまとめ

簡易防音室は、楽器練習や配信、テレワーク時の音漏れ対策として低コストで導入できる現実的な防音対策です。完全防音は難しいものの、遮音・吸音を組み合わせることで騒音トラブルを防ぎながら快適に練習や仕事が可能になります。

簡易防音室の導入を検討している方は、使用目的・予算・設置環境に合わせて最適な製品選びや自作方法を比較し、安心して音を楽しめる環境を整えましょう。

簡易防音室のアイキャッチ
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