生成AIを使えば、プログラミングの知識が少ない方でも効率的にコードを生成することが可能です。しかし、「本当に生成AIを使って効率化できるのか」と疑問に思いますよね。
この記事では、生成AIを活用してJavaScriptソースコードを自動作成したい方に向けて、 ChatGPTを使ったコード生成の方法や効率的にコードを作成する方法を解説していきます。
初心者の方でも今すぐ簡単に取り組める内容ですので、JavaScriptを学び始めた人や生成AIによるコード自動生成に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
生成AIでJavaScriptを自動生成する仕組みとは?
生成AIによるJavaScriptのコード自動生成とは、機械学習と自然言語処理(NLP)を活用して、ユーザーの入力(プロンプト)から最適なプログラミングコードを自動で作成する技術です。この仕組みは、過去に蓄積された膨大なデータやアルゴリズムのパターンを学習したAIモデルによって実現できています。
たとえば、ユーザーが「〇〇という処理を作りたい」とプロンプト入力すると、生成AIはそのテキストの意図を理解し、目的を達成するコードを提案します。生成AIは文脈や構造まで把握しながらコードを生成するため、より効率的かつ高品質なプログラミングが可能です。
どんなJavaScriptコードがAIで生成できる?
生成AIは機械学習やアルゴリズムを活用し、JavaScriptのフロントエンドからバックエンドまで幅広いコードを自動生成できます。
たとえば、以下のようなJavaScriptコードも、生成AIで簡単に作成可能です。
- HTMLやCSSと連携したUI設計(フロントエンド)
- ReactやVueなどのコンポーネント作成(フロントエンド)
- Node.jsでのAPI開発などプログラミングの自動化(バックエンド)
JavaScriptの基本から導入方法、応用的な活用方法までをまとめて学びたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
生成AIとJavaScriptをどう組み合わせていくか、フロントエンドとバックエンドに分けて詳しく解説しています。
フロントエンド(HTML・CSS・React)
フロントエンド開発では、生成AIがJavaScriptでページの見た目(HTMLやCSS)と動きをつけるコード作りをサポートしてくれます。
たとえば、以下のようなJavaScriptコードを生成AIで作成できます。
- ページレイアウトや色・文字のスタイルなどUIを整えるコード生成
- ボタンやメニューの動き・切り替え処理のコード生成
- レスポンシブデザイン・クロスブラウザ対応のコード生成
これにより、ウェブ開発の初心者でも「どうやってJavaScriptのソースコードを書けばいいの?」と迷うことなく、すぐに作業を始めることができます。
バックエンド(Node.js・API開発)
生成AIを活用すれば、Nodejsを使ったサーバー構築やデータベースとの連携に必要なソースコードも自動で作成ができます。
生成AIを使ったバックエンド開発に役立つ内容は次のとおりです。
- コードのバグ検出・修正
- セキュリティ対策済のコード提案
- クラウド連携のコード提案
AIが事前に不具合となりうるコードを検出してくれるため、より安全性の高いシステムを効率的に構築できます。
JavaScriptコードを自動生成できるAIツール12選
JavaScriptソースコードを自動生成したい方におすすめのAIツール12選を紹介します。
名称 | 特徴 | 料金プラン |
---|---|---|
GitHub Copilot |
|
基本無料 Pro:月額10ドル Pro+:月額39ドル |
ChatGPT |
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基本無料 Plus:月額20ドル Pro:月額200ドル |
Codeium |
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基本無料 Pro:月額15ドル Pro Ultimate:月額60ドル |
Tabnine |
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月額9ドル(30日間無料あり) Enterprise:月額39ドル |
Amazon CodeWhisperer |
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個人利用は無料 |
Cursor |
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基本無料 Pro:月額20ドル Business:月額40ドル |
Replit Ghostwriter |
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基本無料 Replit Core:月額20ドル |
Codesnippets AIr |
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基本無料 Enterprise Starter:月額19ドル Enterprise:月額59ドル |
AskCodi |
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Premium:月額14.99ドル Ultimate:月額34.99ドル |
DeepCode by Snyk |
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基本無料 Team:月額25ドル |
Blackbox AI |
|
基本無料 Pro+:月額19.99ドル |
Claude AI |
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基本無料 Pro:月額18ドル Team:月額25ドル |
JavaScriptのソースコードを自動生成できるAIは上記の表を見てわかるとおり、数多く存在します。本記事では、その中からChatGPTを使ってJavaScriptコードの作成方法を紹介します。
生成AI(ChatGPT)を活用したJavaScriptコードの作成手順
今回は、ChatGPTとSpringBootを使ってJavaScriptソースコードによるハイ&ローのミニゲームをWebブラウザに表示させるプログラムを作ってみます。
今回の実施内容は以下のとおりです。
- EclipseにSpringBootのプロジェクトを用意
※IDEは何でも構いません - HTMLファイルを用意し、その中身をChatGPTに自動生成してもらう
- 基本、こちらはJavaScriptのソースコードをいじらない
上記の内容で実施していきます。
ChatGPTを使ったプロンプトの書き方
まずChatGPTに「JavaScriptでハイ&ローで遊べるソースコードを自動生成してほしいです。」とだけプロンプトを入力します。実際に出力されたJavaScriptソースコードは以下のとおりです。
ChatGptで生成されたJavaScriptのプログラム実行
今回生成されたJavaScriptをHTMLファイルにコピー&ペーストし、実行してみます。
きちんと画面に表示され、ボタンをクリックすることで結果も正しく表示されました。今回は特に問題なくゲームが動作しましたが、生成AIによるJavaScriptのソースコードには稀に不具合が含まれていることもありますので、確認すべきポイントについて解説していきます。
AI生成されたJavaScriptを確認してみよう
ChatGPTでJavaScriptソースコードを生成しましたが、実際はどのような仕組みで動いているのかを理解することが重要です。
今回のJavaScriptソースコードで見るべきポイントは次の表をご覧ください。
項目 | 見るべきポイント |
---|---|
乱数処理 | Math.random() + Math.floor()でランダムな数字生成 |
ボタンと処理 | onclick属性でJavaScriptの関数を呼び出す |
状態の更新 | currentNumberを使って前回の値を記憶 |
条件分岐 | if文を使って正解・不正解を判定 |
DOM操作 | getElementById().textContentで画面を更新 |
これらに注目することで、ゲーム性の動きのある処理はどこで行われているのかと、HTMLとJavaScriptの繋がりが分かります。
ランダムな数字を生成するJavaScriptコード
見るべきポイント1つ目は、ハイ&ローのゲーム欠かせないランダムな値の生成です。ランダムな値の生成は、以下のコードで行っています。
このコードの意味はつぎのとおりです。
- Math.random()
0以上1未満のランダムな小数を生成(例:0.1~0.999) - Math.random() * 10
0以上10未満のランダムな小数に変換(例:0.1~9.999) - Math.floor(…)
小数点以下を切り捨てて、整数にする
最後に+1をすることで、1~10までのランダムな値を生成しています。
JavaScript関数を呼び出すコード
2つ目はボタンの処理を行っているJavaScript関数の呼び出しです。
これは、画面に表示されているハイまたはローのボタンをクリックしたときにguess関数を呼び出します。その後、選択したボタンのハイまたはローの情報が、判定を行うif文に情報として受け渡されます。
値の記録を行うコード
3つ目は値の記録を行う方法です。
const nextNumber = Math.floor(Math.random() * 10) + 1;
//初期のランダム値がプレイヤーが選択した値に上書き
currentNumber = nextNumber;
currentNumber変数は、ゲームが始まるときのランダムの値が入っています。プレイヤーがハイまたはローを選択したら、今度はその値がcurrentNumberに格納されるという動きをします。
これにより、値の記録を行っている仕組みです。
条件に応じた判定を行うコード
ゲーム性で最も重要なのが正しい判定を行うための条件分岐です。ChatGPTは今回、以下のような条件分岐を生成しています。
ここでは、プレイヤーがボタンで選択したハイまたはローの値を、ゲーム開始時の値と比較を行う条件を入れています。それによって結果のメッセージを変更しています。
画面を更新するコード
最後に画面を適宜更新しているコードについてです。今回のゲームではボタンを選択すると、数字やメッセージが切り替わるようになっています。
その画面を更新するコードが以下のとおりです。
document.getElementById(“result-message”).textContent = result;
HTML内で使われているcurrentNumberの値や結果メッセージの表示を画面更新する処理になっています。
作成されたJavaScriptコードの精査・改善方法
生成AIを使って作成されたJavaScriptコードは思わぬ不具合や改善点が含まれている場合もあるため、内容を確認することが大切です。作成したハイ&ローゲームのコードをもとに、精査と改善のポイントを見ていきましょう。
- ハイ&ローの値表示やボタン機能が期待通り動くかチェック
- ゲームに機能の追加など拡張性を検討
まず、ハイ&ローのゲームがブラウザで基本動作が期待通りに動いていることを確認します。
よりゲーム性を持たせるため、スコアの記録機能・リセットボタンによるゲームの再開機能など、機能を追加して拡張性を高める改善も検討してみましょう。
生成AIは非常に便利なツールですが生成されたコードを精査するには、一定の理解が求められます。そのため、セミナーや講座などを受講して基礎から学ぶことも有効な手段の一つです。
生成AIを使ってJavaScript開発を効率化する方法
生成AIは、ルーチンワークや単純なコードの作成で効果を発揮します。複雑なアルゴリズムや繰り返しの多い処理をAIが代行することで、エラーのリスクと開発者の負担を減らしてくれます。
また、生成AIを使ったJavaScript開発が真価を発揮するのは、次のようなシーンです。
- AIによるバグ修正とデバッグの活用方法
- コードの最適化とパフォーマンス向上
AIツールを使うことでバグ修正やコードの最適化も効率的に行えます。ではどのような活用方法があり、効率化できるのか詳しく確認していきましょう。
AIによるバグ修正とデバッグの活用方法
AIツールを活用することで、コードの不具合を迅速に発見し具体的な修正案を提供してくれます。これにより、開発者は単体テストやデバッグの手作業で問題を探し回る必要がなくなります。
たとえば、今回ChatGPTが生成したハイ&ローのJavaScriptソースコードで一部、必要な処理が抜けていたとします。
この状態でゲームを開始しても、値が変わらないのでゲームとして成り立ちません。このようなときには、JavaScriptのソースコードを添付し、何が問題なのかChatGPTに相談して不具合の原因と対策を確認してみましょう。以下が投げかけた質問へのChatGPTの回答です。
ChatGPTやGitHub Copilotなどを使えば、コード内のバグを発見し適切な修正方法を教えてもらえます。
コードの最適化とパフォーマンス向上
生成AIを活用することで、JavaScript開発におけるコードの最適化とパフォーマンス向上も実現が可能です。たとえば、複雑なソースコードを簡易化するために効率的なアルゴリズムの提案や、重複コードの削除、不要な処理の最適化を自動で行ってくれます。
また、生成AIを使えばUI/UXの改善にも役立ち、異なるデバイスに対応したコードも提供してくれます。このことから、開発者はより効率的かつパフォーマンスの高いアプリケーションを作成できます。
生成AIでJavaScriptコードを生成する際の注意点
生成AIはJavaScriptコードを迅速に生成してくれますが、以下の注意点を認識した上で生成AIを活用するのが重要です。
注意点 | 内容 |
---|---|
JavaScriptの基礎知識は必須 | 間違いを発見し修正するには開発者側のJavaScriptの基礎知識が必須 |
AIのコードが最適とは限らない | 技術は日々進歩するため、AIが生成するコードは最適化と限らない認識を持つ |
エラーの検出限界があると認識する | AIツールが全てのエラーを発見するわけではない |
セキュリティ対策 | 提案されたコードにセキュリティ脆弱性が含まれる可能性があるので精査が必要 |
実践的な学習が重要 | 生成AIだけではスキル習得できない。開発プロジェクトでの経験やセミナーで学ぶのもおすすめ |
生成AIの活用は、JavaScriptの基本的な知識があることが前提です。なぜなら、生成AIが提供するコードに間違いがあった場合、どの部分が間違っているのかを理解し、修正するためには基本的なJavaScriptの知識が不可欠だからです。
JavaScript初学者の方は、以下のような書籍で基礎を習得するのも重要です。また、以下の記事で覚えておくべきポイントを解説しているので、参考にしてください。
出典:Googleブックス 確かな力が身につくJavaScript「超」入門
生成AIツールだけに頼りすぎることなく、実際にコードを理解する力を身につけることが重要になってきます。もし、JavaScriptに不安がある場合は、セミナー受講やオンライン講座を通じて基礎を固めることをおすすめします。
生成AIを使ったJavaScriptコード生成のまとめ
今回は、JavaScriptと生成AIの活用に関心のある方に向けて、生成AIを用いたJavaScriptコードの自動生成や気を付けるべきポイントを絞って紹介しました。
JavaScriptのコーディング作業を短縮するのに生成AIはかなり役立つツールではありますが、利用者である開発者のJavaScriptの知識があることが前提になります。予期せぬバグを発生させないためにも生成AIで作ったJavaScriptソースコードはしっかり精査し、手動でのデバッグでも検証を行うようにしましょう。
まずは、本記事でも紹介した無料で利用できるChatGPTを使って、JavaScriptの自動生成を体験してみてください。
