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イラストレーターで作ったデータをPDFで保存する方法は?データを軽くする方法や色の見え方も解説

イラストレーターはアイコンやロゴ、ポスターなどを作成できるデザインツールです。そんなイラストレーターで作成した作品を印刷会社に入稿する際は、aiデータをPDFデータに変換しなければいけないケースも少なくありません。

本記事では、イラストレーターで作成したデータをPDFで保存する方法について紹介します。普段からイラストレーターを使用する方は、ぜひ参考にしてみてください。

イラストレーターのデータをPDFにする理由

イラストレーターのデータをPDFにしないといけない場面は、主に印刷会社にデータを入稿するときです。印刷会社によっては、イラストレーターのデータをそのまま入稿しても問題ないケースもありますが、多くの場合PDFでの入稿を推奨しています。

その理由としては、イラストレーターのデータでは、作った環境と開く環境の違いによってデザインの崩れが起きる可能性があるためです。例えば、受け取ったイラストレーターのデータに使われているフォントがデータを開くパソコンになかった場合、そのパソコンで表示できるフォントに置き換わってしまいます。

そうなると、元と違ったデザインで印刷されてしまうかもしれません。ほかにも、作成したイラストレーターと開くイラストでバージョン違いがあった際にもデザイン崩れが起こる可能性があります。

このように、イラストレーターのデータをそのまま入稿するのにはリスクがあります。そのため、印刷会社にデータを入稿する際は、どのような環境でも同じ表示をしてくれるPDFでの入稿が推奨されているというわけです。

イラストレーターのデータをPDFで保存する2つの方法

イラストレーターのデータをPDFに保存する方法は2通りあります。それぞれの方法には異なった特徴があるため、やりやすい方法で試してみましょう。

別名で保存から保存する方法

ファイルの中の別名で保存から保存する方法は以下のとおりです。

  1. メニューバーの「ファイル」から別名で保存を選択
  2. ファイルの種類でAdobe PDF(*.PDF)を選択
  3. ファイル名(任意)入力して保存
  4. Adobe PDF プリセットから「PDF/X-1a:2001(日本)」を選択
  5. PDFを保存を選択
  6. 注意のダイアログが出たらOKを選択

なお、Adobe PDF プリセットから選択できる項目の意味は以下のとおりです。

Illustrator 初期設定 元ファイルからデータ損失なしで保存できる
高品質印刷 プリンターなどの高画質な印刷に適したPDFを作成できる
雑誌広告送稿用 雑誌広告デジタル送稿推進協議会に策定されたデータ制作ルールに則ったPDFを作成できる
PDF/X-1a:2001(日本)/PDF/X-3:2002(日本)
  • 印刷に適したPDFを作成できる
  • フォントは埋め込み・透明部分は統合される
  • カラーはCMYKと特色が使用される
PDF/X-4(日本)
  • 印刷に適したPDFを作成できる
  • 透明部分は統合されない
  • ICC カラーマネジメントに対応している
プレス品質 印刷工程用の PDF ファイルを作成できる
最小ファイルサイズ
  • Webやメール送信に適したPDFを作成できる
  • カラーはsRGB に変換され、フォントを埋め込まれる

別名で保存から保存すると、現在編集していたai形式のデータはPDF形式に変換されます。そのため、その後に編集を加えて保存してもPDF形式で上書きされる点に注意しましょう。

複製を保存から保存する方法

ファイルの中の複製を保存から保存する方法は以下のとおりです。

  1. メニューバーの「ファイル」から複製を保存を選択
  2. ファイル形式からAdobe PDF(pdf)を選択
  3. ファイル名(任意)を入力して保存
  4. Adobe PDF プリセットから「PDF/X-1a:2001(日本)」を選択
  5. PDFを保存を選択
  6. 注意のダイアログが出たらOKを選択

複製を保存なら、現在編集中のai形式のデータを上書きせず複製して保存してくれます。そのため、ai形式のデータはそのままに、PDFデータを別ファイルとして保存されます。

元のai形式データを残しておきたい方は、複製を保存から保存するようにしましょう。

イラストレーターから保存するPDFを軽くする方法

イラストレーターから保存したPDFが重い場合は、以下の手順で保存しなおすと軽くできます。それぞれの方法について確認していきましょう。

「Illustrator の編集機能を保持」のチェックを外す

「Illustrator の編集機能を保持」のチェックを外して軽くする方法は、以下のとおりです。

  1. ファイルから別名で保存を選択
  2. ファイルの種類でAdobe PDF(*.PDF)を選択
  3. ファイル名(任意)入力して保存
  4. 「Adobe PDFを保存」ダイアログボックスからオプションの「Illustrator の編集機能を保持」のチェックを外す
  5. PDFを保存を選択

Illustrator の編集機能を保持のチェックを外すと、今後イラストレーターで開いても編集ができなくなります。しかし、その分データは軽くなるため、今後編集する予定がなければチェックを外して保存するようにしましょう。

Adobe PDF プリセットから「最小ファイルサイズ」を選択する

Adobe PDF プリセットから「最小ファイルサイズ」を選択して軽くする方法は、以下のとおりです。

  1. ファイルから別名で保存を選択
  2. ファイルの種類でAdobe PDF(*.PDF)を選択
  3. ファイル名(任意)入力して保存
  4. 「Adobe PDFを保存」ダイアログボックスから Adobe PDF プリセットから最小ファイルサイズを選択する
  5. PDFを保存を選択

最小ファイルサイズを選択するとサイズ自体は軽くなりますが、その分PDFの画質が低下してしまうため注意が必要です。そのため、画像やイラストが多いデータではなく、テキストが多いデータに有効です。

イラストレーター上とPDF上で色が違うのはなぜ?

イラストレーターのデータをPDFに変換すると、色の見え方が異なる場合があります。イラストレーターとPDFで色が違う理由として考えられるのが、以下の2つです。

  • イラストレーターとPDFを閲覧しているソフトのカラー設定が違う
  • イラストレーターからPDFへ変換するときのカラー設定がされていない

それぞれの対処法について確認していきましょう。

イラストレーターとPDFを閲覧しているソフトのカラー設定が違う

イラストレーターとPDFを閲覧しているソフトのカラー設定が合っていない場合、それぞれで色の見え方が異なります。イラストレーターとPDFを閲覧しているソフトのカラー設定を合わせる方法について確認しましょう。

イラストレーターのカラー設定を確認

  1. イラストレーターの編集からカラー設定を選択する
  2. 設定項目からカスタムを選択する
  3. 作業スペースのRGBとCMYKのカラー設定を控える

PDFを閲覧しているソフトのカラー設定を確認

  1. 編集から環境設定を選択する
  2. カラーマネジメントを選択する
  3. 作業用スペースのRGBとCMYKのカラー設定をイラストレーターのカラー設定と合わせる

上記の手順は、PDFの表示が無料でできるAdobe Acrobat Readerの場合ですが、ほかのソフトでもカラー設定を合わせることに変わりはありません。イラストレーターとPDFを閲覧しているソフトのカラー設定を合わせたうえで、再度PDFで保存して色味を確認してみましょう。

イラストレーターからPDFへ変換する際のカラー設定がされていない

イラストレーターからPDFへ変換する際は、必ずカラー設定が必要です。イラストレーターからPDFへ変換する際のカラー設定する方法について確認しましょう。

イラストレーターのカラー設定を確認

  1. イラストレーターの編集からカラー設定を選択する
  2. 設定項目からカスタムを選択する
  3. 作業スペースのRGBとCMYKのカラー設定を控える

出力先のカラー設定を合わせる

  1. PDFに保存する画面から「出力」を選択
  2. 出力先をイラストレーターのカラー設定と合わせる
  3. カラー変換を「出力先の設定に変換」に設定する
  4. プロファイルの埋め込みを「出力先プロファイルを含める」に設定する
  5. PDFを保存を選択する

イラストレーターのカラー設定と出力先のカラー設定を合わせたうえで、イラストレーターとPDFで色味が異ならないか再度確認しましょう。

イラストレーターから変換したPDFが不備になるケース

印刷会社への入稿時に、イラストレーターのデータをPDFに変換したはいいが、不備として差し戻しになるケースがあります。イラストレーターのPDFが差し戻しになるケースとその対策について確認していきましょう。

トンボがついていない

印刷会社で印刷する際は、断裁位置の目安となるトンボが必要です。そのため、PDFにトンボが設定ないとデータ不備として差し戻しが発生する可能性があります。

PDFにトンボを設定する方法は、以下のとおりです。

  1. 「Adobe PDFを保存」のダイアログにあるメニューから「トンボと断ち落とし」を選択する
  2. トンボと断ち落としの中の「トンボ」と「ドキュメントの断ち落とし設定を使用」にチェックを入れる
  3. PDFを保存を選択する

また、イラストレーターのデータをPDF化する際は、トンボだけでなく塗り足しも忘れていないかチェックしておきましょう。

仕上がり寸法が違う

仕上がり寸法とPDFのサイズが違うのもNGです。仕上がり寸法と同じサイズでPDFを作成するなら、イラストレーターの初期設定が大切です。

新規ドキュメントを作成時に、仕上がり寸法を入力してアートボードを作成します。また、作成中のアートボードのサイズを変更するのは以下の手順です。

  1. メニューバーのファイルの中のドキュメント設定からアートボードを編集を選択する
  2. 上部のバーに仕上がり寸法を入力する
  3. 選択ツールに持ち替えて確定

この手順を使えば、一度作成したアートボードの大きさも変更できます。

画像の解像度が低い

イラストレーターのデータをPDFで保存する際、最小ファイルサイズで保存するとファイルのサイズ自体は軽くなりますが、画像は粗く表示されてしまいます。そのため、画像の解像度を維持したい場合は、最小ファイルサイズを選択しないようにしましょう。

PDF/X-1aやPDF/X-4、高品質印刷など、印刷物に適した形式を選んで書き出すことが大切です。

イラストレーターとPDFについてのまとめ

今回は、イラストレーターで作ったデータをPDFで保存する方法について紹介しました。印刷会社にイラストレーターのデータを入稿する際は、デザイン崩れを防ぐためにPDF形式に変換するのが一般的です。

PDFに保存する際は、主に「別名で保存」と「複製を保存」から可能です。別名で保存なら現在編集中のai形式のデータがPDF形式に変換される一方で、複製を保存ならai形式のデータとPDF形式のデータを別ファイルに保存できます。

そのため、今後修正が必要になる可能性がある場合は、複製を保存から保存すると柔軟に対応できるでしょう。ぜひ、やりやすいやり方法でPDFへの変換を試してみてください。

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