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技術提案とは?やり方やメリット・成功するためのコツを解説

国や地方自治体の工事を受注するためには、入札競争に勝ち抜かなければなりません。
その入札に必要とされることが多いのが、技術提案です。
技術提案がなければ、受注できない工事も数多くあります。

その技術提案について、詳しい手順や入札に勝つためのコツなどを解説していきます。

評価点数に影響する技術提案

技術提案とは、国や自治体の工事入札に参加する際、評価の対象となる項目のひとつです。

基本的には、技術提案書によって、自社がどのような技術を使って工事できるのかをアピールします。そして、提案した内容を含んだ、様々な項目が加点あるいは減点方式によって評価され、最終的に点数の高い企業が優先的に入札できるようになっています。

2つの落札方式を導入

技術提案は主に、

  • プロポーザル方式
  • 総合評価落札方式

という、2つの入札方式で導入されています。

入札方式 内容
プロポーザル方式 競争する企業の中で、優先的に入札交渉に参加できる企業の順番を決める方式
総合評価落札方式 選ばれた企業がそのまま入札者となる

それぞれ具体的な流れや評価方法は異なりますが、技術提案が重要視される点は変わりません。

技術提案のメリットとは

技術提案のメリットとは

技術提案は、工事を依頼する側と受注する側の両方にとって、数多くのメリットをもたらします。その中から、技術提案をする企業側のメリットをいくつかご紹介します。

持ち前の技術力を活かすことができる

自社が誇れる技術を持っていたとしても、それを工事で活かせるとは限りません。

技術提案は、その技術力を活かせる機会を得られるのがメリットです。
技術提案は工事の手法だけでなく、安全確保や環境保全など、幅広い項目で評価されます。
そのため、工事に直結しないような技術であっても、評価される可能性は高いです。

企業規模に関係なく評価してもらえる

従来の工事の入札は、施工価格の安さが重視される傾向がありました。
つまり、実質的な価格競争です。
そのため、規模の大きな企業相手の入札競争に、中小企業が勝つことはなかなかできません。
大企業は独自の資材確保ルートや製造環境によって、価格の安さを実現しやすいからです。

けれど、技術提案を取り入れたプロポーザル方式と総合評価落札方式はいずれも、価格の安さだけを重視しているわけではありません。
もちろん価格の安さも評価対象ですが、それと同じように技術力の高さも重要視されます。
したがって、企業の規模に関係なく、技術力だけでも勝負できるのがメリットです。

自社技術力を向上しやすい

技術提案は、技術力のみが純粋に評価されます。
つまり、技術力がなければ、入札に打ち勝つことは難しいです。
よって、入札に勝つためには、技術力を向上させなければいけません。
そのため、技術提案による入札に重心を置くと、自社の技術力が高まりやすいのがメリットです。
そのような技術力の向上はもちろん入札できる確率を高めてくれるでしょう。

それだけでなく、他の企業にはない独自技術の開発や、開発に携わる人材確保などによって、企業としての地力が高まるというメリットにも繋がります。

技術提案の具体的な手順

技術提案の具体的な内容は、工事によって違います。
けれど、基本的な手順には、あまり大きな違いはありません。
その手順について、詳しく解説します。

技術提案の手順① 参加表明書の提出

国や自治体が実施する工事の入札には、参加資格条件が設けられています。
その条件を満たしている企業が、入札に参加することができます。

条件は入札前に公示されますが、条件を満たしていることが判明したら、まずは参加表明書を提出しなければなりません。期日が決まっているため、それまでに必要な書類を集めて提出しましょう。

技術提案の手順② 作成した技術提案書を提出

参加表明書を提出して、条件を満たしていることを認められたら、技術提案書を作成します。
基本的には、国や自治体から、技術提案書の提出者として選ばれるという形になるでしょう。
その選定通知が届いたら、期日までに詳しい内容を記載した技術提案書を提出します。

技術提案の手順③ 必要であればヒアリング

内容が比較的シンプルな工事であれば、書類だけで評価されることも珍しくありません。

ただ、場合によっては、書類審査だけでは不十分で、ヒアリングを行う場合もあります。
その場合は、自治体側と話し合いながら、どのような技術を用いるのか、担当者が直接対応をしなければなりません。

技術提案の手順④ 技術提案書を元にした審査

技術提案書を提出し、ヒアリングを済ませた後は、国や自治体側が審査をする段階へと進みます。技術提案をした側がすべきことは特にありません。
数日間の審査が完了したら、担当者から入札や交渉に移るかどうかの連絡が届くでしょう。

技術提案の手順⑤ 入札あるいは価格交渉

総合評価落札方式であれば、技術提案の内容が認められたら入札が完了します。
特に大きな問題が発生しない限り、そのまま本格的な工事へと移行できるでしょう。

プロポーザル方式であれば、優先的な交渉へと移ります。
その交渉が上手くいけば、工事へと進む形です。

技術提案で成功するためのコツ

技術提案で成功するためのコツ

技術提案で工事の受注に成功するためには、工夫が必要です。
どのような工夫をすれば良いのか、コツを解説します。

クライアントの需要に合った内容を提案する

技術提案は、ただ自社の技術力のアピールをするだけではいけません。
クライアントである、国や自治体の需要に合った技術を提案することが大切です。

ひと口で国や自治体と言っても、全てが同じ技術を求めているわけではありません。
工事を効率的に進めることや、環境に配慮すること、安全を第一にするなど、クライアントによって重要視するものが異なります。よって、事前に公示されている内容から、クライアントの需要をしっかり把握して、その需要に合った技術提案をすることが大事です。

明確でわかりやすい内容にする

技術提案書を作成する際には、その内容をわかりやすくすることも大切です。
どのような技術を用いて、それが具体的にどのような結果をもたらすのか、はっきりさせましょう

技術提案を評価する国や自治体の担当者の中には、専門性が高い内容が理解できない人がいるかもしれません。そのような人にも理解できるよう、使用する単語はなるべくわかりやすいものを選ぶことも大切です。

より具体的な内容で提案する

技術提案は、自社がどのような技術を持っているかを宣伝するものではありません。
その技術を工事にどう活かせるかを、詳しくアピールしなければなりません。

よって、技術をどのように工事に活かすのか、具体的な提案をしましょう。
工事の内容や場所は、公示によって明らかになっているはずです。
その情報を加えて、現実的な提案をすれば、入札に勝つ確率は高くなるでしょう。

技術提案でクライアントが発注したいと思うポイント

技術提案で、何が評価されるのかが気になる方も多いでしょう。
そこで、クライアントは主にどういった部分を見て、発注したいと考えるのかを解説します。

独自の技術を持っていること

国や自治体の工事には、数多くの企業が参加表明を出します。
その中で、独自の技術を使って工事を行うという企業があり、他の企業にはできない結果を提示した場合、クライアントが発注したいという確率は高くなるでしょう。
よって、競争相手とは差別化を図ることが望ましいです。

確実に結果が出せること

国や自治体の工事は、税金を投入するという性質上、確実性が求められる傾向があります。
そのため、より現実的な結果を、確実に出せるという内容の技術提案の方が、評価が高くなりやすいでしょう。実現できるかどうかが不確定な、理想的な提案をした場合、あまり評価はされないかもしれません。

クライアントの意図を汲んでいること

技術提案は、クライアントである国や自治体の状況を加味することも大切です。
どのような目的の工事なのか、その工事に何を求めているのかなどを考慮した提案をすれば、発注したいと思わせられるかもしれません。
場合によっては、公示されている情報だけでなく、独自に収集した情報を加えた内容の提案をするのも効果的でしょう。

技術提案でおすすめのツール

技術提案をする際に使いやすいおすすめのツールを紹介します。

揺れウォッチャー

揺れウォッチャーは、工事現場の揺れを自動観測できるツールです。
今の技術ではこれくらいの振動が発生しており、何%のクレーム率があるといったリスク調査に最適です。また、技術提案で技術を進歩させた場合の効果測定にも利用することができます。

音ウォッチャー

音ウォッチャーは、工事現場の騒音を自動観測できるツールです。
こちらも現在ではどれくらい騒音が出ているのか、またその騒音を抑えるにはどうしたら良いのかといった技術の提案に利用することができます。

技術提案でより高度な工事の受注を

工事を受注する場合、技術提案は必須というわけではありません。
しかし、国や自治体の工事で、高度な技術が必要なものは、ほぼ必ず技術提案が求められるでしょう。

そのため、保有する技術を活かして、より旨みのある工事を受注したいのであれば、きちんとした技術提案ができる体制を整えておきましょう。

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