建築や機械製作など、さまざまな場面で欠かせない鋼材。
いざ必要な鋼材を調達しようと思ったとき、「鋼材は計算方法が複雑で分からない」「購入前の見積もりはどのように取得したらいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、鋼材の計算方法や見積もりの出し方を分かりやすく解説します。
見積もりの際に必要な重量や数量、単価の計算方法、見積もり時の注意点、オンライン見積もり方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
鋼材の見積もりをする際に知っておきたい基礎知識
まずは、鋼材の見積もりをする際に知っておきたい基礎知識について解説します。
鋼材とは
鋼材は、鉄に炭素などの元素を加えて作られる金属材料です。
鉄よりも強度や硬度が高く、耐久性に優れているため、さまざまな形状に加工できます。
耐熱性や耐腐食性などの特性を持つ鋼材は、安全性や品質が求められる自動車、鉄道、ビルなどに使用されています。
日常生活で使われている鋼材は、スプーン、包丁、ハサミ、スチール棚などです。
冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなど、家電製品全般にも鋼材が活用されています。
鋼材の種類は多岐にわたり、強度や硬度、耐熱性、耐腐食性などの特性はそれぞれ異なります。
鋼材を選択する際には、これらの特性を把握するとともに、加工性や形状、コストなども考慮することが大切です。
鋼材の種類と用途
鋼材の種類は主に「炭素鋼」と「合金鋼」に分類されます。
炭素鋼は最も一般的な鋼材で、合金鋼は比較的高価な鋼材です。
- 炭素鋼:鉄に0.02〜2.06%未満の炭素を混ぜた合金で、強度、硬度、加工性のバランスが良い
- 合金鋼:炭素やニッケル、クロムなどの元素を加えた鋼材で、強度、耐熱性、耐腐食性に優れている
鋼材は、目的や使用用途に合わせて、さまざまな形状に加工されます。
主な種類と形状、用途は以下の表を参考にしてください。
種類 | 鋼材の形状 | 用途 |
丸棒 | 丸形の形状 | 機械部品、建築材料、工具など |
角棒 | 角形の形状 | 機械部品、建築材料、車軸など |
六角棒 | 六角形の形状 | ボルト、ナット、工具など |
平棒 | 平たい形状 | 刃物、工具、バネなど |
型鋼 | I形、H形などの形状 | 建築材料、橋梁、梁など |
鋼管 | 円筒形の形状 | パイプライン、構造物、機械部品など |
見積もりを依頼する前に必要な情報
鋼材の見積もり依頼する前には、以下の4つの情報が必要です。
- サイズと数量:規格名と数量(規格サイズから選ぶ場合)、必要な寸法と数量(特定の仕上がりサイズが必要な場合)
- 材質:それぞれの材質の特徴を理解し、用途や目的に合ったものを選択(SS400、SM490、SUS316など)
- 加工:加工内容(切断、曲げ、穴あけなど)と加工後の寸法
- コストや納期:予算や納期などの希望条件
見積もり時には、図面や写真があると、スムーズに情報を伝達できます。
疑問点や不明点、相談があれば、遠慮なく業者に伝えましょう。
料金を比較検討したい場合は、複数の業者から見積もりを取ることで、最適な業者を選ぶことができます。
見積もりに影響する主な要素
鋼材の見積もりは、以下の要素によって変動します。
- 材料の種類と品質:普通鋼は一般的に安価だが、強度や耐食性が求められる場合は比較的高価な特殊鋼が必要となる
- 寸法と形状:長い鋼材や複雑な形状の鋼材は、通常より料金が高くなりやすい
- 数量:鋼材の量が多い場合は、割引されることがある
- 加工:鋼材を切断、曲げなどの加工を行う場合は、加工費が加算される
鋼材の市場価格は常に変動しているため、見積もり依頼をする際には、最新の市場価格を確認しておきましょう。品質の高い製品を製作するためにも、最適な鋼材を選定してコストを抑えることが重要です。
鋼材の見積もり時の計算方法
それでは、鋼材の見積もり時の計算方法について解説します。
基本の計算式
鋼材の見積もり時には、重量、数量などの計算が必要です。
鋼材の見積もり時の基本的な計算式は以下の通りです。
- 重量計算式:断面積 × 長さ × 密度 = 重量
- 数量計算式:重量 ÷ 単位重量 = 数量
- 単価計算式:(重量 × 単位重量) × 市場価格 = 単価
- 見積もり金額:鋼材の総重量 × 単価 + 諸費用 = 見積もり金額
重量計算式で必要な密度の計算式は、物質の質量 ÷ 物質の体積です。
単位重量は、重量÷長さで求められます。
JIS規格に定められているような標準的な鋼材は、主要鋼材単重表(kg/m)を使うと計算が簡単です。主要鋼材単重表は、購入先の業者やホームセンターが準備しているケースも多いため、事前に尋ねてみるのも良いでしょう。
単価の把握と計算への適用
鋼材の見積もり時には、各単価を把握します。単価の計算式は前項の「基本の計算式」を参照してください。単価は鋼材の種類、加工方法によって変わります。
単価が分かったら必要な鋼材の量を算出し、各項目の単価と掛け合わせたら見積もり金額が出ます。
ただし、業者によって単価が違うケースもあるため、事前に見積もりを取って単価を比較しておきましょう。
追加費用の考慮
鋼材の見積もり時には、追加費用を考慮することが大切です。
追加費用がかかる主な例を以下に挙げます。
- 配送料:鋼材を配送する場合
- 荷造り費:梱包材や梱包作業が必要な場合
- 切断費:鋼材を必要な寸法に切断する場合
- 曲げ加工費:鋼材を曲げる加工が必要な場合
- 溶接加工費:鋼材を溶接で接合する場合
- 塗装費用:鋼材を塗装する場合
- 試験費用:鋼材の強度や品質を検査する場合
鋼材の見積もりをするときのプロセス
続いて、鋼材の見積もりをするときのプロセスについて解説します。
相見積もりの取り方
鋼材の相見積もりの取得手順は以下の通りです。
- 条件の一致:鋼材の種類、寸法、数量、加工方法、納期、予算、支払い方法などの条件を一致させる
- 複数の業者に見積もりを依頼:3~5社ピックアップし、上記の条件や依頼者の情報(連絡先など)を伝え見積もりを依頼する
- 見積もりの取得:書面やファイルなどで各業者の見積もりを取得する
- 内容の比較検討:価格や品質、納期などを考慮して最も良い業者を選択する
見積もりを取得する際は、できるだけ口頭での見積もりは避けましょう。
口頭見積もりは内容が曖昧になりやすく、後のトラブルになる可能性があります。
見積もり依頼書の作成
鋼材の見積もり依頼書を作成するには、以下の手順に従ってください。
③の金額計算は必須ではありませんが、見積もり依頼書に記載しておくと、鋼材販売店が概算金額を把握しやすくなります。
- 基本情報の入力:会社名や発行日、見積もり番号など基本情報の記載
- 鋼材の詳細入力:種類、サイズ、数量、単価、加工方法などの鋼材の詳細情報を記載
- 金額計算:鋼材の数量と単価から合計金額を算出
- その他の詳細入力:支払条件や納入期限、連絡先などを記載
- 確認と発行:記載した内容を確認し、見積もり依頼書を発行
テンプレートを利用すれば、簡単に見積もり依頼書を作成できます。
インターネット上には無料でダウンロードできるテンプレートもあるので、作成方法が分かりにくい方はぜひ利用してみてください。
見積もり依頼後の確認事項
鋼材の見積もり依頼後に確認すべきポイントは以下の通りです。
- 仕様と数量:依頼した鋼材の仕様と必要な数量が正確であるか
- 価格:見積もりに含まれている価格が予算に合っているか
- 納期:鋼材の納期がスケジュールに適しているか
- 品質:鋼材が必要な品質基準を満たしているか
- 配送:配送方法や場所が明確か
正確で適切な見積もりを取得するためにも、これらのポイントを確認することが大切です。
オンラインでの見積もり方法
続いて、簡単・便利なオンライン見積もりについて解説します。
オンライン見積もりサービスの活用
近年、インターネットの普及により、鋼材のオンライン見積もりサービスを利用する人が増えてきました。一般的なオンライン見積もりサービスは、以下の手順で進められます。
- オンライン見積もりサイトにアクセス
- 必要な鋼材の種類、サイズ、数量などの情報を入力
- 「見積もり依頼」などのボタンをクリック
- 複数の業者からの見積もり結果が表示
中には、後日メールや電話で見積もり結果を報告するケースもあるため、利用前には見積もりに要する時間を確認しておきましょう。
鋼材のコストをより効率的に削減したい方は、シグマテックジャパン株式会社へのご相談がおすすめです。板金・溶断用CAD/CAMソフトは、導入企業の25,000社以上が大幅な材料コスト削減を実現しています。気になった方は、下記より利用してみましょう。
オンライン見積もりのメリットとデメリット
鋼材のオンライン見積もりにはメリット・デメリットがあります。
オンライン見積もりのメリットは以下の通りです。
- 移動にかかるコストを削減できる
- 自宅やオフィスなど場所を問わず利用できる
- 図面をアップロードして加工の可否を確認できる
- 見積もり取得の時間短縮ができる
- 一度の依頼で複数企業から見積もりを取得できる
- 24時間いつでも見積もり依頼できる
オンライン見積もりには、以下のようなデメリットもあります。
- 実際のサンプルを確認できない
- コミュニケーションが難しい
- セキュリティや情報漏洩のリスクが懸念される
これらのメリットとデメリットを考慮して、自社のニーズに合ったオンライン見積もりサービスを選ぶことが重要です。
鋼材見積もりの際の注意点
最後に、鋼材見積もりの際の注意点についてお伝えします。
正確な見積もりを得るためのポイント
鋼材の正確な見積もりを得るためには、以下のポイントに留意が必要です。
- 仕様の確認:鋼材の種類、寸法、数量、品質基準などを明記する
- 市場価格の把握:鋼材の市場価格を調査し、あらかじめ適正相場を把握しておく
- 運送費や手数料の確認:運送費や手数料がどの程度必要か調査する
- 納期の明確化:適切なスケジュールで納品できるように納期を具体的に記載する
よくある見積もりの落とし穴
鋼材の見積もりにおいて最大の落とし穴は、情報の正確さです。
誤った仕様や数量は、見積もりの精度を低下させ、取引時のトラブルの原因になります。
突然状況が変わることもあるため、キャンセル費用にも注意が必要です。
想定外の費用を防ぎ安心のサービスを受けるためにも、事前に見積もり・利用規約をしっかり確認しておきましょう。
まとめ
この記事では、鋼材の基礎知識から計算方法、見積もり取得方法まで詳しく解説しました。
鋼材の見積もりは建築や製造業で重要な工程ですが、複雑な計算方法など初心者には難しい部分があります。
見積もり取得の負担を軽減したい場合、インターネット上で簡単に複数の業者から見積もりを取れるオンライン見積もりサービスを利用してみましょう。