エクセルにはシートやブックを保護する機能が備わっています。しかし、保護されたファイルを渡された際に解除の方法がわからなければ、作業が中断して困ってしまうこともあるでしょう。
本記事では、エクセルの保護を解除する基本的な方法から、保護機能を活用するメリットやデメリットまで解説します。スムーズに業務を行うためにもしっかり確認しておきましょう。
エクセルの保護機能のメリット
エクセルの保護機能には、主に以下のようなメリットがあります。
- データの改ざんを防止できる
- 誤操作を防止できる
- セキュリティを向上できる
これらのメリットについて確認していきましょう。
メリット①データの改ざんを防止できる
エクセルの保護機能を活用することで、重要なデータや計算式を意図せず変更されるリスクを回避できます。
特に、複数の人と共有するファイルでは、ほかのユーザーによる不正な変更を防ぐ手段として有効です。
例えば、売上データや在庫管理表などの数値情報は、正確性が求められるため、保護機能を使えばその信頼性を維持できます。
また、保護済みのシートでは変更が制限されるため、改ざんを防ぐだけでなく、誰がどのエリアを編集したかを把握できる点もメリットです。
ビジネスシーンやプロジェクト管理において、安心してデータを共有できる環境を作れるのが保護機能の強みといえるでしょう。
メリット②誤操作の防止できる
特定の範囲やセルを保護することで、誤操作や意図しない削除を防止できます。データの入力や修正を行う際、入力場所や貼り付ける場所を誤って、セルを上書きしてしまうリスクは誰しもが持っています。
しかし、保護機能を使えば、計算式や固定データを変更できないようにできるため、誤操作を防止可能です。
これにより、エクセルに不慣れなメンバーが操作する場合でも安心してデータを管理できます。
さらに、特定のセルだけを編集可能にする柔軟な設定ができるのも魅力です。
メリット③セキュリティを向上できる
エクセルの保護機能は、パスワードを活用することでセキュリティを向上させられます。機密情報を含むデータや、外部に漏れてはならないプロジェクト、計画書などを保存する際に有効です。
特に、ファイルを社外に共有する場合や、複数の人がアクセスできる環境では、保護機能を使うことで情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
データの流出によってトラブルが発生するリスクのある場合は、積極的に活用しましょう。
エクセルの保護機能のデメリット
エクセルの保護機能には、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。
- パスワードを管理する必要がある
- 解除方法を知っておく必要がある
これらのデメリットについて確認していきましょう。
デメリット①パスワードを管理する必要がある
エクセルの保護にパスワードを設定しているケースでは、パスワードの管理が必要です。
例えば、複数のシートやブックで異なるパスワードを設定していると、それぞれを個別に記録しておかなければ忘れてしまうリスクがあります。
万が一パスワードを紛失した場合、ファイルの保護を解除できなくなるため、データの編集が不可になったり、ブックを開けなくなったりするトラブルが発生します。
そのため、パスワードは適切に記録・管理する必要があります。保護機能の利便性を高める一方で、このように管理の負担が発生する点はデメリットといえるでしょう。
デメリット②解除方法を知っておく必要がある
保護したブックやシートは、解除方法を知らないと編集作業ができないため、業務が一時的にストップしてしまいます。特に、他者から渡されたファイルで保護がかかっている場合、その解除方法を確認する手間がかかるでしょう。
さらに、パスワードが求められるケースでは、管理者からパスワードを事前に聞いておく必要があります。
このように、メンバー全員が解除方法を知っていれば保護機能は便利ですが、そうでなければ、作業効率が落ちてしまう可能性があります。
エクセルでシートの保護をする方法
エクセルでは、シート全体を保護して第三者からの編集を制限できます。シートの保護を行う具体的な方法について見ていきましょう。
まず、ブックを開いたら保護したいシートを選びます。このシートに対してのみ保護が適用されます。
続いて、校閲タブから「シートの保護」のアイコンを選択しましょう。このとき、パスワードを入力することで、保護を解除する際にパスワードを求めるように設定できます。
最後に、許可する操作を設定してください。許可したい設定のチェックボックスをクリックしてアクティブにしましょう。
ここまでできたら、シートの編集を試みて保護が有効になっていることを確認しましょう。
一部分だけ保護を適用しない方法
特定のセルだけを編集可能にし、それ以外の部分を保護したい場合の方法です。まず、編集を許可したいセルを選択します。このとき、ドラッグやShiftキーで複数のセルを指定することも可能です。
続いて、右クリックのメニューから「セルの書式設定」を選び、保護タブの「ロック」のチェックを外しましょう。
その後、「校閲」タブからシートの保護を行います。このとき、ロックを外したセルは編集可能になります。
この機能を使うことで、エクセルでアンケートを取る際、入力欄だけ編集可能にして見出し部分は編集できないようにするといったような使い方が可能です。
設定後は、保護されたシート内で、編集可能なセルとそうでないセルが適切に動作しているか確認しておきましょう。
エクセルでブックの保護をする方法
ブックの保護は、ワークシートの移動や複製などの「構成」を編集できないようにする機能です。設定は、校閲タブから「ブックの保護」のアイコンを選択することで行えます。
このとき、パスワードを入力すれば、解除にパスワードが必要になります。複数のシートを含むファイルで、間違ってシートを削除してしまうことを防止可能です。
エクセルでシート保護を解除する方法
エクセルで保護されたシートは、校閲タブの「シート保護の解除」のアイコンをクリックすることで解除できます。
このとき、パスワードが設定されている場合は、入力が求められます。解除が完了したら、編集可能になっているか確認しましょう。
また、エクセルの保護機能には、「読み取り専用」というものもあります。読み取り専用は、内容の閲覧のみを可能とする機能です。
以下の記事では、そんな読み取り専用の設定を解除する方法について解説しています。ぜひこちらもあわせてご覧ください。
エクセルでブック保護を解除する方法
ブック保護の解除は、シート保護の解除とほぼ同じです。まず、対象のブックを開き、校閲タブを選択します。
続いて、「ブックの保護」アイコンがアクティブになっているので、アイコンをクリックすることで、保護が解除されて再編集ができるようになります。
また、任意のパスワードがかけられているケースでは、入力画面からパスワードを入力しましょう。
エクセルでパスワードを忘れた場合の対処法
設定したパスワードを忘れてしまった場合、ファイルが開けない、または編集できない状況に直面します。この場合でも、いくつかの対処法を試すことで問題を解決できる可能性があります。
以下は、パスワードを忘れた場合の代表的な方法です。
対処法 | 説明 |
専用ソフトを使う | エクセルの保護を解除する専門のソフトを使う。簡単な操作で元の状態に戻せる。費用がかかる場合があるのがデメリット。 |
シートの内容をコピーする | シート内容をコピーし、新しいファイルに移行させて利用する。専用のソフトが不要なため、手軽に行えるが、大規模なファイルの場合は手間がかかる。 |
これらの対処法を活用することで、パスワードを忘れた場合でもデータの利用を継続できます。自分に合った適切な方法を選択しましょう。
エクセルで保護機能を使う際の注意点
保護機能を活用する際は、主に以下の2点に注意が必要です。
- パスワードの管理を徹底する
- 定期的にバックアップを取っておく
これらの注意点について見ていきましょう。
注意点①パスワードの管理を徹底する
設定したパスワードは、管理アプリを利用したり、メモ帳に記録したりして、安全な場所に保管しましょう。
また、簡単すぎるパスワードはセキュリティリスクが高いため、英数字や記号を組み合わせた複雑なパスワードを設定することも重要です。
さらに、定期的にパスワードを変更し、不正アクセスのリスクを最小限に抑えることも効果的です。
注意点②定期的にバックアップを取っておく
保護機能を使用しているエクセルファイルは、なんらかの原因で編集不能になるリスクがあります。
そのようなトラブルに備えるためにも、定期的なバックアップ作業は欠かせません。
バックアップデータの更新は定期的に行い、最新の状態を維持するように心掛けましょう。これにより、パスワードを忘れた場合やファイルが破損した場合でも、データを復元できる可能性が高まります。
また、予期せぬ事態でエクセルのファイルを紛失してしまった場合は、以下の記事を参考にしてください。
エクセルで紛失したファイルの復元する方法や、復元できないときの対処法などについて解説しています。
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エクセルの保護を解除する方法についてのまとめ
今回は、エクセルの保護を解除する方法について紹介しました。エクセルの保護機能は、データの安全性を確保し、作業ミスを防ぐための重要なツールです。
しかし、パスワード管理や解除方法を理解していないと、業務が滞る可能性もあります。本記事で紹介した方法を活用し、効率的かつ安全にエクセルを管理しましょう。
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