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【2025】コンプラ違反とは?知らなかったでは済まされない違反例や原因・対策のすべて

コンプラ違反なんてうちは大丈夫、と思っていませんか。2024年度、コンプライアンス違反による倒産が過去最多の370件を超えました。

粉飾決算や不正受給など、バレなければいいという軽い気持ちが命取りになっているのです。企業が生き残るためには、コンプライアンスに対する意識を根本から見直す必要があるのかもしれません。

今回は、コンプラ違反の種類や原因、企業が行うべき対策をわかりやすく解説します。

コンプラ違反とは

コンプラ違反とはコンプライアンス(法令遵守)に違反する行為を指し、企業や個人が法令や社内ルール、社会的な常識を守らずに行動することです。

例えば、労働基準法に反する長時間労働や、不適切なSNS投稿、情報漏洩などさまざま。日常の行動にも潜むコンプラ違反のリスクがあり、知らなかったでは済まされない時代になっています。

主なコンプラ違反事例

コンプラ違反と言ってもその内容は幅広く、その多くが私たちの日常業務のすぐそばに潜んでいるのです。

以下で、主なコンプラ違反事例を見ていきましょう。

労働に関するコンプラ違反

法律で定められている労働時間を超えたサービス残業、給与未払いのほか、パワハラ・セクハラなどの行為は、人権への配慮不足として深刻です。

コンプラ違反をしたブラック企業として報道されることも多く、社員の心身にも悪影響を及ぼします。

ハラスメントが一つの原因となる退職代行については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

【2025】退職代行の利用が多い職種とは?使う人の特徴やサービスの流れも解説

不正会計に関するコンプラ違反

数字をごまかす粉飾決算は、不正受給などと並んで起こりやすく、公になると企業の信頼は一気に崩れ去ります。

経営者や経理担当者が関わっていることも多く、組織での隠蔽が問題になるケースもあります。

不正受給に関するコンプラ違反

本来、補助金や助成金は、経営支援や事業推進のために設けられている制度。しかし、制度を逆手に取って不正に資金を得ようとするケースが後を絶ちません。

返還命令や処分の対象となり、資金繰り悪化へ直結することもあります。

情報セキュリティに関するコンプラ違反

社外へのUSB持ち出しや個人情報の流出、機密情報の不正持ち出しなどの情報漏洩は、故意や過失関係なく、コンプラ違反として厳しく問われる時代です。

自治体や大企業でも発生しており、行政処分や刑事罰の対象になるほか、社会的にも信用がなくなる事例です。

改ざんや虚偽に関するコンプラ違反

データの捏造や検査結果の改ざんなど、報告する際に虚偽のデータを使うコンプラ違反です。行政からの制裁や損害賠償請求、取引停止など、経営への打撃も大きくなり、会社全体を窮地に追い込みます。

不当表示に関するコンプラ違反

商品の魅力を伝えたいからといって、少し大げさに表現したい気持ちはわかります。

しかし、実際の内容と異なる表示は、景品表示法で禁止されています。

参照:事例でわかる景品表示法|消費者庁

著作権に関するコンプラ違反

最近は、SNSでの発信が増えたことで、無意識のうちに他人の著作物を使ってしまうケースも。著作権者からの忠告や損害賠償請求に発展することもあり得ます。

著作権侵害となりやすい生成AIのリスクについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

【2025】生成AIのリスクとは?企業が行うべき5つの対策を解説

不適切な発信に関するコンプラ違反

個人が自由に発言できるSNSはわずかな発言が一瞬で拡散し、一度炎上すれば、企業は説明責任を求められ、対応の遅れや曖昧さがさらなる火種になることも。

このような発信ミスはうっかりでは済まされず、ブランド価値や売上にまで悪影響を及ぼすこともあります。

反社会的勢力に関するコンプラ違反

反社会的勢力と関係を持つことは法律違反であり、業務停止や重い処分の対象となります。

実際、関係が公になった企業は、金融機関から信用を失い、取引停止や融資の打ち切りなどの深刻なダメージを受けることもあります。

コンプラ違反が企業に与える悪影響

コンプラ違反はちょっとしたミスでは済まされず、企業の内外に深いダメージを残します。以下では、実際にどんなダメージを企業が受けるのか、詳しく解説します。

企業の信用を失う

一度でもコンプラ違反が発覚すると、築いてきた企業の信用はあっという間に崩れ去ります。企業のイメージダウンは新規顧客の獲得はおろか、既存の取引にも深刻な影響を及ぼします。

経済的な損失をもたらす

コンプラ違反が発覚したとき、企業が負うのは信用を失うだけではありません。巨額の賠償金や課徴金、業務停止命令など、次々と経済的な打撃があります。

さらに、顧客離れが進めば売上も落ち込みます。

法的責任を負う

コンプラ違反は、刑事罰や行政処分などの厳しい法的責任を招くことも。また、企業だけでなく、関わった社員が責任を問われるケースも少なくありません。

実刑判決や罰金が科されれば、企業の人的資源や組織体制にもダメージを与え、ビジネスパートナーからも敬遠されるリスクが高まります。

従業員の士気が下がる

コンプラ違反を起こすと、その企業の従業員は、自分が勤めている会社が社会的に問題視されていることがストレスとなり、仕事への意欲を失っていきます。

組織に不信感が広がり、この会社にいても将来が不安という空気が蔓延すれば、有能な人材ほど離れていき、結果的に離職率が上がることもあります。

事業継続が難しくなる

コンプラ違反が積み重なると、最終的には事業の継続が難しくなることも。

行政処分によって主力の事業が止まれば、売上は激減し取引先との契約も中止となり、銀行からの信用も失われ資金繰りが悪化します。

コンプラ違反が起こる主な原因

コンプラ違反が起こる主な原因

コンプラ違反の多くは、日常の中にある小さな違和感や曖昧なルールなどが積み重なった結果として表面化するケースが多いです。

以下で、コンプラ違反が起こる主な原因を見ていきましょう。

不正が起きやすい環境になっている

不正行為は個人の問題だけなく、環境が不正を起こしやすい状況を作っているケースも。これは、不正のトライアングルと呼ばれ、以下の要因が揃ったときに不正が起きやすくなるという理論です。

不正が起きやすい流れの例
①動機(プレッシャー) どうしても結果を出す必要がある
②機会(発覚リスクの低さ) チェックが甘い
③正当化(言い訳) 一時的な処置なので問題ない

誰の心にも現れる可能性があるからこそ、企業側は、社員一人ひとりの心の中にある言い訳の余地にまで目を向ける必要があるのです。

法律やルールを把握していない

法の改正や社内ルールの更新が把握できていなかったり、教育や研修が不十分であったりしてコンプラ違反をしてしまうことも。

日々の業務に追われ、ルールの存在すら意識できていないこともあり得ます。企業は、知識を共有する仕組みと継続的な学びの場の提供が欠かせないのです。

モラルが欠如している

コンプラ違反の根底には、ちょっとぐらいなら大丈夫、という軽い気持ちが、気づけば大きな問題に発展することも。また、人によってモラルの意識は異なるため、共通認識を持たなければチーム内でのズレも生じます。

そのため、モラルの大切さを社員一人ひとりが理解し、自発的に行動できる環境作りを構築することが重要です。

組織の風土が良くない

どれだけルールを整備しても、それを支える組織の空気が良くなければ、コンプラ違反は防げません。また、現場の声が経営層に届かず、意見を言った人が評価を下げられるような雰囲気があると、内部告発や改善提案が機能しなくなってしまいます。

マネジメント層が率先してコンプライアンスの重要性を発信することが、コンプラ違反のリスクを防ぐ一歩なのかもしれません。

コンプライアンスが後回しにされている

「結果がすべて」という価値観が深く根付いた企業では、営業成績や売上目標ばかりが重視され、コンプライアンスが後回しにされがちです。

すると、手段を選ばない行為が生まれ、不正や違反行為への心理的ハードルも下がります。

不正を隠蔽しようとする

どうやって問題を隠すか、と考える組織は、すでに深刻なコンプラ違反をするリスクを抱えています。こうした隠蔽体質が定着してしまうと、不正が繰り返されても公にならず、気づいたときには取り返しのつかない事態に陥ることも。

ミスをしたら報告や相談がしやすい環境づくりが、コンプラ違反のリスク管理となるのです。

コンプラ違反を防ぐための具体的な対策

コンプラ違反を防ぐための具体的な対策

コンプラ違反を防ぐには、初期段階で阻止できるかどうかにかかっています。以下で、企業が行うべきコンプラ違反を防ぐための具体的な対策を解説します。

コンプライアンス体制を作る

まず、コンプライアンスを企業全体で支える体制を作りましょう。「うちは大丈夫」と思っていても、具体化された仕組みがなければ、いざというときに機能しません。

さらに、定期的な実態調査やリスクアセスメントを行うことも効果的です。現場と経営層の連携を強化することで、問題の早期発見や未然防止ができるでしょう。

ルールを作って周知させる

どんなに立派なコンプラ違反に関するルールを作っても、肝心の現場に浸透していなければ意味がありません。業種や業務内容に潜むリスクを洗い出し、それに対応した行動や禁止事項を具体化しておくことが大切です。

配布するだけではなく、社内研修などを活用して、繰り返し周知していくことが重要です。

相談窓口を設置する

コンプラ違反の前兆を最も早く察知できるのは、現場の社員です。だからこそ、気づいたことを安心して報告できる相談窓口の整備は、コンプラ違反を予防する第一歩と言えます。

また、相談後の対応をフィードバックし、声が届くことを社員一人ひとりが実感できることが大前提なのです。

管理体制を強化する

コンプラ違反を防ぐには、管理体制を強化することが重要です。具体的には、部署ごとの業務の中でリスクとなるポイントを洗い出し、優先順位をつけて対策を作ることです。

さらに、重大なリスクは経営層にも共有し、迅速な判断ができる体制を整えておきましょう。

従業員への教育を徹底する

従業員へのコンプライアンス教育は、対策の中で最も基本です。大切なのは、知識の押し付けにならないこと。

また、立場や業務によってもリスクは異なため、階層別に内容を分けたり、ロールプレイングなどを取り入れたりすると、リアルな判断力を育てることができるでしょう。

セキュリティツールを導入する

情報漏洩が起きてしまえば、信頼を築いてきた会社でもそれが一瞬で崩れてしまうこともあります。

だからこそ、セキュリティツールは導入すべき対策です。例えば、誰がいつアクセスしたかを確認できるログ管理や、怪しい動きを警告してくれるツールも出てきています。

働き方の無理を見える化する

過度な残業時間は、コンプラ違反の温床になりかねません。そのため、勤怠管理システムの適切な運用が重要です。

出退勤を記録するのはもちろん、働き方の偏りや無理を見える化することで、社員の健康や企業のリスクを守る役割も果たします。

反社会的勢力を排除する

企業には、反社会的勢力に絶対に関わらないという強い意思と、排除する仕組みが求められています。

取引先や代表者名を調べたり、反社チェックツールを使い、トラブル歴や報道を確認したりすることが大切です。さらに、暴力団排除条例に対応することも重要。

契約書に、反社会的勢力との関係を持たない旨の条項を盛り込み、誓約書の提出を求めるなどの姿勢を示すことが信頼にも繋がります。

コンプラ違反が発覚した時の適切な手順

コンプラ違反が発覚した時の適切な手順

どれだけコンプラ対策を講じていても、すべてのリスクをゼロにすることは困難です。そのため、コンプラ違反が発覚した時は以下のような適切な手順で動くのがおすすめです。

  1. 事実関係を調査する
  2. 関係者へヒアリングする
  3. 専門家に相談する
  4. 再発防止策に取り組む
  5. ステークホルダーにコンプラ違反の説明と謝罪をする

①事実関係を調査する

もしもコンプラ違反が発覚したら慌てず、冷静に事実を確認すること。「何が起きたのか?」「いつ、誰が、どこで関与したのか?」という事実関係を、できる限り早く洗い出す必要があります。

大切なのは、利害関係のない第三者を交えて、情報の裏付けを一つひとつ丁寧に取っていくこと。外部の視点が入ることで、見落としがちな点が明らかになることがあります。

②関係者へヒアリングする

次に、関係者へのヒアリングを行います。注意したいポイントは、尋問のような形で進めないこと。威圧的な態度や聞き方では、真実は出てきません。

メールなどの履歴や社内文書、出退勤記録など、コンプラ違反に関する証拠は早い段階で保全しておくことも重要です。

③専門家に相談する

社内だけで対応しきれないときは、弁護士などの専門家に相談するのが賢明です。専門家に入ってもらうことで、コンプラ違反の調査や対応が中立なものとして評価されやすくなります。

会社がコンプラ違反にきちんと対応しているため、社員の信頼感にも繋がるでしょう。

④再発防止策に取り組む

コンプラ違反が起きた後は、二度と繰り返さないための具体策を打ち出すことが重要。仕組みや意識のどこに問題があったのかを洗い出し、研修内容の見直しや業務フローの改善など、組織に合った対応を選んでいくことが求められます。

重要なのは、コンプラ違反再発対策を実行し続けることです。

⑤ステークホルダーにコンプラ違反の説明と謝罪をする

コンプラ違反が公になったときは、取引先や顧客はもちろん、株主などのあらゆるステークホルダーに対して、コンプラ違反に対する丁寧な説明と謝罪を行うことが欠かせません。

説明責任を果たすことが、信頼回復に繋がります。また「何が起きて、なぜそうなり、どう対策するのか、を自分の言葉で伝えることが相手の不安や疑念を少しずつ溶かしていきます。

コンプラ違反は起こさない努力と起きたときの対応が問われる

今回は、コンプラ違反の種類や原因、企業が行うべき対策を解説しました。コンプラ違反は、決して他人事ではなく、気づかないうちにその一線を越えてしまう可能性があります。

しかし、必要以上に怖がる必要はなく、目に見えない信頼を積み重ねていく姿勢こそが、コンプライアンスの本質なのだと思います。

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