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【2024】Cimatronとは?価格・評判・使い方・企業の導入事例

近年のグローバル化に伴い、市場の競争が激しくなる一方で、多様化するニーズへの対応が求められています。従来の製品開発では、生産が追いついていない企業も存在します。

近年では、自社の課題解決のためにCAMの導入を検討している企業が増えています。その中で、製品開発の課題解決に貢献できるCimatron(シマトロン)が注目されています。

そこで今回は、Cimatronを導入するメリットや機能について解説します。
導入企業の事例も紹介するので、導入後のイメージが明確になるでしょう。

Cimatron(シマトロン)とは

Cimatron(シマトロン)とは

画像引用元:Cimatron

Cimatron (シマトロン)とは、金型製造における作業効率の向上に特化した機能を搭載しているCAD・CAMソフトウェアです。金型設計に必要な基本機能をベースに、ソリッド・サーフェス・ワイヤーフレームによる柔軟な設計が可能です。

Cimatron (シマトロン)における設計情報は、特定の分布に従ったパラメトリックに保持されるため、設計目的の共有や製造工程を管理できます。

また、モデリング情報を迅速にNCのプラットフォームに譲渡させることで、NCプログラミングの効率化が可能です。生成されるツールパスは、高精度の加工材料による無駄を省いた荒加工から、2.5軸・3軸・5軸加工まで対応しています。

さらに、精密微細が求められる光学部品からサイズの大きい自動車関係の組み立てモデルのツールパスに適応できます。近年では、3Dプリンターとの連携による新たな領域へ展開を続けています。

Cimatronの価格

Cimatronの価格は、導入する目的や使用環境によって仕様が異なるため、詳細は国内の代理店に問い合わせましょう。Cimatronにおけるトラブルや不明点の解決を行うサポート体制が充実しています。

また、開発元の3Dシステムズでは、無料トライアルを実施しているので、正式導入の前に機能を体験できます。3Dシステムズの公式サイトから無料トライアルのリクエストが可能なので、ぜひ試してみてください。

Cimatronの機能と使い方

Cimatronには、次の機能が搭載されています。それぞれ詳しく解説しましょう。

  • 直観的操作が可能なCAD機能
  • 効率的な加工を実現できるCAM機能
  • 高品質な樹脂型設計機能
  • 材料の最適化を図るプレス金型設計機能
  • 迅速な情報共有ができるビューワ機能

直観的操作が可能なCAD機能

CimatronのCAD機能は、カスタマイズが容易なインターフェースなので、直観的な操作が可能です。

製品開発に必要な設計機能は、すべてデータベースに連動するため、途中で設計変更が入った際に各工程へ反映されます。
また、多様な形状に対応できるソリッドとサーフェスが用意されており、連続した作業や柔軟な設計が可能です。他のCADシステムから変換されたデータを読み込む際には、ソリッドが困難であっても作業を進められます。

簡単な操作で、パーツやアセンブリから複数のビューの作成とシェーディングを追加できます。
3Dモデルとの連動機能を活用すると、ビューと断面の作成や製図テンプレートによる図面作成を実現します。

Cimatronには、電極設計における電極の抽出機能や面拡張機能が搭載されているため、各工程をテンプレートに保存すると、簡単に利用できます。
迅速な電極設計を実現するために、ソリッド操作とサーフェス操作の両方を使用します。
Cimatronを使用すれば、複雑な電極設計であっても柔軟に対応できます。

効率的な加工を実現できるCAM機能

CimatronのCAM機能では、部品の材質ごとに異なる条件を1つの工具に集約できるため、1つの定義だけで効率的な加工を実現できます。

NCセットアップと呼ばれるダイアログで管理されているため、事前に定義されたデータは多様なNCプログラムのデフォルトとして使えます。また、ポリゴンをベースとしたストックモデルを使用することで、エアカットを含む無駄なパスを最小限に抑えられるため、工具負荷に適した送り速度の選択が可能です。

広い曲面を持つバレル工具の場合は、大きなダウンステップが可能なので、高品質の仕上げを担保しながら加工時間を大幅に短縮します。Cimatron独自の干渉チェック機能では、加工シミュレーションによる加工前の確認ができます。

他にも、光学デバイスに含まれている各レンズを金型加工として利用できるため、正確な超精密加工にも対応しています。従来のCAMでは磨きづらい曲面でも、鏡面仕上げを実現します。

高品質な樹脂型設計機能

樹脂型設計機能では、高品質のモデルを実現できる設計ツールを提供しており、凹部設計の最適化が可能です。すべてのレイアウトにおいて、大型で複雑なプラスチック金型に対応しています。

また、複雑な抜き勾配やサーフェスの割り付けができるため、特別なテクニックを必要とせずに作業を進められます。医療機器や自動車の金型の大きさにかかわらず、設計プロセスで重要な構想設計や複数ある工程の同時進行が可能になります。

結果的に生産性の向上につながるため、設計者の負担軽減が期待できます。
国内主要メーカーのカタログが備えられており、各工程で立体形状の編集や再利用が可能です。

従来の変更箇所の検出は、1つの部品に限定されていましたが、Cimatronを使うと複数の部品に対する検出が行われます。具体的には、追加変更を行ったモデルに接するスライダ部への影響を考慮できるようになります。

材料の最適化を図るプレス金型設計機能

材料の最適化を図るプレス金型設計機能では、エンジニアの経験と判断を踏まえた自動化ツールを提供しています。具体的には、高精度の金型やコスト削減、設計サイクルの短縮を実現します。

また、パーツの予備解析を行うことで、見積もりに必要な輪郭のサイズや板厚、ひずみの情報取得が可能です。プレス型の成形形状は、各種成形ツールを利用して3Dモデルから作成できるため、柔軟に順序を変えられます。

さらに、スプリングバック変形機能では、3次元測定や解析ソフトから得たSTLデータとCADデータとの相対的な位置変化を検出することで、見込み形状の作成が可能になります。

他にも、設計変更指示を意味するECO機能では、作業履歴と修正作業を分割して管理されているため、設計変更に伴うエラーに陥る心配はありません。本来の設計に不要な作業時間を短縮できるため、3D設計における業務の停滞を解消します。

迅速な情報共有ができるビューワ機能

Cimatronのビューワ機能では、設計から品質管理、取引先などの関係者との間でデータの互換性を気にせずに迅速な情報共有が可能です。
従来の方法では、紙の資料を出力して説明が必要でしたが、ビューワ機能により現場のオペレーターが加工データの確認が容易になるため、ペーパーレス化の推進に役立ちます。
Cimatronがあれば、顧客との打ち合わせや商談の場面で見積もり用のツールとして活用できます。

また、モデルデータの読み込みや編集を行い、STLデータへ出力したときの状況確認が可能です。
Cimatronにおけるすべてのモデリング機能で、ソリッド・サーフェス・ワイヤーフレームを自在に扱えます。

工具の移動を確認する際は、ナビゲーション機能でアニメーションによる動作確認が可能です。
Cimatronで作成した作業工程表は、Excelで出力したり、従来どおりに印刷したりする方法もあります。

Cimatronを導入するメリット

Cimatronを導入するメリットは、主に次のとおりです。それぞれ一つずつ説明しましょう。

  • 複雑な金型設計を効率的に進められる
  • 電極製作の自動化で工数を大幅に削減できる
  • 荒加工にかかる時間を大幅に短縮できる
  • 一元管理のデータベースと設計機能を連動できる

複雑な金型設計を効率的に進められる

Cimatronを使用することで、複雑な金型設計を効率的に進められるメリットがあります。具体的には、図面や工程表をデータで管理できるため、紙で出力する手間がなくなることで、修正や再利用が容易になります。

手作業で機械にプログラムを入力すると、ミスによる手戻りが発生するため、納期遅れの原因になりがちです。しかし、複雑なプログラムの入力も簡単にできるため、結果的に作業時間の短縮を実現できます。

加工に必要な工数の算出が正確に行われるため、見積もりの作成やスケジュール調整が楽になります。すべての工程に費やす時間の目安を把握できれば、納期までの計画が立てやすくなるでしょう。

自由曲面の加工や5軸加工における複雑なプログラムを組む作業は、経験者でも労力がかかります。しかし、Cimatronを活用することで、手作業では困難な多様な加工を実現するため、高精度で高品質の製品開発が可能になります。結果として技術者不足の問題解消にもつながるため、導入するメリットは大きいでしょう。

電極製作の自動化で工数を大幅に削減できる

Cimatronには、迅速な電極部の抽出機能や面拡張機能、加工の標準などの高度なツールが用意されています。

電極の加工において、すでに標準機能が搭載されているので、多彩な形状の電極を加工するのに便利です。詳細なユーザー設定や電極設計の自動化による工数の削減が可能になるため、生産性の向上に貢献できます。

また、指定した範囲の中で、複雑な電極部が自動選択されるので、ブランクに関連する面の切り取りが可能になります。電極設計を目的に最適化された面の作成や拡張機能を活用することで、電極形状の作成を迅速に実現します。

同様の形状を作成する際には、工程をテンプレート化できるため、従来の設計時間を大幅に短縮できます。さらに、cimatronのシミュレーション機能を使えば、電極や治具と金型との間に発生する干渉を事前確認したうえで回避が可能です。

放電パラメータに対応した設計や放電加工機とのリンクを行うことで、ミスを回避しながら作業の簡素化に役立ちます。従来の方法で作業指示図面を作成すると、膨大な工数がかかりますが、自動出図機能を活用すれば、無人作業による工数の削減が期待できます。

荒加工にかかる時間を大幅に短縮できる

製品の加工時間の短縮は、コストダウンに貢献するため、企業全体の利益増加が期待できます。しかし、素材形状から切削する荒加工において、加工に費やす時間をかけている企業も少なくはありません。切り込みの深さを浅くする荒加工を行う事例が多くありますが、切り込む回数が増えるため、刃先の摩耗や削り残りが増える原因になります。

Cimatronの荒加工では、工具の刃長を最大限に利用するため、送り速度の最大化が可能です。また、切り込み幅を狭くすることで、工具負荷の軽減につながります。

切り込み幅が常に一定なので、工具負荷も一定となり、適切なツールパスで送り速度を最大限にできます。荒加工の加工時間を大幅に短縮できるだけでなく、工具寿命の向上によるコスト削減や導入のハードルが低いメリットが挙げられます。

Cimatronの導入は、従来の工程にたった一つ作業を追加するだけで完了するため、複雑な作業を必要としません。

一元管理のデータベースと設計機能を連動できる

Cmatronは、一つのプラットフォームで統合型データベースと各工程の最適化を図るシステムとして活用できます。また、データベースの一元管理と設計機能の連動ができるため、従来の工数を大幅に削減します。

設計業務に必要な3DCADとの連携機能やCAM機能が一体化されているため、Cimatronの導入により、全工程の作業効率の向上を実現している企業も存在します。さらに、サーフェスやソリッドが混在したデータであっても、各工程で作業が可能なので、他のシステムを経由する必要がありません。

Cimatronの評判は?企業導入事例

最後に、実際にCimatronを導入している企業の活用事例を紹介しましょう。

株式会社黒田製作所

株式会社黒田製作所は、プラスチック製品用の射出成形金型の設計・製作を手がけており、今までに自動車のヘッドライトや内装部品用金型を提供している企業です。
特に精度やデザイン性が求められる部品の金型製作に強いため、直彫り仕上げ加工や放電加工など数値基準の生産方式を採用しています。

同社では、他社のCADを使用していましたが、納期に間に合わない事態が多くなったため、業務改善のためにCimatronの導入に至りました。
現在では、5台同時に稼働中で金型用電極のモデリング設計に活用しています。

Cimatronの電極モジュールには、加工用データを並列に流すモデリング機能が備えられているため、業務の効率化を実現しています。

また、CAD初心者の社員でも、電極設計について学べばすぐに使えることが画期的だったようです。同社の課題は、モデリング以外にも部分電極を切削した後の検査工程にありました。
従来では属人的な作業が続いていましたが、生産の段取りが遅れてしまう課題を抱えていたため、人がいない夜間に加工と測定の稼働を検討しました。
Cimatronには、電極モジュールと連携した測定機能があるため、仕組みを重視して導入した結果、生産性の向上と残業時間の削減に成功しています。

なお、今まで紙で管理されていた測定結果をペーパーレス化に移行したため、データを活用して業務の可視化を目指しています。

丸一株式会社

丸一株式会社では、水回りのパーツからシステム開発を行う中で、曲面形状の設計に課題を抱えていました。同社では、3DCADで設計が可能なソフトウェアを使用していましたが、ソリッドとサーフェスを個別に選択しなければなりませんでした。

結果的に自由曲面の設計に膨大な工数がかかるため、製品開発の課題として挙げられていました。課題解決のために、モデリングの機能性の高さが決め手となりCimatronの導入を行いました。

既存のソフトウェアでは描きにくい曲面形状やスイープ形状の製図が容易になり、工数の削減に成功しています。AutodeskのCADファイルをインポートしてから3D化に移行する作業が楽になり、細かい修正をサポートする機能を活用することで業務改善を実現しています。

今後は、Cimatronを活用して、複雑な形状やデザイン性を備えた曲面の多い製品開発に取り組むようです。

クリエイティブテクノロジー株式会社

クリエイティブテクノロジー株式会社は、自動車用の大型プラスチック部品の設計と製造を行っている企業です。量産金型に限定せずに大型試作金型や開発用金型にも参入していましたが、3DCADとCADシステムにおける設計のソリッド化に出遅れていました。

改めてソリッド設計を導入するにあたって、同社で運用している設計基準書の見直しや標準化への取り組み、インフラの整備の必要性が課題となりました。この課題解決のために、Cimatronを導入することを決定したようです。

正式に導入するまでに経験者のノウハウを集結する必要があったため、準備期間は1年かかりましたが、運用後は早期に業務改善の効果を感じられているようです。ソリッドによるモデリング機能により、面トリムの作業工程が大幅に改善されています。

また、形状作成や変更が容易になり、面抜けやトリム忘れを削減することに成功しています。
帳票変換プログラムを活用することで、膨大な工数がかかる電極加工図面と放電用帳票の自動作成ができるため、本来の工程から3割短縮を実現しています。

他にも、冷却回路や穴の設計において、従来の方法では不可能だった傾斜の穴あけが可能になり、干渉チェックを含めてミスが激減しています。Cimatronで一元化されたデータ管理により、紙ベースの図面や指示書を5割以上廃止したようです。

現在では、海外企業との分業の際にCimatronを活用した協業を進めています。
打ち合わせの際に3D図面を見てもらうことで、綿密に詰められるため、確定までの時間短縮を実現しています。

その他に評判がいいCAMソフト

その他に評判がいいCAMソフト

Cimatronの他にも評判が良くて人気のCAMソフトには「Fusion 360」があります。
Fusion 360は、CAMの他にCAD・CAEも使える便利なソフトにも関わらず、他ソフトより非常に安価で使うことが可能です。

コストパフォーマンスも非常に良く、日本でもどんどん人気が上昇しているソフトなので一度無料体験版で使用するのも良いでしょう。30日間無料で使えるので、自社のCAMとして利用できるかどうかその期間にたっぷり試すことができます。

CAMソフトの導入で悩んでいる方は、ぜひ無料で一度使ってみてください。

Fusion 360のCAMライセンスはこちら

まとめ

Cimatronを導入するメリットから機能と企業の導入事例まで解説しました。

実際に導入している企業の事例を見ると、大幅な工数の削減や時間短縮に成功していることから、Cimatronの導入効果がかなり大きいといえます。
これからCimatronの導入を検討する場合は、自社の課題を明確にするところから始めましょう。

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