「CAD製図を学びたいけれど、独学では限界を感じている」「専門学校で学べる内容や入学前に準備すべきスキルが知りたい」と悩む方は少なくありません。実際、製造業や建築業界ではCADの知識と実務スキルが必須とされ、正確で効率的な設計を行える人材が求められています。
しかし、CADソフトは操作範囲が広く、図面作成のルールや業界ごとの基準も理解する必要があるため、自己流では効率的に習得するのが難しいのが現実です。
そこで本記事では、CAD製図専門学校で学べる具体的な内容や、入学前に最低限覚えておくと学習がスムーズになるスキルについてわかりやすく解説します。
CAD製図専門学校とは?
CAD製図専門学校とは、建築・機械設計などものづくり分野で必要なCAD技術や製図技能を専門的に学ぶ学校です。CADは、複雑な計算や構造検証をコンピューター上で自動化できるため、従来の手描き作業に比べて効率よく正確な設計が可能になります。
しかし、CAD製図専門学校にも学習できる内容・習得できるスキルは異なるため、CAD製図専門学校で学習できる内容を理解した上で自分に適した学校を選ぶ必要があるのです。
CAD製図専門学校で学習できる内容

先述した通り、CAD製図専門学校で学習できる内容は異なりますが、CADソフトを使った製図技術や設計の基礎理論を学習できるのは変わりません。ここでは共通して学べる内容を3つ紹介します。
- CADソフトの操作スキル
- 製図規格・設計図面の読み取り
- 材料力学・設計基礎知識
①CADソフトの操作スキル
CAD製図専門学校では、AutoCAD、SolidWorks、Revitなど、業界で使用されるCADソフトの操作スキルを学習します。学生は2次元製図から3次元モデリングまで、設計に必要なソフト操作を習得し、機械部品や建築図面などの精密な設計図を作成できる技術を身につけます。
これにより、実務で求められる各種CADツールを使いこなす力が養われ、卒業後すぐに現場で活用できるようになるのです。また、近年ではBIMや3次元モデリングの基礎教育に力を入れる学校も増えており、最新の設計手法も学習できます。
おすすめのCADソフトについては以下の記事で紹介していますので、参考にしてください。
②製図規格・設計図面の読み取り
CAD製図専門学校では、設計図面を正しく読み書きする知識も重点的に学びます。建築や機械設計で使われる図面はJISなどの標準規格に基づいて作成されるため、図面のルールや寸法記入法、線種・文字の使い分けなど「製図学の基本概念」を習得。
講義では建築図面の作成方法やCAD特有の注意点も学び、設計者の意図を正確に伝えられる図面を描く力を養います。製図規格の学習により、実務でも通用する精度の高い図面作成能力が身につきます。
③材料力学・設計基礎知識
設計には機械や建築物の強度・耐久性を保証するための基礎知識も必須です。CAD製図専門学校では、材料の特性や応力・変形の計算といった材料力学や構造力学の基礎を学びます。
設計者には複雑な力学的知見が要求されるため、学校で学ぶ力学の基礎は設計を実際の形で実現する際の判断力に。CAD上で作成した3Dモデルが実際の製品や建造物として成立する理由を理解し、より安全で精度の高い設計が行えるようになります。
CAD製図専門学校の選び方

CAD製図専門学校を選ぶ際は、以下3つのポイントを留意しましょう。
- 学べる分野・ソフトの種類を確認する
- 実習・演習の数が多いか
- 資格取得や就職サポートの有無
- CADに生成AIを活用できるスキルが習得できるか
①学べる分野・ソフトの種類を確認する
CADといっても、建築・機械・インテリアなど分野ごとに必要なソフトやスキルが違います。まずは「自分がどの分野で活躍したいか」を考え、その分野に合ったソフトを学べる学校かどうかをチェックしましょう。
以下の表は選ぶ際の具体例です。
| 自動車・機械設計系を目指す場合 | SolidWorks、Inventorなどの3D CAD |
| 建築・住宅業界を目指す場合 | 平面図や構造図を作るためにAutoCADやVectorWorks |
| インテリアやデザイン系を目指す場合 | 3ds Max、SketchUpなどデザイン表現に強いソフト |
学校によって学べる分野やソフトは違います。入学前に「学科の内容」「対象ソフトの種類」を確認して、自分のキャリアに直結する学校を選ぶのがポイントです。
②実習・演習の数が多いか
CADの操作スキルは、座学だけで身につきにくい分野です。実際に手を動かして図面を引いたり、モデルを作ったりしてこそ理解が深まります。そのため、実習や演習の割合が多い学校を選ぶことが重要です。
CAD製図専門学校の中には授業の約6割以上を実習に充てているところもあり、教科書や講義だけでは学べない実践的なスキルや現場で役立つノウハウを効果的に習得できます。
実習を多く経験しておけば、卒業後すぐに即戦力として働ける力を身につけやすくなるため、入学前には必ず実習・演習の数を確認しておきましょう。
③資格取得や就職サポートの有無
CAD製図専門学校に通う目的は単に知識や技術を学ぶだけでなく、その後のキャリアに直結させることにあります。そのため、資格取得のサポート体制や就職支援の充実度は学校選びにおいて比較する要素の1つです。
例えば、CAD利用技術者試験や建築CAD検定などの資格対策講座が組み込まれている学校であれば、学んだ知識を資格として証明できるため就職活動で有利に働きます。
特に20〜30代でキャリアチェンジを考える方は、サポート体制が就職成功率を左右するため、必ずチェックしておくべきポイントといえるでしょう。
④CADに生成AIを活用できるスキルが習得できるか
CAD製図専門学校を選ぶ際には、「生成AI」を活用した設計支援が学べるかどうかも重要なポイントです。生成AIは、手書きのスケッチから自動で3Dモデルを生成したり、設計案を複数パターン提示したりと、従来のCADでは実現が難しかった効率化を可能に。
そのため、専門学校のカリキュラムに「AIによる自動設計補助」や「AIとCADソフトの連携演習」などが含まれているかを確認すると、将来の実務でアドバンテージになります。初心者にとっては、基本的な操作だけでなくAIを活用する視点を早い段階で習得しておくことで、設計の幅が広がります。
CAD製図専門学校へ入学する前に覚えておくべきスキル

未経験から専門学校に入る場合、覚えておきたいスキルは、CADの基本操作スキルです。ここでは、建築業界や製造業界でも特に使用され、世界でもトップクラスのシェアを誇る「AutoCAD」について、画像付きで解説します。
以下は、AutoCADの作図をする初期画面です。簡単に言えば作業場のようなものです。

基本的には画面左のコマンドを用いて、作図を実施していきます。今回は円を描けるようになっておきましょう。まずは、画面左上にある円のコマンドをクリックします。

実際に円を描いていきましょう。円を描くときは、以下2つの方法があります。
- マウスをスクロールする
- 円の半径を入力する
今回はマウスを動かして円を描いていきます。円を描くことができました。

長方形を描きたい場合も、円を書くのと同じようにします。

まずは「何かを作る」というよりは、操作に慣れることが重要です。AutoCADの購入を検討している方は、以下のリンクから見積もりをチェックしてみてください。
おすすめのCAD製図専門学校4選

おすすめのCAD製図専門学校を紹介します。どの学校に行くか迷っている方は、参考にしてください。
- 古藤学園
- 日本工学院専門学校
- 東京デザイン専門学校
- 大阪ハイテクノロジー専門学校
①古藤学園
古藤学園CAD製図専門学校は埼玉県越谷市にあり、創立80年以上の歴史を持つ老舗のCAD製図専門学校です。建築や設計に特化しており、1クラスは約15人と少人数制で、女性の割合も約3分の1を占めているため、初めてCADを学ぶ人でも講師から指導を受けやすい環境が整っています。
まず手描き製図の基礎をしっかりと学び、1年目にはCADソフトの操作に慣れることを中心に、2年目にはCGやIT技術を活用した高度な演習や資格試験対策へと進んでいきます。また、学費をサポートする独自の制度やノートパソコンの支給など、経済的な負担を軽減する仕組みも整っているため安心して学習に専念できる点も魅力です。
②日本工学院専門学校
日本工学院専門学校は東京の蒲田キャンパスと八王子キャンパスを拠点とする大規模なCAD製図専門学校で、CADを本格的に学べる環境が整っています。2年から4年制のコースがあり、基本的な2次元CADだけでなく、最新の3次元CADまで幅広く学習できるため、基礎から応用まで段階的にスキルを身につけたい人に適しています。
学科ごとに学べるソフトが異なり、機械設計科ではAutoCADやSolidWorks、建築関連学科ではAutoCADやVectorWorksなど業界標準のツールを扱うカリキュラムが組まれています。
③東京デザイン専門学校
東京デザイン専門学校は、東京・原宿にキャンパスを構えるクリエイティブ分野に特化したCAD製図専門学校で、CAD製図の知識をデザインの現場で活かしたい人に適しています。
学科はグラフィックデザインやイラスト、マンガ・アニメなど合計9分野に分かれており、自分の興味や将来の進路に合わせて幅広く選択できるのが特徴です。デザイン性と実務性を両立して学びたい学生にとって適した学校といえるでしょう。
④大阪ハイテクノロジー専門学校
大阪ハイテクノロジー専門学校のAI(人工知能)学科では、実際に手を動かしながら学ぶ実習を重視しています。AIの数理やプログラミングの基礎から始まり、ロボット制御や3D CAD、機械設計にも触れながら、生成AIを含む最新のAI技術を現場で活かせる力を養います。
また、学生主体のプロジェクト活動が盛んで、自分のアイデアを形にし、AI活用や設計の現場経験を積むチャンスが豊富なのも魅力です。
短期間でCADを学習するならセミナーを受講しよう

CAD製図専門学校に入学するには費用・時間がかかります。本記事を読んでいる方の中には「専門学校に通う時間がない」「お金をかけずに学習したい」という方もいるでしょう。
そこで短期間でCADを学習できるおすすめのセミナーを3つ紹介します。
- AutoCAD基礎セミナー講習
- Autodesk Fusionセミナー講習
- 生成AIセミナー
①AutoCAD基礎セミナー講習
AutoCAD基礎セミナー講習は、未経験からでも2D製図の基本から応用操作まで理解できる短期講習で、線や円などの基本図形の描画、オブジェクトの編集、画層設定や注釈記入といった実務で必須の操作を体系的に学べます。
ブロックの活用やレイアウト設定、データ管理まで幅広く習得できるため、受講後には実際の業務で即活用できるレベルに到達できます。受講者には228ページに及ぶオリジナル教材「AutoCAD完全攻略セミナーガイド」が配布されるため、講習後の復習や実務での参考書として長期的に活用でき、短期間で確実にスキルアップを目指したい方におすすめの内容です。
| セミナー名 | AutoCAD基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
②Autodesk Fusionセミナー講習

Autodesk Fusionセミナー講習は、3DCAD未経験者でも基本操作から応用技術まで網羅的に学べる短期集中講習です。
スケッチからのモデリング、パラメトリック設計、3Dモデルからの図面作成やクラウドデータの活用方法に加え、実務で欠かせない高度機能までを体系的に習得できる点が特徴です。
特にFusion特有のサーフェスモデリングやフォームモデリングにも触れるため、より柔軟で高度な設計ができる力が養われます。さらに受講者にはAutodesk公認の修了証明書が発行されるため、学習の成果を資格として証明でき、就職やキャリアアップの際にも使用可能です。
| セミナー名 | Autodesk Fusionセミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 41,800円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
③生成AIセミナー

CAD製図専門学校だけでなく、将来CADを使用して仕事する場合は、AIを使いこなせる技術・スキルも必要です。そこでおすすめなのが、生成AIセミナーです。
生成AIセミナーは、未経験者でも基礎から応用まで一気に習得できる短期集中型の講習であり、基礎編では生成AIや大規模言語モデル(LLM)の仕組み、機械学習やディープラーニングの基礎、ChatGPTやCopilotを使った実践的なプロンプトエンジニアリングまでを網羅。
応用編はCanvaやVizcom、Claudeなどの生成AIツールを用いたハンズオン演習、自社独自のChatGPT構築、業務活用におけるリスクと対策、ノーコード・ローコードでの専用AI開発まで実践的に学べる内容となっています。
| セミナー名 | 生成AIセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・eラーニング |
CAD製図専門学校についてのまとめ
CAD製図専門学校は、CADソフトの操作技術から製図規格・構造力学に至るまで、ものづくりに必要な技術と知識を体系的に学ぶことができます。先述した通り、CAD技術は建築・自動車・製造業など幅広い分野で必須とされており、習得すれば就職やキャリアアップで有利に。
また、学校選びでは、自分が目指す分野に適したカリキュラム内容や実習環境、サポート体制をよく確認することが重要です。本記事で挙げた学校やポイントを参考に、CAD製図専門学校を選択しましょう。