「社員にCADを習得させたいが、社内に教育できる人材がいない」「新入社員へのCAD教育に十分な時間を確保できない」と悩む企業の担当者も多いでしょう。
CAD教育を進めるには、自社の業務で必要な操作や製図の知識を整理し、社員の経験に合わせた教育計画を立てることが大切です。そこで本記事では、企業で取り入れやすいCADの教育方法5選を紹介します。
あわせて、教育計画の立て方から実務への定着までの進め方、効率的に社員を育成するポイントも解説します。
CADの教育前に決めておくべきこと

CADの教育を始める前に、自社で必要なスキルと社員の習熟度を把握し、教育の目標や実施体制を決めておきましょう。
「CADを使えるようにする」という曖昧な目標では、教える範囲が広がり、指導担当者の負担も増えやすくなります。事前に決めておきたい項目は以下の通りです。
| 決めておくこと | 具体的な内容 |
|---|---|
| CAD教育の対象者 | 対象者と現在のスキルを整理する |
| 到達目標 | 図面の修正、部品図の作成、3Dモデリングなど |
| 使用するCADソフト | 自社で使用するソフトとバージョンを確認し、教育用のパソコンやライセンスを準備する |
| 教育内容 | 基本操作、製図の知識、社内の図面ルールなど |
| 期間と予算 | 習得期限と教育費を考えておく |
CADの教育では、研修の受講時間だけでなく、演習や復習の時間も組み込みましょう。社員の理解度を確認しながら内容や日程を調整することで、学んだ操作を実務に定着させやすくなります。
CADの教育方法5選
企業で取り入れられるCAD教育の方法は、主に以下の5つです。
- 社内研修でCADの基本操作と共通ルールを教える
- OJTで実務に必要なCAD操作を身につけさせる
- 企業研修で自社の課題に合わせて教える
- eラーニング・通信教育で継続的に学ぶ
- CADスクールで専門的な教育を受けさせる
①社内研修でCADの基本操作と共通ルールを教える
社内研修は、CADの操作に詳しい社員が講師となり、対象者を集めて教育する方法です。新入社員に基本操作をまとめて教える場合や、部署内で図面の作成ルールを統一したい場合に向いています。自社で使用しているCADソフトや図面を教材にできるため、実際の業務に沿って指導しやすい点が特徴です。
社内のCAD教育では、主に以下の内容を扱うとよいでしょう。
- 作図・編集・寸法記入などの基本操作
- レイヤー名や線種、文字サイズなどの社内ルール
- 図面の保存先、ファイル名、修正履歴の管理方法
ただし、CADを使いこなせる社員が、教えることにも慣れているとは限りません。教育担当者だけに準備を任せず、教材作成や研修に必要な時間を業務として確保しましょう。
②OJTで実務に必要なCAD操作を身につけさせる
OJTは、先輩社員の指導を受けながら実際の仕事に取り組む教育方法です。CADの基本操作を学んだ社員が、現場で必要な判断や作業手順を身につける段階に適しています。社内研修で共通知識を教えた後、OJTで担当業務への応用を学ぶ流れにすると、教育内容をつなげやすくなります。
| 段階 | 任せる業務の例 |
|---|---|
| 初期 | 既存図面の文字や寸法の修正 |
| 中期 | 見本を参考にした部品図・部分図の作成 |
| 応用 | 指示書に基づく図面作成と修正対応 |
指導担当者によって教え方が変わると、社員が混乱する原因になります。確認項目を共通化し、作業後に短い振り返りの時間を設けることが大切です。
③企業研修で自社の課題に合わせて教える
企業研修は、外部の講師を招き、社員向けにCAD教育を実施する方法です。研修会社によってはオンラインでの実施にも対応しています。複数の社員に同じ内容を教えたい場合や、通常の公開講座では自社の業務に合う内容が見つからない場合におすすめです。
ただし、教材や演習内容をどこまで変更できるかは、研修会社や契約内容によって異なります。自社図面を使った演習の可否や情報の取り扱い、パソコン・ライセンスの準備範囲を事前に確認しましょう。
④eラーニング・通信教育で継続的に学ぶ
eラーニング・通信教育は、動画やテキスト、課題を使って学ぶ教育方法です。社員が異なる拠点で働いている場合や、全員を同じ時間に集めることが難しい企業に向いています。CADの操作動画を停止・再生しながら手元で練習できる教材なら、理解度に合わせて学習を進められます。
一方で、教材を配布するだけでは、学習が後回しになったり、不明点を解消できずに止まったりすることがあります。CAD教育として運用する際は、学習を支える仕組みも整えましょう。
⑤CADスクールで専門的な教育を受けさせる
CADスクールは、専門講師によるカリキュラムに沿って学ぶ教育の仕方です。社内にCAD教育を担当できる社員がいない場合や、新しいCADソフトを導入する際の基礎研修として活用できます。必要な社員を少人数ずつ受講させたい場合にも検討しやすい方法です。
ただし、さまざまなCADスクールがある中で「どんなスクールが良いかわからない」「なるべく短期間で利用したい」という企業も多いでしょう。その場合は世界でもトップシェアを誇るAutoCADの操作が学べる「AutoCAD基礎セミナー」の受講を検討してみてください。
AutoCAD基礎セミナーでは、AutoCADの基本操作から図面作成までを学べるハンズオンセミナーで、短期間で業務効率化に活用できる操作方法を習得できます。社員研修としても活用でき、実際に受講した企業からは「初心者でもわかりやすい講座だったので即戦力となってくれて非常に助かります。」と口コミが寄せられています。
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| セミナー名 | AutoCAD基礎セミナー講習 |
|---|---|
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| 価格(税込) | 29,700円〜 |
| 受講期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
初心者向け|CADの教育の進め方

ここからは、初心者向けのCAD教育の進め方を4つのステップで解説します。
- CADの用途と図面の基礎知識を教える
- 同じ操作を練習させる
- 見本の図面や3Dモデルを再現させる
- 自社のルールに沿って図面を修正・作成させる
①CADの用途と図面の基礎知識を教える
最初に、自社でCADをどのような業務に使っているかを説明します。実際の図面と、その図面をもとに作られた製品や建物の写真を見せると、社員が学習の目的をイメージしやすくなります。「誰が図面を受け取り、何に使うのか」まで伝えましょう。
初心者向けのCAD教育では、専門用語を一度に覚えさせるよりも、見本の図面を確認しながら説明する方法が適しています。簡単な図面から形状や寸法を読み取れることを、この段階の到達目標にしましょう。
②同じ操作を練習させる
図面の基礎を理解したら、CADソフトを起動し、画面の見方や基本操作を教えます。教育担当者が一通り操作して見せるだけでは、社員が手順を覚えきれないことがあります。最初のCAD教育で扱う操作と練習内容の例は、以下のとおりです。
- ファイルの新規作成・保存
- 拡大・縮小・画面移動
- 線・円などの作図
- 選択・移動・複写・削除
練習後は、手順を見ずに同じ課題へ取り組んでもらいます。操作に迷った場合はすぐに答えを伝えず、どこまで理解できているかを確認し、必要な部分を補足してください。
③見本の図面や3Dモデルを再現させる
基本操作を一通り練習したら、見本と同じ図面や3Dモデルを作成する課題に進みます。
例えば、2DCADの教育では、穴の開いた板状部品など、形状が単純な図面を題材にします。3DCADの教育であれば、四角形のスケッチから押し出しで立体を作り、穴を設けるといった課題が考えられます。
この時に、完成したかどうかだけでなく、作業手順も振り返ることが大切です。遠回りになっている操作があれば、別の方法を実演し、同じ箇所を再度練習してもらいましょう。
④自社のルールに沿って図面を修正・作成させる
見本を再現できるようになったら、自社の業務を想定した課題に取り組んでもらいます。CAD教育で学んだ一般的な操作を、社内の図面ルールや仕事の進め方に結び付ける段階です。
まずは、過去の図面を練習用に複製し、寸法変更や部品の追加など、範囲を限定した修正を指示します。慣れてきたら、簡単な指示書をもとに図面を作成する課題へ進めましょう。
以下の記事では、独学の方法も紹介しています。「どのように教育していいかわからない」という方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
CADの教育を効率的に実施するポイント

企業でCADの教育を効率的に進めるには、社員が学びやすい環境と、指導担当者に負担が集中しない仕組みを整えることが大切です。ここでは、ポイントを2つ紹介します。
- 社員の習熟度に合わせて教育内容を分ける
- 何度も同じ箇所を復習させる
①社員の習熟度に合わせて教育内容を分ける
CAD教育では、受講する社員全員に同じ内容を教えるよりも、経験や理解度に合わせて学習内容を調整しましょう。図面を読む知識がある社員と、製図そのものが初めての社員では、説明が必要な内容が異なります。
教育前にアンケートや簡単な操作課題を実施し、
- 図面を読めるか
- 既存図面を修正できるか
などを確認しましょう。その結果をもとに、初心者には製図の基礎と基本操作、経験者には苦手な操作や応用課題を割り当てます。
②何度も同じ箇所を復習させる
CAD教育では、一度教えた操作も時間を空けて繰り返し練習させましょう。研修中にできた操作でも、業務で使う機会が少なければ、手順を思い出せなくなることがあります。
記憶と時間の関係を示した研究として、エビングハウスの忘却曲線があります。これは、学習直後にすでに忘却は進んでおり、何度も同じ内容を復習することで記憶を定着させることができると示したものです。

復習の間隔は社員の理解度に合わせて調整し、安定して操作できるようになったら少しずつ延ばすと、苦手な箇所に教育時間を充てやすくなります。
CADの教育方法についてのまとめ
企業のCAD教育で目指すべきなのは、社員が自社の図面ルールを守り、任された作業を自力で進められる状態です。そのためには、学習・演習・復習の時間を業務の中に確保する必要があります。
まずは、社員に任せたい作業を一つ決め、その作業に必要な操作と確認事項を整理しましょう。社内だけで指導する余裕がなければ、基礎の習得に外部講習を活用し、自社では実務課題の指導に集中する方法もあります。ぜひ本記事を参考に自社に合った教育方法を検討してみてください。