誰でも気軽に3DCGが作れるBlenderは、多くのユーザーに利用されています。
2021年にはBlenderの最新バージョンがリリースされ、従来のBlenderとは機能などの面でいくつかの違いがあります。
ここでは、このソフトの最新バージョンであるBlender3.0について、以下のことを詳しくご紹介します。
Blender3.0とは
Blender3.0とは、世界中に多くのユーザーがいる3DCGソフト「Blender」の最新バージョンです。オープンソースのソフトウェアであるため、無料でダウンロードできます。
Blender3.0は統合型の3DCG製作で、3DCGだけでなく2次元のアニメーションを作ることも可能です。視覚効果用の映像をデジタル合成できる機能も搭載されています。動画を編集するための機能も利用できるので、Blender3.0があればさまざまなタイプの映像を自由に作れます。
Blender3.0の4つの特徴
Blender3.0には、主に以下4つの特徴があります。
- 特定の目的で使用するためのテンプレートが揃っている
- 一般的な3DCGソフトと比べて軽量である
- 幅広い種類のユーザーがいる
- さまざまなOSで使用できる
特徴①特定の目的で使用するためのテンプレートが揃っている
Blender3.0の特徴は、特定の目的で使用するためのテンプレートが揃っていることです。
3DCGを製作できるモードでは、3Dモデリングの他に、アニメーションやモーショングラフィックスなどの以下の機能が搭載されています。
- 2次元アニメーションを製作する時に利用するベクターペイントや中割りの機能
- 特殊効果のためのデジタル合成で利用するマスキングやキーイングなどの機能
- 動画編集のために使用できるプロキシ編集の機能
特徴②一般的な3DCGソフトと比べて軽量である
Blender3.0の特徴のもう一つの特徴は、一般的な3DCGソフトと比べて軽量であることです。軽いのに使用できる機能が豊富にあることも、Blender3.0の特徴です。
特徴③幅広い種類のユーザーがいる
幅広い種類のユーザーがいることもBlender3.0の特徴です。
映像製作を仕事にしている人が仕事のために使用しているだけでなく、一般の人も多く使用しています。
特徴④さまざまなOSで使用できる
Blender3.0はさまざまなOSで使用できます。WindowsやmacOSの他に、Linuxでも使用できるマルチプラットフォームの3DCGソフトです。
Blender3.0をインストールして使用するためには、パソコンが必要なスペックを満たしている必要があります。CPUは64ビットCPUであることが必要で、メモリは32ギガバイト以上のものが推奨されています。
Blender3.0の3つの機能
Blender3.0には、3DCGを製作するために役立つ3つの機能が搭載されています。主に以下のような機能です。
- 3Dモデルを制作出来るモデリング機能
- モデリングで製作した3Dモデルに質感をつけるための機能
- 製作した3Dモデルを動かせる機能
機能①3Dモデルを制作出来るモデリング機能
3Dモデルを製作できるモデリングの機能も搭載されていて、さまざまな形状の3Dモデルを自由に製作できます。Blender3.0のモデリング機能には、「オブジェクトモード」と「エディットモード」の2種類があります。
オブジェクトモードは、オブジェクト単位で3Dモデルを製作したい時に使用できるモードです。
オブジェクトを構成している各部位を変更したい場合に使用できるのがエディットモードです。この2つのモードを使い分けながら、3Dモデルを製作できます。
機能②モデリングで製作した3Dモデルに質感をつけるためのマテリアル機能
Blender3.0には、モデリングで製作した3Dモデルに質感をつけるための機能も搭載されています。モデリングで製作しただけの3Dモデルは特定の形をしているオブジェクトに過ぎませんが、質感をつけることでより本物の生物や物体に近づることが可能です。
Blender3.0ではマテリアル機能を使用して、3Dモデルに質感をつけられます。マテリアルを変更することで、色だけでなく光の反射度合いも変えられます。
また、透過の程度を変更できる機能もあります。これらの機能を使用することで、3Dモデルに人間の肌の質感をつけられれば、金属や木材の質感もつけられます。
機能③製作した3Dモデルを動かせる機能
Blender3.0には、製作した3Dモデルを動かせる機能も搭載されています。3Dモデルを上下左右に移動させる方法により、アニメーションをつけられる機能もあります。また、モデルを回転させたり拡大縮小させながら、動かせる機能もあります。
3Dモデルに骨格を埋め込んで動かすこともでき、骨格を構成している関節部分を動かせば、3Dモデル全体を自然に動かせます。
従来のBlenderとの違い
Blender3.0は、従来のBlenderとはいくつかの点で違いがあります。
- ユーザーインターフェイスの変更
- ファイルの書き込みをする機能の変更
- ファイルの圧縮機能の変更
- ビューポートの機能の強化
- ノードの設計に関する機能の変更
- シャドウターミネーター機能の改善
- レンダリングエンジンの性能の変化
- ノイズを減らすための機能の改善
- OpenCLへの未対応
ユーザーインターフェイスの変更
ソフトの操作性に大きな影響を及ぼすユーザーインターフェイスは、従来のBlenderとは異なっています。
外見的に大きな変更はありませんが、ツールバーの位置などが従来のBlenderの仕様から若干変更されています。
従来のバージョンでは、メニューバーの上部にツールの設定ができるバーが置かれていましたが、Blender3.0ではメニューバーの下側にツール設定用のバーが置かれるようになりました。この変更によって、使用する機会の多かったメニューバーが使いやすくなっています。
ファイルの書き込みをする機能の変更
ファイルの書き込みに関する機能も、従来のBlenderとは異なります。
blendファイルを読み込むスピードが大幅に速くなっていて、同一のライブラリから多くのリンクするデータブロックを持っているファイルを読み込むとき、従来よりも時間をかけずに実行可能です。
ファイルの圧縮機能の変更
ファイルの圧縮機能も一部変更されていて、「Zstandard」を使用した圧縮形式でのファイル保存ができるようになっています。
ファイルの読み込みがZstandardのアルゴリズムに対応しているので、圧縮した後のファイルサイズを変えずに保存や読み込みの時間を短くできるようになりました。
ビューポートの機能の強化
Blender3.0は、ビューポートの機能も従来の製品より強化されています。
ビューポートの応答性が改善され、レンダリングをより速くできるようになりました。
ノードの設計に関する機能の変更
ノードの設計に関する機能も変更されていて、新しいシステムも搭載されています。
およそ100種類の新しいノードを追加したことにより、よりさまざまな操作ができるようになりました。
シャドウターミネーター機能の改善
シャドウターミネーターという機能も改善されていて、従来のバージョンよりもアーティファクトを少なくできます。シャドウキャッチャーの機能も向上しているので、画像の合成もしやすくなっています。
レンダリングエンジンの性能の変化
Blender3.0は使用されているレンダリングエンジンの性能も、従来のBlenderとは異なります。歴代のBlenderにはCyclesというレンダリングエンジンが使用されてきましたが、Blender3.0では「Cycles X」というレンダリングエンジンが新たに使用されています。
Cycles Xは従来のCyclesと比較して、レンダリングエンジンとしての性能が大幅に強化されています。レンダリングが従来のBlenderよりもスピーディーにできるようになり、より快適にレンダリング可能になりました。
ただし、高速で処理をするためにメモリを多く使用します。
ノイズを減らすための機能の改善
ノイズを減らすための機能も、Blender3.0では改善されています。ノイズを減らすために従来のBlenderにはデノイザーという機能が搭載されていましたが、この機能がさらに使用しやすくなっています。従来のデノイザーはサンプル数を一定数まで減らしてからデノイザーの機能を使ってノイズの処理をしていましたが、Blender3.0ではサンプル数のかわりに、ノイズしきい値を変更できるようになりました。ノイズしきい値を変更することで、レンダリングにかかる時間を短縮できます。
OpenCLへの未対応
BlenderではOpenCLに対応していましたが、Blender3.0では未対応となりました。
OpenCLはAPIの種類の一つで、GPUをコントロールするために使用されていましたが、保守が困難になったことから、対応しないようになりました。そのかわりにBlender3.0では、HIPというAPIを使用してレンダリング可能です。
3DCGを無料で作成できるBlender3.0を使ってみよう
無料で3DCGを製作できるBlender3.0は、映像製作のプロからアマチュアまでさまざまな人に利用されています。Blenderの最新バージョンであるBlender3.0は2021年に公開され、従来のBlenderよりも各種の機能が改善されていることをご説明しました。
このソフトを使用した3DCG製作に興味のある方は、ぜひダウンロードしてみてはいかがでしょうか。