CADソフトが登場し、ものづくりの現場が変わったといわれます。
現在では、専門分野に特化したものも登場していますが、その一つがAutodesk社のinventorです。
そんなInventorとはどんなソフトなのでしょうか。
今回はInventorの特徴や価格とともに、導入手順や活用事例もご紹介します。
Autodeskが出しているInventorとは
Inventorとは、Autodesk社が1999年にリリースした3次元CADソフトで、主に機械設計に強みを持っています。
3次元CADソフトは、汎用性のあるものだけでなく、特定の分野での使用を意識した製品も出されていますが、自動車や家電などを含む機械や製品開発の分野に特化しているのがInventorです。
Inventorには、3次元の機械設計のほか、3次元をベースにした図面制作やシミュレーションなども行えるようになっています。
Inventorの大きな特徴
Inventorの大きな特徴は、機械設計や製品開発の分野で、特に使用が望まれる機能がとりそろっていることにあります。
例えば、近年登場した3DプリンターにInventorで作成したデータを流して出力し、試作品などを作ることができるので、製品開発期間の短縮に役立っているようです。
Inventorが大規模設計に向いていることも、利用を後押ししています。Inventorには、設計プロセスを標準化・自動化してプログラムを書き換えることが可能な「iLogic」という仕組みがあり、同じ形状で大きさが異なるモデルを組み立てまで再構成できる点が、業務効率アップに寄与しています。
連携の良さもInventorの特徴といえるでしょう。AutoCADだけでなく、Autodesk社が出しているFusion 360やRevitとも組み合わせて使用できるようになっています。
このことで、2次元製図からでも、複雑な形状のモデルであっても、Inventorに取り込んで組み立てができるので、使用範囲が広がるに違いありません。
ビューアを使うと、Inventorで作成したモデルを共有しやすい点も、取引先とのやり取りを含めた共同作業に適しています。
Inventorの価格
そんな3DCADソフトInventorの価格は2023年版で
- 月額46,200円
- 年間で367,400円
- 3年契約で1,102,200円
と契約期間が長くなるほどお得になります。
注目したいのは、サブスクリプションにはめずらしい月額契約設定があることです。短期間だけ使いたいというニーズにも応えているのが、Inventorです。
さらに、Inventorでは30日間の無料体験版を用意しているほか、購入後30日間の返金保証も用意しています。
試しに使ってみてから購入を考えることもできますし、購入後のコスト面でのリスクも抑えられます。なお、Inventorは、学生や教員、教育機関などには無償提供されています。
Inventorの価格については下記記事でも詳しく解説しています。
AutodeskからInventorを導入する手順
こちらでは、Autodesk社のホームページからInventorをダウンロードし、使用を開始するところまでを、体験版を例にとり、簡単に紹介します。
なお、Inventorを利用するには、Autodesk社のアカウント登録が必要です。
Inventorの導入①無料体験版のダウンロード
まず、Autodesk社のホームページを開き、Inventorのページから「無料体験版をダウンロード」ボタンをクリックします。
製品版を使いたい場合は、その下にある価格表示を選択すると購入できます。ボタンをクリックすると、サインイン画面が出るので、Autodesk社のアカウントとを作成していない場合は「アカウントを作成」の文字をクリックし登録します。
アカウントを作成すると、会社名や所在地、電話番号などを入力する画面が開きます。それらをすべて入力するとダウンロードが始まります。
また、Inventorは学生なら無料で使える場合があります。学生の方は下記記事を参考にしてください。
Inventorの導入②インストール
ダウンロードが完了するとインストーラが起動し、Autodesk社の使用許諾及びサービス規約の画面が開きます。
こちらで「次の項目に同意する」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。その後、Inventorをインストールする場所を選択する画面が出ますが、特に変える必要がなければ、「次へ」ボタンを押します。
その後、追加のコンポーネントを選択する画面が出るので、使いたいものを選び、「インストール」ボタンを選択します。
なお、Inventorは、インストール途中から製品を使うことが可能です。「開始」ボタンが表示されたら、その時点からInventorを使うことができます。
Inventorの導入③チュートリアルのダウンロード
Inventorを初めて使う方は、インストールが終了した時点でチュートリアルをダウンロードし、基本操作をマスターするとよいかもしれません。
その場合は、Inventorを起動してサインインします。サインインの時点で2段階認証の設定が求められますが、「後で」を選んでも実行できます。
画面に「体験版の使用を開始しますか?」と出たら、「使用開始」を選ぶと体験版が起動し、チュートリアルの文言が表示されている下の「今すぐチェック」をクリックします。
新たに表示される画面からチュートリアルデータをダウンロードし、次の画面で「学習を開始」を選択すると、チュートリアルを実行できます。
チュートリアルの初期画面で、「学習を開始」と「作業を開始」が表示されますが、初めてinventorに触れる方は「学習を開始」をクリックし、ダウンロードしたチュートリアルの一覧が表示されたら、学びたい内容を選んで基本操作を習得することをおすすめします。inventorの操作に慣れている方は「作業を開始」を選ぶと、inventorのホーム画面から操作を開始できます。
Inventorの活用事例
Inventorの活用事例は多々ありますが、その中でも効果が上がっているものをいくつか取り上げます。
住宅用ドアメーカーのInventor活用事例
住宅用のドアやシステム収納、和室の建具や内装の部材を製造し、販売しているこちらの会社では、スタンダードな製品と特注品の2種類を製造しています。
一つ一つ図面を作成する必要がある特注品は月に3,000種類に上り、従業員の数で割ると一人当たり月に250枚を仕上げなければなりません。そのような状況で、極端に納期が短いものや複雑な設計の注文に対応するために導入されたのが、Inventorです。
こちらの会社で重宝しているのが、自動設計ツールの「iLogic」です。それまでは、図面を作成するのに1日かかっていたのが、iLogicを使うことで2時間から3時間程度で完成でき、工数削減を実現しました。Inventorを使い、ヒューマンエラーがまったくなくなったことも大きなメリットでした。
さらに、営業部に廉価版である「AutoCAD Plus」を導入し、顧客とのやり取りに実データを使うことで、レスポンスとの速さを実現しています。
電気部品メーカーのInventor活用事例
電気部品製造のため、金型製作を外注しているこちらの企業では、トライアンドエラーを4,5回繰り返しながら完成品に近づけていく手法を取っていましたが、問題を解決できないまま再トライを繰り返すことも多く、多大な工数がかかっていたようです。
ですが、Inventorを導入後は、実際に金型を作成する前に樹脂流動解析で検証を行い、その結果をもとに3dモデルを作り、図面を添えて金型製作工場に発注することで、トライ数を減らし、品質も向上しました。
食品機械メーカーのInventor活用事例
Inventor導入前は、制作する機器の種類などにより2つのCADソフトを使い分けていたものの、設計者の移動や退職などがあると、業務に支障が出るケースが目立っていました。
そこで、Inventorを含むAutodesk社製の製品に統一したところ、設計面での生産性が向上し、業務を平準化するのに役立ったようです。
こちらの会社では、使用開始後しばらくしてから年間契約に移行することで、バージョン統一やライセンス運用など、管理面での効率化も図れました。
Autodesk社のInventorを活用してみよう
Inventorとは、Autodesk社が販売する機械設計や製品開発に特化した3次元CADシステムで、開発規模を問わずに使え、同社の他のソフトとも連携できるといった特徴があります。
Inventorは月単位でも契約可能で、契約年数が長くなるほど、価格が抑えられる仕組みとなっています。
工数削減や納期短縮を実現した活用事例も多く、無料体験版を使ってあらかじめ使用感を確かめてから購入することもできます。
ぜひこの機会にInventorで3DCADのクオリティアップを試してみてください。