日々の設計業務の際に、「もっと専門的な機能が欲しい」と感じることはありませんか?建築、機械、電気設計など、各分野のプロフェッショナルの方であれば、汎用的なCADソフトでは限界を感じることもあるでしょう。
7分野で活用できるAutoCAD Plusは、そんなニーズに応える専門性の高いCADソフトです。
この記事では、AutoCAD Plusの特徴や機能、7つのツールセットについて解説し、AutoCAD Plusについて多角的に解説します。実際の活用事例も紹介するので、AutoCAD Plusの具体的なメリットを知りたい方は、ぜひご一読ください。
AutoCADとは?

AutoCADは、オートデスク社が開発した汎用CADソフトウェアです。1982年に最初のバージョンが発売されて以来、建築、土木、機械といった様々な分野で利用されてきました。
「CAD利用動向調査アンケート」では、AutoCADの利用率は実に38.5%。AutoCADのデータ形式であるDWGとDXFが業界標準となっていることも、その高い普及率を裏付けています。
AutoCADの歴史
AutoCADは、1982年に汎用的な2D/3DCADとして開発されました。
当初、開発元のオートデスク社は、普及戦略としてAutoCADのデータ形式であるDWGと、機能を拡張するためのAPIを積極的に公開しました。このオープンな戦略が奏功し、AutoCADは業界標準としての地位を確立します。
1990年代後半からは、建築設計ソフト会社Softdeskの買収を機に、特定の業種に特化したAutoCAD製品群を展開しました。2016年には、購入形式を永久ライセンスからサブスクリプションへと移行しています。これは、クラウド技術の活用を視野に入れた戦略的な転換でした。
2018年には、AutoCAD Architecture、Electricalといった専門的な製品がAutoCAD本体に統合。そして2021年には、日本版AutoCADが「AutoCAD Plus」としてリブランディングされました。
AutoCAD Plusとは?
AutoCAD Plusは、AutoCADシリーズの最上位に位置づけられる高性能CADソフトウェアです。
AutoCAD Plusは、建築、製造、エンジニアリング、建設をはじめとする多様な業界のプロフェッショナルに向けて開発されました。その専門性と高度な機能により、幅広い分野の設計現場で活用されています。
AutoCAD Plusの特徴
AutoCAD Plusは、従来のAutoCADの全機能に加え、7つの業種専用ツールセット(Architecture、Mechanical、Electrical、MEP、Plant 3D、Map 3D、Raster Design)を統合し、専門分野に特化した充実の機能を提供しています。
専門分野ごとのドアや窓(建築)、ボルトやナット(機械設計)といった標準的な部品や材料のデータが豊富にそろっているので、「データ探しを効率化したい」「ゼロから部品を作るのは面倒」という場合もすぐに利用できます。
近年は、「Autodesk AI」を活用した作業自動化もプラスされ、2024年3月リリースの新バージョン「AutoCAD Plus 2025」では、スマートブロック機能がさらにパワーアップ。作業時間が平均で63%短縮するなど、設計業務の効率化に貢献する革新的ソリューションとして、さらなる進化を遂げています。
AutoCAD PlusとAutoCADとの違い
AutoCADとAutoCAD Plusの違いがよく分からないという声も耳にします。ここでは、主な特徴や価格を一覧表にまとめて比較してみました。
比較項目 | AutoCAD | AutoCAD Plus |
主な機能 | 基本的な2D/3D CAD | 基本機能+7つの業種専用ツールセット |
ライブラリ | 基本的なライブラリ | 業種別の豊富な部品・材料ライブラリ |
AI機能 | 「Autodesk AI」搭載 | 「Autodesk AI」搭載 |
価格/年 | 71,500円 | 231,000円 |
対象ユーザー | 一般的なCADユーザー | 専門分野に特化したCADユーザー |
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以下の記事は、AutoCADの概要や基本の使い方、価格まで幅広く解説しています。「AutoCADとAutoCAD Plusをじっくり比較検討したい」という方はぜひ参考にしてください。
AutoCAD Plusの機能
以下は、最新のAutoCAD Plus 2025の機能をまとめた一覧表です。
AutoCAD Plusが業務にもたらすメリットや、他のCADソフトにはない独自性など、その魅力と特徴を探ってみてください。
機能名 | 概要 |
AutoLISP | AutoCADの操作を自動化する開発環境 |
スマートブロック | ブロックの自動配置と簡単検索 |
オートデスク アシスタント | 機能や設計課題に関するサポート情報を提供 |
自分のインサイト | ユーザーに合わせた作業効率化のヒント表示 |
アクティビティインサイト | 複数ユーザーの設計データの履歴管理 |
マークアップ読み込み/アシスト | 紙やPDF図面上の修正指示の取り込み |
Autodesk Docs連携 | クラウドストレージのAutodesk Docsへの図面保存 |
マルチデバイス対応 | デスクトップ、Webブラウザ、モバイルアプリ対応 |
トレース | 図面を直接編集せずにレビュー |
業種別ツールセット | 各業種向けの専用機能 |
2D/3D設計 | 2次元図面作成と3次元モデリング |
App Store & API | APIを利用してAutoCADをカスタマイズ |
AutoCADの機能は以下の記事で解説しています。「AutoCAD Plusの機能面の違いを詳しく知りたい」という方はぜひ参考にしてください。
AutoCAD Plusの価格
AutoCAD Plusは、7つの専門ツールセットが付属した高性能なCADソフトウェアです。AutoCAD Plus 2025ではAI機能も強化され、日々の設計業務の効率化に大きく貢献するツールへとさらなる進化を遂げています。
そこで気になるのが「価格」ですが、AutoCAD Plusはライセンスを購入するのではなく、利用したい期間に合わせて契約する「サブスクリプション方式」です。
先ほど、AutoCADとの比較で1ヶ月プランの価格をお伝えしましたが、ここではAutoCAD Plusのすべての料金プランを一覧表でご紹介しましょう。
プラン | 期間 | 価格 | 特徴 |
1年プラン | 1年 | 231,000円 | 月間プランより33%お得 |
3年プラン | 3年 | 693,000円 | 3年契約、年次請求 |
月間プラン | 1ヶ月 | 28,600円 | 短期間での利用におすすめ |
Flex | 100トークン | 42,900円 | 24時間ごとに7トークン消費 |
参照:AutoCAD Plus
AutoCAD Plusの7つの拡張ツールセット
AutoCAD Plusで最も特徴的なのは、機能を拡張できる7つのツールセットです。
まずは、各ツールの概要をまとめた一覧表からご覧ください。
ツールセット名 | 主な用途 | 主な機能 |
Architecture | 建築設計 | 壁・窓・ドアの自動配置、断面図自動作成 |
Mechanical | 機械設計 | 規格に沿った設計、部品参照コントロール |
Electrical | 電気設計 | 配線の自動番号付け、最新電気規格サポート |
MEP | 建築設備 | 図面バージョン管理、オブジェクト自動更新 |
Plant 3D | プラントの3D設計 | P&ID製図の簡易化、標準シンボルライブラリ |
Map 3D | 地理情報の統合・解析 | GIS・CADデータ連携、強力な地図作成機能 |
Raster Design | 画像データの編集・変換 | ラスター図形処理、ベクトル図面変換 |
①Architecture
AutoCAD PlusのArchitectureは、作業時間を最大61%短縮できる建築設計者向けのツールです。壁、ドア、窓など8,800点以上の豊富にそろった建築部品ライブラリが特徴で、平面図や立面図も自動作成できます。
実際の建物のように要素を素早く配置し、図面バージョン管理で変更も楽々。初心者にも優しいレイヤ管理、リノベーションに役立つ表示機能も搭載しています。
②Mechanical
AutoCAD PlusのMechanicalは、生産性を最大55%向上させる機械設計向けツールです。ISO、ANSI、JIS規格対応の70万点以上の標準部品と形状で、正確な機械図面が手軽に作成できます。
部品表の自動生成、寸法線の一括設定など、作業効率アップに貢献する機能も満載。GD&Tや溶接記号などの専門的な注釈も簡単に追加でき、2D計算による設計解析にも対応可能です。
③Electrical
AutoCAD PlusのElectricalは、制御盤や電気回路の設計に役立つツールです。豊富にそろった電気図記号や配線図などのテンプレートを使えば、回路図作成もスピーディに完了します。
さらに、端子番号の自動付番や、電気部品間の接続確認も対応し、設計ミス防止にも貢献。また、回路のシンボルを再利用したり、部品表を自動出力できるため、製造現場との情報共有もスムーズです。
④MEP
AutoCAD PlusのMEPは、配管(Mechanical)、電気(Electrical)、空調(Plumbing)などの建築設備設計に特化したツールです。このツールを使うと、ダクトや配管、電気ケーブルなどを自動で配置し、各要素間の干渉もチェックできます。
さらに、業界規格に沿ったコンポーネントを使用し、正確な図面作成にも対応。複雑な設備系統も視覚的に管理でき、設備エンジニアや設計者の業務効率化に大きく貢献します。
⑤Plant 3D
AutoCAD PlusのPlant 3Dは、工場や配管設備の3D設計に特化したツールです。Plant 3Dを使うと、配管(パイプ)や機器、構造部材などを3Dでモデリングしながら、配管系統図(P&ID)も連携して作成できます。
さらに、業界標準に準拠した部品ライブラリを備え、配管設計やアイソメ図も自動で生成。視覚的に配管ルートや設備配置を確認できるため、施工前の問題点の早期発見にも役立ちます。
⑥Map 3D
AutoCAD Plusに含まれるMap 3Dは、CADとGIS(地理情報システム)を連携させて使えるツールです。FDO(Feature Data Objects)技術により、座標や空間データを直接扱えるため、インフラ整備や都市計画などで活用されています。
ArcGISと連携すれば、地図データの更新をスムーズに実行。さらに、MapImport・MapExport機能によって、CADとGIS間の正確なデータ変換が可能となり、地図作成や情報管理の効率化を実現します。
⑦Raster Design
AutoCAD PlusのRaster Designは、ラスター(画像データ)を編集・加工できるツールです。JPEGやTIFFといった画像をCAD上に取り込み、線分や文字をベクター(図形)化できます。
さらに、画像のゆがみ補正、トリミングにも対応し、手書きの紙図面をスキャンすれば、その図面上へ直接描画することも可能。既存図面のデジタル化や、地図画像を活用した設計に便利なツールです。
AutoCAD Plusを学べる無料ウェビナー
2025年最新バージョンで大幅にアップデートされたAutoCAD Plus。7つのツールセットに加え、AI機能をさらに強化し、各分野の設計プロセスの効率化が飛躍的進化を遂げました。
特に、スマートブロック機能の変換、置き換え、オブジェクト検出の進化は注目です。そんな専門性と革新性を融合させた魅力的なAutoCAD Plusの世界を、もっと深く知りたくありませんか?
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AutoCAD Plusの活用事例
AutoCAD Plusは、実際に現場でどのように活用されているのでしょうか。ここでは、AutoCAD Plusを活用した成功事例を2例ご紹介します。
①株式会社ジェイコフ

大阪市に本社を置く株式会社ジェイコフは、下水処理施設や発電所などのプラント設計を専門とする企業です。
同社は、2015年からAutoCAD Plantを導入し、プラント配管設計に3Dモデルを積極的に活用しています。2017年頃から3D設計依頼が急増し、主要案件を3D設計に移行しました。
導入前は、2D図面での設計で顧客に意図が伝わりにくく、手戻りによる作業遅延も課題でした。しかし、導入後、顧客との打ち合わせが効率化し、設計の正確性が向上。手戻りが減少し、売上高は約1.7倍に成長しました。
さらに、経験者による基本設計と若手による仕上げという分業体制も確立し、若手への技術継承にも役立っています。なお、上記画像は、AutoCAD Planで手掛けた3Dデータです。
②WINCH DESIGN

WINCH DESIGNは、ハイクオリティなヨットデザインを手掛ける英国の設計会社です。
同社が手がけた85メートルの超大型ヨット「Areti」は、オーナーが家族や友人、自転車チームと過ごすために特別設計された豪華船で、このプロジェクトでは、構想から完成まで約4年の歳月をかけ、ミリ単位の精密な調整まで徹底的にカスタマイズしました。
ハイソサエティなスパ施設、プライバシーに配慮されたオーナー専用スペースなど、圧巻のデザインをすべて対応しています。上記画像は「Areti」のスパ施設です。その隅々まで洗練された意匠からも、精密さとハイスペックなデザイン性が見て取れるでしょう。
同社のマシュー・ウィルキンソン氏は「AutoCADなら、必要に応じて、好きなやり方で作業を進めることができるのです。」と語っています。
AutoCAD Plusについてまとめ
AutoCAD Plusは、専門分野に特化した7つのツールセットを搭載したハイスペックなCADソフトウェアです。近年は、AI機能が強化されたAutoCAD Plus 2025がリリースされ、複雑な作業を自動化し、設計精度がさらに高まっています。
AutoCAD Plusは、設計のプロフェッショナルに欠かせないツールとして、今後も進化を続け、設計者の可能性を広げていくことでしょう。
