こんにちは。
3Dプリンター専門店『Fabmart(ファブマート)』のショップ店員です!
今回は、APISTECの佐々木さんにお話をうかがいました。
佐々木さんは3Dプリンターによる「ものづくり」を普及し活性化させる活動を行われていて、とくにFFF方式(FDM)に関してとてもお詳しい方です。
自己紹介
APISTEC代表 佐々木隆太です。
1983年1月生まれのA型山羊座。
家族は妻1人、34kgのぽっちゃりゴールデンレトリバーが1匹。
2013年初旬にパーソナル3Dプリンターの事を知るも、当時は各メーカーともに納期が長かったこともあり、2014年初秋に(当時最短で入手することができた)合同会社Genkeiのatom 3Dプリンター組立ワークショップに参加。
3Dプリンターユーザとなります。
2014年1月にAPISTECとして起業。
2013年12月からMagnaRecta(旧Genkei)のatom 3Dプリンター組立ワークショップの講師を数年間やらさせて頂きました。以降FFF方式3Dプリンター代理店販売、3DプリンターパーツのWebショップ(現在は閉鎖)や、パーツの設計製造、出力サービス、産業用FFF方式3Dプリンターの導入講習を主に行っています。
かつて巷では「パーソナル3Dプリンター出力職人」と呼ばれるほど、材質や形状によるパラメータの煮詰め出しが好きな、FFF方式3Dプリンターの出力オタクを自認しています。
造形作品
今までたくさんのものを3Dプリンターで造形してきたんですが、ほんの一部ではありますが作品をご紹介します。
その他の造形作品もFacebookにアップされているので、気になる方はチェックしてみてください!
オススメの3Dプリンター
また、その理由も教えてください!
趣味で3Dプリンターを使うのにおすすめなのは、UP!mini2もしくはUP!Plus2です。
取扱が簡単な上に、サポート材の生成アルゴリズムが素晴らしく、ソフトウェアも単純明快。
UP!Plus2は筐体がオープンなので、収縮の大きい素材をうまく出力するためにはテクニックが必要ですが、UP!mini2ではそのあたりがクリアされていますね。
「試作」と一言に言っても必要とされる条件は異なるので、一概には言えませんが、大まかに、形状(意匠・デザイン)を確認できればいいのか、機能(図面との差異・材質等による強度等)を確認しなければいけないのかによって選択肢は変わってくると思われます。
例えば、素材を抜きに考え、面粗度(表面粗さ)や寸法精度が必要な場合は、光造形が適していると考えられます。
また、材質による確認や、(成形品とは物性値が異なるので)ある程度の材質ごとによる検証や、とりあえず形にしてみて判断したり、営業やコミュニケーションツールとして使用する場合は、FFF方式が適していると考えられます。
材料費も現状では光造形>FFF方式な為、設計から容易に試作しやすいのがFFF方式ではないかとも考えられます。
結論として、試作と言ってもどのような用途を想定しているかによってオススメは変わるため、一概にどの機種とは言えません。
その理由として、素材の選択肢の広さとリアルマテリアルを使用できる、という点があげられます。
素材の選択肢が広いので射出成形品と(ほぼ)同様の素材で造形ができ(当然積層するため強度等の物性値は違うが)、次工程の研磨や塗装に対応できるのはFFF方式の3Dプリンターが好ましいと考えられます。今まで問題とされていた積層ピッチも高精細化が進み目立ちにくくなってきたとともに、3Dプリンター出力品をそのまま使用するのではなく、CNCなどの2次加工を前提とした造形をすることで、今後さらに活躍の場は広がっていくものと考えられます。
アクセサリーや小物、と限定した場合は、光造形の3Dプリンターが好ましいのではないかと思われます。
ただ、それは真空注型のゴム型の原型や、ロストワックス製法の原型への使用であり、光造形で造形したそのものが製品になりうるとは考えにくいですね。
造形物の後処理
磨きたければ、勝手に磨けば~?と。
あんまり、興味がわかないです。
3Dプリンターユーザーは、積層痕を愛でるくらいにならないと!……というのは冗談としても、
層を積んでる方式なので、積層痕があるのは”あたりまえです。
だって、そういう造形方法・造形機なんですもの。それを切削や射出成形品と同様に考えるのは、そもそもの見方が違うのではないでしょうか?
それぞれ、メリットデメリットがあるのは当然で、まずはそれぞれの方式による特徴・特性があることを前提に、そのメリットをどう活かしつつ、デメリットを最小にするかが、ユーザーごとのイノベーションになるのではないでしょうか?
寸法精度を出すための造形品に対しての切削やタップ加工等の後加工は今後当たり前になっていくと思います。
ただ、積層痕を消すためのようなものは、僕の中ではあまり意義を感じることができません。
以前、Facebook上でも投稿しましたが、積層ピッチが荒くても、表面のデザインを工夫することで、積層痕そのものが価値のあるものにもなりうると考えています。
ある種のメリット(味?)である積層痕を活かすデザインを考えた方が、3Dプリンターの活用としてはアリなのではないかな、と考えます。
今後の展望
5年前メディアがもてはやし、「1家に1台」と報道されていたことがありましたが、会社で普段遣いされていないようなものが、特許切れによって低価格化したからといって、爆発的に家庭で普及するとは到底考えられません。
3Dプリンターは、3D CAD(やCG)が書ければ、最高に面白いツールです。3D CAD(やCG)は両輪で、データがなければ3Dプリンターはタダの四角い箱です。
3D CAD(CG)は頭の中に思い描いたものを、画面上に3次元で具現化でき、他人に見てもらい伝えることができます。3Dプリンターは、それを現実世界にモノとして具現化でき、他人に触れてもらい伝えることができます。
「俺こんな事を考えてこういう形にしてみたんだけど、どう思う?」と他人に自らの思考を触れてもらうことができる、最高のコミュニケーションツールです。
残念ながら(という表現もおかしいものですが)日々の暮らしで百均をはじめモノが溢れ、必要な物は購入するのが当たり前になっている為、欲しいから創る、といった考えは日常生活や家庭の中では現状一般的ではないと思います。
ですが、そんな日常?から離れ、日夜勤務している会社には、必要だから作らなければならないもの、ちょっとしたアイデアからはじまり創ったものが業務や作業が効率化できるもの、既存の製法ではなく(例えば)軽量化でき作業する人の負担を軽減できるもの、色分けしたマーカー的なパーツを配置してミスを低減するなど…
企業活動のありとあらゆるところに、必要とされるであろう創らなければならないシーンがあると思います。
お父さんお母さんが会社でFusion360でデータを作って3Dプリンターで出力する、それが当たり前になったときに、晴れて「一家に一台」の時代が来るのではないでしょうか。
もちろん、3Dプリンターが万能なわけではありません。
なにかモノを作ろうと思ったら、3Dプリンターだけでなく、平面的な部品であればレーザーカッター、金属部品であれば切削、駆動系の軸やベアリングやモータは購入、制御はArduinoやラズパイなど、色々なリテラシーが必要になってくるかもしれません。
私は3Dプリンターがそのきっかけや入り口となって、自らが欲しいものを自らの手で創る。それを当たり前だと思える環境を、、、作り出すことの一端やきっかけになると幸いです。
勉強になりました! ありがとうございました!
APISTEC
HP : http://apistec.jp/
Facebook : https://www.facebook.com/apistec.jp/
主要お取引メーカー(ブランド)
インタビュー内でオススメしていただいたUP!Plus2は「Fabmart」でもご購入できます。
Fabmart店員の感想
佐々木さんの3Dプリンターに対する熱い気持ちを感じました。
“思い描いたことを現実世界にモノとして具現化できる”
改めて考えると、3Dプリンターって本当に画期的なツールです。
まだまだ一般には馴染みの薄い3Dプリンターですが、佐々木さんの言うように「1社に1台」…当たり前にある未来になることを期待します!
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