かつては製造業や研究開発など、専門性の高い分野での活用が主流だった3Dプリンター。
近年では、リーズナブルで高品質な製品が数多くリリースされ、家庭でも楽しめる身近な存在へと進化しました。
そして、3Dプリンターは食やアートの世界にも革新をもたらしています。
今回は、3Dプリンターで作られたチョコレートアートの世界をご紹介します。
3Dプリンターならではの繊細でアーティスティックな造形美をぜひ堪能してください。
3Dプリンターとは
3Dプリンターは、フィラメントなどの素材を堆積して立体モデルを造形する工作機械です。
近年、FDM方式、光造形方式、SLS方式、バインダージェット方式、金属3Dプリンターなど種類も多様化し、ニーズに合わせて最適な造形方式を選択できるようになりました。
3Dプリンターの活用例
3Dプリンターは、さまざまな用途で活用されています。
以下では、3Dプリンターの主な活用例を挙げてみました。
活用分野 | 活用例 |
製造業 | 試作品製作、治具・工具製作、金型製作など |
建築業 | 建築模型、建材の製造、3Dプリント住宅など |
医療 | 手術用シミュレーションモデル、インプラントなど |
教育 | 教材製作、視覚教材など |
アパレル | 衣料、シューズなど |
アート | ジュエリー、オブジェなど |
3Dプリンターの活用分野は年々広がり続け、ネイルアートの分野でも注目を集めています。
以下の記事では、話題のネイルアーティスト・Tomoya Nakagawa氏の作品を紹介しています。
3Dプリンターとネイルアートが融合したファンタスティックな作品群もぜひご覧ください。
3Dプリンターで作ったチョコレートアートの魅力
引用元:3dbyflow
3Dプリンターで作ったチョコレートアートには、見る者を魅了する独自の世界観があります。
それでは、3Dプリンターで作ったチョコレートアートの魅力を詳しく解説しましょう。
①優美なフォルム
かつては画一的な造形が主流であったチョコレートですが、3Dプリンターとの融合により優美なフォルムと自由な造形を可能としました。
まるで彫刻家が手掛けたアート作品のような滑らかな曲線、複雑で繊細なデザイン。
水彩画のように溶け合うグラデーションカラーは、奥深い魅力をさらに引き立てます。
チョコレートのなめらかさや光沢がプラスされたエレガントな造形美は、まさに、アートの新たな可能性を示唆しているといえるでしょう。
②広がる表現の幅
3Dプリンターで作ったチョコレートは、アイデア次第でデザインの幅が大きく広がります。
例えば、過去に作った3Dモデルを流用すれば、同じ形状のチョコレートを簡単に製作できます。
さらに、大切な思い出の品やキャラクターのオブジェを作り、好きなカラーのチョコレートで再現することも可能。チョコレートの種類や色を調整することで、大理石や金属のようなリアルな質感も表現できます。
3Dプリンターでチョコレートアートを作る方法
3Dプリンターでチョコレートアートを作る方法は以下の2つです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
- チョコレート専用の3Dプリンターを使う
- 3Dプリンターで作ったオブジェから型を取る
①チョコレート専用の3Dプリンターを使う
3Dプリンターでチョコレートアートを作る場合、専用の3Dプリンターを使う方法があります。
この3Dプリンターはチョコレートを材料にして立体的なオブジェを作成するシステムで、通常のチョコレートと同様に食べることも可能です。
チョコレート専用の3Dプリンターを使う手順は以下の通りです。
- 3DCADソフトで3Dデータを用意
- 3Dプリンターにデータを送信
- 材料(チョコレート)の準備
- オブジェのプリント・仕上げ
②3Dプリンターで作ったオブジェから型を取る
3Dプリンターでチョコレートアートを作るには、通常の3Dプリンター同様にオブジェを作成し、そのオブジェの「型」を取る方法もあります。
ちなみに、3Dプリンターで直接「型」を作成するにはシリコンフィラメントが必要です。
食品用シリコンフィラメントの造形は難しいため、初心者は以下の方法をおすすめします。
手順は以下の通りです。
- 3DCADソフトで3Dデータを作成
- 材料(フィラメント)の準備
- オブジェのプリント
- オブジェをシリコンで型取り
型が完成したら、溶かしたチョコレートを流し入れて造形してください。
3Dプリンターのチョコレートアートには3Dデータが必要
上記の方法は、どちらもまず3DCADソフトを使って3Dデータを作ることからスタートします。
その後、3Dプリンターにデータを送信し、チョコレートやフィラメントなどの素材を充填しながら造形していくという流れです。
しかし、3DCADソフトを使ったことがないという方も多いでしょう。
そんなときには、短期で効率的に学べるセミナーの活用をおすすめします。
ProSkilllのAutodesk Fusionセミナー講習
ProSkilllのAutodesk Fusionセミナー講習は、未経験者でも2日間で3DCADを習得できる短期集中型セミナーです。eラーニングやオンライン受講も可能で、場所や時間に縛られずスキルアップできます。
カリキュラム1日目は、Fusion 360(AutoDesk Fusion)の基本的な操作方法、2Dデータからのモデリング、3Dプリンター用のデータ出力などを学習。2日目には、スマートフォンスタンドの作成や複数部品を使ったドローンの設計を行います。
セミナー終了時には、Autodesk公認の修了証明書を取得できるため、就職や転職活動に3DCADソフトスキルを活用することも可能。Fusion 360は無料で利用できる3DCADソフトなので、初期費用を抑えたい方に最適です。
Fusion 360以外にも、無料で使える3DCADソフトはいくつかあります。
以下の記事では、無料で使える3DCADソフトを紹介しているのでぜひ参考にしてください。
3Dプリンターでチョコレートアートを作るときの注意点
3Dプリンターでチョコレートアートを作る場合、以下の3点に注意しましょう。
- 硬化に時間がかかる
- 材料選びを慎重にする
- 丁寧に作業する
注意点①硬化に時間がかかる
チョコレートは樹脂などのフィラメントと比べて硬化に時間がかかります。
通常の3Dプリンターよりも作成時間がかかることを考慮して設計・制作しましょう。
チョコレートの特性を理解して適切な温度管理を行う、層の接着方法を工夫して強度と美しさを両立させるなどに注意が必要です。
注意点②材料選びを慎重にする
3Dプリンターでチョコレートアートを作る場合は、材料選びが重要です。
作品は最終的に食品となるため、口に入れても安全な材料で作成する必要があります。
3Dプリンターで作ったオブジェクトで型を取る場合、一般的に型を容器に固定するための糊を使用します。この糊は、ゼラチンなどの食用素材を使用しましょう。型部分のシリコンも、必ず食品用のシリコンを使ってください。
注意点③丁寧に作業する
チョコレートアートで3Dプリンターを使用する場合は、オブジェの取り外しに注意が必要です。
チョコレートは通常のフィラメントと異なり柔らかい素材なので、繊細な造形を損なわないように取り扱ってください。
シリコン型からチョコレートアート作品を取り外す際も丁寧に作業しましょう。
チョコレートアートが作れる3Dプリンター
それでは、チョコレートアートが作れる3Dプリンターを紹介しましょう。
ここでは、チョコレートアート専用の3Dプリンター、通常のオブジェを造形する3Dプリンター2種類について解説します。
- チョコレートアート専用3Dプリンター・Mycusini
- オブジェ造形用3Dプリンター・Tiertime UP Plus2
チョコレートアート専用3Dプリンター・Mycusini
Mycusiniは、自宅のキッチンで手軽に3Dチョコレートアートを楽しめる、軽量でコンパクトな3Dプリンターです。
この3Dプリンターは、専用のチョコレートをカートリッジにセットし、付属のSDカードに収められたテンプレートライブラリから形状を選択するだけで簡単に使えます。
ダークチョコレート、ホワイトチョコレートなど、さまざまなフレーバーの素材をラインアップしているため、オリジナルチョコレートアートを楽しみたい方にも最適。初心者でも手軽にチョコレートアートにチャレンジできる3Dプリンターです。
オブジェ造形用3Dプリンター・Tiertime UP Plus2
UP Plus2は、初心者でも扱いやすいコンパクトサイズの3Dプリンターです。
このプリンターは、自動調整機能を備えており、誰でも簡単に高品質なプリントが可能。独自の生成方式により、完成品と土台部分の取り外しも容易なので、チョコレートの型作り初心者にも最適です。
UP Plus2は、高精度なプリントが可能で、複雑な形状の型も作成できます。
ABS樹脂やPLA樹脂など使えるフィラメントの種類が豊富なため、質感にこだわったチョコレート型を作りたい方にも最適です。
3Dプリンターで作ったチョコレートアート作品
それではさっそく、3Dプリンターで作ったチョコレートアート作品をご紹介しましょう。
- エレガントな流線美が魅力のチョコレート
- スタイリッシュなチョコガナッシュ
- 躍動感あふれるオクトパスチョコレート
- 顔をモチーフにした立体的なチョコレート
作品①エレガントな流線美が魅力のチョコレート
まずは、チョコレートアート専用の3Dプリンターで作った作品です。
3Dプリンターならではの繊細な造形技術を駆使し、従来のチョコレートでは表現できなかった流線美を生かしたエレガントなフォルムを表現しています。
花をモチーフとしたなめらかな曲面は、まるで本物の花びらが風に揺らめくかのよう。
トッピングのチェリーが華やかさをプラスして、ジュエリーのような美しさを醸しています。
作品②スタイリッシュなチョコガナッシュ
こちらは、チョコレートアート専用の3Dプリンターで作ったチョコレートガナッシュです。
チョコレートと生クリームをブレンドしたガナッシュに、3Dプリンターで緻密に造形したチョコレートオブジェをトッピング。
木々の枝が絡み合うかように繊細に表現されたチョコレートオブジェは、ナチュラルかつスタイリッシュな雰囲気を醸し出しています。
作品③躍動感あふれるオクトパスチョコレート
引用元:3dbyflow
次も同じく、チョコレートアート専用の3Dプリンターによる立体的チョコレートアートです。
ブロッコリーで彩りを添えたホワイトチョコレートを3Dプリンターの技術で丁寧に堆積し、本物のオクトパスのような滑らかな形状を表現しました。3Dプリンター得意の流線美が活かされた遊び心溢れるチョコレートアートです。
作品④顔をモチーフにした立体的なチョコレート
引用元:WIRED
こちらは、3Dプリンターで作成したオブジェを基に作成したチョコレートアートです。
3Dスキャナーで顔と頭部をスキャンし、そのデータをもとに3Dプリンターで型を作成。
出来上がった型に溶かしたチョコレートを丁寧に流し込んで作成しています。
大切な人へのプレゼントや自分へのご褒美に最適な上記のチョコレートアートは、渋谷のFabCafeにて制作・販売しています。
3Dプリンターでデザインした顔型チョコレートは、まさに「究極のオリジナル作品」です。
ただし、3Dプリンターを使った「型」の造形は難しいので、個人で作る場合は手順を変えて作成しましょう。
詳しくは、前項「3Dプリンターでチョコレートアートを作る方法」を参照してください。
3Dプリンターで作ったチョコレートアートについてまとめ
3Dプリンターは、チョコレートアートの世界に新たな可能性をもたらしました。
従来のチョコレートでは表現できなかった繊細でなめらかなデザインも自在に表現できます。
3Dプリンターチョコレートアートをする場合、はじめて使う方は、コンパクトで使いやすい製品を選びましょう。
UP Plus2は、アメリカの専門誌で使いやすさ第1位に選ばれた初心者向けの3Dプリンターです。
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