facebook

【2024】AltairのHyperWorksとは?ライセンス価格・使い方・動作環境

製品開発に必要なさまざまな機能を搭載した汎用ソフトを導入したいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、多くのソフトが存在している上、それぞれ強みも異なるため、どのソフトを導入するべきかわからない方もいるはずです。

もし、比較的精密なことが求められる高度な開発を行うのであれば、Hyperworksを利用することをおすすめします。今回は、汎用CAD/CAEソフトであるHyperWorksの概要やおすすめする理由、主な使い方などについて詳しく解説します。HyperWorksの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

HyperWorksとは

HyperWorks

画像引用元:HyperWorks

 

HyperWorksは、主要なCAD/CAEの機能を包括的に備えているソフトです。それらの機能に加えて、ダイレクトインターフェイスを備えており、対話形式でメッシュを作成できます。

また、メッシュを修正する際にはモーフィング機能や部品入れ替え機能や形状比較機能などモデリングに必要な機能が多数搭載されています。

加えて、CAE機能では各種シミュレーションを搭載しているため、プレス、鋳造、押出成形、構造、流体検証、衝撃検証などで最適な結果を得られるでしょう。

HyperWorksの動作環境

HyperWorksは、次のような環境で動作します。

 

  • オペレーションシステム:RHEL/CentOS 6.6(64-bit)RHEL/CentOS 7.2(64-bit)SLES 12 SP2(64-bit) 7/10(64-bit)
  • メモリー:4 GB
  • ハードウェア:
    • OpenGL 3.2以降と互換性のあるOpenGL 3Dグラフィックアクセラレータ
    • OpenCL 2.0が必要です
    • トゥルーカラー(24ビット)のサポート
    • 最新のOpenGLパッチ/ドライバーのインストール/更新
    • 最適なユーザーエクスペリエンスを実現する1680×1050以上の画面解像度
    • 2GB以上の専用RAM
    • AMDおよびNVIDIA GPUのみがサポートされています

 

上記のスペックを最低限としてシステムを揃えると、問題なく動作するでしょう。

ライセンス価格

ライセンス価格はシステム環境によっても大きく異なります。まずは現地調査とヒアリングを行ってくれるため、導入時はそちらから相談してみることをおすすめします。

 

参照元:公式サイト

 HyperWorksをおすすめする理由

次に、HyperWorksをおすすめする7つの理由を紹介しましょう。

汎用性が高く多くのCAD/CAEと互換性がある

1つ目のメリットは、汎用性が高く、多くのCAD/CAEと連携できることです。外部の各種ソフトとの汎用性を意識して開発が行われているため、構築環境にスムーズに入り込みます。

具体的には、次のようなソルバーに対応します。

 

CAD

  • NX
  • CATIA
  • step
  • parasolid
  • Creo
  • iges
  • SolidWorks

CAE

  • Altair Simulation
  • Abaqus
  • NX Nastran
  • ADVC
  • Ansys
  • Ls-Dyna
  • ADVC

これらのソフトを活用している方は、HyperWorksを導入することでより精密な業務ができるようになり、効果を実感できるはずです。

厚み違いのジオメトリを作成できる

2つ目のメリットは、ジオメトリを作成する際に厚み違いのものを作れることです。

ジオメトリ形状の作成を行う際、厚みの違いを生み出すことで、ジオメトリ形状を編集する際に細かい調整が行いやすくなったり、より品質の高いメッシュへと変化させたりすることができます。また、ジオメトリを扱いやすくなり、効率的にモデルの編集ができるようになるでしょう。

日本語のGUIに対応している

3つ目のメリットは、日本語のGUIに対応していることです。

多くのソフトは海外用に製造されており、UIもあまり優しいものではありません。そのため、わからないことが発生し、機能を最大限活用することが難しいケースもあるでしょう。

しかし、HyperWorksであれば、メッシュを作成する段階においても日本語のGUIでマニュアルがなくても理解できるため、直感的に利用できます。

また、動画ヘルプを活用することもでき、ソフトをまったく使用したことがない方でも、最短時間で習熟でき、作業の効率化も図れるでしょう。

ワンクリックでメッシュを修正できる

4つ目のメリットは、ワンクリックでメッシュを作成できることです。多彩なメッシュ修正機能があり、直感的な操作でメッシュを作成可能です。

たとえば、メッシュの品質をクリックすることで機能があったり、修正要素を誘導して表示してくれる機能も搭載していたりします。初心者はもちろん、玄人まで使える修正機能が多数搭載されています。

レポーティング機能で部品形状の比較ができる

5つ目のメリットは、レポーティング機能で部分的に形状を比較できることです。

CAD上のメッシュのずれを確認した場合に、レポーティング機能があれば、締結部の結合チェックや干渉チェック、浮いている部品のチェック、モデルの不足点の修正などができます。これらの操作を何度も繰り返すことで、メッシュのクオリティが上がっていき、より精密度の高い製品を生み出すことが可能です。

また、メッシュに問題点が発生している場合には、その部分をピックアップして表示してくれます。実際に加工を行う際に問題を発生させるリスクが少なくなるため、安全性的にも大きなメリットがあるといえます。

解析により設計上の問題点を抽出できる

6つ目のメリットは、解析によってモデルの問題点を抽出できることです。

HyperWorks上のDesign Explorer機能を利用すれば、実験計画法に基づいた構造解析を行うことができます。

たとえば、どの部分に負荷がかかるかなどのシミュレーションをCAE上で実施できます。また、機械学習によって力が加わった際にどのように変形するかが予測されるサロゲートモデルを作成することも可能です。

これらのシミュレーションは現実に忠実で、どのように実験を行えば精密なデータを算出できるかも示してくれます。そのため、試作実験を行う際にも、正確なデータを生み出すことに貢献するでしょう。

トークン制によりコスト削減できる

7つ目のメリットは、トークン制でコストを削減できることです。

HyperWorksはトークン制の料金形態となっています。一般的なCAEソフトの課金方式である積み重ね式の料金形態とは異なり、解析が必要なタイミングのみ機能を拡張できます。

つまり、使わないときにはコストを抑えた開発が可能です。

HyperWorksの主な機能・使い方

HyperWorksには、主に3つの機能が備わっています。ここでは、それぞれの機能について詳しく解説します。

AcuSolve

AcuSolveは、熱流体解析を行うソルバーです。GLS法を用いており、正確な数値で解析できます。

また、構造解析を行うソルバーなどと組み合わせることで、より複雑な解析も実行できるでしょう。

OptiStruct

OptiStructは、静的解析から、動的解析、振動解析、音響解析、疲労解析、伝熱解析、そしてマルチフィジックス解析まで幅広い解析ができるソルバーです。

1994年にリリースされた頃から20年以上に渡ってシミュレーション技術を高め続けてきた高い技術力を扱えます。

RADIOSS

RADIOSSは、陽解法を用いて衝撃解析ができるソルバーです。進展破壊など計算が不安定になりやすい現象が安定して行えるメリットがあります。

また、多数のCPUを活用して高度な計算を実現できるため、金属だけでなくゴムやスチロールなどさまざまな材料に対する加工のシミュレーションが行えます。

HyperWorksの導入でできること

次に、HyperWorksの導入でできることを3つ紹介します。

製品開発が加速する

HyperWorksを導入することで、製品開発にかかるスピードが大幅に削減されます。HyperWorksには高度なシミュレーション機能が搭載されており、試作品を製造する前にシミュレーションの結果を得ることが可能です。試作品を作成し、検証、再設計を行う手間がなくなり、ソフトウェア上で全てを完結させられます。

加えて、試作品を作る際に最適な実験方法を示してくれる「実験計画法」を取り入れているため、リアルでどのように検証を行えば良いか理解することができます。

大規模モデルを管理できる

大規模なモデルも適切に管理できます。インターネットに接続されたコンピュータであれば、ネットワーク間を通じてライセンスを活用、ファイルの共有ができます。

専用Altair Oneで運用することで、データを複数の工場間でやり取り可能です。加えて、ライセンスを一つ取得すればあらゆる工場間で活用できるため、ソフトを使うほどコストパフォーマンスを高められるでしょう。

複数分野で協力できる

前述したライセンスを活用することで、分野が異なる部署間でライセンスを活用できます。サーバーにアクセスできるパソコンさえ保有している部署であれば、部署間での共有が効率的に行うことができます。

例えば、流体解析をA部署が担当し、B部署が荷重解析を行うなど、モデルのクオリティを高めるための操作をシームレスに行うことが可能です。

また、一つの部署がソフトの使い方を理解すれば、会社全体でトレーニングを実施したりサポートを行ったりしながら、社内体制を強化していくことができるでしょう。

HyperWorksの導入事例

最後に、HyperWoksを導入した企業の事例を3つ紹介します。

Sogeclair社

Sogeclair社は、大型の航空宇宙の航空機のアクセスドアを設計する会社です。積層造形と鋳造を組み合わせて製品を製造している同社ですが、製造前の試作を作る際に3Dプリント技術やマシニング加工におけるシミュレーションなど、多くの業務を必要としていました。

通常、3Dプリント技術では限られた大きさのものしか製造することができません。そのため、大型のドアを出力したり、エンジンパイロンを出力したりすることはできないでしょう。

また、高精度の製造ができたとしても、十分に強度のある素材として活用することは難しいものです。

HyperWorksを導入することで、難易度の高い鋳造加工におけるシミュレーションが実現できます。また、シミュレーションにかかるコスト、時間、人件費を大幅に削減することも可能です。

同社は、Hyper Worksの使いやすさや設定段階で必要な機能をすべて搭載していることに魅力を感じているようです。HyperWorksの導入を行ったことで、トポロジー最適化を8回、機械適応力チェックを4回行うなど従来では工期的に難しかった修正ができるようになりました。

HyperWorksのおかげで満足のいく設計を作り上げられるようになったとのことです。

デルフト工科大学

デルフト工科大学は、建築プロジェクトにおいてHyperWorksを活用し、プロジェクトにもたらす可能性を調査しました。既存の建築プロジェクトを再設計し、トポロジーの最適化を組み込むなど、新たな調整によってより高度な建築物を作ることが可能となっています。

3Dプリント設計によってコスト削減が可能となり、約9トン、32%の軽量化が可能となりました。

具体的な研究内容は、建築構造を3Dプリントし、モックアップを製造することで、強度を確認しようというものでした。また、シミュレーションの結果に基づき、機能的かつ構造的に効率の良い想像もしない形状を見つけようとしたのが本プロジェクトです。

HyperWorksによって、デルフト工科大学建築・建築環境学部の中で約3,000人の学生、数百人の研究者、講師、教授が、国際的な環境の中で教育、研究、サポートにつながったと語っています。

Robot Bike Co.

Robot Bike Co.はマウンテンバイクの開発を行っている会社です。同社は、3Dプリンターによる積層によってマウンテンバイクを開発しており、人ごとに異なる体重を計測した上でオリジナルなマウンテンバイクを製造しています。

高性能のマウンテンバイクを生かした状態で体重に耐え切れるパーツを構築するには、CAMによる構造解析・熱解析が必要不可欠となるでしょう。また、マウンテンバイクとして高い性能を維持し続けるためには、流体解析なども重要なポイントです。

これらの作業をオールインワンで解決できるのがHyperWorksだといいます。HyperWorksは解析に必要な機能が網羅的に内蔵されている上、メッシュ構造に問題があった場合には、すぐにメッシュを修正可能です。

ソフトを導入したことで、2,600人の従業員を抱え、24ヶ国で45を超えるオフィスを構えている大企業です。これもhyperWorksがあったからこそ実現できたことではないでしょうか。

まとめ

汎用CAD/CAEソフトであるHyperWorksの概要やおすすめである理由、主な使い方などについて詳しく解説しました。

HyperWorksを導入することで、解析に必要な機能がオールインワンで獲得できます。また、それぞれのソフトウェアは初心者向けではなく、玄人も活用できるものばかりです。

加えて、トークンを活用する料金形態となっているため、使わないときには費用を必要としません。

コストパフォーマンスに優れていて、高機能を持っているHyperWorksに興味がある企業担当者様は、まず少しの期間だけでも導入してみることをおすすめします。

HyperWorks
最新情報をチェックしよう!