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【2024】CAE解析の種類は?解析ソフトの種類別にできること&メリットを解説

CAE解析ではどういったことができるのかと疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。また、一括りに「CAE解析」といっても、さまざまな種類の解析方法があります。そのため、どのツールを選択すれば良いのか悩む方も多いことでしょう。

今回は、CAE解析の種類とメリット・デメリットに焦点を当てて解説します。CAEソフトの導入を検討しているけど、どのような種類の解析に活用できるのかわからないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

CAEとは

そもそも、CAEとは(Computer Aided Engineering)を意味する単語です。「物体を解析する」といった意味合いのある単語であり、モデルのどの部分にどれほどの荷重がかかっているかを視覚的に示すことがCAEの役割です。

CAEを活用することで、実際に試作を作らなくてもどのくらいの負荷がかかり、商品として現実的に販売できるのかなどが理解できます。

このように、CAEは製造業のコスト削減や分析改善に役立っているソフトなのです。また、昨今製造業だけでなく飲食や建築など幅広い現場で活躍しているソフトであり、業界・業種を問わずに導入する企業が増え続けています。

CAEツールの種類

CAEにはさまざまな種類があります。ここでは、代表的なCAE解析の種類を6つにまとめて紹介します。

構造解析

構造解析は、設計した試作品にどのくらいの力が加わっており、どのように変化するかが視覚的に理解できる解析方法です。主に、次のようなパラメーターで解析結果を示します。

  • 力を加えた時の変形度
  • 固有振動数(Hz)
  • 応力(力の方向や作用の方向)

このような解析を行うことで、試作品を製造しなくても、ある程度の商品設計が理解可能となります。

たとえば、製品の特性を反映させることもでき、「ゴム製」「プラスチック製」というように、素材ごとの耐久性の判断も可能です。また、パーツごとの素材シミュレーションも数クリックで可能となり、解析にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

業種にもよりますが、製品の強度を予測するために最初に導入するのがFEM構造解析ツールです。

流体解析

流体解析とは、定義した条件の流れにおいて、流体(液体や気体)の速度や圧力、流れる方向などを計算、視覚化する計算方法です。

たとえば、地震が発生したときにどの程度、津波被害が起こるか、製造工程において流体がどのように移動しているかを示すことができます。また、私たちの生活に身近なところでいえば、自動車エンジンルーム内の液体の流れや、車体周りの空気の流れ方などについて把握することができ、自動車産業にも大きく役立っているツールです。

ちなみに、流体解析は「熱の影響」を受けることが多く、「熱流体解析ツール」としてパッケージ販売されていることも多いです。

磁場解析

磁場解析は、電流などの影響によって発生する磁場の影響を求める解析方法です。熱によって磁力低下を引き起こす可能性があるのかなど、さまざまな観点から電磁波に関しての解析を行います。

また、電磁場の影響でどの部分に熱を帯びているのかなど、比較開発の実践現場に近い高度な分析も可能です。主に、モーターの開発現場などで用いられることが多い解析方法です。

音響解析

音響解析とは、指定した音源が周囲へどのような影響を与えているのかを解析する方法です。たとえば、A地点で発した音がB地点では何dBに変化しているかを分析できます。

また、単純な空間による分析だけではなく、構造物の反射を踏襲した分析も可能です。たとえば、構造物によって音が反響した結果を解析できます。

機構解析

機構解析は、製品の動きを実際にシミュレーションする解析方法です。製品の稼働状況における変位や速度、力、加速度などの項目をすべて把握できます。

また、物体にかかる強度を確認できるのかを示すことも機構解析の役割です。たとえば、1,000キロの力を加えるなど、手動・機械を使用して計測することの難易度が高い解析を行う場合にも機構解析が役立ちます。

伝熱解析

伝熱解析は、熱を帯びた際にどこから変形が発生するかをシミュレーションする解析方法です。たとえば、火災が発生した場合に、ビルが倒壊する原因を突き止めることが可能です。

こういった解析を行うことで、建物や製品の脆い部分を改善でき、より安心して利用できる商品を提供可能です。

解析を行う場合には、ミニチュアを使用したり、CADソフトで簡易的な結果を得たりすることもできるでしょう。しかし、CAEの場合は数値まで算出できるため、より高度な解析が可能となります。

また、複数箇所の温度を同時に人が計測することは現実的に難しく、機械で可能にする場合は設備費用をかける必要があります。そういった難易度の高い解析もCAEソフト一つで解決してくれます。

CAE解析を実施するメリット

CAD解析にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを5つ紹介します。

高精度の分析ができる

1つ目のメリットは、高精度の分析ができることです。

CAEでは、数値に基づいた解析が可能です。そのため、目視ではわからないような分析も行うことができます。

たとえば、自動車のエンジン解析を行う場合、目視で状況を確認することは難しいでしょう。しかし、CAEなら数値を算出するとともに、色による情報で直感的に理解できるよう表示してくれます。

CAE解析に特化した人材を採用する必要はありますが、解析スタッフが1人在籍していれば、解析結果をわかりやすく社内共有できる効果もあります。

高精度の解析と数人のスタッフを雇うことで、これまで以上に精度の高い分析を行えることは大きなメリットでしょう。

分析にかかるコストを抑えられる

2つ目のメリットは、分析にかかるコストを抑えられることです。

一般的に、試作品を製造して耐久度を確認する場合、何度も同じ試作品を作る必要があります。特に、試作品では金型を作っていないことも多く、ワンオフモデルを発注する必要があるでしょう。また、試作品のクオリティのばらつきによっても結果が異なり、正確な解析を行えないケースもあります。

しかし、CAEを活用すれば、試作品を制作する手間を大幅に削減できます。また、毎回同じ数値で計測を行えば、クオリティによるばらつきも最小限に抑えられます。

再現するのが難しいシミュレーションが実施できる

3つ目のメリットは、再現が難しいシミュレーションも実施できることです。

CAEは数値に基づいて解析を行うため、実際に検討が難しいようなシミュレーションだとしても、CAEソフトなら簡単に実行できます。

たとえば、マイナス100度の環境で使用する製品があったとします。その環境を毎回生み出そうとすれば、コストと時間が大きくかかるでしょう。CAEソフトを使用すれば、そういった手間を大幅に削減することができます。

開発にかかる期間を短縮できる

4つ目のメリットは、開発にかかる期間を大幅に短縮できることです。開発では、何度も試作品を製造する必要があり、多くの時間がかかります。

しかし、CAEの場合はコンピュータ上で簡単にシミュレーション結果が得られる上、検証前の準備などは必要ありません。また、検証にかかる時間の短縮によって、次の開発に取り掛かるスピードを改善できます。

このような理由から、CAEを活用すれば試作から製造、リリースまでにかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

環境保全に貢献できる

5つ目のメリットは、環境保全に貢献できることです。

試作品を製造して検証を行う場合、使用した試作品は廃棄の対象となります。しかし、CAEを使用すれば、新たに試作品を作る必要がありません。

少量ではあるかもしれませんが、産業廃棄物は環境汚染につながる可能性があります。一方で、CAEならリアルに試作品を生み出す必要がなく、持続可能な社会を目指すことができます。

CAE解析のデメリット

さまざまなメリットがあるCAE解析ですが、一方でいくつかのデメリットがあることも理解しておかなければなりません。ここでは、主なデメリットを4つ解説します。

解析には専門知識が必要

1つ目のデメリットは、解析に専門知識が必要であることです。

CAEソフトは、数値情報を視覚的に表現してくれるメリットがありますが、そもそもソフトを活用するためには専門的な知識と技術が必要です。実際に、解析の専門家がいるほど難易度の高いソフトです。

具体的には次のような解析の専門知識が必要となります。

  • 工学に関する知識
  • FEM(有限要素法)の知識
  • 解析ソフトの操作に関する知識

ただし、このような技術や知識を持っている人は多くありません。また、知識を身につける難易度も高いため、解析を行う難易度は高いでしょう。

解析ソフトのライセンス料が高い

2つ目のデメリットは、解析ソフトのライセンス料が高いことです。

CAEソフトは、使用する場合ライセンス費用が発生することが一般的です。規模や用途によっても異なりますが、10万円〜数100万円ほどの費用がかかります。

また、CAEソフトに耐えうるコンピュータのスペックも必要であり、その点でもコストがかかります。もちろん、実際の試作品を用いて解析検証を行う場合は毎度製造し、検証を行う必要があるため、のちほどかかる費用のことを考えれば、メリットを享受できるでしょう。しかし、初期費用として巨額の費用がかかることは大きなデメリットとなります。

解析結果が正しいとは限らない

3つ目のデメリットは、解析結果が正しいとは限らないことです。

CAEソフトによってさまざまな解析ができるようになりました。しかし、あくまでコンピュータのシミュレーション結果となるため、100%の正しい解析結果が出るわけではありません。

つまり、CAE解析では結果に問題がなかったとしても、実際に行ってみると問題が発生するケースもあるということです。完全にCAEソフトに頼りきれないことは、デメリットといえるでしょう。

保守費用がかかる

4つ目のデメリットは、保守費用がかかることです。

CAEを導入し、運用体制が整ったとしても、保守にコストをかけなければなりません。システムの破損やデータ解析のバグなどを判断するプログラマーも必要となるでしょう。

また、CAEと加工機械を連携させて運用している場合は、制御プログラムが破損する等、連携性に対する不安もあります。

そういった保守には予想以上のコストがかかります。場合によっては、試作品を製造するのとほとんど変わらないコストがかかることも考えられるでしょう。

CAEを導入すれば、手放しでコスト削減に貢献できるとは言い切れないのです。

CAEで解析できることの具体例

最後に、CAEを導入することでできる解析の具体例について3つ解説します。次のような解析を行う予定がある場合には、CAEソフトの導入を検討してみましょう。

重力の解析

CAEは応力解析に強いため、重力によってどのように物質が変化するのかを解析することが可能です。

たとえば、川にかかっている橋がどの程度の重力に耐え切れるのかを測るといった、建設業務に役立てられます。一般的な自動車の走行を計算したときに、どの程度前の車と隙間を開ければ重力の分散が起こり、橋が崩壊しないかを計測したり、物理的に不可能な状況が発生する最大限の状況を考慮して橋梁を建てられたりします。

また、極端に重力がかかる製品を製造する場合に、耐荷重がどの程度なのかを計測することにも役立ちます。私たちの生活に身近なところでいえば、椅子や机、浴槽などの製造にもCAEの重力解析が役立つでしょう。

この他にも、機械設計によって製品を作る場合にどの部分に重力がかかるのか計測し、重力分散を検討したりすることにも役立ちます。

熱伝導の解析

熱の伝導性を解析する時にも役立ちます。製品が熱を発する場合や、機械工場で発生する熱の量を計測し、冷却装置を設置する際にも役立つでしょう。

製品製造においては、熱を発生させるヒーターの開発に熱伝導が用いられることも多くあります。どのような形状にすれば製品本体に熱がこもらず、安全に運転できるかを各種メーカーが考えているのです。

また、自動車のエンジンを開発する際に燃焼部から何度の熱が発生していて、どのような対策を講じれば熱を緩和できるのか考える際に役立ちます。

加えて、機械工場で熱の量を計測する場合、熱した冷却するのにどの程度の設備が必要になるのか判断する際にも役立つでしょう。もちろん、熱電動解析は計測環境によっても大きく異なるため、結果がすべてではありませんが、解析後、試作品での検証を繰り返せば、安全に使用できる環境を構築できるでしょう。

飛沫(ひまつ)の検証

CAEは飛沫(ひまつ)検証にも役立ちます。

昨今、密閉空間において飛沫感染が発生するリスクも増えてきています。その際に、どの位置に換気扇や清浄機を設置すれば改善につながるのか、またマスクを使用することでどれほどの効果が得られるのかを検証することにも役立っています。

実際、密閉空間で飛沫感染の検証を行う場合、多くの人を雇って検証を行う必要があり、同時に安全に実験できる環境を整えなければなりません。また、場所を確保したり飛沫を認識できる装置を設置したりと、多くのお金や時間が必要となるのでしょう。

一方で、CAEを活用すれば、そのような制限が一切必要なくなります。また、毎回同じシミュレーションを行えるため、効率良く適切な結果が得られるでしょう。

まとめ

CAEソフトの種類やできることについて詳しく解説しました。解析ソフトを活用することで、試作実験にかかるコストを大幅に削減できるなど、大きなメリットがあります。

一方で、解析だけでは本当に正しい結果を導き出せないなど、精度面のデメリットはありますが、おおよその結果を導き出すには最も効率的なツールとなります。

CAEソフトはものづくりの現場だけではなく、IT、建築、飲食など幅広い分野で活躍が期待されており、導入する企業が増え続けている事実があります。CAE解析導入にはコストや運用面での不安を感じる方も多いですが、導入することでより効率的に実験できる環境が整うでしょう。

今回お伝えした内容を参考に、CAE解析ソフトの導入を検討してみてください。

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