近年、ビジネスにおける意思決定は、個人の経験や直感に頼る「属人化」から、データに基づいた客観的な判断へと大きくシフトしています。世の中全体でデータ活用への関心が高まっていますが、そのデータ活用の基礎となるのが統計学です。
この記事では、統計学の基礎を学べるおすすめセミナーを10選ご紹介します。統計学を学び、データに基づいた意思決定を取り入れたい方はぜひ参考にしてください。
統計の基礎とは?
統計の基礎とは、データを正しく読み解き、根拠に基づいた判断を下すための基礎理論です。これにより、勘や経験に頼りがちなビジネスの意思決定から、客観的なデータに基づいた思考(データドリブン思考)へと進化します。
統計の基礎スキルを証明できる資格
統計の基礎力を証明できる資格には、「統計検定3級」と「データサイエンティスト検定リテラシーレベル」があります。
統計検定3級
こちらは、統計学入門者向けの資格です。大学で学ぶ基礎レベルの統計学が対象で、データの種類、集計方法、確率、確率分布、統計的な推測といった基本的な概念を幅広く問われます。合格率は約75%と比較的取得しやすい資格です。
データサイエンティスト検定リテラシーレベル
こちらは、データサイエンティストに必要な実務能力を証明する資格です。見習いからプロフェッショナルまで4レベルで構成されており、段階的にスキルアップできます。
データサイエンティストに関連する基礎資格には、Python3エンジニア認定基礎試験もあります。幅広い視野で統計の基礎スキルを磨きたいという方におすすめです。詳しくは以下の記事をご参照ください。
統計基礎セミナーおすすめ10選!
では、統計の基礎を学べるセミナーを10選ご紹介します。ここでは、以下の3つのジャンルに分けてお伝えするので、ぜひ目的ごとにセミナーをチェックしてみてください。
- 検定向けの統計基礎セミナー
- 初心者向けの統計基礎セミナー
- 無料の統計基礎セミナー
まずは、紹介する統計基礎セミナー名、および主な特徴をまとめた一覧表から見てみましょう。
セミナー名 | 主な特徴 |
統計検定3級®対応 統計分析入門講座(スキルアップAI) | eラーニング形式で1年間視聴可能 |
文系のための統計入門講座(インソース) | 買い切り型で何度でも視聴可能 |
統計検定®3級対策講座(LEC) | 3巡学習で知識定着・実践力を養成 |
統計検定3級受験対策(産業能率大学) | 短期間で合格を目指す通信講座 |
超初心者向け「統計学」基礎の基礎(新技術開発センター) | 4時間で基礎の基礎を解説 |
データ分析・統計入門セミナー[初級編](JMA) | 数学が苦手な方向けの実践的学習 |
R言語で学ぶデータサイエンス(京都大学) | 統計学の基礎とR言語を同時習得 |
統計解析(情報機構) | レベル別に選択可能な講座 |
データサイエンス・オンライン講座(総務省) | 第一線専門家による無料講義 |
統計学の時間(統計WEB) | 統計検定取得向けの学習サイト |
①検定向けの統計基礎セミナー
統計の基礎を学ぶためのセミナーには、統計検定3級に対応したものが数多くあります。ここでは、統計検定3級に特化した注目の4つをご紹介しましょう。
統計検定3級®対応 統計分析入門講座|スキルアップAI
こちらは、大学で学ぶ基礎レベルの統計学を学べるeラーニング研修です。1年間の動画視聴期間があるので、自分のペースで繰り返し学習できます。
研修内容は、データ活用の基本から統計的な考え方まで統計検定3級の範囲を網羅。グラフの選び方からデータのばらつきの見極め方、未来を予測する統計の基礎まで段階的に学習します。
受講料 | 27,500円/1名(税込) |
受講時間 | 7時間 |
受講形式 | オンライン(eラーニング) |
文系のための統計入門講座|インソース
京大オリジナル株式会社が監修した動画視聴型研修です。こちらは従来のeラーニングのように期間限定ではなく、完全買い切り型なので、何度でも誰でも視聴できます。
カリキュラムは、統計検定3級の範囲をしっかり網羅。さらに、文系の方にも分かりやすいように、実際のデータや身近な例を通して、統計の基礎を楽しく学べるよう工夫されています。
受講料 | 1,100,000円 |
受講期間 | ー |
受講形式 | 動画(買い切り) |
統計検定®3級対策講座|LEC
こちらは、「習うより慣れろ」をモットーとしたオンライン&テキストで学ぶセミナーです。学習には、統計検定公式4級・3級問題集と「データの分析と統計的な推測が1冊でしっかりわかる本」を活用します。
セミナーでは、短いアニメーションで全体を掴み、計算問題で実践力を養い、過去問で解き方をマスターする「3巡学習」を基盤に学びます。
受講料 | 一般価格17,800円、大学生協16,910円、代理店書店17,444円 |
受講期間 | ー |
受講形式 | 通信(Web+音声DL+スマホ) |
統計検定3級受験対策|産業能率大学
こちらは、「統計検定3級合格」を短期間で目指せるセミナーです。学習形態は、日本統計学会公式認定のテキストを使った通信型で、Web提出のリポートで理解度も確認できます。
カリキュラムは、データ分析の基礎から、調査の進め方、そしてデータの正しい解釈までカバー。さらに、別冊のスタディガイダンスで重要ポイントを復習し、最新の試験問題で実践力を高められます。
受講料 | 14,300円(税込) |
受講期間 | 2ヵ月(16時間) |
受講形式 | 通信(テキスト) |
②初心者向けの統計基礎セミナー
統計基礎セミナーでは、文系の方や非エンジニアなど、超初心者を対象としたセミナーも多く見られます。
超初心者向け「統計学」基礎の基礎|新技術開発センター
こちらは、現役大学教授・栗原伸一氏が4時間で統計学の「基礎の基礎」を分かりやすく解説するセミナーです。講義はオンラインなので、自宅や職場から気軽に参加できます。
セミナーでは、統計学でできること・できないこと、分析手法の種類など、身近なエクセルを使った具体例も交えながら解説。なお、受講者のパソコン操作はありません。
受講料 | 25,000円(税込) |
受講期間 | 2025年7月29日(火)13:00~17:00 |
受講形式 | オンライン(Zoom) |
データ分析・統計入門セミナー[初級編]|JMA
こちらは、数学が苦手な方を対象とした統計超初心者向けセミナーです。DX時代に重要な「データリテラシー」を、ワークやケーススタディを通して実践的に習得できます。
カリキュラムは、データ分析の必要性からデータの見せ方・読み方、バイアス、相関と因果の違いまで網羅。開催は年2回で、スケジュールは公式サイトで随時更新しています。
受講料 | 74,800円 |
受講期間 | 1日(2025年7月23日、11月6日) |
受講形式 | オンライン(Zoom) |
R言語で学ぶデータサイエンス|京都大学
こちらは、統計学の基礎とプログラミング言語「R」の活用法を同時に学べるセミナーです。大学生だけではなく社会人も参加でき、オンデマンドとライブ配信の2種類で受講できます。
カリキュラムは、初心者でも分かりやすいように、統計検定3級レベルの基礎的内容を軸に学習。さらに、実務ですぐ役立つ分析スキルをRを使って習得していきます。
受講料 | 社会人:34,800円、学生:22,800円(税込) |
受講期間 | 1日(オンデマンド:2025年6月~2026年3月末、ライブ配信:2026年2月21日) |
受講形式 | オンライン(ライブ配信ZoomZoom、オンデマンド動画) |
統計解析|情報機構
こちらは、レベルや目的に合わせて選べるセミナーです。講座は、パソコンやエクセルを使った演習も豊富で、業界問わず実務で役立つ統計知識を、基礎から応用まで学べます。
初心者向けの講座は、「半日で統計学をサクッと理解」、「実例で理解を深める入門セミナー」などで、その他、多変量解析、回帰分析、ベイズ統計など、専門的な内容まで幅広く用意されています。
受講料 |
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受講期間 |
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受講形式 | 会場、オンライン、eラーニング |
③無料の統計基礎セミナー
最後に、無料でありながら内容が充実したおすすめの統計基礎セミナーを2つご紹介します。
データサイエンス・オンライン講座|総務省
こちらは、総務省の無料オンラインセミナーで、「社会人のためのデータサイエンス入門/実践」「誰でも使える統計オープンデータ」の3種類の講義があります。
講義では、統計学の基礎やデータの見方、データ分析法、統計オープンデータの活用法を学習。慶應義塾大学の安宅和人教授など、第一線の専門家が講師を務め、各週テストを実施します。
受講期間 | 約1週間(1回約10分程度×5~7回×5週)、補講・演習70分(10分程度×11回) |
受講形式 | オンライン |
統計学の時間 | 統計WEB
こちらは、統計の基礎から応用まで、大学で学ぶ統計学(統計検定2級レベル)を学べる無料コンテンツです。サイト上でアクセスすれば、その場で初級編、基礎編、中級編、実践編の4レベルから選択できます。
教材は具体例が豊富で、章の終わりには練習問題で腕試しができ、すぐに答え合わせも可能。理解度をしっかり確かめながら学び進めたい方におすすめです。
講義数 | 全51項目(初級編:10、基礎編:32、中級編:7、実践編:2) |
受講形式 | オンライン(サイト学習) |
統計の基礎は、IT基礎学習を併用することで、統計学で学んだ理論や手法を、ITツール(Excel、Pythonなど)を使って実際にデータに適用できるようになります。
以下の記事は、IT基礎セミナーを紹介しているので、データ分析の実践力を高めたい方はぜひ参考にしてください。
統計の基礎セミナーを選ぶポイント
統計学習を成功させるためには、目的やレベルに適したセミナーを選ぶことが重要です。以下のポイントを押さえて最適なセミナーを見つけましょう。
- 学習目的の明確化(資格取得、業務活用、教養習得など目的を決定)
- 現在のレベル把握(数学基礎、統計知識の有無を正確に評価)
- 学習スタイルの選択(オンライン、対面、自己学習型から最適な形式を選択)
- 予算と期間の設定(受講料と学習期間が現実的に継続可能か検討)
- 実践性の確認(演習やケーススタディが豊富に含まれているか確認)
これらの要素を総合的に検討することで、統計学の基礎を効率的に身につけ、実務で活用できるスキルを習得できるでしょう。
統計基礎セミナーで学ぶ4つの要素と3つの視点
多くの統計学の基礎セミナーでは、データが持つ意味を正確に捉える力を養います。ここでは、統計基礎セミナーで学ぶ統計学の「4つの要素」と、データを多角的に見るための「3つの視点」について解説していきます。
- 統計学の軸となる4つの要素
- データを読み解く3つの視点
- 統計の基礎である「中心」と「ばらつき」
①統計学の軸となる4つの要素
まずは、統計学の軸となる4つの要素を見てみましょう。
要素 | 目的・機能 | ビジネス活用例 |
確率分布 | データ全体の傾向・特性を把握 | 過去の顧客データから広告戦略を最適化 |
相関関係 | 二つのデータの変化関係を分析 | サイト訪問回数と購入金額の関連性を発見 |
統計的検定 | データの差が偶然か意味ある差かを判断 | 新商品A案とB案の優位性を統計的に判定 |
回帰分析 | 複数要素の影響を分析し将来を予測 | 顧客属性から購入金額・解約率を予測 |
これら4つの要素はそれぞれが独立した知識ではなく、互いに連携してデータを多角的に分析することで、ビジネスの複雑な課題に対し、より深く、確実な解を導き出せるようになります。
これらの要素を効果的に活用し、データを深く読み解くためには、特定の「視点」を持つことが重要です。
②データを読み解く3つの視点
それでは、データを正しく読み解くために、以下の3つの視点からデータ分析を見てみましょう。
視点 | 説明 | 関連用語 |
データの中心 |
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代表値(平均値、中央値) |
データのばらつき |
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散布度(分散、標準偏差) |
発生の予測 |
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確率、推測統計(推定、仮説検定) |
上記表の中でも、統計の基礎となるのは「中心」と「ばらつき」です。「中心」と「ばらつき」を理解できて初めて、より高度な「発生の予測(確率・推測統計)」といった分析へと繋がっていきます。
③統計の基礎である「中心」と「ばらつき」
データの「中心」と「ばらつき」を、テストの点数で見てみましょう。
例えば、上記の図は、平均点が同じ2つのクラスのテスト点数を示しています。クラスAは点数が集中(=標準偏差が小さい)、クラスBは二極化(=標準偏差が大きい)しており、同じ平均点でも中身は全く違います。
この「ばらつき」を理解することが、データが示す真の情報を把握するための基盤であり、最も重要な要素なのです。
統計基礎セミナーについてまとめ
統計基礎セミナーは、統計検定取得向けから、超初心者向け、基礎から段階的に応用まで進めるものなど、様々な種類がありました。
統計基礎セミナーは種類が豊富であるからこそ、自分に適したセミナーで学ぶことが重要です。ぜひ本記事を参考にして、より効率的な学習を進めてください。
