土木・建築業は、社会インフラを整備し、人々の生活を支える重要な役割を担っています。
やりがいを感じられる魅力的な仕事である反面、長時間労働や現場特有の人間関係によるストレスに悩む方も少なくありません。こうした過酷な業務環境がモチベーションに影響を与え、将来のキャリアや働き方を再考したいと考える方が増えてきています。
この記事では、転職者が土木・建築職に多い理由、転職におすすめの業種と転職サービスをご紹介します。
土木・建築職で働く人の転職理由とは?
土木・建築業界で働く人たちは、一体なぜ転職を考えるのでしょうか?
JAGフィールド株式会社の調査によると、土木・建築業界の転職検討者は68.2%と非常に高い割合を占めていました。
長時間労働を強いられる職場も多いことから、「仕事量に見合うだけの対価が得られていない」という声もよく耳にします。まずは、土木・建築業界で働く人たちの具体的な転職理由について、実際の口コミを参照しながら解説していきましょう。
参照:JAGフィールド株式会社
転職理由①労働時間が長い

土木・建築職からの転職理由として最も多く聞かれるのが労働時間の長さです。
土木関連職の方の口コミでは、現場トラブルによる徹夜の資料作成も日常茶飯事で「タフな人間でないと相当にきつい」という声も見られました。土木関連の仕事は公共が多いため、年末にかけての労働が非常に過酷だったというコメントもありました。
上記画像の、国土交通省「日本の建設業における労働時間と働き方改革」に関する分析資料からも分かるように、土木・建築工事全体で週休2日制が導入されている企業は実に1割以下で、平均では4週当たり4.6日でした。
つまり、ほとんど週休1日という就業環境が土木・建築業界の現状なのです。
このような土木・建設業界における長時間労働が問題視される中、2018年に施行された「働き方改革関連法改正」では、2024年度から土木・建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、違反した場合には罰則が科されるようになりました。しかし、働き方改革による収入減など、次なる課題も浮上しています。
転職理由②賃金が安い

土木・建築職での転職理由の一つに、賃金の安さが挙げられます。
長時間労働に加え、過酷な労働環境が賃金問題をさらに深刻にしています。
「給料が安い割に責任が重い」「土木施工管理技士1級を取得しても給料がほとんど上がらなかった」といった口コミも多く、賃金の安さを指摘する声は少なくありません。
特に土木施工管理者の場合、現場作業に加えて設計書や検討書などの書類作成を行う必要があり、負担がさらに増しています。このような多岐にわたる業務内容に対して、報酬が見合わないと感じている方も多いです。
上記表から分かるように、土木・建設業男性全労働者の給与水準は他産業と変わらないものの、建設業の生産労働者に限定すると給与水準は最も低く、2015年頃から若干上昇していますが、その伸び幅はわずかです。今後、昨今の物価高騰の影響もあり、さらに賃金の安さを理由に転職者が増える可能性もあるでしょう。
転職理由③人間関係が難しい
土木・建築業界では、人間関係の難しさが転職理由としてよく挙げられます。
現場の口コミでは、「膨大な仕事を押し付けられる」「新人への対応が厳しすぎる」といった声が目立ち、職場環境が働き手に大きなストレスを与えている現状が浮き彫りとなりました。
加えて、上司との軋轢や近隣住民とのトラブル、行政との交渉、スタッフ同士の衝突など、人間関係の問題が多方面に及ぶ点も特徴的です。現場特有の荒い言葉遣いや態度に戸惑い、精神的に疲弊したという声も少なくありません。
こうした環境の裏には、厳しい口調や強い指示を「正しい指導」と捉える古い慣習が根強く残っているという背景もあります。これらのストレスや不満が積み重なることで、転職を希望する人が後を絶たない状況となっているのです。
参照:honne.biz
土木・建築従事者の転職におすすめの業種
土木・建築従事者の方が転職を考える際におすすめの業種は、やはりこれまでの経験やスキルを活かせる分野が中心となります。以下に主な業種を挙げ、それぞれの特徴を解説しましょう。
①建設コンサルタント
建設コンサルタントは、土木や建築の現場全体の指揮、プロジェクトの企画、管理を行う職種です。「現場全体を見る」という共通点から、土木施工管理技士からの転職が多く見られます。
建設コンサルタントは、主に国や地方自治体などからの発注を受けて工事を企画・調整するといった、社会インフラに関連する業務が多いのが特徴です。土木施工管理技士などの経験者が優遇されやすく、また法律や経済などの知識、統率力や管理力も求められます。
②公務員(土木関連)
公務員の土木職は、国や自治体が実施する公共インフラの整備を担当する業種です。
自治体の「公園土木事務所」や「県土整備事務所」などが公務員の土木職に該当し、主に入札や現場管理、プロジェクト統括などの業務に従事します。
土木施工管理技士を経験した方は、公共工事や都市計画などの仕事を請け負う際に土木関連の公務員の方と接する機会もあったかと思います。土木施工管理技士から転職する方が多いのは、業種に対する理解やなじみがあることも理由の一つでしょう。
ただし、地方公務員の試験に合格する必要があるので、転職前には事前に受験対策を立てて計画的に転職を進めてください。
③建築エンジニア
建築エンジニアは、建築や土木分野における専門的な設計業務を担う職種で、設計の企画から実際の設計図作成まで幅広い業務に携わります。
建築エンジニアとして働くには、業務内容や規模に応じてさまざまな資格が求められます。
たとえば、一級建築士や木造建築士、建築施工管理技士や電気工事施工管理技士などが代表的な資格であり、製図に必要なCADソフトの操作スキルも欠かせません。
これらの資格は難易度が高いものの、土木や建築の現場で培った経験を活かしながら、より専門性の高い業務に挑戦できるという魅力があります。「業務で確かなやりがいを感じたい」という方にとって最適な転職先といえるでしょう。
④CADオペレーター
CADオペレーターは、CADソフトを使って図面を作成する専門職です。
先程紹介した設計エンジニアの指示のもと図面作成業務を行うため、建築エンジニアへの第一ステップとして転職する方も多く見られます。
CADオペレーターは、インテリア設計士やBIMオペレーターなど、多様なキャリアパスも選べます。在宅ワークが可能なため、比較的勤務形態も柔軟で、さらに将来的な独立開業を視野に入れることも可能です。
CADオペレーターは、CADソフトの操作スキルさえあれば未経験でも活躍できます。
そのため、異業種からの転職者が多く、土木・建築関連のスキルがない方でもスムーズにキャリアチェンジできる業種です。
CAD初心者に最適!効率的に学べるAutoCAD基礎セミナー講習
ProSkilllのAutoCAD基礎セミナー講習は、わずか2日で業界標準のAutoCADを基礎から実務レベルまで習得できます。受講形式も3種類(会場・オンライン・eラーニング)あるので、多忙な方でも無理なくCADのスキルアップを目指せます。
初心者向けに分かりやすく解説しているので、AutoCADを全く知らない方でもスムーズに理解できます。
CADのおすすめ資格は以下の記事で解説しているので、ぜひご参照ください。
土木・建築関連のおすすめ転職サービス
土木・建築関連業種から転職する際、どのようなステップで転職活動を進めて良いか分かりにくい方もいるかと思います。ハローワークを利用するのが一般的ですが、近年は転職サービスを利用する方も増えてきました。
CAD業界に特化した転職支援サービス・ジョブテック for CAD
ジョブテック for CADは、CAD業界専門の転職支援サービスです。
CADに特化した豊富な求人数が魅力で、さらに大手求人サイトには掲載されていない独占求人や非公開求人も豊富に揃っています。
登録後はCAD業界に精通したエージェントが、求職者のキャリアに合った求人探しを内定まで無料でサポート。さらに、先ほど紹介した「AutoCAD基礎セミナー講習」など豊富な提携教育サービスを提供しており、ジョブテック for CADでの就職が決まった方であれば実質無料で受講できます。
ジョブテック for CADの主な求人例
ジョブテック for CADでは、以下のような求人を紹介しています。
職種 | 雇用形態 | 主な仕事内容 | 応募条件 | 想定年収 |
CADオペレーター | 中途採用 (正社員) |
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AutoCAD実務経験2年以上 | 400~600万円 |
機械設計 | 中途採用 (正社員) |
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350~650万円 |
事務スタッフ | 中途採用 (正社員) |
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330~450万円 |
ジョブテック for CADの転職までの流れ
ジョブテック for CADを利用した際、転職までは以下のような流れで進めていきます。
1. 会員登録(無料)
まずは登録フォームに必要事項を入力して、ジョブテック for CADのサービスを利用する準備をしましょう。登録は数分で完了し、完全無料で始められます。
2. 求人案内・スカウト受信
登録後、ジョブテック for CAD独自の非公開求人情報や企業からのスカウトが届きます。
希望に応じて興味のある職種に応募し、オンライン面談やスキルアップのための教育サービスを利用することも可能です。
3. 内定・就職
求人に応募後は、担当エージェントが内定獲得まで徹底サポートします。
面接対策や条件交渉など、すべての転職プロセスを安心して進められます。
ジョブテック for CADは、土木・建築関連業界からCAD関連の業種への転職を目指す方に最適な転職支援サービスです。未経験から経験者まで無料で登録できるため、新しいキャリアをスタートしたい方はぜひ利用してみてください。
土木・建築職から転職する際のアピールポイント
転職といえば、やはりアピールポイントを明確にし、企業に自分の強みを伝えたいという方も多いでしょう。以下では、土木・建築経験者の転職時のアピールポイントについて解説します。
①柔軟な対応力
土木・建築職から転職する際には、柔軟な対応力をアピールしましょう。
土木・建築の現場では、天候の急変や設計変更、資材不足といった突発的なトラブルが日常的に発生します。そのような環境で培われた臨機応変さは、想定外の事態にも迅速かつ冷静に対応できる能力として評価されます。
問題が発生した際に的確に状況を判断し、適切な対策を講じた経験は、多くの職場で必要とされるスキルです。面接時は説得力を高めるためにも、具体的なエピソードを交えながら説明すると、アピール効果が大幅にアップします。
②高いストレス耐性
土木・建築職で培った高いストレス耐性も転職時の重要なアピールポイントです。
土木・建築業界は、上記でもお伝えしたように肉体的にも精神的にも負荷が高く、厳しい環境での労働を強いられる場面が少なくありません。
そのような中で業務をやり遂げてきた経験は、困難な状況においても冷静さを保ち、課題を乗り越える力を持っているという証明となります。近年は離職率の高さを課題とした企業も多いため、耐性や適応力の高さは強力な武器となります。
③資格や経験
土木・建築業界での資格や経験は、転職時における大きな強みとなります。
これらの能力は、実務力を備えた人材として高く評価されるポイントです。
たとえば、CADの資格や使用経験があると、建設エンジニアやCADオペレーターへの転職時に高く評価されます。また、土木施工管理技士などの国家資格は、建設コンサルタントや土木関連の公務員として転職する際大いに効果を発揮するでしょう。
資格がない場合でも、土木・建築現場で培った安全管理意識の高さや責任感、法令遵守の知識は、他業種の管理職やリーダーポジションで活かせるスキルとして注目されます。
土木・建築職の転職についてまとめ
土木・建築業界での経験を活かしつつ、新たなキャリアを目指したいと考える方には、CADスキルが大きな武器となります。CAD操作が可能であれば、CADオペレーターや建築エンジニアなど、専門性を活かした職種への転職も視野に入ります。
CADスキルを活かした転職を考えている土木・建築関連業種の方は、ぜひジョブテック for CADにご相談ください。一人ひとりのニーズや適正に合わせたキャリアアップを全力でサポートいたします。
