テレワークの普及に伴い、利便性が向上する一方で、セキュリティリスクがかつてないほど増大しています。企業や個人が安全な環境で業務を遂行するためには、端末の紛失や盗難、不正アクセス、フィッシング詐欺といった具体的なリスクを理解し、適切な対策を講じることが欠かせません。
本記事では、テレワークにおける主なセキュリティリスクと、企業や従業員が実践すべき具体的な対策を網羅的に解説します。
テレワークにおける主なセキュリティリスク
テレワークが急速に普及する中で、利便性と引き換えに数多くのセキュリティリスクが浮き彫りになっています。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」では、リスクに対処するための基本方針や具体的な対策が示されていますが、リスクを正確に理解し適切に対応することが重要です。
本章では、テレワーク環境で特に注意すべき主なセキュリティリスクを解説します。
端末の紛失・盗難による情報漏洩
テレワークの普及により、業務用のノートパソコンやスマートフォンを持ち歩く機会が増えています。しかし、端末が紛失または盗難されると、保存された機密データが漏洩する危険性が高まります。
特に、USBメモリのようなリムーバブルメディアが紛失すると、個人情報や業務データが第三者に悪用されるリスクが顕著です。
公衆Wi-Fi利用時の通信傍受リスク
カフェや駅、公園などで利用される公衆Wi-Fiは便利ですが、セキュリティ対策が不十分な場合、通信内容が傍受されるリスクがあります。
特に、暗号化されていないWi-Fiや、正規のアクセスポイントに見せかけた「偽装アクセスポイント」に接続してしまうと、ログイン情報や個人情報が第三者に盗まれる可能性があるでしょう。
不正アクセスやマルウェア感染の危険性
テレワーク環境では、不正アクセスやマルウェア感染が増加しています。
特に、サイバー攻撃者がテレワークで使われるVPNやリモートデスクトップソフトウェアの脆弱性を狙うケースが増加。また、電子メールに添付されたマルウェアを通じて、企業ネットワーク内に侵入される事例も報告されています。
シャドーITの増加と管理外デバイスの使用
シャドーITとは、従業員が企業の認可を受けずに個人のデバイスやアプリケーションを業務で利用することを指します。このような行為は、テレワーク環境において特に増加しており、セキュリティ管理の網をかいくぐる結果、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。
例えば、企業の管理下にないクラウドストレージやチャットツールを利用すると、データが第三者に流出する危険性が生じるでしょう。
フィッシング詐欺や標的型攻撃の増加
テレワーク環境では、フィッシング詐欺や標的型攻撃の被害が急増しています。
感染症対策やビジネスメールを装った詐欺メールが典型例で、メール内のリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりすることでマルウェアに感染します。また、こうした攻撃は、従業員が個人所有の端末で業務を行う場合に特にリスクが高まるでしょう。
VPN機器やソフトウェアの脆弱性放置による攻撃リスク
テレワーク環境で多用されるVPN機器やリモートアクセスソフトウェアは、企業ネットワークを外部から安全に利用するための重要な手段です。
しかし、既知の脆弱性が存在し、適切なアップデートが行われていない場合、攻撃者にとって格好のターゲットとなるでしょう。実際、脆弱性を悪用した不正アクセス事件は国内外で多数報告されています。特に、過去に利用されていた古い機器を再利用する際には、脆弱性を放置したままの運用が問題視されています。
クラウドサービス設定ミスによる情報漏洩
テレワークの普及に伴い、多くの企業がクラウドストレージやファイル共有サービスを利用しています。
しかし、クラウドサービスの設定ミスにより、機密情報が外部からアクセス可能な状態になってしまう事例が後を絶ちません。特に、アクセス制御や初期設定の不備が原因で情報漏洩が発生するケースが多く見られます。
パスワードの使い回しが引き起こすリスク
複数のサービスで同じパスワードを使い回すことは、リスト型アカウントハッキングの標的になるリスクを大きく高めます。
他のサービスから漏洩したIDやパスワードが悪用され、業務システムやクラウドサービスに不正アクセスされる可能性があるでしょう。さらに、これによりランサムウェアや情報漏洩などの二次被害につながるケースも報告されています。
ランサムウェアについて詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。
サプライチェーンに起因するセキュリティの弱点
取引先や委託先のセキュリティの脆弱性が、自社にも大きな影響を及ぼすケースが増えています。
特に、サプライチェーン全体でのセキュリティ対策が不十分な場合、攻撃者が弱いポイントを狙い、結果的に自社システムへの攻撃の足がかりにされるリスクがあるでしょう。例えば、委託先のシステムがマルウェアに感染し、そこから情報漏洩や不正アクセスが発生する事例が報告されています。
テレワーク時に必要なセキュリティ対策
テレワークの普及により、セキュリティ対策がこれまで以上に重要視されています。特に、自宅や外部から業務を行う場合、端末管理や通信環境の安全性、データ保護が求められます。
以下の表に、テレワーク環境を安全に保つために必要な主な対策をまとめました。
対策項目 | 目的 | 具体例 |
---|---|---|
デバイス管理 | 紛失や盗難による情報漏洩防止 | 暗号化、リモート消去機能の活用 |
ネットワークの安全性確保 | 通信の暗号化と第三者からの傍受防止 | VPNの利用、セキュリティプロトコルの採用 |
セキュリティソフト | マルウェア感染や不正アクセス防止 | 最新のウイルス対策ソフトの導入と更新 |
パスワードと認証管理 | アカウントの不正利用防止 | 強力なパスワード、多要素認証の活用 |
OSやソフトウェアの更新 | 脆弱性の早期修正 | 自動アップデート設定 |
クラウドサービスの監査 | データ漏洩防止と設定ミスの発見 | 定期的な設定確認とアクセス制限の見直し |
データのバックアップ | 災害や攻撃時の業務継続性確保 | 多重バックアップと定期的な復元テスト |
対策を体系的に実践することで、セキュリティリスクを最小限に抑え、安心してテレワークを行える環境を整えることが可能です。この章では、それぞれの対策について見ていきましょう。
デバイスの適切な管理と紛失防止策
テレワークで利用する端末の紛失や盗難を防ぐことは、情報漏洩リスクを軽減するための第一歩です。端末には暗号化機能を適用し、万が一紛失した場合にはリモート消去ができるように設定しておく必要があります。
また、業務用デバイスと個人用デバイスを分離し、私物の端末を業務に使用しないルールを設けることで、管理範囲を明確にすることも重要です。さらに、端末の持ち出しが必要な場合は、専用のキャリングケースを利用し、端末を物理的に保護することが推奨されます。
安全なネットワーク接続の確保(VPNの利用など)
公共Wi-Fiや自宅のネットワークを利用する際は、通信内容が暗号化されていない場合、第三者に傍受されるリスクがあります。
防ぐためには、VPNを活用して通信経路を暗号化することが効果的です。また、無線LANルーターの設定を見直し、「WPA2」や「WPA3」などの強力なセキュリティプロトコルを使用することも必須です。
加えて、通信の暗号化以外にも、不要なデバイスの接続を防ぐため、ネットワーク接続の管理を強化することが求められるでしょう。
セキュリティソフトの導入と最新状態の維持
マルウェアやウイルス感染を防ぐためには、信頼性の高いセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことが必要です。
セキュリティソフトには、リアルタイムスキャンやフィッシング対策機能が含まれているものを選ぶと良いでしょう。また、企業全体で同一のセキュリティソリューションを導入し、管理者が集中管理できる環境を整えることも効果的です。
強力なパスワードの設定と多要素認証の活用
アカウントの不正利用を防ぐために、パスワード管理の徹底と多要素認証の導入をしましょう。
パスワードは、推測されにくいランダムな文字列を使用し、定期的に変更することが重要です。さらに、ログイン時にパスワードに加えて、ワンタイムパスコードや生体認証などを活用することで、セキュリティを強化できるでしょう。
特に、業務システムやクラウドサービスへのアクセスには、多要素認証を必須とするルールを企業全体で導入することが効果的です。
定期的なOSやソフトウェアのアップデート
OSやソフトウェアの脆弱性は、攻撃者に悪用される大きなリスクとなります。
防ぐためには、定期的なアップデートを実施し、最新のセキュリティパッチを適用することが必要です。自動アップデート機能を有効にすることで、手動で更新する手間を省き、漏れを防ぐことができます。
また、サポートが終了したソフトウェアを使用しないよう徹底し、企業全体でのソフトウェア管理を強化することが求められるでしょう。
クラウドサービスの設定確認と定期的な監査
テレワークで利用されるクラウドサービスは、便利である一方、設定ミスや不適切な管理が情報漏洩の原因となる場合があります。
アクセス権限を定期的に見直し、不要なユーザーや権限が残っていないかを確認することが重要です。また、クラウドサービス提供者のセキュリティ状況を監査し、信頼性を確認することも必要でしょう。
さらに、データが意図しない形で公開されないよう、暗号化やログの監視体制を強化することが推奨されます。
定期的なバックアップの実施と確認
ランサムウェア攻撃やシステム障害に備えるためには、重要データの定期的なバックアップが欠かせません。
バックアップは、オフィスネットワークやクラウドストレージなど複数の場所に分散して保存することで、データ消失リスクを最小化できます。また、定期的にバックアップデータが正常に復元できるかをテストすることも重要です。
組織としてのテレワークセキュリティポリシー策定
テレワーク環境でのセキュリティリスクを軽減するためには、組織全体で明確なセキュリティポリシーを策定し、従業員に周知することが欠かせません。
以下の表に、組織が取り組むべき主な施策をまとめました。
施策 | 目的 | 具体例 |
---|---|---|
テレワークガイドライン作成 | セキュリティ基準の統一 | 利用可能な端末やネットワークの明確化 |
セキュリティ教育と訓練 | 従業員の意識向上とリスク軽減 | 定期的な研修、疑似攻撃を用いた訓練 |
情報漏洩時の対応手順整備 | 被害拡大防止と迅速な復旧 | 緊急連絡体制の構築、報告フローの整備 |
アクセス権限の適切な設定 | 不正アクセスのリスク軽減 | 必要最小限の権限付与と定期的な見直し |
サプライチェーンのセキュリティ強化 | 取引先経由のリスク軽減 | 契約時のセキュリティ要件設定と監査 |
施策を体系的に導入することで、組織としてのセキュリティレベルを向上させ、テレワーク環境をより安全なものとすることが可能です。この章では、各施策について見ていきましょう。
テレワークガイドラインの作成と周知
テレワーク環境におけるセキュリティリスクを統一的に管理するには、明確なガイドラインを策定し、従業員全員に周知徹底することが必要です。
ガイドラインには、業務で使用可能な端末やネットワークの要件、セキュリティソフトの利用基準、データの保存方法などを盛り込みましょう。また、新たなリスクや脅威が発生した場合には、迅速にガイドラインを見直し、全従業員に最新の情報を提供する仕組みを整備することが求められます。
従業員へのセキュリティ教育と訓練
従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることは、組織全体のセキュリティ強化に直結します。そのため、定期的なセキュリティ研修を実施し、フィッシング詐欺やマルウェア感染などのリスクについて理解を深めさせることが重要です。
また、疑似攻撃を用いた実践的な訓練を行うことで、従業員が具体的なリスクに対して適切に対応できる能力を身につけることができるでしょう。
情報漏洩時の対応手順と連絡体制の整備
情報漏洩が発生した際、迅速かつ適切に対応するためには、対応手順を事前に策定しておくことが不可欠です。漏洩が確認された場合に誰に連絡するべきか、どのような情報を提供するべきか、具体的なフローを明確化する必要があります。
また、緊急連絡体制を構築し、発生初動での対応を迅速化することも重要です。
アクセス権限の適切な設定と継続的な見直し
セキュリティ強化の基本として、情報資産へのアクセス権限を適切に設定することが挙げられます。
権限は「必要最小限」の原則に基づいて付与し、従業員の役割や職務内容に応じた柔軟な管理を行うことが求められます。また、定期的にアクセス権限を見直し、不必要な権限が付与されたままになっていないかを確認することが重要です。
さらに、クラウドサービスや共有フォルダを利用する場合には、アクセスログを監視し、不審な活動を迅速に特定する体制を整えましょう。
サプライチェーン全体のセキュリティ強化
自社だけでなく、取引先や委託先のセキュリティ状況にも注意を払う必要があります。
委託先のシステムが攻撃を受けた結果、自社の機密情報が流出するリスクが増加しているため、取引契約時にセキュリティ要件を明確化し、定期的に監査を実施することが重要です。また、取引先の従業員にも基本的なセキュリティ教育を実施し、全体でのセキュリティレベルを向上させる取り組みが求められます。
サイバー攻撃事例などを知りたい方は、下記をご覧ください。
テレワーク環境における物理的セキュリティ
テレワーク環境では、サイバーセキュリティだけでなく、物理的なセキュリティ対策も重要です。特に、自宅や公共の場での作業中に発生する情報漏洩や、機密情報の不適切な保管・廃棄によるリスクが増加しています。
以下の表に、物理的セキュリティ対策の具体例をまとめました。
対策項目 | 目的 | 具体例 |
---|---|---|
作業場所の選定 | 周囲からの視線による情報漏洩防止 | 周囲に人がいない場所での作業 |
覗き見防止フィルターの活用 | ディスプレイの内容を第三者に見られないように | ノートPCやタブレットに専用フィルターを装着 |
機密書類の適切な保管と廃棄 | 紙媒体での情報漏洩防止 | 鍵付きキャビネットでの保管、シュレッダーでの廃棄 |
オンライン会議の音漏れ・画面共有対策 | 音声や画面情報の意図しない流出防止 | イヤホン使用、画面共有内容の確認 |
対策を適切に実行することで、物理的な情報漏洩リスクを効果的に抑えることが可能です。それでは、各対策について解説します。
作業場所の選定と周囲の視線への配慮
テレワークを行う場所を選定する際には、周囲からの視線に配慮することが重要です。カフェやコワーキングスペースなどの公共の場では、他人にディスプレイ内容を見られるリスクが高まります。
後に人がいない座席を選ぶ、または壁を背にするなどの工夫が必要です。また、自宅で作業する場合も、家族や訪問者の目に触れる場所での業務は避け、個室などプライバシーが確保された空間を利用しましょう。
ディスプレイの覗き見防止フィルターの活用
モバイル端末やノートPCの画面に覗き見防止フィルターを装着することで、ディスプレイの内容が正面以外から見えなくなり、周囲の視線から情報を守ることができます。
フィルターは、公共の場やオフィス内でのセキュリティを向上させる便利なツールです。また、フィルターの取り付け・取り外しが簡単な製品を選ぶことで、使用シーンに応じて柔軟に対応可能です。
機密書類の適切な保管と廃棄方法
紙媒体の機密書類は、適切に保管・廃棄しなければ情報漏洩につながるリスクがあります。
保管する際には、鍵付きのキャビネットや金庫を利用し、アクセス権限を明確にすることが必要です。また、廃棄する場合は、シュレッダーを使用して細かく裁断し、情報が復元されない状態にしましょう。
オンライン会議時の音漏れ・画面共有リスクへの注意
オンライン会議を行う際には、音漏れや画面共有による情報漏洩に注意が必要です。
イヤホンやヘッドセットを使用することで、周囲に会話内容が漏れないようにすることができます。また、画面共有時には、他のウィンドウや不要な情報が見えないよう、事前に画面内容を確認しておくことが重要です。
クラウドサービス利用時の注意点
テレワーク環境では、クラウドサービスの利用が業務効率化に大きく寄与しています。しかし、クラウドサービスを適切に管理しないと、情報漏洩やデータ消失といったリスクに直面する可能性があります。安全にクラウドサービスを活用するためには、信頼できるサービスの選定や、アクセス権限管理、バックアップの実施などが不可欠です。
以下に、クラウドサービス利用時に注意すべきポイントを表にまとめました。
対策項目 | 目的 | 具体例 |
---|---|---|
信頼できるサービスの選定 | 安全性と信頼性の高いプロバイダの利用 | 認証取得済みプロバイダの選択、実績確認 |
アクセス権限の設定と管理 | 不正アクセスや情報漏洩の防止 | 必要最小限の権限付与、定期的な見直し |
データ暗号化とバックアップの実施 | 情報保護と復旧対策 | 保存データの暗号化、複数のバックアップ |
障害発生時の対応計画 | 業務の中断リスクを軽減 | 障害時の対応手順策定、代替プロバイダの確保 |
契約更新や設定ミス防止 | 利用の継続性と設定管理の徹底 | 契約更新のスケジュール管理、設定監査 |
注意点を把握し、定期的に対策を見直すことで、クラウドサービスを安全に利用し続けることが可能になります。この章では、各項目について見ていきましょう。
信頼できるサービスの選択基準
クラウドサービスの安全性は、プロバイダ選定の段階で大きく左右されます。
信頼性を判断するためには、国際的なセキュリティ認証(ISO/IEC 27001やSOC2など)を取得しているかを確認することが重要です。また、稼働実績やユーザーレビューを確認し、過去に大きなセキュリティ問題が発生していないかをチェックすることも必要でしょう。
アクセス権限の適切な設定と管理
クラウドサービスに保存されたデータへのアクセス権限を適切に設定することは、不正アクセスや情報漏洩のリスクを軽減するために重要です。
アクセス権限は、必要最小限の範囲で付与し、業務内容に応じて適宜見直すことが求められます。また、共有フォルダやプロジェクト管理ツールなどのクラウドサービスでは、ログ監視を行い、不審なアクセスがないかを確認しましょう。
データ暗号化とバックアップの実施
クラウドサービスを利用する際には、保存データを暗号化することで情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます。
さらに、ランサムウェア攻撃やシステム障害に備え、データのバックアップを複数の場所に分散して保存することが必要です。バックアップは、クラウドストレージとオフラインストレージの両方を活用し、定期的に復元テストを行うことで信頼性を確保しましょう。
障害発生時の対応計画とリスク管理
クラウドサービスが障害を起こした場合、業務に深刻な影響を及ぼすことがあります。そのため、障害発生時の対応手順を事前に策定しておくことが重要です。
例えば、代替プロバイダを確保しておくことで、迅速な切り替えが可能になるでしょう。
クラウドサービスの契約更新や設定ミス防止の確認
クラウドサービスの契約更新が滞ると、突然の利用停止やデータ消失につながるリスクがあります。
防ぐためには、契約期限を明確に把握し、更新スケジュールを適切に管理することが重要です。また、設定ミスによる情報漏洩を防ぐためには、定期的な設定監査を行い、不適切な権限やセキュリティポリシーが適用されていないかを確認しましょう。
最新セキュリティ技術の活用
テレワーク環境が広がる中で、従来型のセキュリティ対策だけでは新たな脅威に対応するのが難しくなっています。そのため、下記の最新のセキュリティ技術を活用することが求められています。
- ゼロトラストセキュリティの導入
- AI・EDR/XDRを活用した脅威検知
- デバイス管理を強化するためのMDMツール
この章では、各技術の概要と利点について解説します。
ゼロトラストセキュリティの導入
ゼロトラストセキュリティは、「すべてを信頼しない」という考え方に基づき、社内外を問わず、すべてのアクセスを常に検証するセキュリティモデルです。
ゼロトラストセキュリティでは、従来の境界型セキュリティでは防げなかった内部脅威や権限の濫用を抑えることができるでしょう。具体的には、ユーザーやデバイスごとに細かなアクセス制御を設定し、必要最小限の権限だけを付与します。
また、ネットワーク内の通信も暗号化され、リアルタイムで異常を検知する仕組みが導入されるため、高度なセキュリティが実現します。
AI・EDR/XDRを活用した脅威検知
AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)やXDR(Extended Detection and Response)は、未知の脅威をリアルタイムで検知し、迅速に対応するための技術です。
それぞれ、大量のデータを分析し、不審な挙動や攻撃の兆候を早期に発見します。また、感染後の影響を最小限に抑えるための隔離や修復機能も備えています。
デバイス管理を強化するためのMDMツール
テレワーク環境では、多様なデバイスが使用されるため、デバイス管理の重要性が高まっています。
MDM(Mobile Device Management)ツールは、業務用端末を一元的に管理し、セキュリティリスクを軽減するためのソリューションです。MDMにより、リモートワイプ機能を利用して紛失・盗難時にデータを安全に消去することが可能になるでしょう。
テレワークのセキュリティ対策で安心の働き方を実現
テレワークの普及が進む中、安全な環境で働くためには、リスクを正確に把握し、適切な対策を講じることが欠かせません。
端末の管理や通信の保護、セキュリティソフトの導入から、最新技術の活用、組織全体のポリシー策定まで、取り組むべき課題は多岐にわたります。対策を実施することで、テレワークにおけるリスクを最小化し、安心して働ける環境を整えることが可能でしょう。
テレワークのセキュリティ対策を徹底することは重要ですが、システムやツールの導入には専門的なアドバイスが必要な場合があります。特に、業務効率化やセキュリティ向上を目指したITツールやシステムの選定にお悩みの企業様には、「キャド研」の無料相談サービスが最適です。
詳細は下記をご覧ください。
