SOLIDWORKSで作成した部品の強度や品質のチェックのために利用できるのが、シミュレーションの機能です。しかし、SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方がわからないとお悩みの人も多いでしょう。
そこでこの記事では、SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方をわかりやすくまとめました。機能の使い方を1つずつ解説しているので、自身が作成した3Dモデルに活用してみてください。
SOLIDWORKSのシミュレーションとは
機械設計などに強いSOLIDWORKSには、設計した3Dモデルの安全性や強度を確認する機能としてシミュレーションが用意されています。
主に従来製品の「SOLIDWORKS」そしてシミュレーションに特化した「SOLIDWORKS Simulation」というソフトウェアを活用するのが一般的です。参考として、提供されているグレードごとの解析範囲をまとめました。
SOLIDWORKSの シミュレーショングレード |
対応範囲 (上位グレードは下位グレードの機能も含む) |
Standard | 簡易解析・簡易流体解析 |
Premium | 線形静解析・Motion機構解析 |
Simulation Standard | 疲労解析 |
Simulation Professional | 熱伝導解析・座屈解析・トポロジー最適化・固有値解析・落下解析・パラメトリック最適化・イベントベースMotion・Motion最適化 |
Simulation Premium | 非線形解析・動解析・積層材 |
なおグレードが上がるごとに、下位グレードのシミュレーション機能にも対応が可能です。
それぞれ使い方や目的、要素が異なるため、自社に必要な解析があるグレードを選びましょう。
また、SOLIDWORKS全体の使い方など、具体的にできることを知りたい方は以下の記事がおすすめです。
SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方
SOLIDWORKSのシミュレーションは、3Dモデルを準備した状態からスタートします。
条件・荷重の設定、メッシュ設定など、複雑な使い方をするため、使い方がわからないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
シミュレーション用の3Dモデルを用意する
まずはSOLIDWORKSのシミュレーションに利用する3Dモデルを準備しましょう。
シミュレーションの使い方は3Dモデルをベースに実施するため、モデルがなければ解析を始められません。今回は参考として、上画像のようなモデルを準備しました。
3Dモデルの作り方がわからないとお悩みの人は、ぜひ以下の記事を参考にしながら解析用モデルを準備してみてください。
シミュレーション機能を起動する
使い方の最初の手順として、まずは「SOLIDWORKS アドイン」の項目にある「SOLIDWORKS Simulation」をクリックしましょう。すると、項目に「Simulation」が追加されました。
左側にある「スタディ」をクリックすると、シミュレーション機能を起動できます。
無事起動が完了すると、画面左側に解析の項目が表示されました。
なお今回は、SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方のうち以下の情報を解析できる「静解析」の使い方を紹介します。
- 応力
- 変位
- ひずみ
- 安全率
ほかにもさまざまな解析が可能ですので、本項の使い方を覚えたら、実際にほかのシミュレーションの使い方にもチャレンジしてみてください。
材料・拘束条件・荷重を設定する
静解析の設定画面が起動したら、画像左側の項目をひとつずつ設定する必要があります。今回の使い方では、単体のモデルに対してシミュレーションを実施するため「材料の設定」「拘束条件の設定」「荷重の設定」のみ実施します。(接続部は複数のモデルがある場合に利用)
まずは「Part1」という名称が入っている項目、これが材料を設定するボタンです。
カーソルを合わせたら右クリックして「設定・編集 材料特性」という項目を選択してください。
すると、次のように材料一覧が表示されました。
今回は、炭素鋼板(SS)という項目を選び「適用」をクリックします。
次に「拘束」の項目を選んだら「右クリック>固定ジオメトリ」を選択しましょう。
固定ジオメトリは、物体にかかる応力に対して動かない位置を決める設定です。
今回は画面左側の端部を固定ジオメトリに設定しました。
続いて「外部荷重」という項目も「右クリック>力」をし、荷重が加わる方向や強さを設定します。今回は画面手前側の面に1Nの応力が加わるように設定しました。
これでひと通りの設定が完了しました。
もし設定方法や使い方がわからない場合には、各項目に「アドバイザー」という項目が用意されています。設定手順や使い方が詳しく説明されているので、ぜひチェックしてみてください。
メッシュを切る
SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方を説明する最後の手順として、3Dモデルをメッシュ状に分割し、どの部分に応力や変形の影響を受けやすいのかを設定しましょう。
メッシュの設定は、メッシュという項目にカーソルを合わせ「右クリック>メッシュ作成」を選ぶことで表示できます。なお、メッシュの決め方は任意で実施します。
例えば、メッシュを荒くするほど解析スピードを上げられます。
ただし、解析する部位が少ない分、精密な応力・変形を解析できません。
よって今回の使い方では、荒い・細いという軸のちょうど中間位置に設定しました。
チェックボタンをクリックすると、上画像のように三角形のメッシュが密に表示されました。
解析を実行する
すべての設定が完了したら、静解析を右クリックし「解析実行」を選択してください。
自動で解析が実行され、結果が集計されます。
また、SOLIDWORKSのシミュレーションは、ヒートマップ形式で応力や変位が表示されます。
例えば上画像は応力の解析結果です。
ほとんどの色合いが青から緑色であるため、設定した1Nに対し、十分な強度があるとわかります。
続いて以下の画像は変位に関する解析結果です。
固定している左側から右側に行くにつれて、徐々に変異が増していくとわかります。
以上がSOLIDWORKSのシミュレーションの使い方です。
解析結果はモデルの形状や設定条件で大きく変化するため、結果に問題がある部分を見つけたら、繰り返しモデルの調整をし、必要強度を満たす製品をつくり出していきましょう。
SOLIDWORKSのシミュレーションの効率的な使い方
SOLIDWORKSのシミュレーションはただ解析を実施して終わりではなく、解析した情報をもとに新たな検討を実施するといった使い方が可能です。参考として、シミュレーションを活用した効率的な機能の使い方をまとめました。
トライアル計算を実施する
SOLIDWORKSのシミュレーションは、一度の検討で終えるのではなく、何度もトライアル計算を繰り返すことが重要です。使い方の参考として、トライアル計算の例をまとめました。
- 考えられる応力の違いに合わせて解析する
- 応力が加わる位置を変えて解析する
- 問題があったモデルの箇所を改良したうえで解析する
SOLIDWORKSのシミュレーションは一度ですべてをクリアできるということは少なく、何度も繰り返し検討をして、徐々に完成形に近づけていく必要があります。
本記事で紹介した使い方を実践してモデルの部位に問題があるとわかったら、形状を変更したり、厚みを増したりと、改良を加えながらトライアル計算を実施してみてください。
基準や社内ルールに基づいて計算する
SOLIDWORKSのシミュレーションを実施する際には、機械設計で定められている許容値や限界値といった基準を満たすこと、また社内独自の安全率などがある場合には、そのルールを満たすという基準に基づいて解析を実施しましょう。
つまりシミュレーションは「設定している基準を満たすか満たさないか」という使い方が可能です。
基準を満たしていれば現状の製品で完成、基準を満たしていなければ再作成や微調整をするといった判断ができるので、ぜひ国で定められている基準や社内ルールに基づいて解析を実施してください。
SOLIDWORKSの使い方を学習する方法
SOLIDWORKSのシミュレーションをはじめ、モデリングなどの知識や経験がないという方は、ソフトウェアを操作することに合わせて、使い方の学習をスタートすることをおすすめします。以下に使い方を学ぶおすすめの方法をまとめました。
- 参考書を購入して使い方を学ぶ
- 動画コンテンツやWebの情報を活用して使い方を覚えていく
- セミナー講習に受講してプロから使い方を教えてもらう
上記のなかでも効率よく使い方を学習できるのが、セミナー講習です。
例えば「SOLIDWORKSセミナー講習」では、SOLIDWORKSのライセンスがインストールされたパソコンを使いながらシミュレーションを含めた使い方をプロから学べます。
講師が操作している画面を見ながら自分も同じように作業を進めるため「どのボタンを押すのか」「どういったポイントをチェックするのか」などを理解できるのが魅力です。
地域を問わずセミナー講習に参加できるので、SOLIDWORKSの使い方を覚えたいという方は、ぜひ受講を検討してみてください。
参加方法 | ・会場受講 ・ライブウェビナー ・eラーニング |
受講費用(税込) | ・会場参加58,300円 ・ライブウェビナー58,300円 ・eラーニング41,800円 |
会場 | 東京・名古屋・大阪 |
SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方についてよくある質問
SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方について、よくある質問を整理しました。
SOLIDWORKSのシミュレーションの使い方についてまとめ
SOLIDWORKSで製品などの設計が完了したら、その次にシミュレーションを実施して強度や安全性の確認を行わなければなりません。
そして、本記事で紹介した静解析の使い方はもちろん、ほかにも豊富なシミュレーションが搭載されています。使い方がわからないとお悩みなら、参考書やセミナー講習などを活用して実践的な使い方を学んでみてはいかがでしょうか。
