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【2026】高齢労働者雇用で企業が得るものとは?メリットとデメリットを徹底解説

日本は、少子高齢化が急速に進んでいる国として知られているため、高齢者の労働力への参画は、社会全体の大きな関心事となっています。

日本は世界でも有数の高齢化社会であり、高齢者の就業率が非常に高いことから、就業者全体に占める高齢者の割合も大きい状況です。

失業率が低い一方で、高齢者の労働力への参画が進んでいる日本の現状は、一見すると矛盾しているように思えるかもしれません。しかし、これは少子化による労働力不足を補うため、高齢者が働き続ける必要性が高まっていることを示唆しています。

そのため、高齢者の労働力への参画は、社会の持続可能性を確保するために不可欠な要素となるでしょう。

今回は、高齢労働者を雇用するメリット、デメリット、企業が高齢労働者を雇用する際のポイントを解説します。

高齢労働者の雇用とは

高齢労働者雇用とは、定年退職を迎えた65歳以上の方々を積極的に雇用する取り組みです。

総務省統計局のデータによれば、日本の総人口は減少の一途を辿っており、特に65歳以上の人口は増加傾向にあります。この少子高齢化は、労働人口の減少という深刻な社会問題を引き起こしています。

そのため、豊富な経験と知識を持つ高齢者を企業に迎え入れることで、企業の活性化や若手育成にも貢献できると期待されており、近年では、政府もシニア雇用を促進する政策を打ち出すなど、社会全体でシニア採用への関心が高まっているのです。

参照:人口推計|総務省統計局

60代までの中高年層ミドルシニアについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

【2025】ミドルシニアが持つ9つの強みとは?企業が行うべき強みを生かすための注意点

高齢労働者を雇用するメリットとは

高齢労働者を雇用するメリットとは

高齢労働者の雇用が企業にもたらす具体的なメリットについて、深堀りしていきましょう。

意欲的な人材が多い

定年退職後も働く意欲の高いシニア世代は、明確な目的を持って仕事に取り組むため、若手と比較しても仕事に対する高い真摯さを持っています。

自ら進んで働くことを決めているため、入社後のモチベーション低下のリスクが低く、長期的な雇用が期待できます。結果として、採用活動にかかるコストを抑え、安定した労働力を確保できるというメリットがあります。

労働者の人材育成に繋がる

長年にわたり第一線で活躍してきた高齢者は、豊富な知識と経験を蓄積しています。特に、管理職として部下を指導してきた経験を持つ高齢者は、人材育成のノウハウを熟知していると言えるでしょう。

このような高齢労働者を雇用することで、企業は若手労働者へのスキル伝承や人材育成をスムーズに行うことができます。

例えば、高齢者が培ってきた専門知識を若手に指導することで、若手労働者のスキルアップを図ることができ、高齢者が持つマネジメントスキルを活かして、若手労働者の育成を任せることも可能です。

高齢者の豊富な経験に基づいたアドバイスは、若手労働者にとって貴重な学びの機会となります。仕事に対する考え方や問題解決能力など、様々な面で若手労働者の成長を促すことができるでしょう。

仕事に活かすための知識やスキルを学ぶリカレント教育については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

【2025】リカレント教育とは?リスキリングとの違いやメリットを解説

人材不足が改善できる

中小企業は特に、若手労働者の育成にも時間がかかり、即戦力となる人材を求める声は高まるばかりです。

しかし、豊富な経験と知識を持つ高齢者は、即戦力として企業に貢献できる可能性を秘めており、企業側としても高齢者の経験やスキルを活かすことで、業務の効率化や品質の向上を図ることが期待できます。

高齢者の雇用は、企業にとっても高齢者本人にとってもメリットが大きく、企業は人材不足を解消し、高齢者は社会参加の機会を得ることができます。

新たな知識や経験に触れることができる

同世代の労働者ばかりでは、多様な視点やアイデアが生まれにくく、組織の活性化が停滞する可能性があります。

異なる世代の人材を積極的に雇用することで、組織に新たな風を吹き込み、技術改革を促進することができます。

高齢労働者は、企業に豊富な経験と安定感をもたらすだけでなく、若年層にはない視点や価値観を提供します。これにより、従来の固定観念にとらわれない新たなビジネスモデルの創出や、長年抱えていた課題の解決に繋がる可能性があります。

助成金がもらえる可能性がある

政府は高齢者の雇用を促進するため、さまざまな政策を打ち出し、企業に対して助成金を支給するなど、積極的に支援を行っています。

例えば、定年を延長したり、廃止したりする企業に対しては、最大160万円の助成金が交付される場合があります。これは、企業が積極的に高齢者を雇用し、長く働ける環境を整えることを後押しするための制度です。

また、高齢者雇用に関する制度を整備したり、実際に高齢者を雇用したりする企業に対しても、以下のようなさまざまな助成金が用意されています。

特定求職者雇用開発助成金 高齢者などの就職が困難な方を雇用する企業に対して、国から助成金が支給される
65歳超雇用推進助成金 65歳以上の従業員の雇用の継続や定年を廃止した企業に対して、一定額の助成金が支給される

これらの助成金は、企業が抱える初期費用や運用コストを軽減し、高齢者雇用を円滑に進めるための支援策として機能しています。

働き方改革に繋がる

働き方改革は、人々がそれぞれの状況に合わせて働き方を選択できる社会を実現するための取り組みです。

働き方改革が叫ばれる昨今、多くの企業がその実現に苦戦しており、変化に伴うリスクやコストは、企業にとって大きな負担となるため、なかなか踏み出せないのが現状です。

しかし、高齢労働者の雇用をきっかけに、フレックスタイム制や時短勤務といった柔軟な働き方を徐々に導入することで、労働者の抵抗感を減らし、働き方改革を段階的に進めることができます。

高齢者の健康と安全に配慮した職場づくりは、あらゆる世代の労働者の働きやすさ向上に繋がります。

短時間勤務や作業環境の整備など、労働者の多様なニーズに対応できる職場は、子育てや介護、病気療養など、様々なライフステージを送る労働者の定着率向上にも繋がり、全ての労働者にとって働きやすい環境となるでしょう。

高齢労働者の雇用に伴うデメリット

高齢労働者の雇用は、企業に多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解し、事前に対策を講じておくことは、円滑な高齢労働者の雇用を成功させる上で重要です。

体力・健康面での不安がある

高齢者世代は、若年層に比べて体力や健康面での衰えが避けられないため、以前と同じような労働時間を維持したり、身体的な負荷の大きい作業を継続することは困難な場合が多くあります。

また、病気による急な欠勤や、やむを得ない退職といったリスクも、高齢者世代ではより高い確率で発生する可能性があります。

高齢労働者の雇用を成功させるためには、労働者一人ひとりの体力や健康状態、希望する働き方を入社前にしっかりと把握しておく必要があります。

本人との間で、できることとできないこと、働く時間や業務内容について、十分な話し合いを行い、双方にとって最適な条件で雇用契約を結ぶことが大切です。

また、定期的な健康診断の実施や産業医による相談窓口の設置、必要に応じて医療機関との連携を強化するなど、高齢労働者が安心して働けるような体制を整えることも求められます。

様々な価値観に対応しなければならない

高齢労働者は、高いモチベーションを持って働く方も多い一方で、人それぞれに異なる価値観や働き方を持っているという点で、若者と変わりません。

高齢労働者が働く主な動機としては、大きく分けて以下の4つが挙げられます。

  • 多くのお金を得たいという明確な目的
  • 人との交流を深めたいというニーズ
  • 何かを成し遂げたい、社会に貢献したいという意欲
  • 他にやることがなく、時間を有効活用したい

このように、高齢労働者の働く動機は多様なため、一人ひとりのニーズを理解し、最適な働き方を提案することがシニアの活躍を促し、企業にとっても大きなメリットとなります。

人間関係に配慮する必要がある

高齢労働者を雇用する際、不適切な人材配置は、社内に思わぬ混乱を招き、せっかくの高齢労働者の力を十分に引き出せない可能性があります。

例えば、経験豊富なシニアを若手の部下につけると、シニアが過去のやり方に固執してしまい、若手はどのように接すれば良いのか戸惑うといった状況が生じることがあります。

また、部下でなくても周囲に若手が多く、世代間のギャップを感じて孤立し、本来の力を発揮できないケースも考えられるでしょう。

既存の組織にシニアを組み込むことは、人間関係の複雑化を招きやすいものです。シニアが持つ豊富な経験や知識を最大限に活かすためには、彼らに合った新しいポジションを設けるなど、柔軟な対応が求められます。

賃金を見直す必要がある

従来の賃金制度では、年功序列に基づき、年を重ねるほど賃金が高くなる傾向にあるため、高齢労働者は若手労働者よりも高い賃金を受け取るケースが一般的です。

しかし、企業の収益に大きく貢献しているのは、多くの場合、若手や中堅労働者であり、必ずしも高齢労働者の貢献度が比例しているとは言えません。

この状況を踏まえ、高齢労働者向けの新たな賃金制度を検討する必要があります。高齢労働者の貢献度を適切に評価し、企業の収益と労働者への報酬とのバランスを保つことが重要です。

高齢労働者の賃金を一律に減額するのか、保有するスキルや資格によって賃金を差異化するのかなど、様々な選択肢が考えられます。

いずれの場合においても、労働者の不満やモチベーションの低下を防ぎ、円滑な職場環境を維持するためには、十分な説明と丁寧な交渉が重要です。

高齢労働者を雇用する際のポイント

高齢労働者を雇用する際のポイント

豊富な経験と安定した勤務態度を持つ高齢労働者の雇用は、企業にとって大きなメリットをもたらす一方で、注意すべき点も数多く存在します。

以下では、高齢労働者の雇用を成功させるために知っておくべきポイントを解説します。

健康管理面を支援する

高齢労働者が能力を最大限に発揮するために、健康維持をサポートする取り組みを強化することで、高齢労働者の活躍を促進し、企業全体の活性化に繋げることができます。

定期的な健康状態の報告を促したり、健康に関する有益な情報を提供したりすることで、労働者一人ひとりが自身の健康管理に対する意識を高め、積極的に健康づくりに取り組めるよう支援することが求められます。

体力面での負荷を軽減する

加齢による筋力の低下は、平衡感覚や股関節機能の低下を伴い、転倒や墜落のリスクを高めます。

高齢労働者の安全確保のためには、まず本人に自身の身体の変化を自覚してもらうことが重要です。例えば、作業内容や量を事前に確認し、無理のない範囲で業務を行えるように配慮したりすることが考えられます。

さらに、無理なく続けられる運動を推奨することも大切です。筋肉の柔軟性を高めるストレッチや、筋力強化のためのウォーキングなどは、高齢労働者の体力維持に役立つでしょう。

認知機能の低下を補う

一般的に、人間の脳は30代頃から徐々に萎縮が始まり、60歳を超えると認知機能の低下が顕著になると言われています。特に、加齢に伴う判断力や注意力の低下は、PC操作など、新しい技術を習得する際に大きな障壁となることがあります。

高齢労働者のPC操作が苦手という場合、シンプルな操作体系へのシステム改修は、彼らが業務を円滑に行うための有効な手段の一つです。

また、システムが異常事態を検知した場合、その情報を全労働者に共有し、労働者の意見を参考に設備改善を進めることで、高齢労働者の判断力や注意力の低下を補い、安全な職場環境を構築することができます。

高齢労働者の安全確保のためには、判断力や注意力の低下を補うとともに、ヒヤリ・ハットを早期に発見し、適切な対策を講じることが重要です。

個人に合わせたポジションを用意する

シニア層は、若年層と比べて新しいことを学ぶスピードが若干遅くなる傾向があるため、シニア層の強みである経験や知識を最大限に活かせるような業務を任せることが、より効果的と言えるでしょう。

また、体力や健康面への配慮も欠かせません。業務量や作業内容を調整し、無理のない働き方を提供することが、シニア層のモチベーション維持にもつながります。

就労環境を柔軟にする

特にシニア層は、これまでの豊富な経験や安定したスキルを活かせる一方で、体力的な制約や、より柔軟な働き方を希望する方も少なくありません。

時短勤務やフレックス制度、週数日の勤務など、多様な働き方を選択できる環境を用意することで、シニア層は自身のペースで仕事に取り組むことができ、結果として高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

企業は、労働者の多様性を尊重し、それぞれの個性を活かせるような働き方を実現することで、労働者の満足度向上だけでなく、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

高齢労働者雇用は人材不足解消として注目されている

高齢労働者雇用は人材不足解消として注目されている

今回は、高齢労働者を雇用するメリット、デメリット、企業が高齢労働者を雇用する際のポイントを解説しました。

人材不足が深刻化する現代において、高齢労働者雇用は体力面や健康面での配慮が必要となるなど、課題は存在しますが、多くの企業が積極的に高齢労働者雇用に取り組んでいます。

シニア世代が持つ豊富な経験や専門知識は、組織全体のレベルアップに貢献し、若手労働者の育成にも繋がります。また、政府はシニア雇用を促進するため、様々な助成金を用意しており、企業の経済的な負担を軽減することも可能です。

少子高齢化がますます進む中、高齢労働者の活用は企業にとって不可欠な戦略となりつつあります。まだ高齢労働者雇用を導入していない企業も、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

高齢労働者雇用で企業が得るものとは?メリットとデメリットを徹底解説
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