「MacでRevitって使えるの?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。Revitは建築・設計分野で広く使われているBIMソフトであり、近年ではBIMソフトを導入する企業も増えています。
しかし、CAD・BIMソフトの多くはWindows対応であり、Macで使用できないソフトも少なくありません。
そこで本記事では、MacでRevitを使うための具体的な方法や、動作させるために必要な推奨スペックについて詳しく解説します。Mac環境でのRevitの使用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもRevitとは
Revitは、Autodesk社が開発したBIMソフトウェアで、建築設計、構造設計、設備設計、MEPなど、建築プロジェクトのあらゆるフェーズを統合的に管理することができます。
3Dモデリングを基盤とし、建物の形状や構造、システムを正確に表現するだけでなく、設計意図や施工情報、運用データなどの非幾何学的な情報も一元的に管理します。Revitの特徴的な機能として、パラメトリックな設計手法が挙げられ、一部の変更がモデル全体に自動的に反映され、設計の整合性が保たれます。
また、複数分野のチームが同じモデルを共有し、リアルタイムで共同作業を行うことが可能で、設計から施工、維持管理までのプロセス全体を効率化。他のAutodesk製品との連携も可能で、プロジェクト全体のワークフローをスムーズに統合できます。
MacでRevitは使用できる?
結論、MacでRevitを使用することはできません。ただし、使用する方法がないわけではありません。後ほど詳しく解説しますが、Macを使用してRevitを活用することは可能です。
ただし、Macで使用することができたとしてもWindowsで使用するのとでは、扱いづらいと感じる方もいるでしょう。そのため、Revitを快適に利用したいというのであれば、Windowsで使用するのがおすすめです。
Macで使用する際の推奨スペック
MacでRevitを快適に動作させるためには、以下の基準を満たす必要があるでしょう。
- Intel Core i7以上のCPU
- 32GB以上のRAM
- DirectX 11対応のGPU(4GB以上のビデオメモリ)
上記の条件を考慮すると、MacでのRevit使用は限定的であり、安定した運用を望む場合はWindows PCの利用がおすすめです。また、Revitでモデル設計を行う際の実際に必要となるスペックは以下の通りです。
モデル規模 | CPU | メモリ | GPU | ストレージ |
戸建て住宅など | Intel Core i5以上 | 16GB以上 | NVIDIA GeForce GTX 1650以上 | 512GB以上 |
マンション、オフィスビルなど | Intel Core i7以上 | 32GB以上 | NVIDIA GeForce RTX 3050以上 | 1TB以上 |
商業施設、高層ビルなど | Intel Core i9以上 | 64GB以上 | NVIDIA RTX A2000以上 | 1TB以上 |
上記のスペックは、仮想化環境での使用を考慮したものであり、実際のパフォーマンスはMacのモデルや性能によって異なる場合があります。特に、Appleシリコン(M1/M2)搭載のMacでは、仮想化ソフトウェア上でのRevitの動作が保証されていないため、安定性やパフォーマンスに課題があることに注意が必要です。
MacでRevitを利用するための方法
ここからはMacでRevitを使用するための方法について3つ紹介します。
- Bootcampを使用する
- 仮想化ソフトを使用し動かす
- リモートアクセスで利用する
方法①Bootcampを使用する
BootCampは、Intel製CPUを搭載したMacにWindowsをネイティブにインストールするAppleの機能です。MacのハードウェアリソースをすべてWindowsに割り当てるため、Revitを高いパフォーマンスで動作させることが可能です。
BootCampアシスタントを使用してWindows用のパーティションを作成し、WindowsOSをインストールすることで、起動時にmacOSとWindowsを選択できるデュアルブート環境が構築。ただし、Boot CampはAppleシリコン(M1/M2/M3)搭載のMacには対応しておらず、使用できるのはIntel製CPUを搭載したMacに限られます。
方法②仮想化ソフトを使用し動かす
仮想化ソフトを使用すると、macOS上でWindowsを仮想マシンとして起動し、その中でRevitを実行できます。この方法の利点は、macOSとWindowsを同時に使用できるため、ファイルの共有やアプリケーションの切り替えがスムーズに行えることです。
特にParallels DesktopはAppleシリコンにも対応しており、Windows11forARMをサポート。ただし、仮想環境では物理リソースを分割して使用するため、ネイティブ環境に比べてパフォーマンスが低下する可能性があります。また、RevitはARM版Windowsでの動作が公式にサポートされていないため、安定性や互換性に注意が必要です。
方法③リモートアクセスで利用する
リモートアクセスを利用する方法では、MacからWindows PCやサーバーにリモート接続し、その環境でRevitを操作します。Mac上で直接Revitを実行することなく、Windows環境の高いパフォーマンスを活用できます。
リモートデスクトップやCitrixなどのツールを使用して接続し、Revit Cloud Worksharingを併用することで、複数人での共同作業も可能です。この方法は、高性能なWindowsマシンを所有している場合や、企業内のリモートワーク環境で有効。ただし、インターネット接続の品質に依存するため、通信環境が不安定な場合は操作に影響が出る可能性も。また、リモートアクセス用のソフトウェアやネットワーク設定が必要となります。
MacにおけるRevitの基本操作
実際にMacでRevitを使用する方法を解説します。ここでは簡単な部屋の作成方法について紹介します。以下の画面はRevitを立ち上げた際の画面です。
次に操作画面です。操作画面では、画面上にあるコマンドを使用して設計を行っていきます。
実際に簡単なお部屋を作成していきます。まずは画面上のコマンドにある「壁」をクリックし、壁を作成していきます。ここでは、ドアもつけてみました。
作成したものを3Dで確認すると簡単ではありますが、お部屋ができています。初心者の方は、まず色々なお部屋などを作成していきましょう。
Revitの操作方法については以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
Macで利用できるRevit以外のおすすめソフト
ここでは、Macでも問題なく使用できるAutodesk製品以下2つを紹介します。
- AutoCAD
- Autodesk Fusion
ソフト①AutoCAD
AutoCADは、2Dおよび3Dの図面作成に対応した業界標準のCADソフトウェアで、建築、機械設計、土木など幅広い分野で利用されています。Mac版はWindows版と同様に高い精度と柔軟性を持ち、クラウド機能やモバイルアプリとも連携可能。
VBAやLIPSなど自動化機能は使用できませんが、Macでしか使用できない機能も搭載されています。他のCADソフトとの互換性が高く、カスタマイズ性にも優れているため、初心者から中・上級者まで幅広く活用できます。AutoCADを短期間で実務レベルまで身につけたい方は「AutoCAD基礎セミナー講習」の受講を検討してみてください。
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ソフト②Autodesk Fusion
Autodesk Fusionは、クラウドベースの3D CAD/CAM/CAEソフトウェアで、製品設計、エンジニアリング、製造プロセスを統合的にサポート。Macでもスムーズに動作し、モデリング、解析、レンダリング、製造まで一貫したワークフローを提供します。特に、ジェネレーティブデザインやシミュレーション機能を活用することで、設計の最適化が可能です。
個人利用や教育機関向けには無料ライセンスも提供されており、導入しやすい点も魅力です。Autodesk Fusionを短期間で実務レベルまで身につけたいという方は、「Autodesk Fusionセミナー講習」の受講を検討してみてください。
セミナー名 | Autodesk Fusionセミナー講習 |
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運営元 | ProSkilll(プロスキル) |
価格(税込) | 41,800円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
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運営元 | ProSkilll(プロスキル) |
価格(税込) | 41,800円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
MacでRevitを使用する方法についてまとめ
MacでRevitを使用するためには、BootCamp、仮想化ソフト、リモートアクセスといった方法を活用する必要があります。また、快適に動作させるためにはハイスペックな環境が求められ、特にAppleシリコン搭載モデルでは安定といえないでしょう。
そのため、Revitを実務で本格的に使用するのであればWindows環境を用意するのが現実的です。また、MacユーザーはAutoCADやAutodesk Fusionといった代替ソフトの使用も検討して、目的や用途に応じて柔軟に使い分けましょう。
