土木や建築、機械といった設計のためにBIMソフトの「Revit」を導入したけれど、何から勉強を始めてよいのかわからないという人も多いでしょう。また、初心者が入門したばかりであるため、何から覚えるべきか順番がわからない人もいるはずです。
そこでこの記事では、Revitの入門編として、初心者が覚えておきたい基本操作や独学の方法についてまとめました。画像付きでわかりやすく入門知識を解説しているので、Revitの全容を知る参考にしてみてください。
Revitでできること
Revitは、数値データと3Dモデルを活用しながら設計業務を効率化するBIMソフトです。
主に次のような業種で導入されており、CADとは少し異なる設計手法で構造物や建築物を作成していきます。
- 建設
- 建築
- 構造
- 機械
- 設備
- 電気
- 給排水衛生設備
またRevitでは、図面の作成を中心として、入門者が手間取りやすいモデル解析や数量計算書の作成などをまとめて実施できるのが特徴です。
挿入するオブジェクトごとに属性情報と呼ばれる数値や条件を設定できるほか、編集時には自動で数値情報が調整されるため、計算といった手間を削減しやすくなります。
Revitは他BIMソフトとの連携も可能
Revitの入門として覚えておきたいのが、他BIMソフトとのデータ連携です。
Revitで作成したデータは、Autodesk社が提供している他のBIMソフトとの連携が可能であり、さらなる業務効率化を目指せます。入門の参考として以下に、連携の概要をまとめました。
対応ソフト | 役割 |
Civil3D | 土工・道路計画などに用いるソフトであり、Revitで作成した3Dモデルを取り込んで設計検討ができる |
Navisworks | プロジェクトレビューや施工計画に用いるソフトであり、Revitで作成した3Dモデルを取り込める |
Infrawoks | 設計のコンセプトデザインに対応したソフトであり、景観検討の素材のひとつとしてRevitのデータを取り込める |
また、Autodesk社の製品以外のBIMソフトにも取り込むことが可能です。
他ソフトの導入を検討している方は、入門知識として連携のことを頭に入れておきましょう。
Revitの入門として覚えておきたいポイント
Revitの入門として、まず覚えておくべき知識を4つ紹介します。
入門知識があれば、今後のRevit操作をスムーズにできるので、まだ理解できていない項目をチェックしてみてください。
モデルとファミリ
Revitの入門で覚えておきたいキーワードが「モデル」「ファミリ」です。
2つの要素、Revitを起動した際のホーム画面で最初に表示されます。
まずモデルとは、構造物や建築物を自由に作成する環境のことです。
設計などのためにRevitを利用する際には、モデルから新規作成をしなければなりません。
またファミリとは、モデル空間で利用する部品を作成する環境のことです。
初期設定には含まれていない部材データを自作したり、配置する家具などのオブジェクトを作成するために利用します。
画面構成
Revit入門者は、操作を開始する前に画面構成について覚えておくことが重要です。
入門の参考として、モデル空間の編集画面の構成をまとめました。
対象箇所 | 項目 | 用途 |
赤枠 | 編集ツールバー・タブ | Revitの機能がまとまっている項目であり、ワークスペースへのオブジェクト挿入や編集等をする際に用いる |
黄枠 | 設定ウィンドウ | Revitの設定などを実施する際に用いる項目であり、自由にウィンドウの位置を変更できる |
青枠 | ワークスペース | 3Dモデルなどを表示する画面であり、オブジェクトなどを挿入する際に用いる |
上記の項目はあくまで一例です。
ほかにもさまざまな項目が用意されていますが、入門としては上記の項目を覚えておくだけでも作業がスムーズになります。
共通する操作
Revitは、マウス・キーボードの両方を駆使しながら設計検討を進めていくのが特徴です。
入門者向けに、よく使う操作を以下にまとめました。
入門者が覚えておきたい操作 | 操作の目的 |
左クリック | 機能やオブジェクトの選択、範囲指定などに用いる |
右クリック | オブジェクトの移動やコピー、プロパティなど、オプション項目を手軽に表示できる |
ショートカット | キーボードの特定の箇所を選択することで、必要な動作を呼び起こせる(Ctrl+Zでひとつ前に戻る) |
基本的な操作の部分は非常にシンプルです。
機能の種類は多すぎると不安な入門者もいると思いますが、ほとんどのケースでは上記の項目を使うことで解決できます。
機能操作のルーティン
Revitには数十~数百もの機能が搭載されているため、使い方を覚えられないと不安を感じている入門者も多いでしょう。ですがほとんどの機能は、次の操作のルーティンで構成されています。
- 特定の機能を左クリックして起動する
- 画面下に表示されている指示に合わせて操作をする
- ワークスペース上に機能コマンドが反映される
入門者の悩みである「使い方がわからない」というポイントは、指示文を確認することで解決が可能です。また、特定の機能コマンドにマウスカーソルを合わせて動かさない状態で待てば、ヒントやヘルプが表示されます。
使い方がわからなくなったら、ぜひ紹介した2つのポイントを思い出してください。
さっそくRevitの練習を始めたい入門者は、以下の記事で紹介しているチュートリアルから始めてみましょう。
Revitの入門で必須になる基本操作
Revitの入門者は、作業を効率化する基本操作を覚えておくことが欠かせません。
「画面を動かせないせいで作業を進められない」「作成したデータがなくなった」といった入門者によくあるトラブルが起こらないように基本操作を説明します。
画面移動
Revitのワークスペースはただオブジェクトなどを挿入するだけではなく、接合部の確認や3Dとしての画面確認が必要です。そういったときに欠かせないのが画面移動となります。参考としてRevit入門者向けに主な画面移動の方法をまとめました。
操作シーン | 画面操作 | 操作方法 |
2D図面を操作する場合 | 画面移動 | マウスホイールをクリックした状態でカーソルを動かす |
ズームイン ズームアウト |
マウスホイールを転がす | |
3D図面を操作する場合 | 画面移動 | 同上 |
ズームイン・ズームアウト | 同上 | |
360度回転 | 画面右上に表示されている回転機能を使う |
また、効率よく画面移動といった操作をしたい入門者は、マウスカーソルに基本操作を追従させる「ナビゲーションホイール」を起動するのがおすすめです。ワークスペース右側に表示されているので、クリックしてください。
ビューの表示
Revitの入門者は、複数の視点(ビュー)を見ながら多面的な視点で作業を進めていくことが重要です。このときに利用するのが「プロジェクトブラウザ」となります。
プロジェクトブラウザは「右クリック>ブラウザ>プロジェクトブラウザ」で起動でき、次のようなビューがまとまっています。
- 平面図
- 立面図
- 3Dビュー
さまざまな方向のビューがあるので、チェックしたい画面がある場合にはダブルクリックしてワークスペースにビューを追加しましょう。なお、複数の画面を一度にチェックしたい場合には「表示>ウィンドウ>タイルビュー」を選べば、上画像のように複数の画面を並べて表示できます。
データ保存
Revitの図面は長い期間かけて完成を目指すのが一般的です。
また、チームで作業をする場合には、途中まで作成されたデータを別のユーザーに引き継がなければなりません。そこでRevitの入門者が定期的に実施しなければならないのがデータの保存です。
データの保存が画面上側に表示されている「フロッピーディスクマーク」もしくはタブにある「ファイル」から実施できます。
初めてデータを保存する際や、データを複数に分けて保存したい場合は「名前を付けて保存」、すでに保存されているデータに変更点などを上書きしたい場合には「上書き保存」を選択しましょう。
なお、保存せずにRevitを閉じると、そのままデータが消えてしまいます。
入門者のなかには保存を忘れてRevitを閉じる人もいるので、十分に注意してください。
また、Revitの入門として練習をスタートしたい方は、以下の記事で練習プランを考えてみるのがおすすめです。
入門者がRevitを独学する方法
Revitの入門者は、次のような方法で独学をスタートできます。
- Autodesk公式のマニュアルをひとつずつ試してみる
- 参考書を購入して1ページずつ練習してみる
- Webコンテンツ(記事・動画)などを参考にしながら練習する
しかし、独学には「使い方がわからない場合がある」「悩みを自己解決しなければならない」といった難しさがあります。そのため、今までに何度も挫折を経験してきた人も多いのではないでしょうか。
もしRevitの入門を終え、業務で活用できるまで成長したいなら、プロの講師からRevitの操作やノウハウを学べるセミナー講習に参加するのがおすすめです。セミナー講習では講師に質問ができるほか、実際に講師が操作をしている様子を見ながらRevitを学べます。
「短期間でRevitを学びたい」「初心者や入門者から参加できるセミナー講習を探している」という人は、ぜひ以下のセミナー講習をチェックしてみてください。
Revitの入門についてのよくある質問
Revitの入門について、よくある質問をまとめました。
Revitの入門についてまとめ
Revitを導入したばかりの入門者は、まずRevitの基本的な部分から学び始めることが重要です。
本記事で紹介した項目は、機能を活用する際に利用する基礎中の基礎なので、準備万全な状態でソフトを利用したいという方は、気になる項目を頭に入れておきましょう。
基礎を理解しているのか否かで内容の理解度が変化するため、入門を終えたい方は各項目を理解し、独学やセミナー参加をスタートしてみてください。
