日々の業務の中で、もっと効率よく作業できないだろうか、データ分析をもっと簡単に行えたら、と感じることがあるのではないでしょうか。製造プロセスの最適化やセンサーデータの分析、品質管理の自動化など、Pythonの活用範囲は製造業においても急速に広がっています。しかし、忙しい業務の合間にプログラミングを学ぶのは容易ではありません。
研修に参加する時間がないと思われている方も多いかもしれません。今回は、製造業に従事する方に向けたおすすめのPython研修と、効果的な選び方について解説します。
Pythonとは
Python(パイソン)は、オープンソースとして無料で一般公開されているプログラミング言語です。アプリケーション開発やAI、機械学習、大規模データ分析まで幅広い用途に対応できる汎用性やコードが読みやすいため、プログラミング初心者から専門家まで幅広いユーザーに親しまれています。
また、ChatGPTもPythonを基盤として開発されています。
Pythonを学ぶメリットについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
Python研修で学べるスキル
Python研修は、Pythonプログラミング言語の活用スキルを向上させるための学習プログラムです。研修では以下のスキルが学べます。
スキル | 内容 |
Pythonの基本概念 | 構文やデータ型の基礎知識 |
データ処理・分析 | 膨大なデータを処理し、有益な情報へと変換するスキル |
WEBスクレイピング技術 | 市場動向や競合情報を収集し、戦略立案に役立てるスキル |
機械学習やディープラーニングの基礎 | 異常検知や品質予測など、高度な分析を行うスキル |
WEBアプリケーション開発 | 社内システムの構築やデータベース連携など、実務に直結するスキル |
Python研修により多少の違いはあるものの、最初に基礎を固めた後に、データ処理・分析、WEBスクレイピング、機械学習やディープラーニングの基礎を学び、最終段階では、習得した知識を活用してWEBアプリケーション開発に取り組むケースが多いです。
オブジェクト指向プログラミングの考え方を理解することで、より保守性の高いシステム開発が可能になります。
おすすめのPython研修8選
現在、Python研修は数多く展開されていますが、それぞれに特色があるため、ぜひ自社の状況や目標に合わせたPython研修を選びましょう。以下で、おすすめのPython研修をまとめました。
1.Python基礎セミナー講習
Python基礎セミナー講習は、短期間で未経験からマスターレベルまで到達できる研修です。また、Python3エンジニア認定基礎試験やPython3エンジニア認定データ分析試験の資格試験対策としても有効です。
Pythonの基礎文法の理解から始まり、各種ライブラリの活用方法までを体系的に学ぶことができ、Webスクレイピングの技術習得や発生するエラーへの対処法も丁寧に解説されるため、実務での応用力が身につきます。
さらに、製造現場で重宝されるExcel処理の自動化技術や画像処理の基礎知識も習得できるため、業務効率化に直結するスキルが身につくでしょう。
講師陣は、企業のプログラミング教育セミナーを実施した経験が豊富で、プログラミングやAIを活用したサービス構築の入門教育、システムエンジニアの早期育成プログラムの実績があります。
受講中はチャットや音声通話を通じて講師に質問できる体制が整っており、操作画面を講師がリアルタイムで確認しながらサポートするため、プログラミング初心者でも安心して学習を進められます。
企業研修としてのニーズにも対応しており、社員教育用にカリキュラムの日程や内容をカスタマイズすることも可能です。
セミナー名 | Python基礎セミナー講習 |
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運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
価格(税込) | 27,500円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
2.AIエンジニア育成講座
AIエンジニア育成講座では、プログラミング未経験の方でも短期間でAIプログラミングの基礎を身につけることができます。Pythonの知識だけでなく、実践的なAIプログラミングスキルまで習得できるのが特徴です。
AIを構築するための機械学習の仕組みやAI開発環境の構築方法、Pythonを使ったAI実装技術を学び、機械学習ライブラリを活用したAIモデルの実装や、実装したモデルの評価・可視化・チューニング手法まで幅広く網羅します。
講師は、慶應義塾大学理工学部教授で電気通信大学人工知能先端研究センター特任教授の栗原聡教授です。栗原教授は、博士(工学)の学位を持っており、電気通信大学では国立大学初となる人工知能先端研究センターを設立し、初代センター長も務められました。
また、企業の社員研修用に、セミナーの日程やカリキュラム内容のカスタマイズも可能です。
セミナー名 | AIエンジニア育成講座 |
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運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
価格(税込) | 41,800円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京)・ライブウェビナー・eラーニング |
AI開発については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
3.Python研修
トレノケートのPython研修は、安心して学べる入門コースから、データ分析のテクニック、機械学習の応用まで、受講者のレベルや目的に合わせた多様なコース設計が特徴です。また、e-ラーニングシステムも完備しており、自分のペースで学習を進めることが可能です。
データ活用の可能性を広げる実践的なスキルの習得をサポートしており、プログラミング言語を学ぶだけでなく、どのような場面で使用するかの具体例と問題解決アプローチも同時に身につけられる点が特徴です。
4.Python研修
侍エンジニアBizのPython研修は、企業ごとのニーズに完全対応したオーダーメイド方式を採用しています。研修形態も多様で、時間や場所に縛られずにエンジニア育成ができたり、企業特有の課題や目標に合わせてカリキュラムを設計することもできます。
さらに、IT研修補助金の対象事業者となっているため、条件を満たすことで研修費用の最大3分の2(上限64万円)が支給される可能性があり、コストを大幅に軽減できます。
5.Pythonコース
CTC教育サービスのPythonコースでは、Pythonを用いた汎用プログラミングの基礎から応用まで、体系的な知識を学ぶことが可能です。企業の要望に応じて講師が直接訪問する形式や、CTC教育サービスが運営するラーニングセンターでの対面授業など、オフラインでの学習機会も提供しています。
さらに、Python 3 エンジニア認定基礎試験に対応したカリキュラムも用意されており、経験豊富な講師陣がサポートするため、資格試験に初めて挑戦する方でも安心して学習を進められる環境が整っています。
6.Python新人研修
リスキルテクノロジーのPython新人研修は、基本構文の理解からスタートし、オブジェクト指向プログラミングの基礎を着実に学びます。学習の最終目標は、自身の手でWEBアプリケーションを開発できるレベルのスキル獲得です。
講師陣は現役エンジニアで構成されており、理論だけでなく実務に即した知識を提供します。また、企業様の特定ニーズに応じたカスタマイズ研修も可能です。
7.Python研修
インソースのPython研修は、実務での活用を前提としたカリキュラム構成となっており、Excelの自動化処理やWebスクレイピング、アプリ開発など業務で即戦力となるスキルを体系的に学ぶことができます。
基礎から丁寧に学べるステップバイステップの学習方法により、プログラミング未経験者にも安心です。また、どのような研修が自社に適しているのか分からない、という悩みに寄り添い、最適な研修プランの提案から実施までのサポートもしています。
8.Pythonプログラミング入門
Pythonプログラミング入門では、第一線で活躍する東大講師陣から直接指導を受けられます。オンライン形式で実施される講座では、講師との双方向コミュニケーションを取りながら学習できる環境が整っており、自宅や職場から気軽に参加できる利便性と、東京大学ならではの高度なアカデミックな学びが両立している点が特徴です。
Pythonを使ったデータサイエンス挑戦コースやPython自然言語・画像処理講座など、目的や難易度に応じて細分化されており、実務への応用を見据えた内容も充実しています。
参考:Pythonプログラミング入門|東京大学エクステンション
Python研修を選ぶ時のポイント
目先の流行に惑わされず、製造業に特化した実践的なPython研修を選ぶことで、投資に見合う効果を得られるでしょう。最後に、Python研修を選ぶ際の主なポイントをご紹介します。
製造現場特有の課題に対応できるか
製造現場では生産効率の向上やコスト削減、不良品検出の精度向上といった特有の課題があり、これらに対応できるPythonスキルを習得できる研修内容が理想的です。そのためには、まず、以下のような具体的な業務課題を明確にしましょう。
- 社内でのデータ分析ニーズ
- 自動化すべき業務プロセス
- 品質管理における予測モデルの必要性
- 技術導入に向けて社内で不足している人材や知識
例えば、データサイエンティストの育成が必要なのか、日常の製造工程を効率化できるプログラミングスキルを持つエンジニアが必要なのか、などの人材ニーズを把握しておくことで、適切な研修の選定に繋がります。
研修選びの際には、製造業の現場で実際に活用できる内容を含むものを優先することをお勧めします。自社の課題に直結する内容を学ぶことで、研修後すぐに成果を出せる可能性が高まるでしょう。
実践的な演習が含まれているか
Pythonスキルを効果的に身につけるためには、能動的な学習環境を提供する研修が重要です。一方通行の講義形式では、情報を受け取るだけの受動的な姿勢になりがちで、実務への応用力が育ちにくい傾向があります。
そのため、実際にコードを書く機会が豊富に用意された実践的な演習を含む研修を選定しましょう。参加者自身がエラーと向き合い、問題解決のプロセスを体験することで、知識が深く定着します。
カスタマイズできるか
柔軟にプログラム内容を調整できる研修であれば、より効果的に知識やスキルを習得することができ、研修後すぐに現場での活用が期待できます。
例えば、製造現場の具体的な課題をテーマにしたプロジェクトベースの学習形式は、実際の業務データを活用した分析演習や、生産ラインの効率化に関わるプログラミング演習など、リアルな文脈での学びとなり、応用力の向上に繋がるでしょう。
このようなカスタマイズが可能な研修は、実務で活用できる実践的なスキル習得に直結します。
研修期間や費用は適しているか
一般的に短期集中型の研修であれば、およそ1〜2ヶ月間で基本的なPythonスキルを習得できる設計になっており、参加者一人当たりの費用相場はおよそ10万円前後となっています。
一方で、より深い知識や応用力を身につけたい場合には、3ヶ月以上かけて学習する中長期コースが適していますが、長期コースでは一人当たり数十万円以上の投資が必要になるケースも少なくありません。
しかし、研修選びで最も注目すべき点は期間や金額ではなく、実際の費用対効果です。提供される教材の質や講師によるサポート体制の充実度など、総合的な内容が支払う費用に見合っているかを慎重に評価することが大切です。
受講者の学習進捗を把握できるか
理想的な研修は、受講状況を可視化する機能が備わっており、管理者は学習の進み具合をリアルタイムで確認できます。
現場の実情として、通常業務の忙しさから研修が後回しになりがちな傾向があるため、せっかく良質なPython研修を導入しても、受講者が実際に学習時間を確保できていなければ、その投資効果は限定的となってしまうでしょう。このような状況を防ぐためには、進捗の見える化が重要です。
効果的な進捗管理システムを備えた研修は、遅れが生じている受講者を早期に特定し、適切な声かけやサポートを行うことが可能です。また、レポート機能があれば、組織全体の学習傾向を分析し、研修内容の改善にも役立つでしょう。
講師のレベルが最適か
優れた講師は、Pythonの文法を教えるだけではなく、実際の製造現場における活用事例や応用方法についても深い知見を持っています。Pythonを実務で長年活用してきた経験豊富な講師からは、教科書には載っていないノウハウや効率的なコーディング手法を学ぶことができるでしょう。
また、経験豊富な講師は受講者の疑問に対して的確な回答を提供できるため、学習の壁にぶつかった際の助けとなります。実務に根ざした具体例を交えながら説明することで、抽象的な概念も理解しやすくなるという利点があります。
人材育成の実績があるか
研修提供会社が過去にどのような成果を上げてきたかは、研修の質を判断する上で重要なポイントとなります。多くの研修会社は自社Webサイトなどで実績を公開しているため、情報収集が可能です。
特に製造業向けの導入事例があれば、自社の課題解決に直結する可能性が高まるでしょう。実績を評価する際は、受講者数だけでなく、研修後の現場での活用度や業務改善効果までフォローしている機関を選ぶと良いでしょう。
また、評判や口コミも参考にして下さい。
対象者の経験やスキルに合っているか
研修を受ける対象者に適切な内容が提供されてこそ、研修の効果が最大化され、組織全体の成長に繋がります。例えば、新人や新入社員に対しては、プログラミングの概念や基本構文の習得に重点を置き、具体的な実務への応用よりも、まずは土台となる知識を固めることが重要です。
一方、中堅社員向けの研修では、すでに基礎知識を持っていることを前提に、製造業の現場で実際に活用できるデータ分析手法や、生産効率の向上につながるプログラミング技術など、業務に直結する応用的な内容を取り入れるべきでしょう。
対象者のニーズを的確に捉え、最適なカリキュラム内容を提供する研修を選ぶことが、組織全体の成長と競争力強化に繋がるのです。
Python研修で社内人材を育成しよう
今回は、製造業に従事する方に向けたおすすめのPython研修と、効果的な選び方について解説しました。多くの製造業企業では、DX化に対応できる人材の不足が大きな障壁となっています。
Pythonはプログラミング言語の中でも特に習得しやすく、初心者にも取り組みやすいという特徴があり、データ分析から自動化システムの構築まで、製造業の様々な場面で活用できます。
エンジニアはもちろん、従業員がPythonの基礎を身につけることで、日常業務の効率化や問題解決に大きな変化をもたらすことができるのです。製造業のDX推進における第一歩として、Python研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
