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ものづくり補助金とは?対象企業や申請方法・審査まで徹底解説

企業における資金調達の方法としてものづくり補助金がしばしば注目されています。
活発に公募が行われるようになってから応募する企業も増えてきていますが、ものづくり補助金の詳細をしっかりと理解できていない場合もあるでしょう。

この記事ではものづくり補助金の概要から審査項目の内容、申請方法まで詳細に解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは
引用:ものづくり補助事業公式ホームページ

ものづくり補助金は、正式には「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」という名称の補助金で、中小企業庁によって実施されています。
日本の経済発展を支えてきたものづくりを中心として、中小企業や小規模事業者の成長を支援する目的で行われている公的事業です。

ものづくり補助金の内容

ものづくりというキーワードから推察されるように、基本的には新しい製品開発やその生産を生み出すこと、あるいは新規サービスを開発することを目的とした事業を展開する際の支援として活用するための補助金です。
その内容についての詳細な審査が行われ、採択されると補助対象経費の半分~3分の1程度を支給してもらえる仕組みになっています。

その他にも似たような補助金がないか知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

製造業が使える補助金7選!各補助金の特徴や内容を徹底比較

ものづくり補助金がもらえる対象企業は?

ものづくり補助金は経済基盤がしっかりとしていないことから、大きな研究開発費の投入や設備投資を伴う試作品の製造などを行うのが困難な、中小企業や小規模事業者を支援するのが主な目的です。そのため、ものづくり補助金の補助対象となるのは国内に本社と事業を実施する拠点を持っている中小企業者や小規模事業者、特定非営利活動法人とされていて、従業員数や資本金などについて業種ごとに制限が設けられています。

一般的に大企業と言われる経済規模の大きい企業は、ものづくり補助金を利用することはできない場合がほとんどです。また、補助対象事業は

  • ものづくり技術
  • 革新的サービス

に分類されていて、どちらかに該当していることが求められます。

さらに、公募内容を詳しく見るとさらに細かく審査分類が行われていて、申請するときにはどれに該当するかを判断して決めることが必要です。
どの場合にも、3~5年の計画によって「付加価値額」を年率3%向上させ、さらに「経常利益」を年率1%向上できる見込みがある計画を立てることが求められます。

ただ、融資ではないので採択されて正しく計画通りに事業を進めていけば、資金を受け取れるという点で挑戦する価値がある補助金制度としてよく注目されています。

ものづくり補助金の採択率はどれくらい?

ものづくり補助金の採択率はどれくらい?

ものづくり補助金の審査に通過することを「採択」と言いますが、ものづくり補助金の採択率は全体的に上昇してきています。

ものづくり補助金が開始された平成24年度は40%程度で、その後、時期によっては30%未満になることもありました。しかし、令和元年では62%くらいになっていて採択されやすい状況が生まれています。

ただ、令和元年度は応募数が2,000件少々で、40%前後の採択率だった頃の15,000件前後の応募数に比べるとかなり少ない状況があります。その影響がある可能性もあるため、応募するときには他社の応募状況も考慮することが必要です。

なお、令和2年度の特別枠では補助率が高かった影響もあって、採択率は低めになっていますが、それでも53.4%で半数以上が採択されています。
令和3年の採択率も、前年度の採択率と大きく変わらず、5,507者の申請があり、そのうち2,768者が採択され、約50%の採択率となりました。
また、令和4年は3,613者の申請があり、採択数は2,247者と採択率が62.2%と、ここ最近では一番高い採択率となっています。

このような状況を考えるとものづくり補助金は比較的採択されやすい補助金制度と考えることができるでしょう。

ものづくり補助金の審査項目

ものづくり補助金は、審査の基準が具体的に示されているわけではありませんが、審査項目については公開されています。申請するときには、どの項目についても高い評点を得られるように仕上げることが必要です。ものづくり補助金の審査項目は、

  1. 技術やサービスなどの革新性
  2. 課題と達成度の指標が明確化
  3. 実施体制や技術的能力の妥当性
  4. 新技術の優位性や収益性

の4つに大きく分類されています。
技術面はものづくり補助金の支援目的に最も深く関わる部分なのでよく参考にしましょう。

①技術やサービスなどの革新性

まず求められているのが、技術やサービスなどの革新性があることです。
既存技術の転用などではなく、新しい価値を生み出すことが求められます。

②課題と達成度の指標が明確化

また、課題と達成度の指標が明確になっていることも審査されます。
取り組みの評価をして次の指針を立てる上で欠かせない点だからです。
課題の解決方法についても明確化が求められますが、さらに優位性を示すことも必要です。
既存の方法と比較して、メリットがある解決方法という点をわかりやすく伝えることが重要になります。

③実施体制や技術的能力の妥当性

そして、実施体制や技術的能力の妥当性も審査される観点です。
組織体制や過去の実績なども含めた総合的な判断になるのが特徴です。

事業化面は、付加価値額や経常利益の向上を達成できるかを見極めるのに重要な審査項目です。
財務状況に問題がないことに加え、展開しようとしている事業の市場規模や需要などが明確で適切なことが求められます。

④新技術の優位性や収益性

また、その市場における新技術の優位性や収益性についても審査され、補助事業としての費用対効果が高いかどうかを見極められるというのが基本です。
そして、政策面は経営資源の蓄積や賃金の引き上げの方策や、補助金でカバーされない部分の資金調達の方針について吟味されることになります。

このように、新しい技術やサービスの開発によって利益を生み出せるパイプラインを作り上げ、安定した経営基盤を生み出せるようにするための要素が多角的に評価されるのがものづくり補助金の審査の特徴です。

ものづくり補助金の申請方法

ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金は、公募要領に基づいて申請を進める必要があります。

  1. 中小企業庁から提供されているフォーマットに従って必要書類を準備
  2. 認定支援機関による実効性の確認
  3. 電子申請をする

というのが基本的な流れです。認定支援機関とは、認定経営革新等支援機関が正式名称で、中小企業庁によって認められた弁護士や税理士、公認会計士などが該当します。
その支援を受けて書類の作成をするのが基本になると理解しておきましょう。

申請書は事業の名称や概要を記載した後、どのような取り組みをするのかを具体的に説明します。そして、その過程で発生すると想定される課題を提起し、その解決方法を提案して補助金を受けて解決に取り組むという構成が基本です。

また、開発スケジュール・経費明細表・実施体制についても整えて提出することが求められます。申請のときに必要な書類の詳細な内容は、変わる可能性があるので毎回必ず確認することが必要です。

ものづくり補助金の申請から交付まで、どれくらいのスケジュールか確認したい方は下記記事も参考にしてください。

ものづくり補助金が交付されるスケジュールは?補助金交付の条件

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター・3Dスキャナー

ものづくりに役立つ3Dプリンターと3Dスキャナーも、ものづくり補助金の対象です。
業務用の機械は高額になりますので、企業の方は補助金を活用しましょう。

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター①:Raise3D Pro3

Raise3D Pro3

メーカー Raise3D
価格(税込) ¥1,012,000
造形マテリアル T-PLA、T-ABS、PETG、PTG、Polyflex、カーボン、木質、etc
最大造形サイズ シングルヘッド造形時:300W×300D×300H mm
デュアルヘッド造形時:255W×300D×300H mm
積層ピッチ 0.01〜0.65mm

Raise3D Pro3安定した造形品質と安定度で、業務で人気の高い3Dプリンターです。

ノズルが2つ付いている可動式デュアルヘッドを搭載しており、材料のフィラメントを一度に2種類使うことができます。ノズルごとに異なる材料や色違いのフィラメントを使用すれば、2色での造形や、サポート材として水に溶ける水溶性フィラメントでの造形が可能です。
また、最新機能の「Hyper FFF™」はヘッドの加速度を最大10倍にすることができ、高速造形を可能にしています。

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター②:Raise3D Pro3 Plus

Raise3D Pro3 Plus

メーカー Raise3D
価格(税込) ¥1,397,000
造形マテリアル T-PLA、T-ABS、PETG、PTG、Polyflex、カーボン、木質、etc
最大造形サイズ シングルヘッド造形時:300W×300D×605H mm
デュアルヘッド造形時:255W×300D×605H mm
積層ピッチ 0.01〜0.65mm

Raise3D Pro3 Plusは、先ほどご紹介したPro3シリーズの大型機種です。

Raise3D Pro3よりも縦に2倍ほど大きく、より大型の造形に対応できるようになっています。
基本の機能はRais3D Pro3と変わりませんので、少しでも大きいものを作る可能性がある場合は、こちらのRaise3D Pro3 Plusを選ぶと良いでしょう。

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター③:Form3L

Form3L

メーカー Formlabs
価格(税込) 【ベーシックパッケージ】¥1,761,100
造形マテリアル スタンダードレジン、エンジニアリングレジン、キャスタブルレジン他
最大造形サイズ 335×200×300 mm
積層ピッチ 25-300 μm

Form3Lは、LFS方式(光造形方式)の大型3Dプリンターです。

LFS(Low Force Stereolithography)方式とは、新構造のレーザーユニット(LPU)とレジンタンクにより実現した革新的な光造形方式のことを指します。
また、最大造形サイズ335×200×300 mmと大きな造形を可能としている点が特徴です。

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター④:Mark Two

Mark two

メーカー Markforged
価格(税込) 要見積もり
造形マテリアル ONYX /ナイロン /カーボンファイバー /ファイバーグラス /高耐熱ファイバーグラス /ケブラー
最大造形サイズ 320×132×154 mm
積層ピッチ 100〜200μm

Mark Twoは、カーボンファイバーを造形できる世界初の3Dプリンターです。

オフィスにも置くことができるコンパクトな筐体ですが、強度・精度・使いやすさを併せ持ちます。Markforged独自の造形プロセスを用いて、アルミ強度に匹敵するほどの強靭なパーツを3Dプリントすることができます。

ものづくり補助金で導入できる3Dプリンター⑤:Metal X

Metal X

メーカー Markforged
価格(税込) 要見積もり
造形マテリアル 17-4 ステンレス鋼 /マレージング鋼 /チタン /インコネル /銅 /アルミニウム
最大造形サイズ 300×220×180 mm
積層ピッチ 50〜200μm

Metal Xは、従来にはない新しい種類の金属3Dプリンターです。

金属粉を樹脂に閉じ込めたフィラメントを用いて造形し、次にハーネスで焼結して最終パーツを作る工程(ADAM方式と呼ばれます)により、造形モデルをプリントします。
また、Metal Xは、ADAM方式により3Dプリントした造形物を洗浄し焼結するための付帯設備が必要です。そのためのコストを考えると、補助金の活用を検討するのによい製品だと言えます。

ものづくり補助金で導入できる3Dスキャナー:EinScan Pro HD

EinScan Pro HD

メーカー SHINING 3D
価格(税込) 1,419,000円
シングルスキャン範囲 209×160mm-310×240mm
光源 LED
屋外での使用 可能(カバー等を使用して、直射日光を避けてください)

EinScan Pro HDは、簡単な操作で高精度・高精細なデータを取得できる初心者にもおすすめの3Dスキャナーです。

固定・ハンディの両方のモードを搭載しているため、幅広いサイズの対象物をスキャンできます。別売りのカラー取得モジュールを使用することで、フルカラーのスキャンにも対応することが可能です。

ものづくり補助金で採択されるためのコツやポイント

それではものづくり補助金の審査をスムーズに通過するためのコツとポイントを解説していきます。

申請枠から考えよう

ものづくり補助金は5つの申請枠が設けられています。

  1. 通常枠
  2. 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  3. デジタル枠
  4. グリーン枠
  5. グローバル市場開拓枠

この枠組みを決定してからどのようにものづくり補助金に対応していくか決めると良いでしょう。例えばデジタル枠の場合、製品やサービス開発のプロセスの中でDX化に挑戦してみたり、AIやIoTを導入するといった事業計画にする必要があります。

このように申請する枠が決まれば自ずとどのように対応したらいいかが見えてくるので、申請枠から考慮するのがおすすめです。

事業計画書を綿密に作成しよう

ものづくり補助金では事業計画書の提出が必要です。
その事業計画書に不備があったり、事業計画として不安定なものであった場合採択されない可能性があります。

  • 無理がなく現実的な事業計画にする
  • 付加価値額は各項目で平均3%以上にする
  • 給与の総額は年間平均1.5%以上にする
  • アルバイト等の賃金は最低賃金の+50円以上にする

このポイントを押さえて事業計画書を作成しておきましょう。

審査項目や要件を理解しておこう

先述したものづくり補助金の審査項目や、公式で公開されている要件をよく理解しておくことも大切です。きちんとものづくり補助金を受けられる企業と胸を張って言えるようにきちんと対策しておきましょう。

ものづくり補助金で資金調達をしよう

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者にとって、新しい技術やサービスの開発に取り組むときに有用な補助金制度です。採択率が高く、審査項目も明確なのできちんと対策を立てて申請書類を整えれば資金を調達できる可能性が十分にあります。

新しい事業展開を考えているときには特に申請しやすいので積極的に活用しましょう。

ものづくり補助金とは?対象企業や申請方法・審査まで徹底解説
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