Mayaは、映像業界で幅広く使われているCG制作ソフトです。
MayaでCG作品を作ったり勉強するうえでつまずくことが多い点の一つが、UV展開といえるでしょう。
こちらでは、UV展開の概念とともに、やり方を含めた作業手順、MayaでUV展開するメリットをご紹介します。
MayaのUV展開とは
3Dモデルを作成する際に、作業頻度が高くなるのが、UV展開です。
UV展開とは、3Dで作ったモデルに切り込みを入れ、分解した2Dの平面に作業することを言います。
Mayaで行うUV展開は、主に色を塗ったり、質感を出すためのテクスチャーを割り当てる下準備として行います。
例えば、四角の立方体に色を塗る場合で考えると、一目で見渡せる面は1面から3面程度になり、その他の面に色が塗られているかいないか、どんな色が塗られているかはわかりません。
形状が複雑になればなるほど、色の塗り忘れが生じたり、思った通りの色が割り当てられないケースが生じるため、2Dに展開して色塗りを行うのが無難です。
テクスチャの場合、UV展開しないで処理すると、面と面の接合がうまくいかないことがあります。また、テクスチャをUV展開することで、他のCGソフトを使っての調整が手軽にできるようになるため、Mayaでは、UV展開したうえでの処理が重要になります。
なお、UV展開の「UV」とは、3DCGモデルにテクスチャをマッピングする際に使う座標を指します。横方向の軸がUで、縦方向がVとなり、貼り付ける位置・方向・大きさを指定できます。
そして、UV座標を使ったテクスチャのマッピングをUVマッピングと呼んでいます。
MayaでUV展開をする手順
こちらでは、MayaでUV展開する手順をお伝えします。
また、Mayaを使ってきれいにUV展開するやり方やコツについても触れます。
MayaのUV展開の手順
MayaのUV展開の手順を5ステップで解説します。
MayaのUV展開ステップ1.法線ベースでUVを作成
MayaでのUV展開において最初に行うのは、法線ベースでUVを作成することです。
法線とは、作成する物体の面や頂点に対し、垂直に伸びる線のことを言います。
法線が大事なのは、カメラに対してどの角度で法線が伸びているかにより、物体の見え方が変わるからです。見せたい面の法線がカメラに向いていないと、カメラに映ることがないため、法線を意識した製作が重要です。
Mayaで法線を意識してUVを作成するには、上部メニューから「UV」を選び、さらに「UVエディタ」を選択してエディタ画面を表示させます。
そして、UV展開したいモデルをオブジェクト選択し、UVエディタの中で「作成」から「法線ベース」を実行することで、仮のUV情報を作成できます。
MayaのUV展開ステップ2.UV分割
次に行いたいのが、エッジカットを使い、UV分割することです。
現時点では、UVがひとかたまりになっているので、こちらを分割していくという作業を行います。
UV分割は、「UVツールキット」から「カットと縫合」を選び、その中から「カット」を実行すると分割できます。エッジカットをどのように行うかですが、服などの場合は、縫い目に沿ってカットし、正面・背中・腕などに分けるとよいかもしれません。
MayaのUV展開ステップ3.分割したUVの自動展開
3番目のステップで行いたいのが、分割したUVを自動展開することです。
展開したいUVシェルを選択したうえで、「UVツールキット」から「展開」を選ぶと自動展開できます。
MayaのUV展開ステップ4.UVのサイズや位置の調整
その次に行うのが、UVのサイズや位置の調整です。
前段階で自動展開したUVは、サイズが均一でなかったり、隣り合ったUVシェルが重なっているケースがあります。そのため、サイズや位置の調整が必要になります。
Mayaでの調整のやり方ですが、まずサイズは、基準とするUVシェルを選択し、「UVエディタ」から「トランスフォーム」を選び、「取得」を実行してサイズの情報を取得し、「トランスフォーム」から「セット」を実行してサイズの均一化を行います。
UVの向きや位置を調整したい場合は、「配置してレイアウト」を選択し、その中で「エッジの方向」を使って向きを、「ツール」から「シンメトリ化」を選択して位置を調整します。
MayaのUV展開ステップ5.UV情報を出力
以上の点が終了したら、UV情報を出力します。
UVを全選択したうえで、「イメージ」から「UVのスナップショット」を実行すると、イメージ画像を出力できます。こちらで、ファイル名やフォーマット、サイズを設定します。
MayaできれいにUV展開するやり方とコツ
MayaのUV展開を上手に行うには、ある程度の経験が必要ですが、きれいにUV展開するコツを知っていると習得が早くなります。
MayaできれいにUV展開するコツ①
コツの一つが、UVを左右対称に、つまりシンメトリにすることです。
UVで中心にしたい頂点をすべて選択し、スケールツールで一直線にして、UV頂点をXキーを押して移動させながら中心に位置するように持っていきます。
次に、Mayaの「UVエディタ」から「ツール」、「シンメトリ化」を実行し、中心となるエッジを選択します。そして、シンメトリにコピーしたいUVをなぞっていくと、UVを左右対称にすることが可能になります。
なお、こちらは左右対称のモデルに対してのみ有効で、非対称のものには活用できない点に注意が必要です。
MayaできれいにUV展開するコツ②
MayaでUV展開をきれいに行う2つめのコツは、左右対称になっているUVの片方を反転し、重ねて配置することです。
こちらの作業は、「UVエディタ」「修正」「反転」から片方のUVを裏返し、UVシェルをXキーを使い、スナップ移動しながら位置合わせをして重ねるとよいでしょう。
MayaできれいにUV展開するコツ③
3つめのコツは、直線化することです。
これは、直接にしたいUVの頂点を選択し、「UVツール」から「UVの直線化」で行えます。
UVの直線化は、数値で調整したり、縦横にあたるU・V座標を使って個別に行うこともできます。
MayaでUV展開をするメリット
MayaでUV展開するメリットは、きれいにレイアウトできる便利な機能が備わっていることにあります。
Mayaには「Orient Shels」というツールがありますが、こちらを使うとUV展開の際の角度を90度ちょうどに修正できるところが使い勝手の良い点です。
さらに利用できるツールとして「Distribute」があります。
Distributeツールを使うと、たくさんのピースとなっているUVを指定した矢印の方向に整列できます。加えて、「Align」ツールも併用すると、UVを下揃え・中央揃え・右揃えというように整えることも可能です。
UV展開すると、それぞれのスケールがバラバラになり、それらを統一したいという要望も増えます。
その点で役立つのが「Texel Density」といわれる機能です。使い方は比較的シンプルです。
お手本のスケールにしたいUVシェルを選択して、Texel Densityの「Get」をクリックし、その後に同じスケールにしたいUVシェルを選択して「Set」をクリックすると、スケールに統一感が出ます。
なお、こちらのコツは、左右非対称のテクスチャや、高低差の情報を保持するノーマルマップをアニメーション化の前段階に行うベイク処理を施す必要があるモデルには向いていません。
UV展開は、Mayaで行う作業の中では比較的地味で時間がかかるため、作業効率アップを望みたい分野です。その点、上記に挙げたツールや機能を使いこなすことで効率よく作業できるので、覚えておくと時間短縮のメリットが大きくなります。
MayaでUV展開するやり方と手順ごとのコツ、UV展開するメリット
MayaのUV展開は、複雑な立方体に色塗りやテクスチャを載せるなどの加工を施すのに必要な作業です。MayaのUV展開の手順はそれほど難しくないですが、きれいにUV展開するやり方やコツを理解していないと、満足いく仕上がりになりません。
MayaにはUV展開をきれいにレイアウトするツールがそろっている点がメリットといえます。
Mayaを基礎から学習したいという方はProSkilllのMayaセミナーの受講をおすすめします。
MayaのUV展開の難易度はそれほど高くないかもしれませんが、つまずく事も多いです。
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1日目にはUV展開とテクスチャーを設定も学習します。
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