近年は急速的に進行している少子高齢化により、製造業においては慢性的な人材不足が続いているのが現状です。一方製品の精密・自動加工を可能にしたマシニングセンタを導入すれば生産性向上が可能ですが、機種選びにお困りの企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では人気マシニングセンタを徹底比較し、価格や特徴を比べます。
マシニングセンタを比較するポイント
マシニングセンタは、高精度・自動化を可能にした便利なNC工作機械です。そして導入時の費用対効果を高めるためにも、各メーカー・機種の価格や機能などのポイントを十分比較しなければいけません。
最初に自社で生産する製品に適した機能を持つ機種を選択し、細かな機能を検証します。そのうえで価格的にもコスパの良いマシニングセンタを選択・導入すれば、費用対効果を取得して導入による成果取得も可能です。
マシニングセンタの主な種類比較
現在は各メーカーから多様な機種のマシニングセンタが開発・販売されていますが、マシニングセンタは主に下記の4種類に分類されます。
- 立型マシニングセンタ
- 横型マシニングセンタ
- 門型マシニングセンタ
- 5軸制御マシニングセンタ
これらの機種は加工する製品の種類や形状によって使い分けられ、設計ではCADやCAMなどのソフトを使用するのが一般的です。ではそれぞれのマシニングセンタを詳しく解説します。
また自社でCADやCAMの人材育成を進めたい方は、短期間から中長期的なプランまでの人材育成プランを提案してくれるCAD・CAM・CAE人材育成サービスの利用がおすすめです。さらに下記にマシニングセンタの設計段階で必要な、CADに関する記事を添付するので参考にしてください。
立型マシニングセンタ
加工物に対して切削工具が垂直に設置され、上部から加工を進めるマシニングセンタを立型マシニングセンタといいます。切削軸が縦向きのX軸、横向きのY軸、高さ調整のZ軸方向に稼働し、加工状況を上から視認可能です。
横型などの機種と比較してコンパクトな設計なので、省スペースで導入したい方におすすめの機種といえます。一方で切削粉が加工物上に堆積・排出しにくいため、切削工具との摩擦が生じるので同時大量尾生産には向いていません。
横型マシニングセンタ
横型マシニングセンタは、加工物に対して切削工具が水平に設置されているNC工作機械です。立型同様の縦向きのX軸、横向きのY軸、高さ調整のZ軸方向に稼働します。
水平方向に加工物を切削するため切削粉が下部に落下して、切削工具と切削粉の摩擦が生じないので工具寿命が長い点がメリットです。また加工物の自動移動・設置が可能なパレットチェンジャーを使用すれば、長時間連続運転ができるので大量生産に向いています。
門型マシニングセンタ
装置全体が門の形をしているマシニングセンタが門型マシニングセンタです。ほかの機種に比べて大型で、材料固定台も大きいので重量物や大型製品の加工に最適の機種といえます。
5軸制御マシニングセンタ
5軸制御マシニングセンタは通常設置されている切削軸であるX・Y・Z軸に加え、2方向の軸を追加設定したマシニングセンタです。通常機種の3軸だけでは、加工状況次第で作業員による加工物の移動が必要でした。
そこで5軸制御マシニングセンタを導入すれば、5軸による多方面からの切削が可能なので手動での加工物の手間もかかりません。一方で高精度な加工が可能な反面、加工設定の入力などに高い知識が必要になります。
5軸マシンングセンタのような複雑な加工に対しては、2軸加工、3軸加工、穴加工、旋盤加工、5軸加工、検査プローブまで幅広い加工に対応可能なCAMであるFusion 360のライセンス取得や、分りやすく解説してくれるFusion 360 3DCAD入門セミナーの受講がおすすめです。
また下記にマシニングセンタの業務におすすめのCAMを紹介した記事を添付するので参考にしてください。
人気マシニングセンタ7選を徹底比較
近年は製造業をはじめとしたさまざまな企業がマシニングセンタを導入していますが、実際にどのような優れた機種が開発・販売されているのでしょうか。そこでここからは、人気マシニングセンタ7選を下記に表記し、それぞれを詳しく紹介するので自社導入時の参考にしてください。
| 機種名 | 特徴 |
| VCN-460 | 導入企業の生産状況に適した自動生産システム構築が可能 |
| NTX 500 | 自動化ロボットシステムであるIMTRを併設すれば生産自動化が可能 |
| Mytrunnion-4G | 100時間以上の加工プログラムの一括処理も可能で、高精度な大量生産が可能 |
| SPEEDIO s300Xd1 | 操作用のタッチパネルも大型で見やすく、操作性に優れている |
| UNIVERSAL CENTER MU-400V | 5軸複合加工と旋削加工の機能性を併せ持ち、多様で高精度な加工を実現 |
| MX-520 | フロアパレットシステムのPC4を併設すれば、製品の移動・固定を自動化して生産スピードを上げることも可能 |
| V100S | 5軸制御で滑らかな加工を実現し、従来機よりも高品質な仕上げ精度を実現 |
立形マシニングセンタ「VCN-460」
VCN-460は高トルクによる、重量物の加工を可能にした立形マシニングセンタです。従来製造されていたタイプよりも製品固定台を広めに設計し、Y軸のストロークも延長することで加工範囲拡大に成功しました。
導入企業の生産状況に適した自動生産システムも構築できるので、生産ロスが生じない最適な稼働が可能な点もメリットです。
- メーカー希望販売価格：1,500～2,000万円程度（参考価格）
NTX 500
DMG森精機が開発・販売を手掛け、省スペースでの使用を考慮して設計製作された比較的小型のマシンングセンタがNTX 500です。フライス加工からミーリング加工まで、たった1台で幅広い加工が可能な点がメリットといえます。
また生産スペースを増やさなくても、自動化ロボットシステムであるIMTRを併設すれば生産自動化が可能です。また操作用パネルも生産状況によって液晶画面が切り替わるので、操作性の高さも魅力の1つといえます。
- メーカー希望販売価格：3,500～4,000万円程度（参考価格）
Mytrunnion-4G
Mytrunnion-4Gはマシニングセンタの開発・販売に特化しているキタムラ機械株式会社が開発・販売しているマシニングセンタです。一般的な製品に比べてコンパクトであるにも関わらず、5軸加工で高精度な加工を実現しています。
このモデルは高精度な機能を保ちつつ、以前のモデルよりも小さめに設計されているので、「省スペース・高精度加工」が可能な点がメリットです。また100時間以上の加工プログラムの一括処理も可能で、高精度な大量生産が可能な点も強みといえます。
- メーカー希望販売価格：要お問い合わせ（平均値2,000～3,000万円程度）
コンパクトマシニングセンタ SPEEDIO s300Xd1
工具自動交換機能や自動切削機能など、優れた機能を持つ小型マシニングセンタがコンパクトマシニングセンタ SPEEDIO s300Xd1です。小型であるにも関わらず、従来モデルよりも高精度でスピーディーな加工を可能にしています。
操作用のタッチパネルも大型で見やすく、操作性に優れているのもメリットです。
- メーカー希望販売価格：750～800万円程度（参考価格）
5軸マシニングセンタ UNIVERSAL CENTER MU-400V
5軸マシニングセンタ UNIVERSAL CENTER MU-400Vは、コンパクトな収納性と高精度な加工、幅広い加工領域を兼ね合わせる高機能なマシニングセンタです。5軸複合加工と旋削加工の機能性を併せ持ち、多様で高精度な加工を実現しています。
一般的な工作機械では加工が困難な宇宙開発関連や飛行機関連の部品を製作可能な点も強みです。
- メーカー希望販売価格：3,000～3,500万円程度（参考価格）
MX-520
5軸加工という高機能性を持ちながらも、コスパに優れたマシニングセンタがMX-520です。5軸マシニングセンタの中では珍しく、2,400～2,600万円程度（参考価格）という低価格で導入できるので、5軸加工の初めての導入などにおすすめの機種といえます。
またフロアパレットシステムのPC4を併設すれば、製品の移動・固定を自動化して生産スピードを上げることも可能です。
- メーカー希望販売価格：2,400～2,600万円程度（参考価格）
5軸制御御立形マシニングセンタ「V100S」
V100Sは牧野フライス製作所の主力的なマシニングセンタの1つで、従来モデルのV80SやV90Sの後継機です。5軸制御で滑らかな加工を実現し、従来機よりも高品質な仕上げ精度の高さが特徴といえます。
大型の設計を活かして主に大型の金型加工などに使用され、搬入口も確保されているので大型の加工物は人力ではなくクレーンで搬入できるので便利です。
- メーカー希望販売価格：8,000～9,000万円程度（参考価格）
マシニングセンタを比較するメリット
自社の生産に適したマシニングセンタを選択・導入するためにも、各メーカーが開発・販売しているマシニングセンタの機能や特徴、価格など比較・検討しなければいけません。そこでここからは、マシニングセンタを比較するメリットを紹介します。
自社に合ったマシニングセンタが分かる
自社に合ったマシニングセンタが分かる点も、マシニングセンタを比較するメリットの1つです。マシニングセンタはメーカーや機種によって機能が異なり、得意な生産分野も異なります。
したがって何のリサーチもせずに導入すれば、自社商品の生産に適応せずに意味のない導入になる可能性も高いです。一方で事前に入念なリサーチを行えば自社に最適なマシニングセンタが分かるので、メーカー・機種ごとの違いを把握したうえで自社の生産に適した機種導入によるシナジー効果が期待できます。
また事前のリサーチで自社の状況に適した価格帯の機種を選び、導入後の費用対効果を狙うのも重要なポイントです。
導入後のギャップが少ない
マシニングセンタを比較するメリットとして、導入後のギャップが少ない点も挙げられます。機種の比較をせずにマシニングセンタを導入すれば、自社に必要な機能搭載されていない場合や、反対に不要な機能が搭載されているケースが生じるケースが多いです。
そして結果的に「こんな機種とは思わなかった…。」などの想定外の事態となる可能性も高くなります。一方で事前に入念なリサーチを行って機種ごとの機能や価格などを比較・検証すれば、想定通りの導入が展開されて導入後のギャップも生じません。
作業時間を短縮できる
作業時間を短縮できるのも、マシニングセンタを比較するメリットの1つです。マシニングセンタの機能などを十分に確認せずに 導入すれば、自社の製品に適した機種でないために従来機種よりも作業時間がかかる可能性もあります。
一方で事前のリサーチにより自社商品の生産に適した機種を選別し、その中から最適な機種を選択・導入すれば生産性が向上し、作業時間短縮も可能です。
マシニングセンタをよく比較して最適な機種を選ぼう
本記事では人気マシニングセンタを徹底比較し、価格や特徴を比較しました。マシニングセンタは高精度、大量生産が可能な高機能なNC工作機械で、効率的に導入すれば自社の生産性を高めることができます。
一方で現在は多様な機種のマシニングセンタが開発・販売されているので、導入前に十分な比較・検討をして自社に最適なマシニングセンタを導入してください。さらに導入後の成果を高めるためにも、マシニングセンタに最適なCAMであるFusion 360のライセンス取得や、その効率的な学習を可能にしたFusion 360 3DCAD入門セミナーの受講がおすすめです。
