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機械製図とは?

機械製図は古来よりあらゆる分野の製造業で使われてきました。
何か物を作る時、いきなり材料を加工し始め、途中途中で試行錯誤して作り上げたのではちゃんとした製品はできあがりません。
それはどちらかと言うと芸術品の作り方です。
製品というものは事前にしっかりと計画を立て、図面を引いてから作り始める必要があるのです。
そこで使われている機械製図とはどういったものか、どのような種類があるか見ていきましょう。

機械製図とはどういったものか

機械製図とは、ほとんど全ての製品を作る時に作られる図面のことを言います。
通常、製品を作るに当たってそのプロジェクトのリーダーが大雑把な設計図を作ります。
これは手書きのラフと呼ばれるもので、どのくらい細かいものになるかはその人の個性によりますが、基本的にはフリーハンドで作られたざっくりしたものになります。
それを受け取った人が、製図をしてしっかりとした図面に書き起こします。
製図は紙に書くものなので、まずその製品の大きさから縮尺を決めます。
製品の大きさは様々なのにも関わらず紙の大きさには限度があるからで、どんなに大きくてもA1サイズぐらいには収まる大きさで、製図は行われます。
縮尺を決めたら、その図面上で縮尺が異なることのないように注意して、図面を書いていきます。
製図で重要なのが寸法です。
それは1ミリメートルかそれ以下の精度で記述され、その図面を見れば全ての寸法が分かるように作られます。
形状が複雑になってくると寸法を書き込むスペースがなくなることもありますが、矢印を伸ばすなど上手く工夫して、全ての寸法を書き込むことが重要なのです。
そしてこれも大事なのが、図面の一義性です。
その図面には自分独自のルールでの記述があってはいけません。
誰が見ても同じ読み取りを行えることが、図面には重要なのです。
その会社だけで使うとしても、何かのタイミングで外部から見せて欲しいと言われるかもしれません。
そういった時に、独自ルールで書かれた図面では用をなしません。
長い歴史の中、統一されたルールが定められ、それに準拠して図面は書かれるのです。

機械部品を作る際の書き方と規格


機械製図の用途は製品の設計ですが、製品というものは大抵は部品の集まりから成り立っているため、一義的には部品の設計となります。
例えば金属を加工してジョイントパーツなどを作る場合、機械製図で三面図を書くことになります。
三面図とはその部品の横から見た図、縦から見た図、上から見た図を並べて記述する方法で、多くの製図で用いられています。
一つの部品を一つの方向から書いただけでは、見えない部分がどうなっているか分かりませんし、その寸法も分かりません。
そのため基本的に三面は記述することにし、可動する部品などではさらに展開図などを追加して、見る人の理解を助ける図面を製作します。
図面には寸法を記述しますが、三面図は縦と横に並んでいる図にそのまま線を延ばしても、ずれたり矛盾のないように書かれます。
その部品に穴が空いていたらその直径を記述し、中心線が面から何ミリメートルの位置なのかを漏れなく記述します。
製図に使われる記号にもルールがあり、直径はファイの記号が使われます。
角を削る加工などには面落としという手法を用いることが多く、その記述方法も決まっているのでその通りに記述します。
こういったルールは日本産業規格、JIS規格で定められており、そのルールに準拠することで日本中の誰が見ても同じ意味として理解できる図面が作れるのです。
工業系の高校や専門学校ではこの基礎をたたき込まれることが多く、完成させるためには居残りが当たり前と言われるぐらい、時間が掛かり難易度の高いものとして有名です。
製図としてはCADもありますが、記述するルールは同じなため、まずは機械製図で基礎をしっかり覚えてから、どちらも使えるように次にCADを習得させるケースが多いようです。

紙製品を作る場合と製図の種類

図面というものは当然、機械部品以外にも使われています。
例えば文房具で、卓上カレンダーなどを作る際にも図面は引かれます。
材料が固い物ではない紙であっても、正確なサイズで加工することは重要なのです。
加工に使う機械が旋盤やボール盤ではなく断裁機になり、場合によってはハサミを使って手で加工することになります。
しかしどちらであっても寸法は重要であり、穴を開ける場所や直径、そこまでの寸法など、漏れなく記述しなければ製品は作れません。
卓上カレンダーではプラスティックや金属のリングを通す必要があり、既製品であってもそれらのサイズは記述しておく必要があります。
紙の加工物の図面でよく使われるのが折り寸法で、それらは点線で示されます。
製造に必須とは言えませんが、組立図があると見る人の理解を助けられるかもしれません。
製図には用途に合わせて様々な種類があります。
計画図や試作図は、設計の初期に大まかに概要を伝えたり、試作のために作る図です。
ラフの場合も多いですが、実際の製作図と分けるためにそういった名前が付けられています。
工程図はその製品の製作中、特定の工程で使う工具などを示した図面です。
この辺りは会社によって使っている場合とそうでない場合とで別れますが、全体を把握するためには便利なものです。
スエツケ図は、設置するタイプの機械、ボイラーや洗濯機などを据え付けるときの状態を示した図面です。
多くの製品は部品と部品の組み合わせで完成しますが、据え付け場所のある製品の場合にはこういった特殊な図面が必要とされます。

製図の種類はどのようなものがあるか

大きくルールの決まっている機械製図ですが、業界によって用いられる図面は異なります。
例えば、大きな家を造る建築製図と、小さな部品を作る機械製図とでは書き方が異なるのです。
建築製図は建築基準法で定められた記述に準拠する必要があり、これは機械製図と異なります。
どちらも多くの関係者にとって分かりやすい図面を作ることは共通していますが、大きなものと小さなものとでは同一のルールで書いてしまっては不都合が生じる場合もあるのです。
例えば建物の外観をミリメートルまで記述しても意味がなく、むしろ見にくい図面になってしまいます。
逆に、製品の内部で複数個使われる小さな部品に対して外観図を付けたとしても、あまり意味がありません。
また、機械製図では小さな部品の図面を書くというだけでなく、部品が動くことを前提とした図面を書くことが多くなります。
住宅の建築では完成した後に柱が動く想定はしなくていいですが、機械の部品は常にそのことを想定します。
そのため、この部品が動いた時の範囲を記述する方法などもあり、正しい書き方に準拠した、見た人に分かりやすい図面が作られるのです。
製図の種類には、建築製図と機械製図以外にも、土木製図、電気製図、科学製図、被服製図など、たくさんの種類が存在します。
どれも基礎的な書き方は同じですが、細部で細かな違いでその業種に合った分かりやすい製図のルールが定められています。

基礎を学習し誰にでも理解できる図面を作る


製造業のあらゆる分野で使われている機械製図ですが、大事なのは規格に準拠した書き方をすることです。
誰が見ても理解できる図面、それが製図にとって最も重要と言えます。
最近ではCADが使われていますが、機械製図も手で書くというだけで同じものであり、そのスキルが活かせる分野だと言えます。
手書きかCADかは、会社によって方針が別れるだけの話なので、基礎を学んでおくことが重要と言えるでしょう。

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