DX化は、製造業や建築業のみならず、現代を生きるすべての業種に求められる取り組みです。
しかし、DX化といえば、やはり初期投資、さらに人材育成など、コスト面の負担の大きさに二の足を踏んでしまいがちです。そんなときは、中小企業向けのDX補助金を活用しましょう。
この記事では、最新の中小企業向けDX補助金を7種類ご紹介します。
補助金を受給する流れも分かりやすく解説するので、DX補助金の利用を検討している企業の担当者様はぜひ参考にしてください。
そもそも補助金とは?
補助金とは、国や地方自治体が、事業者や個人の特定の活動を促進し、その実現を助けるために、資金の一部を支援する制度のことです。例えば、
- 企業がDX化のためにIT設備を導入する
- 個人が住宅をバリアフリーリフォームする
などが該当します。
補助金は多種多様な種類があるため、まずは「何のために補助金が必要なのか」という目的を明確にし、それに合った補助金を選ぶことが大切です。
- 補助金の特徴
- 助成金との違い
①補助金の特徴

まずは、中小企業向けの補助金の特徴について解説しましょう。
全額補助ではない
事業にかかるすべての経費が補助されるわけではありません。事前に、補助の対象となる経費、補助の割合、上限額などを確認する必要があります。
審査がある
融資と異なり返済義務はありませんが、審査があるため「申請すれば必ずもらえる」ものではありません。補助の有無や金額は、事前の審査と事後の検査によって決まります。
原則後払い
補助金は事業実施後に書類を提出し、検査を受けた後で受け取ることができます。つまり、先に自己資金で費用を立て替える必要があるため、資金面の準備が必要です。
②助成金との違い
企業向け補助金と助成金はどちらも返済不要で混同されがちですが、実は異なるものです。
補助金
補助金は、システム開発など、事業者が行う「事業」を支援するために支給されます。支給額は数千万円から1億円で、中には、成長加速化補助金の5億円というケースもあります。ただし、審査が厳しく、申請後の採択割合は3〜5割程度です。
助成金
一方、助成金は従業員の雇用や教育、労働環境の改善といった「人」に関する取り組みを支援します。補助金よりも支給額は少ない傾向にありますが、基本的に、定められた要件を満たせば受給できます。
参照:日本政策金融公庫
製造業や建設業をはじめ、各業界で注目されているDX人材育成にも、補助金、助成金が活用できます。DX人材育成は、企業全体のDX推進が効率的に進むため、DX化のスタートにも最適です。
DX研修・人材育成サービスは、現場で活かせる実践力育成を軸とした教育支援サービスです。受講者のスキルを可視化し、教育体制や人事評価と連携させることで、DX人材の定着まで一貫してサポートします。
DX人材の育成には、政府が推進するデジタルスキル標準(DSS)が役立ちます。このスキル標準を元に作られたのが、DX人材スキルマップです。
詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひこの機会にご一読ください。
中小企業向け最新DX補助金7選

では、中小企業向けの最新DX補助金を7選ご紹介しましょう。まずは、各補助金の目的、補助率、補助上限額をまとめた一覧表からご確認ください。
| 補助金 | 目的 | 補助率 | 補助上限額 |
| 省力化投資補助金 | 人手不足解消(ロボット導入等) | 1/2以下、1/3~2/3 | 1億円 |
| ものづくり補助金 | 新製品開発や革新的な設備投資 | 1/2~2/3 | 4,000万円 |
| IT導入補助金 | 業務効率化(ITツール導入等) | 1/2~4/5 | 450万円 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者の販路開拓 | 2/3 | 250万円 |
| 事業承継・M&A補助金 | 事業引継ぎ後の新しい取り組み | 1/3~2/3 | 2,000万円 |
| 新事業進出補助金 | 新規事業や高付加価値事業への進出 | 1/2 | 9,000万円 |
| 成長加速化補助金 | 成長を目指す企業の設備投資 | 1/2 | 5億円 |
①省力化投資補助金
省力化投資補助金は、人手不足の解消や業務効率化を進める中小企業向けの補助金です。具体的には、IoT機器やロボットなどの省力化設備・システムの導入費用を支援することで、売上拡大と賃上げを目指します。
この補助金には、カタログから製品を選べる「カタログ注文型」と、オリジナルの機械やシステムを導入できる「一般型」の2種類があり、目的や課題に合わせてタイプを選べるシステムです。
②ものづくり補助金
ものづくり補助金は、新しい製品やサービスを生み出すための設備投資を支援し、企業の生産性を高めることを目的としています。
この補助金は2種類あり、ニーズに合わせて選択できます。一つは、新しい製品やサービス開発のための投資を支援する「高付加価値化枠」、もう一つは海外への事業展開やインバウンド対応のための投資を支援する「グローバル枠」です。
ものづくり補助金は、以下の記事で詳しく解説しているので、利用を検討する企業様はぜひ参考にしてください。
③IT導入補助金
IT導入補助金は、企業の生産性向上やDX推進のため、会計ソフトや業務管理システムなどのITツール導入を支援するものです。この補助金には、幅広いITツールを対象とした「通常枠」と、インボイス制度対応の会計・決済ソフト導入向けの「インボイス枠」があります。
いずれも、事務局に登録されたツールが対象となり、ITベンダー(IT導入支援事業者)が申請をサポートし、その後の活用についても支援が受けられます。
④小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者自身が作成した経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上に取り組む費用を支援するものです。チラシ作成や広告掲載、店舗改装など、幅広い経費が対象となります。
補助金申請には、地域の商工会議所や商工会の支援が必須で、相談しながら計画を進められます。通常枠のほか、災害からの事業再建を支援する枠、スタートアップ向けの創業型など、複数の種類があります。
⑤事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aにかかる費用を幅広く支援するものです。例えば、承継前の設備投資やM&A時の専門家への手数料、さらにM&A後の事業統合(PMI)や廃業にかかる費用などが対象となります。
なお、この補助金は、事業承継を機に、DX推進のための設備やシステムの導入を検討した場合にも利用できます。
⑥新事業進出補助金
新事業進出補助金は、これまでとは違う、新しい事業への挑戦を支援する補助金です。例えば、新市場への進出や新製品開発に必要な建物や設備、システム構築費などが対象となります。
この補助金は、既存事業の枠を超えたDX推進を目指す企業に適しています。大幅な賃上げを行うことで、補助金の上限額が引き上げられる点も独自の特色です。
⑦成長加速化補助金
成長加速化補助金は、将来的に地域経済をけん引するような「100億企業」の創出を目指す中小企業を支援します。基本的に、大規模な設備投資を行う場合に支援を受けることが可能です。
具体的には、工場新設や、最新のDX技術を導入するような取り組みが対象となり、企業の成長だけでなく、賃上げや地域経済への貢献も重視されます。
補助金の選び方
続いて、補助金の選び方について解説しましょう。
- 補助金の使途を明確にする
- 募集要項をしっかり確認する
①補助金の使途を明確にする

補助金を選ぶときに考えたいのは、「何のために補助金を使いたいか」です。会社の課題や目標によって、選ぶべき補助金は大きく変わります。
例えば、業務の効率を上げたい、自動化したいなら、「IT導入補助金」や「省力化投資補助金」がぴったりです。新しい製品やサービスを作りたいのであれば、「ものづくり補助金」を検討してみましょう。
販路を広げ、新しい市場に挑戦し、会社の事業を大きくしたいなら、「小規模事業者持続化補助金」や「新事業進出補助金」が役立ちます。事業の形そのものを変えたいなら、「事業承継・M&A補助金」や「成長加速化補助金」が選択肢になります。
このように、自社の課題と補助金の目的を照らし合わせることで、より実情に合った制度を見つけやすくなります。
②募集要項をしっかり確認する
使途を明確にしたら、次は募集要項を隅々まで確認することが重要です。補助金にはそれぞれ、対象となる事業者や経費、申請期間、補助率や上限額が細かく定められています。
せっかく時間をかけて申請しても、要件を満たしていなければ採択されないので、公募要領を熟読し、自社の計画がその補助金の目的に合致しているか、そしてすべての要件を満たしているかを十分に確認しましょう。
DXの進め方に迷ったときはDX人材育成のサポートを受けよう
ただ、「そもそも何からDXに取り組めばよいか分からない」という場合もあるでしょう。そんなときは、DX人材の育成からスタートしてみてください。DX人材を自社で育成することで、自社に最適なDX推進計画を策定し、スムーズな導入を実現します。
DX研修・人材育成サービスは、教育カリキュラムの導入企業数10,000社を突破した人気のDX支援サービスです。短期集中から中長期育成まで、ニーズに沿ったDX・AIの人材育成研修プランをご提案いたします。
補助金を受給する方法

補助金の種類や選び方がわかったところで、受給する方法が気になる方もいるでしょう。
補助金の受給までの流れは少し複雑に感じますが、以下の手順に沿って進めれば滞りなく申請できます。ここでは5つのステップで分かりやすく解説しましょう。
- 情報収集
- 申請
- 採択・交付
- 決定事業の実施
- 補助金の交付
① 情報収集
まずは補助金の情報集めからはじめてください。国や自治体が用意する補助金は、それぞれ目的が異なり、募集時期も限られています。特に、公募が終了した場合、次の公募開始まで申請できないので注意しておきましょう。
② 申請
利用したい補助金が決まったら、募集要領を読み込み、事業計画書など必要な書類を準備します。電子申請か郵送かは補助金によって違うため注意しておきましょう。
③ 採択・交付決定
審査を通れば「採択」の通知が届きます。その後、交付申請を行い「交付決定」が下りれば、ようやく補助事業のスタートです。
④ 事業の実施
その後は、決定内容に従って事業を進めましょう。途中で予定を変えたくなったら、事前申請が必要です。経費の領収書や契約書は、後でチェックされるので保管しておいてください。
⑤ 補助金の交付
事業が終わったら、報告書をまとめて提出します。内容が確認されると金額が確定し、補助金が振り込まれます。領収書などは5年間の保管義務があるので、必ず取っておきましょう。
申請・提出が必要となる主な書類
補助金申請から交付までの各ステップで、以下の書類が必要となります。
| 時期 | 書類名 |
| 申請 | 応募申請書、事業計画書、経費明細書、事業要請書など |
| 採択・交付決定 |
|
| 事業実施中 | 計画変更申請書(変更時) |
| 補助金交付 |
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地方自治体の補助金・助成金
最後に、地方自治体の補助金・助成金をご紹介します。
ここでは東京都を例に挙げ、その中から、特に中小企業や個人事業主に関連性の高いものを6つ一覧でまとめてみました。
| 補助金 | 概要 | 対象者 | 補助上限額 |
| カーボンクレジット活用促進事業 | カーボンクレジット活用ブランディングを支援 | 中小企業等 | 200万円 |
| マイボトル用給水機設置助成事業 | プラスチックごみ削減のための給水機設置を支援 |
|
2,475円/月 |
| アニメ等コンテンツを活用した誘客促進事業 | アニメを観光資源として事業を展開 | 該当事業者 | 2,000万円 |
| 東京型スマート農業実装化促進事業 | スマート農業技術の導入を支援し、農業の持続的発展を図る |
|
333.3万円 |
| 立川産品販路拡大等支援事業補助金 | 立川産品の販路拡大のための取り組みを支援 | 市内の中小企業 | 60万円 |
| 文京区スタートアップ支援事業補助金 | 創業間もないスタートアップ企業の事業を支援 | 創業5年以内/移転後1年以内の企業 | 60万円 |
なお、2025年度の東京都の補助金・助成金は、全部で3,375件ありました。
このように、東京をはじめとした地方自治体では対象者を細かく区分しているため、補助金選びの際は十分には時間を取ってリサーチしましょう。
補助金についてまとめ
補助金を活用することで、DX推進に必要な投資を効率的に進めることができます。ただし、補助金は随時内容が更新され、公募期間も限られているケースが多いため、日頃から早めに情報を集めておくことが重要です。
あらかじめ利用したい補助金を調べておけば、いざというときにスムーズに申請できます。補助金の利用方法に迷った際は、公的機関や専門家のサポートを活用し、適切な補助金選びを行いましょう。