メディアでも注目されているAI自動運転技術について、どのようなメリットやデメリットがあるのかわからないとお悩みではないでしょうか。また、活用されている業界について詳しく知りたい方もいるはずです。
そこでこの記事では、AI自動運転の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすくまとめました。また、活用例や日本・世界の有名企業・最新の研究動向も紹介しているので、AI自動運転の今を知る参考にしてみてください。
AI自動運転とは?仕組みをわかりやすく解説
AI自動運転とは、これまでドライバーが行ってきた以下の流れを、AIや各種センサーが担う仕組みのことです。
- 周囲の状況を認知する
- 運転を判断する
- ハンドルやブレーキを操作する
たとえば、自動車に搭載されたカメラ・LiDAR(レーザースキャナー)・ミリ波レーダーなどのセンサーで周囲の車両や歩行者を検知し、AIが走行経路や加減速を判断することで、車両が自動で操作されます。
デジタル庁の「モビリティ・ロードマップ2025」でも、AI自動運転は将来的に公共交通・物流・建設現場に広く導入されていくと記載があるなど、私たちの移動生活を大きく変える技術として日本、そして世界中から注目が集まっています。
(参考:デジタル庁「モビリティ・ロードマップ2025の概要」)
なお、AI技術は自動運転以外にもビジネス分野で広く活用されています。
企業でのAI活用を検討している方は、以下の講座を受講してみてはいかがでしょうか。
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自動運転はレベル0〜レベル5までの6段階あり

AI自動運転は、SAE(米国自動車技術会)によりレベル0~5までの6段階に分類されています。
以下に、各レベルにおける定義の違いを整理しました。
| 段階 | 定義や主な特徴 |
|---|---|
| レベル0 | 運転支援なし (従来の人による運転) |
| レベル1 | 運転支援車 (アダプティブクルーズコントロールなどの単一機能あり) |
| レベル2 | 運転支援車(部分的) (車線維持+追従) |
| レベル3 | 条件付自動運転車 (一定条件下でAIが主体) |
| レベル4 | 自動運転車(限定領域) (地域限定で完全自動運転) |
| レベル5 | 完全自動運転車 (現時点では実現できていない) |
(参考:国土交通省「自動運転車両の呼称」)
上記からわかるように、レベル3以降でAI技術が活用されています。
また、現時点ではレベル4まで実現できていますが、レベル5の完全自動運転までは到達できていません。
自動運転がもたらす未来や展望について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
AI自動運転のレベル5を実現する方法

自動運転の最終形であるレベル5を実現するためには、AIの高度な認識力・判断力・学習能力が欠かせません。単なるプログラム制御では予測不能な状況に対応できないため、AIがもつ次の力こそが完全自動運転を実現するきっかけとなります。
- 瞬時に状況を理解する「認知能力」の拡張
- 莫大な情報を処理できる「判断力」の強化
- 常に品質を高め続ける「学習力」の継続
AIの認識・判断・学習のすべてをフル活用すれば、いずれレベル5を到達できると言われています。なお、欧州では2030年を目標としてレベル5の実現をすると研究を進めています。
日本のAI自動運転レベル5の実現はいつか
日本でレベル5の完全自動運転が実現する時期は、まだ未定の状態です。
現状のAI自動運転はレベル4ですが、レベル5になるためには、今よりも高精度なAI技術やインフラ整備が欠かせません。なお、2030年代を目標とする声もありましたが、実際には2040年代以降との見方も強まっています。
AI自動運転技術でできること
AI自動運転の技術はカメラやセンサーと連携して、人間の「認知・判断・操作」を担います。
そのため、運転を自動化できることはもちろん、次のような目的での使用も期待されています。
| 技術 | できること |
|---|---|
| 自動運転 | 周囲の車両や歩行者を認識して、安全に走行を制御する |
| ナンバープレートの認識 | 違法車両の検出や駐車場管理に活用できる |
| ルート判断 | ドライバーの嗜好や交通状況を考慮した最適ルートを提案する |
| 音声アシスタント | 運転中の操作を音声で代替する(安全性の向上) |
| 試乗案内 | 顧客への説明やデータ収集を自動化する |
| 安全運転支援 | 居眠り・衝突リスクを検知し警告・制御する |
このように、AI自動運転技術は「走る・守る・支える」という複数の分野で、できることがあります。すでに一部は研究が進みつつあることから、徐々に普及が進んでいくと予想されます。
AI自動運転が普及するメリット
AI自動運転が普及して、世の中のスタンダードになれば、個人そして企業にとって次のようなメリットがあります。
- 人力で発生しやすい事故を削減できる
- 高齢者・障がい者の移動手段を確保できる
- 物流・運輸業における人手不足を解消できる
人力で発生しやすい事故を削減できる(ヒューマンエラーの防止)

AI自動運転で自動車を動かせるようになれば、人力での運転から解放されて事故件数を減らしやすくなるのがメリットです。
警察庁が発表している情報によると、令和6年時点の自動車事故の死者数は2,663名であり、平成5年時点の1万1,452名よりも大幅に抑らえれています。しかし、人力での判断には限界があるため、ゼロにできてはいません。
対して、AIによる自動運転は、カメラやLiDARで常に周囲を監視し、ブレーキやハンドル操作を瞬時に最適化できます。ヒューマンエラーを大幅に削減できるため、事故率低下や死亡事故の防止に貢献できるのがメリットです。
高齢者・障がい者の移動手段を確保できる
AI自動運転は、日常の買い物や通院が難しくなる「移動弱者」の問題を解決できるのがメリットです。
まず日本では高齢化の進行により、自動車を運転できなくなる人が増加しています。
特に山間部などに住む高齢者、そして障がい者の方たちは、移動手段である自動車が使えないと生活を維持できません。
対して、AIを活用した自動運転車が普及すれば、操作が不要で安全に移動できる手段として利用できるため、運転に自信のない高齢者や障がい者でも気軽に移動できるようになります。
物流・運輸業における人手不足を解消できる(2025年問題の解決)
AI自動運転の技術は、物流や運輸業の人手不足問題(2025年問題)を解決できると期待されています。
現在、人力での運転が必要な運送車両ですが、当業界の人手不足が深刻化しており、業界の維持が難しくなると危惧されています。
一方でAI自動運転の技術が搭載されたトラックや搬送ロボットが普及すれば、長距離輸送や倉庫内物流が効率化され、労働力不足の問題を解決可能です。物流網の維持と安定供給が可能になるため、経済全体の持続性を高められるのがメリットです。
また、自動運転に興味があり、その設計などにチャレンジしたいと考えている方は以下の記事がおすすめです。
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AI自動運転が抱える課題とデメリット
AI自動運転が普及すれば、私たちの生活は良い方向に変化していきますが、普及を実現するまでにはまだまだ複数の課題がある点に注意しなければなりません。
ここでは、現時点のデメリットや解決すべき課題についてわかりやすく解説します。
- 高コストであり普及にまだまだ時間がかかる
- 法制度や社会における受け入れが遅れている
- 倫理問題を解決できていない
高コストであり普及にまだまだ時間がかかる
AI自動運転を普及するためには、現在よりも高精度なAIが必要になるほか、センサーや高性能コンピュータ、地図データ更新など研究に莫大なコストが必要です。
特にレベル4以上の車両は研究開発費が高額で、車両価格も一般消費者には手の届きにくい水準にあると言われています。そのため、一般販売までの過程を考えると普及スピードは限定的です。コスト低減や量産体制の確立が欠かせません。
法制度や社会における受け入れが遅れている
AIを搭載した自動運転車が事故を起こした場合に、誰に責任があるのかを決めることが課題になっています。
日本でも道路運送車両法や道路交通法の改正が進んでいますが、まだ完全自動運転に対応する枠組みは整っていません。また責任の観点から「本当に安全なのか」と不安を抱かれやすいことも含め、社会的な受容性の醸成には多くの時間が必要になると考えられます。
倫理問題を解決できていない(トロッコ問題など)
AI自動運転を普及するためには、「誰を優先して守るか」という倫理的な判断を求められます。
その代表例として挙げられるのが「トロッコ問題」と呼ばれる状況です。
たとえば、自動車が故障してブレーキが利かない状況で、2方向それぞれに人がいる場合、AIは次のことを判断しなければなりません。
- 2方向のどちらに自動車を動かすか
- 2方向を避け、搭乗者を危険にさらすか
現在のAIは安全性を最大化するよう設計されていますが、倫理的ジレンマを完全に解決するアルゴリズムは存在しないのがデメリットです。
AI自動運転の活用事例(自動車・建設・製造分野)
AI自動運転は、すでに複数の業界で実証や実用が進んでいます。
ここでは、3つの業界で活用されているAI自動運転の技術をわかりやすく解説します。
- 自動車業界の事例
- 建設・製造業の事例
自動車業界の事例(自動運転タクシー・実証都市での活用)

アメリカではWaymoが完全無人の自動運転タクシーを運行しており、今後日本の東京でも一部エリア限定でテスト走行をスタートする計画です。
また日本ではトヨタが静岡県裾野市に、自動運転技術や新たなモビリティ、サービスなどを実証するためのスマートシティ「Woven City」を社会実験的に運用しています。
都市全体を実証の場とする取り組みは世界的にも注目されており、将来の交通インフラモデルになると期待されています。
建設・製造業の事例(CADを組み合わせた重機の自動運転・遠隔操作)

建設現場では、コマツや日立建機がCADデータを基盤とした自動運転重機(ICT建機)を実証中です。3Dモデルの図面データをもとに、AI自動運転技術を搭載した掘削機などが、掘削や整地を高精度に行います。
また、製造業でも同様にCADとAIを連携させて、搬送ロボットや検査システムを自律化させています。人手不足解消と安全性向上を両立できると、業界全体のスマート化が期待されています。
なお、AI自動運転と組み合わせられる図面データは、BIMソフトなどを使って作成するのが一般的です。もしBIMの基礎知識や使い方を学びたい方は、以下のセミナー講習を受講してみてはいかがでしょうか。
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AI自動運転についてよくある質問
AI自動運転についてまとめ
自動運転技術は「認知・判断・操作」をシステムが担う仕組みであり、AI技術を組み合わせることでレベル5(完全自動運転)に近づけると言われています。
すでに自動車業界では、タクシー実証や実証都市での運用、建設業ではCADと連携した重機自動運転、製造業では搬送ロボットやAI検査が進んでいる状況です。着実に普及が進んでいるため、今後の動向から目が離せません。