エクセルでは、時間の形式での計算も可能です。しかし、24時間を超えた計算ができないと悩んでいる方もいるでしょう。
24時間越えの時間を計算する際には、表示形式を調整しないと正確な結果が得られません。本記事では、エクセルで時間を足し算する具体的な方法や、計算が合わない原因とその対処法について解説します。
エクセルで時間を認識させる方法
エクセルでは入力したデータの形式によって、どのように認識するのかが異なります。文字列や数値ではなく時間で認識させる方法について見ていきましょう。
セルに「○:○○」の形式でテキスト入力
セルに「○:○○」の形式でテキストを打ち込むことで、時間として認識されます。さらに、「○:○○:○○」という形式で打ち込むことで、秒数まで入力可能です。
なお、Ctrl+:キーを押すと、現在の時間を自動的に入力できるので、ワークシート更新のタイミングや、会議の開始時間などを正確に残しておきたいケースなどに便利です。
入力した時間を日本語で表記する方法
入力した時間を日本語で表記したいケースでは、セルを右クリックして表示されるコンテキストメニューの「セルの書式設定」から変更できます。
表示形式タブの「分類」から「ユーザー定義」を選択し、種類のボックスに「h”時間”m”分”」と入力しましょう。
時間を表す「h」と分を表す「m」を「時」と「分」の文字列で囲むことで、「○時○○分」という形式に変更できます。
また、エクセルで打ち込んだ時間を連続データとしてほかのセルにも反映させたい場合は、オートフィル機能を使いましょう。
以下の記事では、オートフィルを使って数字を連続入力する方法について解説しています。
エクセルで時間を足し算する方法
作業時間や勉強時間など、時間を足し算してトータルを算出することも簡単に行えます。
以下2つの方法で時間を足し算するやり方について見ていきましょう。
- 四則演算で足し算する
- 関数で足し算する
方法①四則演算で足し算する
以下は、四則演算を使って時間を足し算するやり方です。
- 合計を出したいセルを選択してアクティブにする
- セルに「=A1+B1」のように、計算したいセルを「+」でつなぐ
- Enterキーで確定する
「+」を「-」にしたら引き算、「*」にしたらかけ算、「/」にしたら割り算で計算ができます。
ただし、複数のセル範囲を足し算したいケースでは、四則演算よりも関数を使う方法が効率的です。
また、エクセルで引き算をする方法については、以下の記事で詳しく解説しています。日付をまたいだ際の時刻計算の方法についても紹介しているので、ぜひこちらもあわけてご覧ください。
方法②関数で足し算する
数値のトータルを出力できるSUM関数を使って、時間を足し算するやり方です。SUM関数の構文は以下のとおりです。
引数 | 説明 |
数値1 | 加算する最初の数値を指定する。 |
数値2 | 加算する二番目の数値を指定する。 |
SUM関数を活用して時間を足し算する方法は以下のとおりです。
- 合計を出したいセルを選択してアクティブにする
- セルに「=SUM」と入力してTabキーを押す
- 合計を求めたい範囲のセルをドラッグで選択してEnterキーで確定する
すると、SUM関数によって勉強時間が自動計算され、足し算されたトータルがアクティブにしていたセルに表示されます。
また、時刻のシリアル値を取得できるTIME関数を使って足し算するやり方もあります。TIME関数の構文は以下のとおりです。
引数 | 説明 |
時 | 時間を表す0から32767までの数値を必ず指定する。 |
分 | 分を表す0から32767までの数値を必ず指定する。 |
秒 | 秒を表す0から32767までの数値を必ず指定する。 |
A1に入力された時間に5時間を足す計算をTIME関数で行ってみましょう。
- 合計を出したいセルを選択してアクティブにする
- セルに「=」を入力して足し算をしたいセルをクリックする
- 「+」と入力する
- 「TIME」と入力してTabキーを押す
- 5時間を足し算したいので「5,0,0)」と入力する
- Enterキーで確定する
足したいのが分なら第二引数に、秒なら第三引数に数値を入力しましょう。
エクセルで時間を足し算したら計算が合わない原因
エクセルで時間を足し算すると、表示される時間が合わないケースがあります。これはセルの表示形式に原因があり、表示形式が「h:mm」になっていると24時間以上の合計時間を表示できません。
「h:mm」の表示形式では、時間の合計が「28:00」だったとしても、セルには「4:00」と表示されます。
この問題は、表示形式を「[h]:mm」に変更することで解決可能です。
実際に表示形式を「[h]:mm」に変更して、1週間の勤務時間のトータルを計算してみましょう。
1.SUM関数で足し算をする
まず、トータルを出力したいセルを選択してアクティブにします。続いて、セルに「=SUM」と入力してTabキーを押しましょう。
すると、SUM関数の補完機能が働くので、合計を求めたい範囲のセルをドラッグで選択してEnterキーで確定することで、選択した範囲内で行われた自動計算の結果がアクティブセルに出力されます。
2.表示形式を変更する
合計を算出したセルを右クリックするとコンテキストメニューが表示されるので、「セルの書式設定」を選択します。表示形式タブの「種類」にある「h:mm」のhを角括弧で囲み、「[h]:mm」に変更したら、右下にある「OK」ボタンで編集を確定しましょう。
これにより、24時間以上の時間も正確に表示され、計算結果に誤りが出ることなく管理できるようになります。
数式バーに手入力で時間を足し算する方法
セル参照ではなく、数式に直接時間を打ち込んで足し算をする際、「=A1+8:00」のように入力すると、エラーが表示されて計算が行われません。
エクセルで時間を手入力して計算したいケースでは、時間を「“8:00”」のようにダブルクォーテーションで囲む必要があります。
ダブルクォーテーションで囲むことで、対象の時間が文字列として認識されますが、文字列の数字は演算すると数値に変換される仕様から、エラーなく時間を計算できるようになります。
時間の足し算でエラーが出るケースでは、時間をダブルクォーテーションで囲んでから再度試してみましょう。
エクセルで勤務時間と残業時間から給与を計算する方法
エクセルでは、セルにあらかじめ数式を入れておくことで、データを入力するだけで給与計算を自動的に行えるようになります。
エクセルで勤務時間と残業時間から給与を計算するやり方についてみていきましょう。
1.データの入力
まずは、勤務時間や残業時間を入力するセルを用意します。B列に名前、C列に勤務時間、D列に残業時間を入力し、E列に給与額を表示する欄を作成しました。
このとき、G3に時給である「1,500円」を入力して、後から参照できるセルもあわせて作成しています。
このように時給を別セルにまとめておくと、給与の計算式に反映させやすく、時給の変更にも柔軟に対応できます。
2.給与額の計算
基本給与は、勤務時間と時給をかけ合わせて算出します。セルE3に基本給与の数値が表示されるように以下の数式を入力しましょう。
C3に24をかけているのは、1時間を1として扱うためです。この数式により、C3にある勤務時間がG3にある時給とかけ合わされ、基本給与が自動的に計算されます。
しかし、このままでは「0:00」と表示されてしまうので、E列を選択してホームタブの「数値」グループにあるボックスを「数値」に変更しましょう。また、数値を見やすくするために、同じ「数値」グループにある「桁区切りスタイル」も適応しておきます。
ここで$G$3としているのは、オートフィルで数式をコピーした際に、参照セルがずれてしまうのを防ぐためです。絶対参照にするには、セル番号を選択した状態でF4キーを押しましょう。
3.残業代の計算
次に、残業時間に対して割増賃金をかけ合わせて残業給与を計算します。残業割増率を1.25倍とした場合、残業代の計算は以下の数式で表されます。
この数式により、D3の残業時間に割増賃金が適用され、残業給与が算出されます。
4.総給与額の計算
最後に、基本給与と残業給与を合計して総給与を求めます。現在E3セルには「=C3*24*$G$3」が入力されているので、残業代を計算する数式である「=D3*24*$G$3*1.25」と組み合わせてみましょう。
この二つの数式を組み合わせたら以下のようになります。
この数式をE3セルに入力することで基本給与と残業代の合計が表示され、総給与額が自動計算されます。
5.すべてのセルに数式を反映させる
行ごとに対応した数式を一括で入れるには、オートフィル機能を使いましょう。
E3セルの右下にカーソルを合わせて、一番下の行までドラッグで囲む、もしくは右下のカーソルをダブルクリックすることで、すべてのセルに数式が反映されます。
このように、給与計算を行う数式を入れておくことで、手作業によるミスの防止や作業時間の短縮につながるでしょう。
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エクセルで時間を足し算する方法のまとめ
今回は、エクセルで時間を足し算する方法について紹介しました。時間の足し算は、勤怠時間や勉強時間などを管理する際に使われます。
時間の足し算は、ほかの数値と同じくSUM関数を使って計算できますが、24時間を超過する計算をするケースでは、セルの表示形式をデフォルトのものから変更する必要があります。
時間の表示形式を正しく設定すれば、トータルの時間が24時間を超えたケースでも正確に表示されるようになります。
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