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【2024】CIMとは?BIMとの違いと対応しているソフト4選

近年、国土交通省が導入推進を行っている「CIM(Computer Integrated Manufacturing)」は建築業界でも頻繁に使用されているシステムですが、聞いたことがない方も多いでしょう。

CIMは建築現場において大きな役割を果たしていますが、実際にCIMを熟知している人はまだまだ決して多くありません。
そこで今回は、CIMの概要や活用事例、メリット・デメリットについて解説していきます。

CIMとは:建設業務の効率化を目的とした取り組みのこと

CIMとは、国土交通省が提言した建設業務における作業の効率化を目的とし、既に建築業界で浸透していたBIMをベースに開始された取り組みです。3次元モデルを中心とする情報共有を関係者間で行う事で、建設生産システムの高度化及び効率化を図るのが主な取り組み内容です。

現行のCIMは、全体のライフサイクルを見通した情報マネジメントと3次元モデルを活用した情報の可視化が重要視されています。2016年3月までの間に行われた多くの試行過程で、アセットマネジメントやプロジェクトマネジメントの必要性が重視されるようになった事が、現在の取り組みに至る理由となっています。

CIMが開始された当初、CIMのMはModelingのみを指していました。しかし、その後マネジメントが重要であるという見方が強まり、CIM定義の変化に伴い現在ではModelingだけでなくManagementという意味合いもあります。

CIMとBIMの違いとは

CIMのベースと言えるBIMとは、3次元モデルに部品の数量や価格などの属性データを追加したデータベースを作成し実際に建築する際、各作業工程にて活用する手法です。

一方、CIMはBIMの論理や手法を参考にして作られています。CIMは設計から維持管理まで建設の全工程を含めた3次元モデルを作成し、建築に関わる全ての人が同じ情報を共有することで効率化やイノベーションの実現が期待できます。

つまり、CIMとBIMの大きな違いは、簡単に言うとモデリングに用いる情報が異なっているという事です。CIMはモデリングに設計から施工、維持管理までの全工程を指す建設の情報を活用します。それに対しBIMは家などを建てる事自体を指す建築の情報を活用してモデリングします。

CIMの主な活用事例

それではCIMの主な活用事例を紹介していきます!

活用事例1:CIMを活用した設計照査によって作業の効率化を実現

ある渓流保全工事にて、CIMの活用によって通常の2次元設計画面と比較して作業工程の一つが2週間から1週間程度になるなど、作業日数の大幅な短縮を実現させています。
また2次元図面では把握しにくい、既存の構造物と計画施設との取り合いが視覚的に分かりやすくチェックできるようになり、照査の効率化に貢献しています。

活用事例2:設計照査における作業時間の削減を実現

あるトンネル工事にて、CIMを活用する事でトンネルルートの図面作成に4日かかる予定が1日で完了となり、作業時間の短縮に繋げています。
また地質調査結果をモデル化した事で、トンネルと既設水路の干渉チェックの可視化ができるようになるなど、設計条件の確認にCIMが役立っています。

活用事例3:CIMを用いた数量算出によって作業時間の削減を実現

ある土木工事にて、複雑な層状でも3次元モデルで作成した地盤モデルなどから、層別の数量算出がCIMを活用する事で可能となりました。
また、3次元的に現地を把握する事ができるようになり、安全対策が必要な箇所を容易に抽出させる事にもCIMが寄与しています。

CIMの導入によって得られるメリット

CIMの導入によって得られるメリット

関係する部門や人との情報共有が容易にできる

CIMを導入する事で期待できるメリットとして挙げられる一つと言えるのが、情報の共有化が容易にできるという点です。

今までは設計図面を見て、一人一人が完成形をイメージするというケースもありました。
しかし、CIMでは細部まで可視化された3次元モデルが利用できるようになります。
そのため、工事に携わる人はもちろん、地域住民など工事に関与しない人たちにも同じ情報の共有化が容易にできると言えます。

専門的な知識の有無に関係なく、同じ情報を共有する事で多くの人の合意を得て、着工に向けた準備がスムーズにできるようになり、結果的に完成までの期間短縮が期待できるのです。

資料作成の効率化が期待できる

建築や工事などに関する資料作成の効率向上が期待できる点もCIMのメリットの一つです。

通常の方法では設計情報を周知させる目的で、工事関係者や地元住民などに説明する際の資料作成が必要でした。
しかし、CIMには3次元モデルを用いた情報共有ができるという特徴がある事から、資料作成に費やす時間を省く事が可能です。

CIMで使用する3次元モデルは情報を具体的に可視化できるため、事前検討では大きな力を発揮すると言われています。
そのため、関連する資料がない場合でも、不具合の可能性がある内容を事前に認識する事も可能となるのです。

これによって施工前に対策を立てる事ができ、工事の手戻りというリスクをなくす事にもつながります。

3次元モデルによって完成イメージの可視化が可能となる

3次元モデルによる完成イメージの可視化ができる点は、CIMの大きな特徴でありメリットと言えるでしょう。
完成までの一連の流れなどを具体的に表示してくれるので、工事関係者全員が同じ情報を共有する事が可能です。

また、イメージを共有させるための打ち合わせ時間の短縮が期待できる他、協議をスムーズに進める事もできるようになります。

設計の工程で施行業者の意見が反映されやすくなる

CIMを導入すると、3次元モデルを使って同じイメージを共有できるようになるため、意思決定の場が一つにまとまりやすくなります。
さまざまな業務を担当している人の意見が一度に挙げられるので、施工業者の意向も設計の工程で反映させる事が可能です。

維持管理業務でもCIMの活用できる

維持管理業務においても活用可能である点もCIMのメリットの一つです。
集めたデータを一つにまとめて管理し、関係者間で情報の共有などができるCIMは、維持管理業務でも力を発揮してくれます。

構造物のモデルの検索がスムーズに行えるので、完成後も必要な情報をすぐに入手して使用する事ができます。

CIMの導入によるデメリット

CIMの導入によるデメリットを把握したうえで、運用を行うと良いでしょう。
ここでは、デメリットについて解説していきます。

導入時に手間とコストがかかる

CIMの導入時にソフトウェアとハードウェアを新しく揃える必要があるため、手間とコストがかかることから導入に踏み出せていない企業も多いようです。
導入後にCIMの正常な運用を行うためには、プログラムの規模やソフトウェアの内容によって工数が多くなる可能性も視野に入れておく必要があります。

CIMが正式に導入された後も、使い方次第で運用コストがかかる場合があるので、導入する目的を明確にすることが大切です。
たとえば、意思決定が必要な現場においてCIMの生産情報が多いと時間がかかるので、CIM以外の指標も準備しておきましょう。

人材育成が難しいCIMを熟知した人材はまだまだ少ないため、導入後の人材確保が難しい可能性があります。
自社で研修を行うにしても時間とコストがかかり、運用体制が整えられないこともデメリットの一つです。

CIMでは専用のツールやシステムを使用したモデルの作成を行うため、精通したエンジニアを見つけるまでに導入が厳しくなるでしょう。
システムを理解するまでに、マニュアルの作成や教育者の配置が必要です。

また、マニュアルのデータ形式がソフトウェアの種類ごとに対応ができない場合もあるため、関係者や部門間で共有するための対策を考えなければなりません。

地質の情報が必要

CIMは土木分野の3Dモデルを作成する技術なので、地理的条件への依存度が高いことから地質や地形の正確な情報が必要になります。
CIMで作成した情報はプロジェクトの関係者に共有するため、地質調査の結果をもとに精度が高いモデルの作成スキルが求められるでしょう。

もし、データに相違があった場合は修正に時間がかかることから、地表情報の徹底管理が求められます
プロジェクトによって、CIMから得られる情報の取捨選択や検証にかける時間が異なるため、効果測定が難しいこともデメリットの一つです。

CIMの導入の手順・ステップ

実際にCIMの導入を行うにあたって手順・ステップを知る必要があります。
1つずつ解説していきましょう。

CIMソフトを学習する

CIMを導入してから実用化するまでに、使い方やシステムを理解する必要があります。
最初のうちに社内研修やマニュアル作成を行わないと、他の社員にも共有ができない状態が続くため、まずは学習することから始めましょう。

また、CIMで業務効率化を図るために目的の設定から運用開始までのプロセスをあらかじめ決めておくと、導入後の運用がスムーズになります。
実際にCIMの運用にあたって、業務の流れや役割を社内共有することで担当者の属人化や離職防止にもつながるため、継続的な活用が期待できます。

簡単なモデリングを内製化する

CIMの導入後はいきなりプロジェクトで使わずに、まずは簡単なモデリングを作成してから内製化した結果を見ることから始めましょう。
CIMの機能や効果を理解したうえで、運用することがおすすめです。現場で実用化するまでに、問題点や曖昧な部分を解消しておくとトラブル対応がスムーズになります。

また、モデリングを試作するなかで不足している機能があれば、予算との兼ね合いも含めてツールの追加や新規開発に時間も必要です。
しかし、CIMで作業工程を大幅に減らせることで社員の労働時間も削減できるメリットを考慮すると、投資する価値はあるでしょう。

現場に水平展開を行う

社内でCIMの教育を受けたことがない社員が多い場合は、機能や使い方などのノウハウを現場にも水平展開することが必要です。

実際にCIMでモデル作成から完成までの間で学んだことは記録しておき、トラブルが起こるパターンや解決方法までマニュアル化しておくといいでしょう。
社内でノウハウを積み重ねられるので、作業スピードも徐々に速くなります。

定期的にCIMの勉強会を開催するなどで、操作方法や課題を共有する機会を積極的に作ることが求められます。
CIMに対する現場の意見共有もできれば、今後の課題解決に役立つでしょう。

CIMに対応しているソフトウェア

CIMに対応しているソフトウェアは下記になります。

TREND-CORE

「TREND-CORE」は、3次元モデルに設計情報を加えた3DAモデルの作成が簡単にでき、数量や面積の算出も可能なソフトウェアです。
データ共有クラウドサービスに作成したモデルをアップロードし、ブラウザで閲覧する事もできます。

3D地図データ

「3D地図データ」は、建築案件における多様なプレゼンテーションで用いられている3次元の景観シミュレーションが作成できるソフトウェアです。
対象の建築物の周辺地図のデータとBIMデータを統合させる事で、具体的なシミュレーションができるようになります。

3DCAD Studio

「3DCAD Studio」は、CIMを活用した3次元モデルの作成を支援する目的で開発されたソフトウェアです。
3次元におけるデータ表現が強化されている点が特徴の一つとなっており、作成した3次元モデルを様々な製品とデータ連携させる事が可能です。

V-nasClair

「V-nasClair」は、3次元モデルを作成する機能が豊富に搭載されている点が魅力と言えるソフトウェアです。
出力機能も標準搭載されており、スクリプトを用いたユーザカスタマイズやCSVファイルの読み込みによるモデルの作成などもできます。

CIMを上手く活かすには事前に運用方法などを明確化しておく事が重要

CIMは建築や工事には必要不可欠な存在になっていると言えるでしょう。
情報の共有化や業務の効率化が期待できるなど、CIMには様々なメリットがあり、建築や工事に携わっている人たちを強くサポートしています。

そんなCIMを最大限に活かすには、事前に利用する目的や運用方法などを明確にし、必要なソフトウェアなどを使用しながら適切に調整していく事が大切です。

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