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CAEソリューションとは?できることやソリューションの活用事例を解説

近年よく聞かれるようになった「CAEソリューション」。「ものづくり」の現場では、その活用が特に注目されているようです。さて、CAEソリューションとは一体何を指しているのでしょうか。この記事ではCAEソリューションについて解説しています。また、導入によって何が実現できるのか、その活用事例にはどんなものがあるのか、以下でみていきましょう。

ものづくりの革新!「CAEソリューション」とは

CAEソリューションとは、CAE(Computer Aided Engineering)を利用した問題や課題の解決方法、あるいは課題や問題解決に用いられるCAEの技術そのものを指します。では、CAEとは一体何なのでしょうか。CAEとは製造や工程設計の事前検討といった工程を、コンピューター上で行うシミュレーション技術のことです。従来の「ものづくり」では、研究や開発の工程において多くの試作品を作り、それらを実際にテストして情報を積み重ね、目標とする製品を作りあげてきました。CAEソリューションを用いれば、それらの作業をコンピューター上で行えます。

何が可能になる?CAEソリューションでできる4つのこと

CAEソリューションによって、何ができるのでしょうか。CAEソリューションによってできることは、主に4つあります。まずはコストの削減が可能です。それにともない、研究・開発期間の短縮、環境負荷の軽減ができます。また、現実には難しいシミュレーションもCAEソリューションなら難しくありません。それぞれ以下で詳しく解説します。

研究・開発にかかるコストや期間の削減

CAEソリューションによって、コンピューター上でのシミュレーションができれば、試作品製作や現実世界の中でのテストを、最小限にできます。また、入力する条件を変えるだけで、幾通りもの試作品を用意したり、違った環境下でのテストが可能です。実際に作る試作品の数や、現実でのテストの回数を大幅に減らせるため、研究・開発コストを削減することが期待できます。従来の製品開発には大きなお金が必要でした。例えば、自動車1台を開発するには10億円を超す費用がかかっていたそうです。CAEソリューションはこのようなコストを削減し、利益率を向上させます。

研究・開発期間の短縮

従来の研究・開発では製品の精度を高めるために、数多くの試作品を用意し、度重なるテストを繰り返す必要がありました。長年の使い続けられることが予想される製品では、その検証は容易ではありません。何年にも及ぶテストが必要とされるからです。しかし、CAEソリューションを用いれば、コンピューター上でテストを終了させられるので、検証期間を大幅に短縮できます。現実には難しい何十年あるいは何百年もの期間に及ぶ試用テストも、短期間で終わらせられます。

開発期間が短期になるとどのようなメリットがあるのでしょうか。開発期間が短くなると、市場動向を反映した製品作りがしやすくなるだけでなく、短くなった期間の分だけコストが安くなります。さらに「競合他社との差別化を付けやすくなる」「市場への早期投入が可能になる」「収益化までのサイクルが早くなる」といったメリットが得られます。

環境負荷の軽減

実験や試作品を減らせることは、環境負荷の軽減という効果を生み出します。環境問題に配慮する必要性が高い現代においては、非常に重要な効果といえるでしょう。例えば、衝撃対応実験では試作品に大きな衝撃を与えます。そのため、試作品が大量に損壊します。薬剤の対応テストなら、試作品だけでなく多くの種類の薬剤が必要です。これらはテスト後に廃棄物として処理しなければなりません。しかし、CAEソリューションならば、これら試作品や薬剤といった物が不用です。コンピューター上でテストできるので、余分な廃棄物を生み出しません。

また、CAEソリューションを導入すれば、実験をどれだけしても、環境になんら影響を及ぼしません。例えば、大きな熱量を発生させるテストを現実において行うと、それだけで周辺環境に大きなダメージを与える可能性があります。ほかにも紫外線・放射能・電磁波など、環境に負荷与えやすいものは、現実にたくさん存在しています。そのような環境への影響が大きいものを用いたテストであっても、CAEソリューションならば環境負荷を心配する必要はありません。コンピューター上でテストが済ませられるからです。

現実には難しいシミュレーション

CAEソリューションは、現実では準備することが難しいような条件下のテストも可能にします。例えば、音速を超える高速での速度の衝突実験や、太陽の温度に匹敵するような温度下での物体の変化を調べる実験などです。このような条件は、現実下で行うのは非常に困難です。しかし、コンピューター上なら、不可能ではありません。「非現実的なテストは必要ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。ですが、現実にできないシミュレーション結果を積み重ねることで、これまで見落とされていたリスクの分析が可能になります。さらに、従前の知見に基づかない発見やアイデアが生まれています。

使い方はアイデア次第!CAEソリューションの活用事例

CAEソリューションは実際にどのように活用されているのでしょうか。以下では3つの活用事例を紹介します。

医療機器メーカーでの活用事例

医療機器は一般的な工業製品よりも、規格や基準が厳しく設定されていることが珍しくありません。さらに規格や基準は国や地域によって異なります。そのため、試験や認証をクリアするためには膨大な数のテストが必要でした。素早くテスト基準を満たすことは国際的な医療機器メーカーにとって重要な問題となっていました。

医療機器を製造販売していたO社では、CAEソリューションによってこの問題の多くを解決しています。CAEソリューションならば、多様なテストをコンピューター上で素早く行うことが可能です。また、数値を変更することで、各国地域に合わせた条件に修正してテストすることもできます。テストを素早く突破し、臨床試験にいち早く持ち込むことで、競争相手に対して大きなアドバンテージが得られるようになりました。近年では人体組織を考慮したCAEソリューションも登場しており、ステントやカテーテルなど変形量が大きい製品のテストも可能になりました。医療機器業界へのCAEソリューション導入はますます進展するでしょう。

自動車産業における樹脂材料試験での活用事例

現代における機械製品は、輸出入の都合や、衝突時の破損度合を減らすために、軽量化が求められることが多くなっています。特に自動車産業ではその傾向が顕著に現れており、多くの部品を樹脂材料に代替するために取り組んでいます。しかし、従来と変わらぬ剛性を保ちながら樹脂製品に置き換えるのは簡単ではありません。そこで自動車産業ではCAEソリューションの導入が進められました。

CAEソリューション導入までのH社では「設計に基づいた試作機作成」「試作機の検証」「検証後に再設」といった流れを繰り返して、製品を作りあげていました。ですが、これは大変コストと時間がかかる作業です。CAEソリューションを導入すれば、デジタル上に形成されたパーツごとに、樹脂と金属の割合を変更しながら、さまざまなテストを進められます。材質ごとにかかる加重や熱伝導率といった情報を変更しながら、シミュレーションが可能です。現在では、引張・ひずみ・ひずみ速度・温度など多彩な実験にCAEソリューションが用いられています。

建設業におけるCAEの活用事例

建設業では1つの建物を作るまでに、たくさんのテストをしなければなりません。例えば、遮音対策・風対策・強度の予想などです。しかし、これらのテストの多くは、実際に建物を作ってみなければ、正確にできないものが少なくありませんでした。そこで建設業を営む企業は、CAEソリューションに着目しました。現在では多くの企業が、CAEソリューションを導入して、自社に必要なテストをコンピューター上で行っています。

例えばT社では、室内に取り入れるべき太陽光の適正値を調べ、最適な採光装置を設置するためのテストを、CAEソリューションで行っています。これによって、人の目に与えるダメージを最小限に抑えられる採光装置を開発し、特許出願しました。B社では免震ゴム実験の評価をCAEソリューションを用いて行っています。免震ゴムの耐久性の測定や劣化予測が正確にできるようになり、試作品製造や試験のコストを大幅に減らすことに成功しました。

CAEソリューションは多くの企業を成功に導いている

試作品作りや製品のテストといった過程をコンピューター上で行えるようにするCAEソリューション。多くの企業がCAEソリューションの導入によって、「研究・開発コストの削減」「製品開発期間の短縮」「環境負荷の軽減」を実現し、従来にはない形の「ものづくり」を初めています。CAEソリューションは「ものづくり」の現場に革新的な変化を与えたといえるでしょう。

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