CIM(シム)という言葉を聞いたことはあるけど、いまいちどういうものを指すのかがわからない。
また、CIMの導入を考えているけれど、どのソフトを導入すればいいのかと悩んでいませんか。
この記事では、CIMソフトの説明・特徴や、各社CIMソフトの機能・費用の比較をまとめています。
CIMソフトを導入するメリットや、基本的な選び方まで紹介するので、是非CIMを導入する参考にしてみてください。
CIM(シム)とは?
CIMとは、Construction Information Modeling/Managementを略した言葉です。
ITを用いて建設・土木の3次元データを共有し、業務効率化を行うための取組のことを指します。
近い言葉として「BIM」がありますが、BIMは紙ベースの管理であった建設設計の情報を3Dモデリングで立体化して管理することを指しています。
両者の違いとしては、BIMがビルや建築物などの設計で活用されるのに対して、CIMは橋やダムなどの土木構造に対して使われることです。
建築主や設計者を対象としていたBIMに対し、国や自治体・設計者・施工業者などの幅広い関係者に向けて派生していったものになります。
CIMソフトとは?
CIMソフトは、CIMの3Dデータを作成・閲覧するためのソフトです。
CADはすでに導入されている企業が多いですが、2D CADは平面・CIMは3次元という点で異なります。
また、3D CADとCIMの異なる点としては、CIMは柱や壁に「属性情報」をつけることが可能です。
さらに、CIMはデータベースのため、1点修正すると関連データの修正も同時に行えます。
CADからさらに進んだものがCIMと考えるとわかりやすいでしょう。
代表的なCIMソフトを比較
この項目では、CIMソフトの選び方で説明した項目を元に、各社のCIMソフトを比較していきます。
実績があり、おすすめできるソフトのみを5つ厳選したので、初めてのCIMソフト選びの参考にしてみてください。
①3DCAD Studio
3DCAD Studioは、FORUM 8社のCIMソフトです。
価格が18万円と導入しやすいのが大きなメリットです。
また、出力データ形式も基本的な3種類に対応しています。
シンプルで基本的なソフトを求めている場合は、3DCAD Studioの導入を検討してみると良いでしょう。
②Civil 3D
業界で最も普及している、Autodesk社のCIMソフトです。
年間約30万円とやや高額ですが、CGのクオリティは折り紙付きです。
費用よりも業界水準という安心感を求めるなら、Civil 3Dがおすすめです。
③TREND-CORE(トレンドコア)
福井コンピュータ株式会社が販売しているCIMソフトです。
価格は60万円で、買い切りとなっています。
特徴としては、重機や機材の3D部品が豊富なことです。
重機の施工シミュレーションに力を入れたい場合、非常におすすめできるソフトです。
④V-nasClair
川田テクノシステム株式会社のV-nasClairは14種類の出力データ形式を誇ります。
また、アクティベート版は9万円からと導入しやすいのも強みになるでしょう。
汎用性の高さと作業性の高さには定評があるので、まずは試しにCIMソフトを使ってみたいという場合にもおすすめです。
⑤3D地図データ
ZENRIN社のCIMソフトで、名前の通り地図データに強みがあります。
年間60万円と高額ですが、周辺環境の3Dデータと組み合わせたモデリングができるため、近隣住民を巻き込んだプレゼンテーションに力を発揮します。
また、Autodesk社のソフトとの連携も可能なので、周辺環境のモデリングのみ利用している方もいます。
NETIS(ネティス)に登録されているか?
NETIS(ネティス)に登録されているCIMソフトもあります。
NETISとは、国土交通省が定める技術情報提供システムで、具体的には入札の際に加点されるなどのメリットがあります。
上記のソフトでは、
- TREND-CORE
- V-nasClair
の2つがNETISに登録されています。
CIMの特徴と導入するメリット
CIMは2017年から、国土交通省でガイドラインが発表されています。
これは、公共事業の業務効率化を推進するための取り組みです。
ここでは、CIMを導入することでどんなメリットがあるのかをみていきましょう。
依頼主側のメリット
CIMはプレゼンテーションにも活用できます。
プレゼンテーションの段階から高度な3Dモデルを作成できるため、認識のずれを避けることができます。
今までのように平面図ベースでのプレゼンテーションを行い、3Dモデルの制作を行うといった工程を省けるため、工数を減らすことも可能になります。
施工者側のメリット
CIMの特徴の一つとして、3Dモデリングを利用してさまざまなシミュレーションを行うことができます。
あらかじめ設備や環境のシミュレーションを行うことで、詳細設計の後に設計変更を行うリスクを避けられるメリットがあります。
そのため、設計のやり直しなどの工数を減らすことができ、トータルでの生産性の向上を望めるでしょう。
CIMを導入するメリットは多い
3Dモデリングを利用したデータ管理を行えることが、CIMの最大の特徴です。
そのため、依頼者・施工者共に工数の削減に期待ができます。
また、設計データを共有できることもメリットの一つで、イメージずれの回避やそれぞれの視点からの意見を伝えることも可能になります。
また、CADを発展させたソフトになるので、現在CADで不便に思っている点が改善されている可能性があります。
実際に、CIMを導入したことによって、CADでできなかったことができるようになった・作業スピードが上がったという意見も多数あります。
CIMソフトの選び方
CIMソフトには様々な会社・種類があり、どのソフトを導入するべきかわからない方も多いでしょう。
そこでこの項目では、CIMソフトの選び方について解説します。
後述の代表的なCIMソフトの項目と合わせて、最適なCIMソフト選びの参考にしてください。
1.機能で選ぶ
CIMソフトは、それぞれのソフトで機能が異なります。
例えばVR機能や、周辺環境の地図データを用いたい場合など、使いたい機能で選ぶことが大切です。
ただし、機能が多くなれば操作方法も難しくなるでしょう。
多機能となると導入費用も高額になりがちです。
もし多くの機能がいらないという場合は、シンプルで安価なソフトを選ぶのもおすすめです。
2.費用で選ぶ
CIMソフトは、会社の規模や予算で選ぶのもおすすめです。
年間払いのサブスクリプションのソフトもあるので、すぐに大きな予算は取れないという場合でも安心できるでしょう。
3.人気で選ぶ
同じソフトを利用している場合、データの共有・確認が行いやすくなります。
周りにすでにCIMを導入している業者がある場合、そのソフトに合わせて選ぶのも一つの選び方です。
また、違うソフトを導入する場合でも、出力データの形式を合わせてあげることでデータの共有は行えます。
ソフトによって出力できるデータの形式数は異なるので、忘れずにチェックするようにしましょう。
CIMソフトの選び方に正解はありません。
それは費用や機能など、それぞれ求めていることが異なるからです。
現在の業務状況や予算に応じて、様々なソフトから選ぶことができるのもCIMソフトの一つの魅力でしょう。
CIMは今後さらに発展していくことが予測されるので、早いうちに導入して使い慣れておくことをおすすめします。
各社CIMの比較まとめ
この記事では、CIMソフトの選び方やおすすめのソフトを紹介しました。
国土交通省でもガイドラインが設定されたCIMは、今後さらに普及していくでしょう。
また、3D地図データや重機モデリングなど、それぞれのソフトで機能・特徴が異なるため、必要な機能を厳選して選んでみてください。
業務効率化することによりトータルでは経費削減となる可能性もあるので、是非この記事を参考にCIMソフトの導入を検討してみてください。
