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CAEの解析手順を徹底解説!静的応力を簡単に解析してみよう

CADを使用して機械の設計を行う場合、その設計に問題がないかどうかを確かめるために、コンピュータ内でCAE解析を行います。そのCAE解析の、代表的なソフトウェアであるFusion360を使った具体的な方法や、将来性の有無などを解説していきます。

CAE解析とは

CAE解析とは、設計に関して問題がないかを確認するための、シミュレーション解析です。基本的には機械設計の分野で、物理的な強度に問題がないか、熱伝導が重要になる場合はしっかり熱が伝わるかどうかなどを確認するために、CAE解析を行います。そして、シミュレーションの種類は複数あり、設計に応じて選択する形です。その中でも代表的な種類は、設計した構造物がどれくらいの力で壊れるのかを確かめる構造解析や、熱伝導の解析、気体あるいは液体がどのように動くのかを見る流体解析などです。その他にも、鋳型を使用してものを作る際の鋳造解析や、磁界の動きを確かめる電磁波解析などがあります。

Fusion360を使用して静的応力を解析する方法

CAE解析にはいくつもの種類がありますが、その中でも代表的なのは静的応力解析です。構造解析の一種で、設計をした構造物に単純な力がかかった際、どのような変形や破損をするのかを確かめられる解析です。また、複数の部品によって組み上げられ、何らかの動作を伴う設計だった場合、その動作が問題なく行えるかを確認することも可能です。CADソフトであるFusion360には、その静的応力解析ができるCAE機能も搭載されています。

Fusion360を使って静的応力解析をするためにはまず、シミュレーション作業スペースに切り替える必要があります。そして、静的応力解析を指定した後、解析に関係のない構造は、ひと通り取り除かなければなりません。CAE解析のためのシミュレーション作業スペースであれば、元となる設計には影響を及ぼすことなく、解析とは無関係の構造を取り除けます。

関係ない構造を取り除いたら、構造に使用するマテリアルの確認を行います。設計段階でマテリアルの種類が指定されていれば、シミュレーションでもそれが自動で引き継がれるため、設定の変更は必要ありません。もし、設計段階でマテリアルを指定していない、あるいは異なるマテリアルでシミュレーションを行いたい場合は、設定をし直さなければなりません。

マテリアルの設定が終わっていれば、シミュレーションでかける力の大きさと、その向きを設定します。その際には、構造物のどこに力がかかるのかを設定する必要があります。また、動作を伴う構造物だった場合、シミュレーションで力がかかると、構造物全てが動いてしまうため、動作確認ができません。そうならないために、構造物の一部を条件として固定する必要があります。Fusion360では、構造物をクリックするだけで固定が可能です。

構造物の固定がひと通り終わったら、実際に解析を行います。解析にはクラウドとローカルの2つがあり、クラウドを選択すれば、オンラインを通じてFusion360側のサーバーで解析が行われます。そして、解析中は別の作業をすることが可能です。それに対してローカルでは、パソコンに入っているFusion360を使用するため、解析が終わるまでは他の作業は不可能です。そのどちらを選択しても、それ以降は解析が完了するのを待つだけです。

解析が完了したら、その結果を色々な方面から確認できるようになります。まず、力がかかった場合、構造物がどのように変形するのかということがひと目でわかります。また、色によって、安全基準を満たしているかどうかもわかります。さらに、表示設定を変えると、外からの力がかかった時に、どの部分に応力が集中したのかもわかるようになります。結果を色で把握できるようになった時点で、静的応力解析は完了です。

もし、解析結果が望ましくないものだった場合、設定をし直してやり直すことも可能です。そうして、安全基準を満たせるようになるまで、マテリアルなどの条件を変更することは非常に多いです。

Fusion360を用いて熱解析を行う方法

コンピュータで設計する構造物の中には、熱の影響を考えなければならないものがあります。機械の冷却装置や、熱によってダメージを負ってしまう部品などが代表的です。そのような構造物に対しては、熱伝導解析が必要になります。構造物の一部に熱が加わった場合、その熱がどのようにして伝わるのかを把握するための解析です。

基本的な始め方は静的応力解析と同様で、熱解析を選択します。そして、シミュレーションに必要ない構造を取り除いたり、マテリアルを指定したりする点も同じです。それ以降は、熱伝達解析独自の設定となります。熱伝達解析は、複数の構造に、どのように熱が伝わっていくのかを確かめるための解析です。その熱の伝わりをより現実的なものにするために、部品ひとつひとつに設定を加えていかなければなりません。また、熱は周囲の環境の影響も受けるため、その設定も必要です。さらに、部品同士が隙間なく密着しているか、間に空気が入るのかも設定しなければなりません。

その設定をひと通り終えたら、シミュレーションが可能になります。結果は、静的応力解析と同様に、色で表示されます。ただ、色の分布が力ではなく、温度である点が異なります。あらかじめ設定しておいた安全基準に満たしているかどうかが、色によってわかります。また、熱伝導解析では、構造物の断面を確認して、熱の分布を把握することも可能です。

解析結果によって、基準を満たしていないということがわかった場合、基準を満たせるようになるまで条件を変更できます。そうして、設計段階で、基準を満たしながら、最小限のコストで製造できる構造物に仕上げるのが、CAE解析を行う目的のひとつです。

CAE解析に将来性はあるの?

現代では、様々な設計がコンピュータ上のCADで行われています。そして、将来的には少子化によって、設計に携わる人が少なくなることはほぼ確実なので、効率的な作業が実現できるIT技術頼りになります。そうすると、CADでの設計が増えるため、CAE解析が行われる機会も増えるでしょう。つまり、CAE解析には将来性があり、ニーズはより高まっていくでしょう。ただ、CAE解析は誰でも行えるわけではなく、豊富な知識と高いスキルがなければできません。現代でも、CAD解析が行えるエンジニアは不足しがちです。そのエンジニア不足は、将来的に加速することが考えられます。したがって、CAE解析に詳しい専門家になっておくと、必要とされる可能性が高いです。

また、CAE解析にはいくつもの種類がありますが、そのどれかに特化していると、必要とされることがより多くなるでしょう。IT技術に頼ることが多くなれば、それを扱う人材にも高いスキルが求められるようになります。その結果、特定の分野に対する専門性が求められるでしょう。そして、ひとつの分野に詳しい専門家になると、代わりのいない存在になれます。もちろん、複数の分野に特化して、よりレベルの高いCAE解析エンジニアになることも不可能ではありません。

将来のためにCAE解析の技術を身に付けよう

CAE解析ができる人材は、将来的により必要とされる可能性が高いです。そして、他に代わりが中々見つからないCAE解析の専門家になれれば、仕事のポジションはほぼ不動となります。そのため、将来のためにCAE解析について学ぶというのもひとつの選択肢です。そして、解説してきた2つのCAE解析の例を参考に、どの分野に特化するかを決めると良いでしょう。

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