近年、3Dプリンターによるモデルの造形に注目されている中で、安価で高性能の機種が多く登場しています。しかし、価格が安い3Dプリンターといっても使う材料や造形方法が機種によって異なるため、購入後に失敗しない選び方を知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、安い3Dプリンターの選び方と家庭用・業務用でおすすめの機種を20種類紹介します。これから3Dプリンターの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
安い3Dプリンターの選び方
安い3Dプリンターの選び方は、次のとおりです。
- 日本語対応しているメーカーで選ぶ
- 造形方式とサイズで選ぶ
- 性能と価格で選ぶ
- データ出力方法で選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
日本語対応しているメーカーで選ぶ
3Dプリンターを購入したあとにトラブルが発生した場合、日本語のマニュアルやサポートがあると安心です。
しかし、3Dプリンターの中には海外のメーカーが開発した機種も多くあるため、英語で記載されているマニュアルであることがほとんどです。万が一、機種にトラブルが生じた場合に日本語対応のサービスがあればスムーズに対応できるでしょう。
海外製の機種であっても日本国内に代理店があれば、修理に時間をかけずに済みます。3Dプリンターを使うのが初めての方や、操作が不慣れな方で英語に抵抗がある場合は、購入する前に日本語のマニュアルが付属していることも確認すると良いでしょう。
造形方式とサイズで選ぶ
一般的に家庭用として使う場合は、熱溶解積層方式と光造形方式のどちらかであることがほとんどです。3Dプリンターで作りたいものや使用用途によって、選ぶべき造形方式は異なります。
いずれも、使用する材料が異なる点に注意が必要です。たとえば、熱溶解積層方式では、高温で溶ける熱可塑性樹脂で造形するため、すぐに冷えて固まる性質を持ちます。一方で、光造形方式では、紫外線に反応して硬化する樹脂を使用するため、表面がなめらかな造形物を製作できます。
また、3Dプリンターは印刷する造形物が大きいほど、反りやゆがみが生じやすくなるため、扱う機種の造形可能な最大サイズの確認が必要です。大きい造形物を製作する場合は、パーツを分けて印刷してから組み立てるのがおすすめです。機種によっては、一度に複数の造形物を印刷できる機能が搭載されているため、作りたいものを明確にしてから選ぶと良いでしょう。
性能と価格で選ぶ
最近の3Dプリンターは、家庭用としても使える機種が多く登場していることから安価で入手できます。しかし、価格のみで判断すると購入したあとに欲しい機能がついていなかったと後悔する人も少なくはありません。
価格以外にも、性能を確認することをおすすめします。たとえば、日本語対応であるか、使用できる材料の数、造形できるサイズ、造形方式が挙げられます。
3Dプリンターを購入する前に、開発元によるサポートや修理サービスの有無も確認しておくと安心です。
データ出力方法で選ぶ
3Dプリンターに対応しているファイル形式には、おもに「STL形式」と「OBJ形式」の2種類の出力方法があります。
STL形式とは、小さな三角形を大量に用いて立体型の形状を表現するファイル形式です。一方でOBJ形式とは、複数の素材や色を使用したデータを保存できるファイル形式を指します。
CADで3Dモデルを作成する際に、STL形式もしくはOBJ形式でデータ出力を行うため、対応していない場合は別のソフトウェアでファイル変換が必要です。また、造形物に色をつけたい場合は、カラープリントに対応した機種や専用のインクを使用したり、印刷後に着色したりしなければなりません。
おすすめの安い3Dプリンター:家庭用
ここからは、おすすめの安い3Dプリンターを紹介してきます。まずは、家庭用でおすすめの安い3Dプリンター紹介していきましょう。
ダヴィンチ nano w:41,800円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチnano wは、初心者の方でも3Dプリントを楽しめるシンプルな操作性で人気の機種です。ワイヤレス接続で3Dデータを読み込ませたらワンクリックで印刷が始まります。
本体重量がわずか4.7kgでコンパクトなサイズなので、自宅以外の場所でも造形を楽しめます。専用のソフトウェアで最適なパラメーターを自動検出できるため、難しい設定は不要です。
ダヴィンチnano wでは、熱溶解積層方式で造形されますが、完全密閉の空間で印刷されるため、小さな子どもがいる家庭でも安全に使用できます。印刷後は、取り外しが簡単な脱着式プラットフォームにより、高品質な造形を実現します。
Adventurer3:49,500円
画像引用元:Fabmart
Adventurer3は、開発元のFLASHFORGEが提供してきた3Dプリンターの中でもっともコンパクトな機種です。作業用デスクに設置しても場所を取らないサイズで本体の重量は9kgです。ワンプッシュで簡単にノズルの交換ができるため、フィラメントの詰まりを自力で対応できる利便性に優れています。
造形中にフィラメントが切れた際には、一時停止して継ぎ足しが可能なので、造形を再開できます。また、造形時の稼働音が45dB(デシベル)と非常に小さく聞こえる程度の音量であるため、大きな音を出さずにすみます。
本体には、高画質の遠隔カメラが搭載されており、開発元独自のクラウドサービスで造形中の様子を確認したり、制御や管理したりすることが可能です。初心者の方でも簡単に操作して使えるため、趣味で始めたい場合におすすめの機種です。
ダヴィンチmini w+:66,000円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチmini w+は、初めて3Dプリンターに挑戦する人におすすめの機種です。
Wi-Fi機能が搭載されているため、接続可能な範囲であれば自宅のどこからでも造形ができます。たとえば、花瓶や子ども用おもちゃを製作したいときにいつでも印刷が可能です。
本体の重量は約8kgなので、女性一人でも持ち運びが簡単です。難しい知識は不要で3Dデータがあれば、ボタン一つで印刷を始められます。
オートキャリブレーション機能により自動調整が行われるため、細かい微調整を必要としません。小さい子どもがいる家庭であれば、親子で楽しみながら製作活動ができるでしょう。
Foto 8.9:78,100円
画像引用元:Fabmart
Foto 8.9は、出力したモデルの表面をなめらかに仕上げられる光造形3Dプリンターです。FLASHFORGEが独自で特許を取得した光源を使用しており、積層痕が目立ちにくいミクロン単位の精密パーツの出力にも適しています。
本体に必要な材料や部品は、すべて自社工場で生産しているため、安定的な供給を確保できます。専用のソフトウェアでは、3DCADで作成したSTLデータを素早く読み込み、サポート材の形成からパラメーターの設定まで可能です。
10万円以内で購入できる機種では数少ない高機能の3Dプリンターなので、家庭用に限らず、業務用としても十分に使用できます。
Creator Pro2:96,800円
画像引用元:Fabmart
Creator Pro2は、2種類のフィラメントを使い分けられる3Dプリンターです。低価格で高品質のモデルを効率良く量産ができることで人気を集めています。
フィラメントの垂れを防止する独立型デュアルヘッドが搭載されているため、モデルにフィラメントが混ざる心配はありません。さらに、左右対称、左右非対称のモデルを造形できる機能を活用すれば、生産性の向上が期待できます。
最大造形サイズは、200×148×150mm(幅×奥行き×高さ)と横幅が広く、デュアルヘッドの仕組みを活かしています。Creator Pro2は、自宅で多種多様な造形を楽しみたい方におすすめの機種です。
ダヴィンチ 1.0 Pro:121,000円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチ 1.0 Proでは、他社製のフィラメントを使用できるため、多種多様な造形を実現できます。高精度で高密度の造形の他に、フィラメントの押し出し具合や印刷速度を細かく設定できる機能が搭載されています。
従来の3Dプリンターでは、水平調整に時間がかかりますが、ダヴィンチ 1.0 Proではボタン一つで自動調整が可能です。1mmでもずれると造形物が変形するリスクがあるので、機能を活用すれば安心して造形を楽しめます。
プロ仕様で使用できることから、これから本格的に3Dプリンターを学びたい方におすすめの機種です。
ダヴィンチJr. Pro X+:125,400円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチJr. Pro X+は、熱溶解積層方式3Dプリンターの中でも低価格で多機能なだけでなく、最大造形サイズが175×175×175mm(幅×奥行き×高さ)まで印刷可能な機種です。拡張機能を追加することで、レーザー刻印を使用できます。
JPGやPNGなどの画像ファイルを厚紙、革、木材に刻印できるため、造形以外の機能で使用用途の幅が広がります。また、オープンフィラメントシステムにより、他社製のフィラメントでも造形が可能です。
家庭用から業務用まで幅広いニーズに対応しているため、本格的に3Dプリンターで製作したい方におすすめです。
UP Plus2 3Dプリンターセット:150,480円
画像引用元:Fabmart
UP Plus2は、小型の3Dプリンターでありながら高さと水平高の自動調整機能が搭載されているため、高品質の造形が可能です。
従来の3Dプリンターでは、手動で位置調整を行う必要があったため、少しでもずれると造形に失敗することもあります。UP Plus2の機能を活用すれば、印刷の質を保ちながら完成度の高い造形が期待できます。
さらに、独自開発の専用のソフトウェアでは、造形の強度を保持しながら中空構造の造形を設定できるため、材料の節約や後処理の手間を省くことが可能です。造形前に3DCADで作成したデータを高速で読み取り、材料の使用量を可視化できるため、材料を継ぎ足す量とタイミングを予測できます。
コストを抑えながら高品質のモデルを造形したい方におすすめの機種です。
ノーベル 1.0A:217,800円
画像引用元:楽天市場
ノーベル1.0Aは、高精度のレーザーエンジンが搭載された光造形3Dプリンターです。
複雑で細かいデザインを正確に出力できるだけでなく、印刷速度が速いため、常に高精度の造形が期待できます。使用する材料によっては、透明度の高い造形物を製作できるので、見た目にこだわりたい場合におすすめです。
本体には、レジンの残量表示や印刷の自動設定ができるパネルがついているため、複雑な操作は不要です。また、印刷でサポート材が必要な場合は、自動分析機能で正確にデザインを具現化します。
多くの光造形3Dプリンターの中では比較的安価で充実した機能が備えられているため、自宅で本格的に造形したい方に向いています。
UP 300 3Dプリンターセット:385,000円
画像引用元:Fabmart
UP 300は、大型3Dプリンターを提供しているTiertimeのUPシリーズの機種です。UP300を購入してから12ヶ月間は、保証サービスが適用されるため、修理対応や部品の無償交換を利用できます。
従来の機種よりも幅広い材料に対応できるため、それぞれの材料に合わせて専用のノズルで造形します。積層ピッチは0.05mmから対応しており、高い安定性による高精度の造形が可能です。
UPシリーズでは最大の印刷面積を実現しており、大きめの造形物を作りたい場合におすすめです。従来の3Dプリンターでは、自動生成されるサポート材の除去に時間がかかりますが、UP 300で生成されるサポート材は手で外せるくらい取りやすいため、造形物を傷つけません。
また、高温で材料を溶かす際に発生する特有の臭いを消すフィルターがついているため、自宅で使用しても気にならないでしょう。
おすすめの安い3Dプリンター:業務用
続いて、業務用でおすすめの安い3Dプリンターを紹介しましょう。
Adventurer4:98,450円
画像引用元:Fabmart
Adventurer4では、大型造形におすすめの熱溶解積層3Dプリンターです。前機種のAdventurer3では150×150×150mm(幅×奥行き×高さ)まででしたが、Adventurer4では220×200×250mm(幅×奥行き×高さ)までの印刷が可能です。
約1分で200℃まで加熱するノズルは、ワンプッシュで簡単に交換ができるので、複雑なメンテナンスは必要ありません。また、印刷中の様子を3方向から確認できる仕様の外観が特徴です。
操作パネルは日本語対応のため、英語が苦手な方でも安心して操作ができます。Adventurer4の購入後は、国内代理店によるアフターサポートを受けられるので、困ったときに利用しましょう。
Guider2:165,000円
画像引用元:Fabmart
Guider2では、280×250×300mm(幅×奥行き×高さ)の大型サイズの造形がおすすめの3Dプリンターです。PLA樹脂以外にも、強度と柔軟性を併せ持ったABS樹脂による造形ができます。
最小積層ピッチが0.05mmであるため、高性能のXYZ軸モーターによる高精度な造形を実現します。印刷中にフィラメント切れが生じた場合は、一時的に自動停止されるので、材料交換したあとに再稼働が可能です。
また、停電回復機能が搭載されているため、万が一、電源が切れた場合でも再起動により、印刷を再開できます。Guider2は、使用する材料を制限せずに印刷したい場合に便利です。
ダヴィンチ Pro EVO:239,800円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチ Pro EVOは、ハイスペックの機能が搭載されているため、業務用で使用されています。特に、工業用の高度なフィラメントを使用した造形に向いています。
ダヴィンチシリーズの中では、数多くのフィラメントに適応しているため、使用用途の幅を拡げたい場合におすすめです。種類が異なるフィラメントでも最適な押し出しが可能なので、安定した造形を実現します。
造形中の稼働音は、50dB(デシベル)と非常に小さい音で造形が行われるので、騒音の心配はありません。3Dデータの転送は、USBケーブル、Wi-Fi、USBメモリのいずれかで行います。
ダヴィンチ Pro EVOは、自動車の部品など完成品に近い製品の試作用として活用したいときに便利です。
Creator3 Pro:330,000円
画像引用元:Fabmart
Creator3 Proは、汎用のフィラメント以外にカーボンファイバーにも対応しているため、硬度の高いモデルを造形できる機種です。独立型デュアルヘッドが搭載されており、同じ材料で色違いや左右対称の印刷まで可能です。
造形する際には、高速加熱機能によりノズルとプラットフォームの温度が120℃まで急速に上昇します。プラットフォームには、柔軟性に優れた鋼板を採用しており、造形物を取り外しやすいことが特徴です。
また、機種を購入すると、1年間は保証サービスを受けられます。Creator3 Proは、カーボンファイバーなど硬度の高い材料で造形できる3Dプリンターを検討している方におすすめです。
Foto 13.3:363,000円
画像引用元:Fabmart
Foto 13.3は、Fotoシリーズ最大の造形サイズで造形が可能な光造形3Dプリンターです。
従来の光造形3Dプリンターでは、造形サイズに制限があり、大型造形に向いていませんでした。しかし、Foto13.3では、工業用レベルのボールねじと回転軸のずれを吸収するカップリングを採用しているため、292x165x400mm(幅×奥行き×高さ)までの高解像度の造形物を作成できます。
また、レジントレイには目盛りがあるので、レジンを投入するときの目安になります。なるべく安く購入できる光造形3Dプリンターで、大型サイズの造形を希望する個人や企業におすすめです。
ダヴィンチ Super:459,800円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチ Superは、業務用として開発された大型の3Dプリンターです。最大造形サイズは、数多くの機種の中でも大きい300×300×300mm(幅×奥行き×高さ)です。
オートキャリブレーション機能を始め、開発元が正規販売していないフィラメントも使用できる特徴があります。印刷を一時停止して別の色のフィラメントに交換が可能なので、自由に着色が可能です。
印刷再開機能により、予期しない停電で中断しても再稼働するため、造形に失敗することはありません。ダヴィンチ Superは、大型の造形が必要なオフィスや工場での使用に向いています。
ダヴィンチ Color:470,800円
画像引用元:Fabmart
ダヴィンチ Colorは、色の3原色に基づいたインクジェット技術による高品質のフルカラーで3Dプリントが可能な機種です。耐水性に優れているインクで数万色もの色を印刷できるため、後処理の色落ちを防止します。
特殊なカートリッジを使用しており、造形時にインクを吸収するフィラメントに色をつける仕組みを採用しています。本体には、操作が簡単なタッチパネルやオートキャリブレーション機能、マグネットシートを採用したプラットフォームが搭載されているので、フルカラーで完成度の高い造形におすすめです。
Raise3D E2(デュアルヘッド):547,800円
画像引用元:Fabmart
Raise3D E2(デュアルヘッド)は、デスクトップ型の3Dプリンターとして人気の機種です。独立したデュアルエクストルーダーを搭載しており、一度に2つの造形が可能であるため、造形時間の短縮に期待できます。
1つの最大造形サイズは330×240×240mm(幅×奥行き×高さ)、2つの最大造形サイズは295×240×240mm(幅×奥行き×高さ)です。個数によって最大サイズは少し異なりますが、小さめのモデルであれば複製が可能です。
他にも、柔軟性に優れたビルドプレートを採用しており、完成したモデルを傷つけずに取り外せます。Raise3D E2(デュアルヘッド)を購入すると、国内代理店による保証サービスを利用できるため、不明点やトラブルがあれば相談しましょう。
Raise3D E2CF(デュアルヘッド):866,800円
画像引用元:Fabmart
Raise3D E2CF(デュアルヘッド)は、ノズルの先端から垂れる樹脂を抑えられるデュアルエクストルーダーを搭載した3Dプリンターです。2つのエクストルーダーを使用できる複製モードでは、一度に2つのモデルを造形できます。
また、左右対称のモデルを造形できるミラーモードを活用すれば、印刷時間の短縮が可能です。ノズル詰まりを起こしやすいファイバー系フィラメントを安定して吐出するため、造形物への影響を最小限に抑えます。
トラブルが発生した場合は国内代理店が対応してくれるため、トラブル対応が心配な方におすすめです。
まとめ
安い3Dプリンターの選び方と家庭用・業務用でおすすめの機種を20種類紹介しました。
安い3Dプリンターを選ぶ際は、価格以外にも機能に注目すると選びやすくなります。機種によっては、日本語対応していない場合や使用できない材料があるため、購入する前によく確認するようにしてください。
今回紹介した機種も含め、使用用途と予算を照らし合わせながら、自分に合った3Dプリンターを選ぶようにしましょう。
