映画などで目にする「CG」とは、一体どんなものなのでしょうか。一昔前であればすぐに分かったCG技術も、現在では現実と見分けが付かないほどの精巧さを持っています。時には一目見ただけでは気付かないような緻密さで、我々の日常を彩っているのです。この記事では、CGやそれを描き出すCGデザイナーについて解説しています。
CGってそもそも何?
普段耳にしているCGという言葉ですが、具体的にどのような技術を指すのでしょうか。CGは「Computer Graphics(コンピューター・グラフィックス)」の略称で、コンピューターを使って描かれた図形や画像のことを言います。CGの登場によって、映画やゲームは大きな変革を迎えたと言えます。専用グラフィックソフトを用いて描かれた高度なCG画像は、本物と見分けが付かないほどの精巧さを有しており、この技術で現実にはない世界を描き出すことができるようになったのです。
CGと聞くと、どうしてもSF映画や海外の超大作映画に使われている技術というイメージがあります。実際、CG技術が本格的に映画に取り入れられたのは、1980年代のSF作品が最初だと言われています。しかし現在ではありとあらゆる作品にCGが用いられています。現実の町並みに本当は存在しないビルを足したり、逆に写り込んでしまった余計な物を消したりすることも。映像作品にCGは欠かせない存在になっています。
CGは映画やゲームのための技術だと思われがちですが、実際はそうではありません。建築や自動車などの分野でも、CGは活用されています。建築物や自動車は、簡単に試作品を作ることができませんが、CGであれば設計を元に目に見える映像として形を再現することができます。これによって事前確認や認識の擦り合わせを容易にしたり、効果的な広告を打ち出したりすることができるようになるのです。ビルを建てる前に、建築後の外観と周囲環境の調和を確認、といったこともCGであればこなすことができます。
CGデザイナーとは
CGデザイナーとは、専用のソフトを用いてCGを制作する職業です。まず設計図になる平面画を形状データに書き起こし、そこに質感や光の表現などを加えてリアルな形状へと作り上げて行きます。基本的にこうした工程は一人で担当するのではなく、工程ごとに分担してチームで作り上げて行きます。具体的な工程としては「モデリング」「リグ」「アニメーション」「テクスチャリング」「ライティング」「レンダリング」となり、特定の工程を専門にしているデザイナーもいます。ここでは、モデリングを専門にする「モデラー」、リギング専門の「リガー」、アニメーション専門「アニメーター」について解説していきます。
モデリングは、平面の設計図をコンピューター上で立体的に形作っていく工程です。当然モデリングを担当するデザイナーにも得意分野があり、大手企業の場合はそれに合わせて担当を分けることが多いです。モデリングはリアルであればいいという訳ではなく、アニメ作品などではデフォルメされたモデルを書き起こすこともあります。また時には現実世界にはないものを形作ることもあり、想像力なども問われます。
リギングとは、出来上ったモデルにリグ(仕組み)を設定する作業のことです。例えば人間の手のモデルが出来上っても、それだけでは動かすことができません。一つ一つの関節の動きを設定することで、ようやくそのモデルを手として動かすことができるのです。キャラクターの関節や衣服の動きなど、自然で現実的な動きをコンピューター上で再現するためには、リガーの高い技術が欠かせません。また、リギング作業はプログラマー的な作業が多く、デザイナーとプログラマー両方の感性が必要だと言われています。
3DCGの世界では、キャラクターの動きをモーションと言います。このモーションを付ける作業がアニメーターの仕事です。リギングされたモデルに動きを付けていきます。動きと言っても、歩く、走るといった動作だけではなく、人間の表情や風景の動きなども担当範囲です。時には現実に存在しない生き物や物質に動きを付けることもあります。いかにして説得力を持たせるかは、アニメーターの腕の見せ所と言えるでしょう。
CGデザイナーに必要なスキル
CGデザイナーには、いろいろなスキルが必要です。まず当然必要になるのが、Maya、3dsMax、SoftimageといったCGソフトを使いこなすための技術力です。ただしこうしたグラフィックツールを使えば高度なCGを生み出せるかと言えばそうではなく、基本的なデッサン力や観察力が必要になります。また3DCGの場合は物体をいろいろな視点から見るための空間把握能力も必要です。普段から物をよく見て、観察力を鍛えることが必要です。
CGデザイナーはコンピューターに向かうだけが仕事ではありません。コミュニケーション能力も必要不可欠なスキルとなります。CG制作では、複数のデザイナーが各工程を分担して作業を行っていきます。一つ一つの作業は独立しているわけではないため、お互いに意思疎通を行ってイメージを擦り合わせ協力するためには、コミュニケーション能力が欠かせないのです。もちろんデザイナー同士だけではなく、プロジェクト全体、あるいは社内全体で協力するためにも、コミュニケーションは必要です。
発想力やクリエイティブ能力も必要です。CGデザイナーは、時にこの世には存在しない世界やキャラクターを作り上げる作業を行います。しかしいくら存在しないとは言え、いかにも嘘っぽいできあがりでは魅力的な作品にはなりません。現実にはないものにリアリティを与え人を惹き付けるためには、頭の中でイメージを膨らませる発想力や想像力が不可欠です。また、そうしたひらめきはゼロからは生まれません。日頃からいろいろな芸術作品に触れてセンスや感性を養ったり、たくさんの情報をインプットする探究心も大切なスキルと言えるでしょう。
CGデザイナーになるためのおすすめサイトやセミナー
CGデザイナー情報サイトで特に有名なのが「3dnchu」です。日本のCGアーティストが個人で運営しているサイトで、少しマイナーなツールやプラグイン情報などを入手することができます。CGデザイン技術は日々進化しています。今どんな技術があるのか、広く手早く知ることができるため、頼りになるサイトです。セミナーに参加して講師の指導を受けたいという人におすすめなのが「ストアカ」です。こちらはあらゆるジャンルのセミナーを気軽に検索、予約することができるWebサイト。オンライン形式、対面形式どちらの講座もあるので、自分に合った講座を手軽に探すことができます。CGに関する講座もいろいろな種類が揃っているので、自分のスキルレベルに合ったものを気軽に探してみましょう。本格的にスクールに通うことを考えているなら、体験入学や説明会に参加するのもおすすめです。近年はオンラインスクールも増えているので、そちらを検討するのもいいでしょう。
自分に合った方法を探そう
映画やゲームだけではなく、Webサイトや広告など、CGデザイナーの活躍の場はますます広がっています。ソフトを使いこなす技術はもちろんですが、デッサン力や観察力など、いろいろなスキルが求められる仕事です。もし目指すのであれば、情報収集を積極的に行いつつセミナーなどでスキルを磨くのがおすすめ。クリエイティブな才能を活かすことができる仕事です。
