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CAEの非線形解析とは?非線形解析するメリットや解析の知識を徹底解説

CAEを利用すれば、試作する製品の数を少なくしても質の高い製品を設計することが可能です。
実はCAEには「非線形解析」という解析の方法もあり、この非線形解析もさまざまな場面で活用されています。
今回はこうしたCAEの非線形解析のメリットや活用事例について、詳しく紹介していきます。

CAEの非線形解析とは

CAEの非線形解析とは

CAEの非線形解析を正しく理解するためには、CAEと非線形解析の意味をそれぞれ正確に知ることが重要です。
CAEとは、「Computer Aided Engineering」のことで、日本語にするとコンピューターの支援を受けておこなうエンジアニングという意味になります。
CAE自体は製品の設計・製造や、製造工程を検討するために利用されています。正確に製品の設計をするためには各種の解析を精密におこなう必要があり、さまざまな方法で解析がおこなわれています。

CAEの非線形解析とは、「重さと変位量の関係が比例しない」ことが大きな特徴です。この2つの値が比例して変化しないのは、剛性の値がいつも同じではないからです。
非線形解析においては変位した量によって剛性の値も変化するため、重さと変位量の関係は比例しないものになります。
線形解析をした重さと変位量の関係をグラフで表すと右上がりの直線になりますが、非線形解析をした重さと変位量の関係は、放物線状になります。
変位量が一定以上になると、重さがほとんど変化しなくなるのが非線形解析の特徴です。

そんな非線形解析に向いているCAEソフトウェアに関しては下記記事で紹介しているので、気になったらご覧になってみてください。

【2022】業種別CAEソフトの種類と機能を徹底比較!自分に合うソフトウェアを見つけよう

線形解析と非線形解析の違い

製品の強度を評価するためにCAE解析がおこなわれることもあり、こうした場合に使われることが多いのは有限要素法の「線形解析」です。
この線形解析と異なった性質を持っているのが「非線形解析」で、両者の大きな違いとしてあげられるのは、解析で分析する2つの値の関係性です。
線形解析において解析される線形とは、2つの値が比例する関係にあることを意味しています。製品の構造を解析するために線形解析が利用されることも多く、この場合に解析される2つの値とは、負荷された重さと材料が変位する量のことです。線形解析において重さと変位量が比例するのは、剛性の値が常に同じであることが理由になっています。そのために変位する量が増えるほど、重さも増加していきます。

線形解析と比較すると、非線形解析は計算をするのにより多くの時間が必要になります。計算に時間がかかることも、剛性値が変化することと深く関係しています。
剛性値が変化しない線形解析ならば、一度の計算で答えを導き出すことができますが、非線形解析は一度の計算だけで答えを求めることはできません。
常に変化している剛性の値を考慮しなければいけないため、変位するごとに計算をやり直す必要があります。そのために、計算にかかる時間も多くなります。
なお、製品の設計をおこなっている生産施設では、線形解析をおこなうことの方が多いです。
非線形解析が利用されることが少ないのは、解析にかかるコストが高くなるからです。
そのために、どうしても非線形解析が必要になる時以外は線形解析が主に利用されています。

CAEで非線形解析をするメリット

CAEで非線形解析をするメリット

CAEの非線形解析をすることには、さまざまなメリットがあります。
実際に発生する現象をより詳しく再現できることも、CAEの非線形解析のメリットです。
線形解析では詳しくシミュレーションできないような場合でも、非線形解析をおこなうことで、より正確な解析が可能になります。
そのために、できるだけ精密に製品の設計をしたい場合には、CAEの非線形解析は非常にメリットがある方法です。

非線形の現象が現れる場面で正確な解析ができることも、非線形解析をすることのメリットです。
非線形の現象が起こるような場合には線形解析をしても正しい解析ができない場合が多いですが、このような場面でも非線形解析を利用すれば、非線形の現象を正しく解析できます。
製品の製造をする場合には使用する材料によって非線形の現象が起こることもあるために、こうした方法による解析が必要とされています。

CAEの非線形解析を利用した活用事例

非線形解析の活用事例として紹介できるのは、ゴムを材料として使用する製品を設計する場合です。
ゴムを材料にして製品設計をする際に非線形解析が必要になるのは、ゴムが超弾性の性質を持っているからです。
弾性の物体に重さを加えれば応力とひずみは比例して増加しますが、超弾性の性質を持っているゴムのような素材では、応力とひずみの関係が非線形になります。
こうした素材を解析するためには、線形解析では正確に解析ができないため、非線形解析が活用されています。
ゴムのひずみは応力が一定値まで増える間は増加し続けますが、ある一点を超えるとひずみが変化しなくなります。
しかし、さらに応力を加えるとひずみの値が再び大きく増加するので、グラフに描くとアルファベットのSのような曲線になるのが特徴です。

非線形解析と合わせて知りたいCAEの知識

非線形解析と合わせて知りたい知識

非線形解析と一緒に知っておくと役立つのは、CAEをおこなうために必要な手順に関する知識です。

実際の現象を予測しよう

CAEを始める前にまずしなければいけないのは、解析の対象となる現象の予測をすることです。
予測された内容によって、必要となる解析の方法が決まります。解析を実際に始める前には、解析の条件をまとめておくことも重要です。
事前に条件を整理をしておかないと、解析を実施している最中に、解析の内容がわかりにくくなることもあります。

各種データを集めよう

各種のデータを集めることも正確な解析には欠かせないことで、どのようなデータが必要になるのか十分に検討することも必要です。
解析のために使用するデータは、プリプロセッサーなどを使用すれば作ることができます。
その後にシミュレーションを実行してから、ポストプロセッサを使用して結果を分析することになります。

CAE解析結果をよく分析しよう

分析されたシミュレーションの結果は、製品設計をするために役立てることができます。シミュレーションの結果を分析すれば、本物の製品を製造しなくても、製品の設計に不備がないか確認できます。設計の性能に関することも、結果を分析することにより検討することが可能です。
製品を使用するために最適な条件や、製品にとって最適となる形も、シミュレーションの結果によって判断できます。
こうした分析を十分な時間をかけておこなうことにより、製品設計の問題点を数多く見つけることができます。

CAE解析を複数行うことも大事

製品設計の段階においてCAEは、一度だけでなく複数回おこなわれることもあります。複数回の解析が特に必要となるのは、構造が複雑な製品を設計する場合などです。
解析と分析を繰り返しおこなうことで、より精密な製品設計を実現しやすくなります。
CAEを十分におこなって製品の設計が完成した後には、まず試作品が実際に製造されます。CAEをしてから試作品を製作することで、製作しなければいけない試作品の数も大幅に減らすことが可能です。

正確な解析ができるCAEの非線形解析を活用しよう

CAEは、さまざまな製品を製造するために利用されるようになりました。
CAEにより機械的にシミュレーションをすることで、製品の設計に含まれている問題点も見つけやすくなります。
CAEの解析の方法としておこなわれることが多いのは今回紹介した「線形解析」と「非線形解析」で、非線形解析は時間がかかりますがより正確な解析ができるメリットがあります。
そんな非線形解析について学んだ今、ぜひCAEエンジニアは非線形解析を試してみてください。

CAEの非線形解析とは?非線形解析するメリットや解析の知識を徹底解説
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