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【2025】建設業のBIMとは?CIMとの関係やCADとの違いを初心者向けにわかりやすく解説

近年、国主体で働き方改革や建設DX(デジタルトランスフォーメーション)などが推進され、建設業界で「BIM(ビム)」という言葉を耳にする機会が増えてきています。しかし、「BIMとは何?」「CADやCIMと何が違うのか?」といった疑問をもつ人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、建設業で活用されているBIMの特長についてわかりやすくまとめました。
また、おすすめのBIMソフトや、初心者がBIMの知識を取り入れる際に役立つ学習方法も掲載しています。

建設業で活用されている「BIM」とは

建設業で使われる「BIM(Building Information Modeling)」とは、建築物の3Dモデルをもとに、設計・施工・運用までのすべての工程で情報(データや数値など)を共有・活用する仕組みのことです。読み方を「ビム」と言い、建設業務の情報を見える化するために活用されています。

たとえば、従来の建築設計では、次の情報が企業ごと、担当者ごとにバラバラに管理され、設計ミスや施工トラブルの原因となっていました。

  • 設計図
  • 構造計算書
  • 工程表(施工計画)
  • 数量計算書
  • 工事費

一方でBIMを使えば、3Dモデルにすべての情報を統合でき、干渉チェックや数量算出も自動で行えるため、人的ミスが激減します。2D図面だけでは難しかった「建物全体の可視化」や「関係者間の連携強化」を可能にするのが建設業のBIMの特長です。

国土交通省が定める建設業のBIMの定義

国土交通省のBIM推奨項目
出典:国土交通省「BIM/CIM関連基準要領等(令和6年3月)|推奨項目」

建設業界におけるBIMは、ただの3Dモデルとしてではなく「建築・土木構造物に関する属性情報を含めた統合的なデータ基盤」として、国土交通省が活用を強く推奨しています。

たとえば2023年3月、国土交通省は「BIM/CIM原則適用の対象拡大」を発表し、2025年度までにすべての公共建築物の基本設計のBIM活用を原則化する方針を掲げました。全国の自治体やゼネコンにも強く影響を与えており、公共インフラ事業でのBIM対応が加速しています。

現在は、国直轄の業務の多くがBIM対応になっていることから、いずれは各自治体から発注される建設系の業務についてもBIMが浸透していく見込みです。

BIMとCIMとの違い

BIMモデルのイメージ

建設業界で混同されがちな「BIM」と「CIM」ですが、次のように用途・対象が少しずつ異なります。

BIM CIM
対象分野 建築(建物) 土木(インフラ)
正式名称 Building Information Modeling Construction Information Modeling / Management
管理すべき対象 設計~維持管理までの建物情報 土木構造物の情報と工事管理
活用例 ビル・マンション・商業施設など 道路・橋・ダム・上下水道など
主導機関 ・国土交通省
・建築BIM推進会議
・国土交通省
・CIM推進室

建築・土木はどちらも「建設」という枠組みの中にある項目ですが、それぞれ取り扱う対象物が違います。そのため、BIMとCIMで使い分けされているのが特徴です。

なお、基本ベースとなる機能などは同じであることから、近年ではBIMという名称へ統合しようという動きができています。その関係もあり、近年では、BIM、CIMを単体の名称で呼ばず、BIM/CIMとつなげて読むのが一般化しています。

また、BIMの使い方について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

【2025】BIMの使い方とは?CADとの違い・図面作成手順を初心者向けに解説

BIMとCADとの違い

CADソフトのイメージ

もうひとつ、建設業の現場で混同されやすいのが「BIM」と「CAD」です。
どちらも設計に関わるツール・概念ですが、次のように目的・構造・使い方が大きく異なります。

BIM(CIM) CAD
主な用途 情報管理+3Dモデル
(図面、数量、構造、工程など)
2D・3D図面
(図面のみ)
データ構造 情報付き3Dオブジェクト
(3Dモデルが属性情報をもつ)
線・面・形状ベースの図形
活用範囲 設計〜施工〜維持管理 各フェーズで個別
代表ソフト ・Revit,
・Archicad など
・AutoCAD
・Jw_cad など
図面の出力 モデルから自動生成 手動で作成・管理

BIMとCADは、オブジェクトに属性情報(材質や単位体積重量、密度)などが含まれているか否か、また、設計~維持管理におけるすべてのフェーズで利用できるか否かが異なります。

従来の建設業務ではCADが主流でしたが、近年ではCADとBIMのハイブリッド型、そして今後はBIMのみで業務を進める流れができつつあります。

建設業で使われているBIMソフト一覧

建設業でBIMを導入する際、最初に突き当たるのが「どのBIMソフトを使えばいいのか」という課題です。

BIMソフトは、さまざまなメーカーから提供されており、業務内容や会社規模によって適したソフトが違います。参考として以下に、建築・土木の現場でよく使われている主要なBIMソフトを一覧にまとめました。

ソフト名 特長 活用分野 費用感(税込)
Revit
(Autodesk)
・設計機能が豊富
・拡張性が高い
建設全般
(土木・建築)
59,400円/月
(月間プランの場合)
Civil 3D
(Autodesk)
・道路設計、造成設計に強い 土木 56,100円/月
(月間プランの場合)
Archicad
(Graphisoft)
・直感的な操作が可能
・中小規模向け
建築 66,000円/月
(毎月支払いの場合)
Tekla Structures
(Trimble)
・鉄骨や構造の検討に強い 建設全般
(土木・建築)
非公開
(要問い合わせ)

用途に合わないソフトを選ぶと、操作性・費用・互換性でかえって業務の非効率を招く恐れがあります。自社にとって最適な建設向けのBIMソフトを選ぶためにも、まずは無料トライアルからスタートしてみるのがおすすめです。

また、おすすめのBIMソフトの選び方も含めて詳しくチェックしたい方は、以下の記事がおすすめです。

【2025】BIMにフリーソフトはある?おすすめBIMソフトウェアを比較!

建設業でBIMを導入するメリット

BIMを建設業務に利用するメリット

はじめてBIM導入を検討している初心者向けに、建設業でBIMを導入するメリットを整理しました。

設計精度の向上

建設業でBIMを導入すれば、従来の「目で見て対応する設計」から「情報に裏付けられた設計」へと変わり、設計精度が向上します。

たとえば従来の2D図面では、すべて人力で対応する必要があったため、構造・設備での干渉を設計段階で発見するのが難しく、ときにはチェック不足で手戻りが発生することも少なくありませんでした。

対してBIMでは、3Dモデル上で複数の情報を統合できるほか、専用の干渉チェック機能を起動するだけで、簡単に衝突や重複を色分けして確認できるようになります。課題の早期発見に役立つことから、建設業に欠かせない設計の品質を向上させるのがBIMの魅力です。

コストの削減

建設業でBIMを導入すれば、次のように設計・施工・運用の各フェーズで発生する無駄なコストを大幅に削減できます。

  • フェーズ移行時のデータチェック(現地確認・調査)
  • 数量計算ミスの修正(またそれに伴うい、建設業務の情図面修正)

BIMのデータは3Dモデルと数量の情報がパラメトリックデザインとして紐づいているため、常に正しい数値情報を維持し続けます。また変更履歴が自動で記録されるため、業者間で連絡を取らずとも、常に必要な情報をチェックできるのがBIMのメリットです。

工期の短縮

BIMは、建設業の最終工程である施工管理で次のような効果を発揮します。

  • 部材・設備・人の動きを時系列で可視化(4D BIM)
  • 施工時に発生する費用情報の流れも可視化(5D BIM)

施工全体の流れをソフト上で確認できることから、もっとも手早く、安全で、費用を抑えられる工事方法をシミュレーションできるのがメリットです。3Dモデルをベースに検討を実施するため、架空線(電線)への接触など、細かな情報のチェックにも役立ちます。

建設業のBIMについて知る方法

建設業のBIMについて、さらに基礎知識や最新の動向、企業事例などをチェックしたい方は、以下で紹介する方法で、リサーチを進めるのがおすすめです。

独学で知識を身につけたい初心者向け(書籍・Web検索)

独学でBIMを学びたいなら、以下の方法で情報を集めるのが効率的です。

  • 書籍
  • ソフトのマニュアル
  • Web検索

BIMは建築・土木の実務と密接に関わるため、単なる座学よりも実例やツール操作を通じて学ぶほうが理解が深まります。特に、AutodeskやGraphisoftが提供する公式マニュアルは、無料で実用的な内容が揃っています。

時間をかけてコツコツと建設業のBIMの知識を深めたい方は、独学スタイルが最適です。
BIMの基本概念・ツール操作を押さえてから、次項の学習方法へと進んでいくと良いでしょう。

Webにはない情報を入手したい人向け(セミナー・イベント)

BIM-PLUS.1 Summit 2025
出典:PLUS.1株式会社公式サイト

Web上で見つかるBIMの情報は、基礎知識や過去の事例など、古さの目立つものが多い傾向です。

そこで、Webにはない最新の情報・企業事例をチェックしたい方は、国や企業が実施するセミナー講習やイベントに参加してみてはいかがでしょうか。

BIMの最新動向や実務ノウハウは、現場のプロが登壇するセミナーや展示会に集約されています。
たとえば「BIM-PLUS.1 Summit 2025」では、次のような知識が身につきます。

  • BIM導入に関する基礎知識
  • BIM活用事例(企業登壇)
  • BIMの最新動向

Webにはない、現場の情報を詳しく学べる機会です。
興味がある方は、以下のページをチェックしてみてください。

建設業のBIMについてよくある質問

建設業で使われているBIMとは簡単に言うと何ですか?
BIMとは、建物の設計・施工・維持管理に関する情報を3Dモデル上で一元管理・共有できる仕組みのことです。建築・土木業界で使われており、設計の可視化や施工ミスの削減に貢献しています。簡単に言えば「建物のデジタル情報管理ツール」です。
無料で使えるBIMソフトには何がありますか?

BIMソフトは基本有料ですが、無料トライアルとして一定期間だけ無料利用できるソフトも少なくありません。たとえばAutodeskのRevit、Civil3Dはそれぞれ1ヶ月間、福井コンピュータのGLOOBEも同じく1ヶ月間の体験期間があります。

建設業におけるBIMとCADの使い分け方は?

CADは主に2D図面の作成に特化した設計ツール、BIMは3Dモデルに情報を付加して管理・活用する仕組みです。設計だけならCADで対応できますが、施工・維持管理まで情報を連携したい場合はBIMが有効です。また、小規模・単発作図ならCADが適しています。

建設業のBIMについてまとめ

BIMは、設計・施工・維持管理といった建設業の全工程に革命をもたらす技術であり、今後の建設関連業務で欠かせない存在となってきています。

BIMを活用すれば、設計の見える化・工期短縮・コスト削減・安全性の向上が可能となり、労働力不足や再工事コストといった構造的な業界課題の解決につながるでしょう。導入や最新情報を入手するために、独学やセミナー・イベントへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

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