Autodesk Fusionで製品設計をする際に、重心位置を知りたいと考えていないでしょうか。
しかし、どのようなコマンド機能を使って確認できるのかわからないという方もいるはずです。
そこでこの記事では、Autodesk Fusionの重心位置を表示する方法についてわかりやすくまとめました。また重心のみならず、ほかのアセンブリ要素をチェックする方法も解説しているので、Autodesk Fusionの使い方をマスターする参考にしてみてください。
Autodesk Fusionの重心とは
Autodesk Fusionに搭載されている解析ツールの「重心」は、対象アセンブリの重心位置を表示できる機能です。
複雑な形状をした3Dモデルの重心がどこなのかをAutodesk Fusionが瞬時に解析できるため、デザイン検討やモデルのバランス調整の判断に役立ちます。また重心位置がわかると、そのモデルが自重や外力により、どのような部分に負荷がかかるのかを判断しやすくなるのが魅力です。
特に複雑な形をしている製品やパーツの場合には、人力で重心位置を判断するのは不可能であることから、Autodesk Fusionの機能を使うことが製品製造の品質アップにつながります。
ISO基準に準拠することはもちろん、安定性や強度を十分もつ製品をつくるためにも、ぜひ重心機能を活用しましょう。
まずAutodesk Fusionを導入することからスタートしなければならない方は、以下の記事がおすすめです。
Autodesk Fusionの重心機能の用途
Autodesk Fusionに備わっている重心の解析機能は、どのような目的で利用できるのでしょうか。
参考として、Autodesk Fusionの重心機能の用途を2つに分けて紹介します。
モデル形状の判断に役立つ
Autodesk Fusionの重心機能は、モデルの形状やバランスを調整する際に役立ちます。
例えば重心が中心ではなく、端のほうに偏っている製品の場合、不安定な場所に置くとすぐに転がってしまいます。それだと製品としての安定性を保てませんし、次のようなリスクがあるでしょう。
- 倒れたせいで製品が破損してしまう
- 製品がゆがんで使えなくなる
- 一部分だけすぐに壊れてしまう(頻繁に交換しなければならない)
そのため、一度Autodesk Fusionのモデリングを終えたら重心位置を確認し、モデルの中心位置に重心が来ているのかを確認することが欠かせません。特にしっかりとした土台がない製品の場合、重心位置が中心になければ、上記のリスクが高まります。
長く使ってもらえる製品をつくるためにも、Autodesk Fusionでモデリングを実施する際には、並行して重心の確認に力を入れましょう。またAutodesk Fusionでモデルを作成する使い方を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
モデルの安定性チェックに役立つ
Autodesk Fusionで重心位置を表示しておけば、次のような強度の解析において「今のモデル形状で問題ないのか」を判断しやすくなります。
- 静的応力
- 非線形静的応力
例えば静的応力の解析は、静止している状態にかかる自重といった作用に対し、物体が安定性を維持できるのかをチェックします。つまり重心がズレていると、その分だけ不安定になりやすいのが特徴です。
また幾何学的なデザインの製品に対し、変位やひずみといった応答を解析するのが非線形性的応力です。こちらも同様に重心位置によって数値が変化するため、モデルの安定性確認に欠かせません。
以上より、Autodesk Fusionで安定した品質を確保したモデルを作成するためには「重心位置がズレているから、この部分に変異が生じそうだな」「外力がかかるとこの部分がひずむな」といった判断が必要です。
重心位置によって判断できる要素がいくつもあるので、ぜひAutodesk Fusionで重心位置を確認しましょう。
Autodesk Fusionの重心を表示する方法
Autodesk Fusionで重心位置を表示する方法を紹介します。
なお今回は、上画像のアセンブリで重心位置の解析をしてみました。
重心の表示方法
まずはAutodesk Fusionの「デザイン>ユーティリティ>検査(プルダウン)>重心」から、重心コマンドを起動してください。すると画面上に専用ウィンドウが表示されるので、重心を表示したいアセンブリを選択します。
選択したのちにウィンドウのOKボタンをクリックすれば、対象モデルに重心が表示されます。
また画面左上にあるブラウザの管理項目のなかにも「解析>重心1」が追加されました。
この段階ではビジュアルでしか重心の位置を把握できませんが、次の手順を踏めば、対象アセンブリの重心位置を数値情報としてチェックできます。
- 対象アセンブリを選択する
- 右クリックして「プロパティ」を選択する
- プロパティの一番下側にある慣性モーメントの欄に重心が表示される
また上記の方法ではなく、以下の画像のとおり操作すれば、作業画面の右下に重心の数値情報を表示することも可能です。
対象アセンブリのサイズと、重心位置を比べれば、どこに偏りができているのかを判断しやすくなります。ぜひ上記の手順でAutodesk Fusionから重心位置をチェックしてみてください。
重心の削除方法
重心位置のチェックが不要になったり、ほかのアセンブリの重心をチェックしたりする場合などは、Autodesk Fusionの画面左上にあるブラウザの管理項目から対象の重心を選択することで削除できます。
今回は「重心1」というデータがフォルダ分けされているので、カーソルを合わせて「右クリック>削除」を選択しましょう。
すると、前項で設定した重心の情報が削除されました。
ひとつのデータ内で複数のアセンブリを取り扱う場合、ときには重心データが不要になることもあります。表示の邪魔になる場合もあるので、ぜひ削除の方法も理解しておきましょう。
重心の表示・非表示の切り替え方
Autodesk Fusionで取り扱うひとつのデータ内で、複数のアセンブリに重心を表示した場合、画面が見づらくなってしまいます。そこで役立つのが、重心の表示・非表示を切り替える方法です。
まずはAutodesk Fusionの画面左上にあるブラウザの管理項目にカーソルを合わせて「右クリック>非表示/表示」ボタンを選択してください。
するとデータは残りつつも、画面上から重心のマークが消えました。
逆に重心マークを再度表示させたい場合には、同じように「右クリック>非表示/表示」をクリックするだけです。
アセンブリの数が増えるほど重心の数も増えていくので、使わない重心のマークはなるべく非表示に設定することをおすすめします。
重心からオブジェクトまでの距離を計測
Autodesk Fusionのモデリングをする際、表示した重心位置を調整するために、次のような特定位置からの距離を計測したい場合もあるでしょう。
- エッジ
- 面
- 他アセンブリの重心位置
その際には「デザイン>ユーティリティ>検査(プルダウン)>計測」から任意点の距離を測れます。例えば、最左のエッジまでどれくらい距離があるのかを調べるために、点の位置をクリックしました。すると、自動で次のように距離が計測表示されました。
任意の位置を何度でも調べられるため、モデルの形状を微調整したい場合などに役立ちます。
Autodesk Fusionの重心以外の表示方法
Autodesk Fusionでは重心だけではなく、次のような項目を表示したいケースもあるでしょう。
- 重量
- 質量
- 体積
特に製品設計で大きさや重さなどの上限が決められている場合、モデリングと同時並行で上記の条件をチェックしなければなりません。そこで役立つのが「右クリック>プロパティ」から数値情報を表示できる機能です。
上画像のようにすべての数値が一覧にまとまっています。
表示されている数値はリアルタイムでつくられていくモデルにリンクしているため、修正を加えれば数値情報も書き換えられていきます。
ほかにも境界ボックスという項目をチェックすれば、モデルの「長さ」「幅」「高さ」といった情報もチェック可能です。
各種情報をチェックしたい場合は、プロパティから確認してみてください。
数値情報は物理マテリアルによって変化
Autodesk Fusionの重心を含め、質量といった前述の情報はすべて「物理マテリアル」の設定により決められています。これはモデルの材質(単位体積重量や密度)などを決めている条件のことであり、次の方法で変更が可能です。
- 対象のアセンブリを選択する
- 右クリックから物理マテリアルを選択する
- 専用ウィンドウから設定したマテリアルを選択する
- アセンブリにドラッグアンドドロップする
これで物理情報が書き換えられました。
再度、プロパティをチェックすると、数値情報が書き換わっています。
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Autodesk Fusionの重心についてまとめ
Autodesk Fusionでモデリングをする際には、重心情報を常に把握しながら完成を目指すことが重要です。各種解析機能にも影響するポイントであるほか、製品の品質維持に欠かせない要素となります。
Autodesk Fusionにはほかにも活用頻度が高い機能が豊富にあるので、この機会にぜひ重心コマンドをマスターしてください。
