Autodesk Fusionは、製品設計から製造までをシームレスに行える統合型CAD/CAMソフトウェアです。近年、その直感的な操作性と豊富な機能から、プロのエンジニアだけでなく、DIY愛好家や学生など、幅広い層に利用されています。
特に、CAM(Computer Aided Manufacturing)機能は、3Dモデルから実際の製品を製造するためのNCプログラムを生成する上で非常に強力なツールです。しかし、「CAM」と聞くと、複雑な設定や専門知識が必要なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Autodesk FusionのCAM機能を初めて利用する方に向けて、基本的な操作方法から具体的な手順まで、わかりやすく解説していきます。
Autodesk Fusion CAMとは
Autodesk Fusion CAMとは、製品設計から製造までの一連のプロセスをサポートする統合型CAD/CAMソフトウェアです。その中でも、CAM(Computer Aided Manufacturing)機能は、3Dモデルから実際の製品を製造するためのNCプログラムを生成する上で、非常に強力なツールとして注目されています。
Autodesk Fusion CAMは、高度なシミュレーション機能と直感的な操作性を兼ね備え、設計から製造までのワークフローを効率化します。CADで作成した3Dモデルを基に、ツールパスと呼ばれる加工経路を自動生成し、NCプログラムを作成することで、さまざまな工作機械で加工を実行することができます。
Autodesk Fusion CAMの魅力は以下の通りです。
- 統合性:
CAD機能とCAM機能がシームレスで設計から製造までの一貫した作業が可能 - 高機能性:
2軸から5軸までの加工・旋盤加工・穴加工に対応 - 操作性:
直感的なユーザーインターフェースにより初心者でも簡単に操作可能 - シミュレーション:
加工シミュレーション機能により加工結果を事前に確認し加工ミスを防ぐことが可能 - クラウドベース:
クラウド上で動作するためいつでもどこからでもアクセス可能
Autodesk Fusion CAM ライセンスの種類
Autodesk Fusion CAMには商用ライセンスの他に、学生やスタートアップ企業向けに無料ライセンスがあります。
無料試用版ライセンスは、商用ライセンスと比べ機能に制限があります。
商用ライセンス | 1年間ライセンス:96,800円 |
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無料ライセンス | 無料ライセンスを利用する場合は、以下の条件があります。 スタートアップ企業向け
個人利用向け
スタートアップ企業向け
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Autodesk Fusion CAMの使い方を画像付きで解説
Autodesk Fusionで作成した3Dモデルは、「製造」作業スペース(CAM)を利用することで、ツールパスを作成しNCデータ(Gコード)に変換することができます。
今回は、3DモデルからNCデータ変換までの流れを説明していきたいと思います。3DモデルがないとCAMに移行できないため、3Dモデルの準備から始めていきたいと思います。
「製造」作業スペースからNCデータ変換までの流れは以下の通りです。
- 3Dモデルを準備する
- 3DモデルをCAMに移行する
- 原点を認識させる
- 工具を設定する
- 加工シュミレーションの設定方法
- NCデータを作成する
ステップ①3Dモデルを準備する
CAMを始める前に、3Dモデルを準備しないとCAMに移行できません。まずは、3Dモデルの準備から始めていきたいと思います。
- Autodesk Fusionを起動する。
- 名前を付けて保存する。ここでは「座付き穴」と名前を付けて保存します。
- スケッチを選択する。
- 長方形を選択する。
- スケッチで描く。
- 押し出しを選択する。
- 厚みを指定する。
- 座付き穴を描くための補助線を描く設定。
- 座付き穴を描くための補助線を描くためスケッチを選択。
- 座付き穴を描くための補助線を長方形で描く。
- 座付き穴を設定する。
- 残りの座付き穴を設定する。
- 座付き穴モデルが完成。
ステップ②3DモデルをCAMに移行する
3Dデータ(3Dモデル)が準備できましたのでCAM(製造)に移行します。3DモデルからCAMにシームレスに移行できるのが、Autodesk Fusionの良い点です。
3DモデルからCAM(製造)に移行するには以下の手順となり非常にシンプルです。上記の画像を参考にしてください。
- 「デザイン」を選択する。
- 「製造」を選択する。
ステップ③原点を認識させる
CAMでの原点設定は、超重要なので設定手順を覚えてください。CAM上の原点は、「機械のワーク原点」に必ず合わせるようにする。そうしないと機械が動かいないので設定手順を覚えてください。自社の「機械のワーク原点」を確認してください。
- 原点を設定する。設定から必ず入ります。(原点は自社の機械のワーク原点を確認)
- ストック設定をする。
ステップ④工具を設定する
工具の登録方法を説明していきます。ここでは、3つの工具の登録方法と使い方を説明していきます。
使用する工具は以下の通りです。
- センタードリルφ6.0㎜
- ドリルφ6.5㎜
- フラットエンドミルφ6.0㎜
となります。
センタードリルを登録する方法
センタードリルの登録方法を説明します。センタードリルとは、ドリルは横の力が弱いため曲がるので、曲がらないために始点となる穴をあける目的があります。
- 工具を選択する。
- フォルダを作成する。
- 新規工具を選択する。
- センタードリルを選択する。
- センタードリルを承認し登録する。
- 切削条件を入力する
- センタードリルを選択する。
- センタードリル加工箇所を選択する。
- 高さ設定
ドリルを登録する方法
ドリルを登録する方法を説明していきます。登録方法は、センタードリルと同じ方法で進めていきます。ドリルは、横に刃は付いておらず穴あけに特化した工具です。
- ドリルを選択する。
- ドリル径を入力する。
- 切削条件を入力する。
- ドリルを選択する。
- ドリルの加工箇所を設定する。
- 高さ設定をする。
- サイクル設定をする。
座付き穴の設定方法
座付き穴を加工するためのエンドミルの工具設定の説明を進めていきます。座付き穴径がφ11.0㎜なので、約半分のφ6.0㎜のフラットエンドミルを登録して加工していきます。工具の登録方法は、センタードリル、ドリルと同じです。
座付き穴、ボルトの頭がはみ出ねないようにする目的があります。
- 座付き穴加工設定をする。
- 工具設定をする。
- フラッドエンドミルを選択する。
- 工具径を入力する。
- 切削条件を入力する。
- フラッドエンドミルを選択する。
- 加工箇所を選択する。
- パスを設定する。
- パスの説明
- リンク設定をする。
ステップ⑤加工シュミレーションの設定方法
加工シミュレーションとは、実際に加工を行う前に、コンピュータ上で仮想的に加工の様子を再現することです。まるで映画のように、加工工具がどのように動き、ワーク(加工物)がどのように削られていくのかを視覚的に確認できる機能です。
- 加工シュミレーション対象の工具を選択する。
- シュミレーションを設定する。
- シュミレーションを終了する。
ステップ⑥NCデータを作成する
NCデータを作成するには、ポストプロセッサを理解し、ポスト処理をしなければなりません。
ポスト処理とは、ポストプロセッサのことで、CAMデータを各工作機械に合わせたNCデータに変換するソフトです。ポスト処理の方法を説明していきます。
- 加工ツールパスを選択する。
- ポスト処理の設定方法。
ポスト選択では、自社の機械に合わせて選択してください。テキストエディタ「Visual Studio Code」のインストール手順を参考にしてください。
- NCデータが作成される。
Autodesk Fusion CAMの重要機能切削条件とは
Autodesk FusionのCAM機能で、効率的かつ高品質な加工を実現するためには、切削条件の設定が非常に重要です。切削条件とは、切削速度、送り速度、回転数など、加工に影響を与える値です。適切な切削条件を設定することで、加工時間を短縮し、工具寿命を延ばし、製品品質を向上させることができます。
切削条件は以下の通りです。
項目 | 内容 |
切削速度m/min | 切削速度は、工具が回転する速度です。 |
送り速度㎜/min | 送り速度は、工具が移動する速度です。 |
回転数rpm | 工具が、1分間に回転する回転数です。 |
切削条件の数式とは
切削条件の数式とは、切削速度、送り速度、回転数などの値を、材料、工具、機械といった要素と関連付け、最適な加工条件を算出するための数式です。これらの数式は、加工の効率化、製品品質の向上、工具寿命の延長に役立ちます。
切削条件の数式は以下の通りです。
Autodesk Fusionが学べるお勧めセミナー
Autodesk Fusionについては独学でも学べないことはないですが、理想的なコンテンツを見つるのは大変ですし、習得するまでに時間がかかるデメリットがあります。また、有料のコンテンツも多いためお金を払うのならセミナーを受けるのがおすすめです。
特におすすめするのは「Autodesk Fusionセミナー講習」というセミナーで、Autodesk Fusionを触ったことがない初心者でも受講できる優しいセミナーとなっています。
Autodesk Fusionセミナー講習ではどんなことが学べるのかというと、
- Autodesk Fusionでモデリング方法と設計変更
- 3Dモデルからの図面化と寸法や注記を追加
- スケッチの寸法と幾何拘束
- データの保存・共有方法・ファイルのインポート・エクスポート
- サーフェスを適切に利用した高度なモデリング
- 応力解析の条件の設定と設計変更
- 複数のソリッドボディを利用したモデリング・アセンブリ内のモデリング
- 部品の組上げ・干渉チェック
- 組図・分解図・部品表の作成・編集
このような基本操作から実際のモデリング・応用解析まで学ぶことができます。
誰でも参加しやすいセミナーなので、Autodesk Fusionをプロから学びたいと思う人はぜひこの機会に参加してみてください。
Autodesk Fusion CAMが学べるお勧めセミナー
Autodesk Fusion CAMについて学習したい方は、「Autodesk Fusion CAMセミナー講習」がおすすめです。Autodesk Fusion CAM初心者の方でも2日間で実務で使える技術を身につけることができるセミナーです。
Autodesk Fusion CAMセミナーではどんなことが学べるのかというと、
- 2軸加工ツールパス作成
- 初期工具に無い工具を登録
- NCデータと加工指示書を出力
- 実践的な機能を学ぶ
- 3軸の荒加工ツールパスを作成
- 3軸の仕上げ加工ツールパスを作成
- 切削加工機(SRM-20)の使用準備
- 2Dデータからのモデリング(課題)
- 他の3DCADから受け取ったデータの修正(課題)
このようなCAD・CAM基本操作から3Dツール加工パス・実務で使える技術まで学ぶことができます。
Autodesk Fusion CAMに興味があるかたは以下のボタンから詳細を確認してみてください。
Autodesk Fusion CAMの購入をお考えの方へ
Autodesk Fusionは、製品設計から製造までの一連のプロセスをサポートする統合型CAD/CAMソフトウェアです。その中でも、CAM(Computer Aided Manufacturing)機能は、3Dモデルから実際の製品を製造するためのNCプログラムを生成する上で、非常に強力なツールとして注目されています。
Autodesk FusionのCAM機能は以下の通りです。
- 設計から製造までの一貫性: 設計と製造の連携がスムーズに行える
- 直感的な操作性: 複雑な設定は不要で直感的な操作で加工プログラムを作成可能
- 豊富な機能: 2軸から5軸までの加工・旋盤加工など対応可能
- シミュレーション機能: 作成した加工プログラムをシミュレーションすることで加工結果を事前に確認
- クラウドベース: いつでもどこからでもアクセスできチームでの共同作業も可能
以下のリンクよりAutodesk Fusion CAMの無料体験版のダウンロードをしていただけます。
Autodesk Fusion CAMの使い方まとめ
Autodesk FusionのCAM機能は、3DモデルからNCプログラムを生成し、実際の加工に繋げるための強力なツールです。この記事では、Autodesk Fusion CAMの基本的な使い方を説明してきました。
Autodesk Fusion CAMは、設計から製造までの一連のプロセスを効率化する強力なツールです。適切な設定を行うことで、高品質な製品を短時間で製造することができます。この記事を参考にCAMを学んでください。
