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【2025】AutoCAD LTでは使用できない便利機能!よく使うコマンドやメリットを解説

「AutoCADを使いたいけど、LTとの違いがよく分からない」と疑問を持つ方もいるでしょう。AutoCADとAutoCAD LTはどちらも2D設計に対応しているものの、機能面や操作性に違いがあります。違いを理解しておかなければ、必要な作業ができなかったり、無駄なコストをかけてしまうことも。

そこで本記事では、AutoCADとAutoCAD LTの違いをわかりやすく比較し、よく使われるコマンドやメリットも紹介します。最適な選択をするための参考にしてください。

AutoCAD LTとは?

AutoCAD LTとは?

​AutoCAD LTは、Autodesk社が提供する2D製図に特化したCADソフトウェアで、AutoCADの機能を簡略化し、低価格で提供されていました。​基本的な図形の作成や編集、寸法記入、注釈の追加など、2D図面作成に必要な機能を備えており、建築、機械設計、電気設計など幅広い分野で利用可能です。

​特に、3Dモデリングや高度なカスタマイズが不要なユーザーにとって、操作性とコストパフォーマンスのバランスが取れた選択肢として人気がありました。​

AutoCADとAutoCAD LTはどちらがおすすめ?

AutoCADとAutoCAD LTは、設計業務の内容や求める機能に応じてどちらがおすすめかは異なります。そのため、表でまとめてみました。

AutoCAD AutoCAD LT
用途
  • 2D作図
  • 図面
  • ドキュメントの作成
  • 3Dモデリングおよびビジュアライゼーション
  • 2D作図
  • 図面
  • ドキュメントの作成
主な機能
  • 2Dジオメトリの作成・編集
  • ソリッド、サーフェス、メッシュオブジェクトを使用した3Dモデルの作成・編集
  • テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈をつける
  • リボンやツールパレットのカスタマイズ
  • アドオンアプリケーションやAPIを使用したカスタマイズ
  • オブジェクトデータをテーブルに抽出
  • PDFファイルからデータをアタッチして読み込み
  • DGNファイル、Navisworks、Bingマップのデータを共有して使用可
  • CAD標準仕様を適用
  • 業種別ツールセットの利用が可能
  • 2Dジオメトリーの作成・編集
  • テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈をつける
  • リボンやツールパレットのカスタマイズ
  • PDFファイルからデータをアタッチして読み込み
  • DGNファイル、Navisworks、Bingマップのデータを共有して使用可
ライセンス形態
  • シングルユーザー
  • マルチユーザー(ネットワーク)
  • シングルユーザー
価格(税込)
  • 8,800/月
  • 71,500/年
  • 214,500/3年
  • 販売終了

AutoCADの購入を検討している方は、以下のリンクから見積もりの依頼ができますのでご確認ください。

そもそもAutoCAD LTライセンスは販売されている?

AutoCAD LTの新規ライセンスは、2021年6月6日をもって販売が終了しました。​そのため、現在は新たにAutoCAD LTを購入することはできません。​

ただし、既存のユーザーは引き続きサブスクリプションの更新が可能で、サポートも継続されています。​オートデスクは、AutoCAD LTの後継製品として、より多機能で価格も抑えられた「AutoCAD」や「AutoCAD Plus」の利用を推奨しています。​2D作図に加えて3Dモデリングやカスタマイズ機能を備えており、業務の効率化が期待できるでしょう。

​なお、中古市場でAutoCAD LTの永久ライセンスが出回っている場合もありますが、サポート対象外であることや、偽造品のリスクがあるため注意が必要です。

【2025】AutoCAD LTとAutoCAD の違いを徹底比較して解説!

LTでは使用できないAutoCADの便利機能|初級編

AutoCADのLTでは使用できない初級編のAutoCADの便利機能について紹介します。

  1. 3D作図機能
  2. カスタムツールパレット・ダイナミックブロック
  3. ネットワークライセンスの利用

便利機能①3D作図機能

AutoCADでは、建築設計や機械設計などで必要とされる3Dモデリングが可能で、ソリッド・サーフェス・メッシュなどを用いた立体形状の作成や3Dパースの生成にも対応しています。

例えば、立体的な構造物の断面や完成予想図を視覚的に表現することができ、クライアントへの提案資料や検証作業も可能です。一方で、AutoCAD LTは2D作図に特化した仕様であり、3Dモデルを表示することはできますが、編集や新規作成といった操作は一切できません。そのため、3D設計が求められる業務には通常版のAutoCADが必要となります。

便利機能②カスタムツールパレット・ダイナミックブロック

使用頻度の高いツールやパーツを整理してすぐに呼び出せる「カスタムツールパレット」や、パラメータを変えることで動的に形状を変更できる「ダイナミックブロック」など、作業環境や図面編集の効率を高める機能もAutoCADに搭載されています。

例えば、設備設計などでよく使う記号や図形をパレット化しておけば、探す手間が省け、作業スピードが向上。また、同じブロックでもサイズや角度を変えるだけで多用途に使えるダイナミックブロックは、図面の再利用性を高めるうえで効果的です。しかし、AutoCAD LTでは機能に一部制限がかけられており、自由度の高い設計作業は難しいでしょう。

便利機能③ネットワークライセンスの利用

AutoCADは、企業やチームでの利用を前提にしたネットワークライセンスにも対応しており、複数のユーザーが共通のライセンスを使用できる仕組みを提供。そのため、ライセンスのコストを抑えながら柔軟にユーザー数を調整でき、大規模な開発現場でも効率的なライセンス運用が可能です。

特に、社内で複数人がシフト制で作業するような環境では、共有ライセンスの利便性は高いと言えるでしょう。一方、AutoCAD LTはシングルユーザーライセンスにしか対応しておらず、個人でしか利用できません。チーム利用には不向きであると言えます。

主に「自動化」や「3D設計」といった初心者にはあまり馴染みのない高度な機能が中心です。逆に、2D図面の作成や編集、印刷などの基本操作はLTでも問題なく行えます。

LTでは使用できないAutoCADの便利機能|中・上級編

LTでは使用できないAutoCADの便利機能|中・上級編

次にAutoCADのLTでは使用できないAutoCADの便利機能「中・上級編」を紹介します。

  1. 外部参照(Xref)やデータリンクの活用
  2. LISPによるカスタマイズ
  3. 外部API・ツールとの連携
  4. シートセットマネージャ・パブリッシュ機能

便利機能①外部参照(Xref)やデータリンクの活用

AutoCADは、複数の図面を効率的に管理するための「外部参照(Xref)」機能や、表計算ソフト・データベースとリアルタイムに連携できるデータリンク機能を備えています。プロジェクトの進行中でも元データが更新されれば、自動的に図面側にも変更が反映されるため、常に最新の情報を保ったまま作業が可能です。

また、パラメトリック設計機能と組み合わせれば、設計変更が即座に反映されるなど、設計プロセスの効率化が期待できるでしょう。しかし、AutoCAD LTでは高度な連携や自動反映に制限があり、手動での更新や調整が必要になるため、大規模プロジェクトやチーム作業では効率面に課題が生じやすくなります。

便利機能②LISPによるカスタマイズ

AutoCADでは、LISPというスクリプト言語を活用することで、繰り返し作業の自動化や独自のコマンド作成が可能です。毎回同じ手順で行う図面作成の流れをLISPで記述しておけば、ワンクリックで自動的に実行され、作業時間を削減できます。業務効率の向上に直結するため、便利な機能と言えるでしょう。

しかし、AutoCAD LTではLISPが利用できないため、自動化による効率化は難しく、マニュアル操作が中心となる点は制限と言えるでしょう。

【2025】AutoCADのLISP集!初歩知識やサンプルコードでできることを解説

便利機能③外部API・ツールとの連携

VBAや.NET APIなど、さまざまな外部プログラムとの連携を可能にする拡張機能が豊富なのもAutoCADの魅力です。他の業務システムやソフトウェアと図面データを連携させたり、自動化された処理フローを構築したりと、複雑で広範な業務フローの一部としてCADを活用できます。

例えば、データベースとの連携によって、部品情報を自動で図面に反映させるといった運用も可能です。しかし、AutoCAD LTではAPIが制限されているため、他ツールとの連携性は低く、単体での使用にとどまるケースが多くなります。

便利機能④シートセットマネージャ・パブリッシュ機能

AutoCADでは、図面の一括管理や印刷作業を効率化するために、「シートセットマネージャ」や「パブリッシュ機能」といったツールが利用可能です。これらの機能を使えば、数十枚~数百枚に及ぶ図面ファイルを一括でレイアウト管理し、印刷設定や出力作業を統一して行うことができます。

特に建築や土木の現場では、図面の量が膨大になるため、一元管理機能があるかどうかで作業のスピードと精度が変わります。しかし、AutoCAD LTにはこれらの機能が搭載されていないため、各図面を個別に処理する必要があり、作業時間が増えたり、出力ミスが発生しやすくなったりするリスクがあります。

AutoCADが便利になるショートカットキー一覧

AutoCADが便利になるショートカットキー一覧

AutoCADには作業効率を大幅に向上させる多数のショートカットキーがあります。以下の表に、よく使われるショートカットキーとその概要をまとめてみました。

ショートカットキー 概要
Ctrl+N 新規図面を作成
Ctrl+O 図面を開く
Ctrl+S 図面を保存
Ctrl+P プロット(印刷)ダイアログを開く
Ctrl+C オブジェクトをコピー
Ctrl+X オブジェクトを切り取り
Ctrl+V オブジェクトを貼り付け
Ctrl+Shift+C 基点を指定してコピー
Ctrl+Shift+V ブロックとして貼り付け

ショートカットキーを覚えて活用することで、AutoCADの作業スピードと正確性が向上します。特によく使う操作から順に覚えていくのがおすすめです。

AutoCADの便利機能を使用するメリット

AutoCADの便利機能を使用するメリット

AutoCADの便利機能を使用するメリットについて解説します。

  1. 作業の効率化・短縮が期待できる
  2. 正確な作業が可能になる
  3. 何度でも利用ができる

メリット①作業の効率化・短縮が期待できる

AutoCADの便利機能を活用するメリットの一つは、作業の効率化と時間短縮が図れる点です。例えば、LISPやVBAを用いた自動化機能を使えば、複雑で手間のかかる処理も一括で行えるため、手作業では数時間かかる業務が数分で完了することもあります。

また、カスタムツールパレットやダイナミックブロックを使えば、繰り返し使用する図形や設定を登録しておくだけで簡単に再利用でき、作図のたびに同じ作業を繰り返す必要がなくなります。業務の生産性が向上し、他の重要な作業に時間を割くことが可能になります。

メリット②正確な作業が可能になる

AutoCADの高度な機能を使うことで、ミスを最小限に抑えた精度の高い図面作成が可能になります。例えば、パラメトリック設計機能や拘束条件の設定により、設計変更が必要になった際にも自動で関連要素が更新されるため、手動での修正による人為的ミスを防げます。

また、外部参照やデータリンク機能を活用すれば、外部情報との整合性を常に保ったまま作業ができるため、複数人での共同作業においても整合性の取れた正確な図面を維持できるでしょう。

メリット③何度でも利用ができる

一度作成したブロック、カスタムツール、スクリプトなどを何度でも繰り返し利用できるため、作業の再現性と効率が向上するのもAutoCADを使用するメリットです。そのため、誰でも同じ仕様で図面作成ができ、品質のばらつきを防げます。

また、LISPやVBAで作成した自動化スクリプトも保存しておけば、将来的なプロジェクトでも再利用できるため、設計資産として蓄積されていきます。一度の作業が今後の業務の土台となり、継続的な業務改善にもつながる点がメリットです。

AutoCAD LTについてのまとめ

AutoCADとAutoCAD LTは、どちらも2D作図に対応していますが、対応できる作業範囲や機能の柔軟性には差があります。3D設計や自動化、他システムとの連携など、業務の幅を広げる機能を必要とするなら、AutoCADを選ぶことでより効率的な業務運用が可能に。

一方で、基本的な2D図面作成だけを目的とするならLTでも十分な場面もあります。ただし、AutoCAD LTは現在販売されていません。それぞれの特徴を比較した上で、自分の目的に合った製品を選ぶことが重要です。

AutoCAD LTでは使用できない便利機能!よく使うコマンドやメリットを解説
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